マンションにお住まいで、毎日使うキッチンを自分好みの居心地良いキッチンへリフォームしたいと思う方も多いでしょう。
しかし、マンションのキッチンリフォームにおいては、戸建てと違って構造上や管理規約上の制約があるため、「どんな工事ができるのか」「費用はどのくらいかかるのか」「リフォームするときに気を付けることはないか」などと施工前に悩む方も少なくありません。
この記事では、マンションのキッチンリフォームではどのような工事ができるのかを3パターンに分けて解説しています。具体的な費用やリフォームするときの注意点、リフォームの手順についても合わせて解説していますので、マンションにお住まいでキッチンのリフォームを考えている方は必見です。
目次
1.マンションのキッチンリフォームの3パターンを事例付きで解説
マンションのキッチンリフォームでよくあるリフォーム3パターンを、7つの事例と一緒に解説していきます。
【よくあるマンションのキッチンリフォーム3パターン】
1-1.キッチン本体のみ交換
キッチンが老朽化し、キッチンの本体のみ交換したいという場合におこなわれます。
今と同じ大きさ・形で新しく入れ替えるのであれば、床を張り替える必要がなく本体交換や配管交換のみのリフォームができます。
事例①価格重視でも満足なクオリティのリフォーム
価格 | 61万円 |
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築年数 | 28年 |
工期 | 2日 |
価格を最小限にしながも、たっぷり収納できるキャビネットやレンジフードを設置しています。内装はコストを抑えるためにキッチンに面した壁のみ施工しました。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/360
事例②収納力のあるキッチンに交換したリフォーム
価格 | 71万円 |
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築年数 | 16年 |
工期 | 4日 |
※使用設備: YAMAHA(現 TOCLAS):ベリー
開き戸タイプでデッドスペースの多かった以前のキッチンから、収納スペースが多く取れる引き出しタイプへ変更しました。ごちゃごちゃしがちな水回りも、大きい収納によってスッキリと作業することが出来ます。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/115
1-2.キッチン本体の交換+周りの床・壁の張り替え
キッチンの交換にあわせ、周りの床や壁を同時にリフォームする場合も多いです。
リビングとキッチンの空間が一体になっているマンションでは、リビング部分まで床を張り替えると統一感が出たり、床がフラットになるためバリアフリーなLDKになります。
事例③バリアフリーも考え床の段差解消もおこなったリフォーム
価格 | 119万円(キッチン工事のみ) |
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築年数 | 25年 |
工期 | 3ヶ月(キッチン以外も含むフルリフォームのため) |
※使用設備: タカラスタンダードトレーシアI型
築25年のマンションを給排水工事のため40~50万円ほどの助成金がおりるというきっかけでリフォーム。キッチンの入り口に潜む段差を解消し、バリアフリーなキッチンになっています。ご夫婦二人の生活になった施主様は、動線を意識したリフォームをご希望でした。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/1273
事例④キッチン周りをこだわりの内装にリフォーム
価格 | 248万円 |
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築年数 | 30年 |
工期 | 10日 |
シンプルな既存のキッチンから高級感のあるワインレッドのキッチンスペースに生まれ変わりました。床や壁面、キッチン本体のカラーにもこだわっています。デザインだけでなく使い勝手向上のために収納部分を半畳増やしています。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/506
1-3.キッチン本体の交換+壁の撤去でオープンな空間にする
マンションのキッチンリフォームでは、リビングとキッチンを隔てる壁を撤去しオープンなキッチンにするリフォームも多いです。
壁の撤去や補修費用がかかるため、費用は少しかさむ傾向にあります。
事例⑤キッチンの吊戸棚をなくし開放的なキッチンに
価格 | 143万円(リビング横の和室をフローリングに張り替えた費用も含む) |
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築年数 | 15年 |
工期 | 20日(LDKまとめてのリフォームのため) |
