
古くなった給湯器の交換を検討している方も多いと思いますが、電気温水器に比べて消費電力の少ないエコキュートは、家計にも環境にも優しい選択肢です。
エコキュートは初期費用が高いと思われがちですが、国や自治体からの手厚い補助金制度を利用することで、費用を抑えて交換できる可能性があります。
この記事では、補助金制度を活用してお得にエコキュート交換をする方法を分かりやすく解説します。
目次
1.エコキュートへの交換に補助金を活用するメリット
エコキュートへ交換するメリットを、3ステップで順を追って解説します。
1-1.エコキュートの寿命と交換時期
エコキュートの一般的な寿命は10年から15年と言われていますが、使用状況や環境によって前後します。注意すべきは、メーカーがメンテナンス用部品を保有する期間が製造終了後約10年であることです。
10年以上経過したエコキュートが故障した場合、修理に必要な部品がない可能性が高くなり、新品への交換が必要になることがあります。
「まだ動くから大丈夫」と思っていても、突然お湯が出なくなるリスクもあるため、設置から10年を経過したら交換を検討し始めることをお勧めします。
エコキュートの寿命や交換時期のサインについては、こちらの記事も参考にしてください。


1-2.電気代高騰の今こそ更新
家庭におけるエネルギー消費の中で、給湯が占める割合は非常に大きいことをご存知でしょうか。資源エネルギー庁の調査によると、家庭のエネルギー消費の実に27.2%を給湯が占めているのです。

古くなった給湯器の交換や給湯システムの見直しは、光熱費削減に直結する非常に有効な手段です。古い給湯器から最新のエコキュートに交換することで、月々の電気代を大幅に節約できる可能性があります。
1-3.補助金利用で実質負担額を軽減
最新のエコキュートは省エネ性能が高いとはいえ、やはり気になるのは導入にかかる初期費用です。性能の良い機種を選ぼうとすると、数十万円単位の出費は覚悟しなければなりません。
しかし、2025年も国や自治体による手厚い補助金制度が用意されています。これらの補助金を活用すれば、導入費用の一部が補助され、実質的な負担額を大きく減らすことが可能です。
高いからと諦めていた方も、補助金を使えば手が届くかもしれません。光熱費の削減効果と合わせれば、長期的に見て非常にお得な選択となるでしょう。
2.エコキュート交換費用の相場
まずは、エコキュートの交換に掛かる費用の目安を知っておきましょう。
2-1.交換費用の目安は40万円〜70万円程度
エコキュートの交換に掛かる費用は機能やタンク容量などにより異なりますが、相場は一般的に工事費込みで40万円〜70万円程度です。
内訳としては、本体価格が25万円〜55万円程度、標準工事費が10万円〜15万円程度