キッチンの吊り戸部分を解体し、施主様の希望通りの開放的なキッチンになりました。ガスコンロからIHヒーターへ変更し、さらに料理のしやすい空間に生まれ変わっています。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/195
事例⑥吊戸棚を撤去しペニンシュラ型キッチンに交換
価格 | 202万円(キッチン工事のみ) |
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築年数 | 20年 |
工期 | 2ヶ月(キッチン以外も含むフルリフォームのため) |
白を基調としたフローリングとシックな色合いの設備を採用することで、メリハリのある空間を演出しています。ゆったりと作業が出来るタイプのキッチンと、手元の明かりのためにつけられたダウンライトはお料理を快適にしてくれます。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/396
事例⑦閉鎖的なキッチンから開放的な対面式へリフォーム
価格 | 249万円 |
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築年数 | 15年 |
工期 | 21日 |
※使用設備: LIXIL リシェルSi
キッチン前面の壁を一部撤去して対面キッチンに。設備機器のグレードにこだわりながらもキッチンの移動はさせないことで価格を抑えています。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/899
▼もっと詳しく事例を知りたい方はこちら
2.マンションのキッチンリフォームの具体的な費用
マンションのキッチンリフォームにかかる費用の相場は、約63万~110万円です。
実際にかかる費用は、
- キッチンの種類とグレード(材質や機能の違い)
- キッチン周りの内装工事・壁撤去工事の有無
- キッチン移動の有無
によって異なってきます。
【種類・グレード別】マンションのキッチンリフォーム費用
キッチンの種類は大きく分けるとI型、L型、対面型の3種類になります。キッチン自体のグレードも大まかに3段階くらいに分かれていて、キッチンの種類とグレードによって金額の目安は以下の表のようになります。
シンプル | スタンダード | ハイグレード | |
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I型キッチン | 50万~ | 60万~ | 80万~ |
L型キッチン | 65万~ | 75万~ | 90万~ |
対面型キッチン | 70万~ | 80万~ | 120万~ |
この表と照らし合わせながら、自分の求めるキッチンの理想像を思い浮かべて予算の参考にして下さい。キッチンのI型、L型、対面型の違いは以下の通りになります。
主なキッチンの種類3タイプ
▼キッチンの費用相場について、くわしくはこちらをご覧ください。
キッチン周りの内装工事・壁撤去工事にかかる費用
キッチン周りの床・壁を一緒に張り替える場合は、費用は4万円~を見ておきましょう。
4畳半のキッチンの床をクッションフロアで張り替え、壁天井をクロスで貼り換えた場合、5万円程度という見積もり例があります。
どこまでの面積を張り替えるかにもよりますが、リビングの床まで一緒に張り替える場合や、壁面にタイルで装飾するなどの場合はもちろん費用がかさみます。
なお、対面式キッチンの前方に垂れ壁・袖壁がある場合、それを取り払ってしまってオープンな対面キッチンにしたい場合、壁の撤去・補修で約5万円~が目安です。
キッチンの移動にかかる費用
キッチンの場所を動かす場合、追加の費用は15万~50万円程度掛かります。この追加費用はマンションの造りや配管の状況、床の張り替えをどの程度までおこなうのかによって変わってきますので、正確な見積もりはリフォーム会社にお願いして取ってもらうようにしてください。
>>データで見るマンションのキッチンリフォームの費用と相場
3.マンションでキッチンをリフォームする際の注意点
マンションのリフォームは戸建てのリフォームと異なり、管理規約上やマンションの構造上、希望通りのリフォームができない場合があります。
キッチンのリフォームにおいても同様で、事前に制約を受ける可能性があるものは確認する必要があります。そういった可能性があるのは、主に以下の3つの工事です。
- ガスや電気周りの工事(IHヒーターへの変更・レンジフードの追加)
- キッチン全体やシンクの移動
- 床材の変更
また規約上の問題以外にも見落としがちなキッチンリフォームの注意点もありますので、この章を読んで管理規約やレイアウトに関するありがちな失敗を防ぎましょう。
3-1.ガスや電気周りの工事が出来るか確認する
マンションの場合、IHヒーターへの変更やレンジフードの移動などガスや電気周りの工事が難しい場合があります。なぜなら、マンションだと1つの家庭における電力供給量が限られているからです。
ガスコンロからIHヒーターへの変更は希望する方も多いのではないでしょうか?IHヒーターは200Vの電圧が必要なものも多く、電気容量を上げる必要が出てきます。IHヒーター以外の調理器具も利用する場合には50アンペア程度は欲しいところですが、マンションによっては管理組合への確認が必要になります。特に古いマンションの場合は建物全体への電気供給量に制限があり、難しい場合もあります。
またレンジフードを移動させるには排気ダクトを繋ぎなおす必要があります。マンションによってはもともとの構造上、希望の位置までダクトを繋げられないことがあるので、レンジフードの移動が自由にできない場合があります。
移動できる前提で間取りを考えていたけど排気ダクトの構造によって実はできなかった、と後になって気づくことがあるかもしれません。そのようなことを防ぐためにも、キッチンリフォームの検討を始めたら早いタイミングで施工会社に相談するのが良いでしょう。
(写真提供:あなぶき興産)
3-2.キッチン全体やシンクの移動が出来るか確認する
マンションの場合は戸建てと異なり、キッチンの位置を動かすことが難しい場合があります。排水管の位置が固定されてしまっていることもあるからです。
図1のように配管の位置や造りによって、移動の容易さは異なってくるので注意が必要です。図1の左側のように、床下に多少余裕がある場合はキッチンの移動が可能です。ただしどこまで移動できるかは床下の余裕がどこまであるか次第になります。
一方で図1の右側のように床下に隙間がない作りの場合は排水管を動かすことが難しいので、キッチンの位置を変更することも難しくなります。(技術的に可能な場合もありますが、手間がかかる分費用が高くなります)
1980年代前半以前のマンションは構造的にキッチンを動かすことが難しいものが多く、2000年代以降のマンションは床下にスペースが確保されていて、キッチンを動かしやすい構造になっているものが多いようです。
しかし、キッチンの移動が出来る場合でも移動範囲には制限があります。例えば図2の左のように床下にゆとりが無い場合は、キッチンを遠くに移動させることは難しいです。配管には水を流すための多少の傾きが必要で、移動によってその傾きが無くなってしまうことは避けなければいけません。そのために図2の左側のような場合は、大幅なキッチンの移動は出来ません。
反対に図2の右側のようにゆとりがある場合は、多少遠くに動かしても十分な傾きが確保できるので問題がありません。
実際に動かすことが難しいキッチンの写真も紹介します。
左がキッチンを撤去する前で、右がキッチンを撤去した後になります。床下に余裕がなく、フローリングのすぐ下がコンクリートの床となっており、配管が床の中に埋まっている状態です。
このような場合、リフォームでキッチンの移動は難しくなります。
マンションの構造によって移動範囲は異なってきますので、本格的なプランニングに入る前に、まずは施工場所をリフォーム会社に見せて相談するのが良いでしょう。
(写真提供:あなぶき興産)
3-3.床材の変更が出来るか確認する
キッチンに限らず、マンションの床材の種類の変更が出来ない可能性があります。
これは、各マンションの実態に応じてそれぞれの管理規約が存在し、規約内でリフォームに関する設備や建材に関して制限されることがあるからです。多くのマンションでは管理規約の中で階下住民への生活音の配慮として「防音規定」が定められています。そのため、この基準を満たす防音性のある床材を使用しなければなりません。管理組合から最新の管理規約を入手して、必ず確認するようにしてください。
管理規約については3-6でも再度詳しく記載していますので参考にしてください。
3-4.キッチンの実用性を考慮する
キッチンの実用性を考える際、3つのポイントがあります。
- 動線
- 家電スペース
- 収納
実用性を考える際にこの3点に注意すると使い勝手十分なキッチンになります。動線や家電スペースは、冷蔵庫とシンクや調理台は近い方が使いやすく、作業スペースやコンロの近くに食器棚があると料理がしやすいというポイントがあります。加えて食器や調理器具の収納も充実していることが望ましいです。ご家族の人数やキッチンを使用する人に合ったスペースや動線を意識すると良いでしょう。
▼使いやすいキッチンを作るコツはこちらの記事からご覧ください。
3-5.リフォーム方法に関する管理規約を確認する
マンションをリフォームする際、管理規約には目を通しておきましょう。
前述した「電気の容量やガス給湯器のサイズに関する制約」や「床の材質に関する制約」のほかにも、リフォームに関する制約があります。主には機器の搬入の際はマンションの共用部分に緩衝材などをつけてガードする、工事期間を長引かせすぎないなど、リフォーム会社側が気を付けなければならないものですが、リフォームを行う施主側として一度目を通しておきましょう。
【リフォーム内容に関わる制約】
- 床の材質に関する制約
- 電気の容量やガス給湯器のサイズに関する制約
- リフォーム方法に関わる制約
- リフォームの工事時間に関する制約
- リフォーム機器の搬入や組み立てに関する制約
3-6.妥協せずリフォーム会社を選ぶ
マンションのキッチンリフォームでは、いい会社を選ぶことが重要になります。特に「マンションリフォームが得意か?」「水回りのリフォームが得意か?」の2点に注目すると、優良会社を選びやすくなります。
会社の種類 | 特徴 |
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水回りが得意な会社 | ・キッチンを安く仕入れることが可能なので、費用を抑えられる ・キッチンのリフォームで失敗しやすいところを知っている ・キッチンのリフォーム経験が豊富な職人を多く抱えている |
マンションリフォームが得意な会社 | ・マンションの構造や管理規約に詳しい ・管理組合や周辺住民との付き合い方がわかっている |
水回りが得意な会社はキッチンのリフォームも同様に得意である場合がほとんどです。
マンションのリフォームが得意な会社は、先ほど説明した管理規約に詳しくマンションの構造を熟知しています。また管理組合や周辺住民との付き合い方が分かっているリフォーム会社であれば、周囲に不快な思いを抱かせずリフォームを行うことが出来ます。これらの観点を重視していただくと間違いない会社選びが出来るでしょう。
うまくリフォーム会社が見つけられない場合は、リフォームガイドの利用も検討してみましょう。我々リフォームガイドではコンシェルジュがお客様ひとりひとりにあった会社をご紹介しています。ご利用は無料なので、気軽にご利用ください。
4.マンションのキッチンリフォームを失敗しないための6つの手順
マンションのキッチンリフォームを行う上での手順は以下の通りです。
戸建てと違ってマンションならではの内容もありますので、ひとつひとつ詳しく見ていきます。
①どんなキッチンにしたいかを決める
まず、どのようなキッチンにしたいかを具体的に決めましょう。完成形のイメージを明確にしておくと、業者との打ち合わせがスムーズになるからです。そのため今後の流れも詳細に決めることができ、より理想のキッチンに近づくリフォームを行うことが出来ます。
②管理規約を確認して出来ることとできないことを確認する
次に、自分が現在住んでいるマンションの管理規約を確認しておきましょう。マンションのリフォームは、先ほども述べた通り規約によって制限があるからです。また、その制限の範囲もマンションによってそれぞれ違いますので、事前に確認しておくことでどのような制約があるのかを把握できます。なんとなくでも制約を理解しておくと、業者との打ち合わせやプラン設計がスムーズになります。
③マンションや水回りの得意なリフォーム会社を探す
リフォーム業者を探す際は、マンションや水回りの得意な業者を探しましょう。リフォーム会社それぞれに得意不得意がありますので、マンションのキッチンリフォームが得意な会社にお願いすれば高い完成度が期待できるからです。自分の希望するリフォームに合った会社を選んでください。
④複数の会社に現地調査をしてもらいプランと見積もりをもらう
リフォーム会社を絞る前に、複数の会社から現地調査をしてもらって見積もりをもらいましょう。様々な会社からプランと見積もりを提案してもらうことで、費用の相場が分かり、プランや金額を比べられるからです。それによって、自分に合ったリフォーム会社を選ぶことが出来ます。最初から1つに絞ってしまうことはお勧めできません。
⑤提案されたプランを検討しリフォーム会社と契約する
④で複数社から提案されたプランを見て、契約する会社を選びましょう。比較をする際、見積もりの中身まで確認し合計金額だけで判断しないようにしてください。会社によって見積もりの中身が違う可能性があるからです。また、見積もり書のか書き方は会社によって違うため、必ず担当者から内訳について直接説明を受けるようにしてください。
⑥リフォームに着手する
最後に、リフォームに着手します。マンションのリフォームでは管理規約の確認など、戸建てでは必要ない手続きが必要になります。
これらの手順を忘れてしまうと、マンションのリフォームが得意ではない会社に依頼をしてしまい、業者選びに失敗して納得のいくリフォームができなかったということが起きてしまいます。手順に沿って進めることで、間違いないリフォームを行ってください。
5.まとめ
ここまで、マンションのキッチンリフォームのパターンを事例とともにご紹介し、費用相場や注意点についても解説しました。
マンションにおけるキッチンリフォームには注意点が多く、制約が多いとうまくリフォームが出来ないのではないか、と心配になるかもしれません。ですがマンションならではの制約事項や注意点を理解したうえでマンションと水回りのリフォームに強い会社に工事をお願いすれば、自分の理想に近いリフォームを行うことは十分可能です。
ご紹介した事例も全てマンションですが、施主様の満足のいく形でリフォーム出来ています。自分の希望に沿ったマンションのキッチンリフォームを実現させるためには、マンションのリフォーム、特にキッチンなど水回りのリフォームが得意なリフォーム会社に依頼することが重要です。
リフォームガイドでは、マンションの水回りに多くの施工実績を持つリフォーム会社をご紹介していますので、お気軽にご相談ください。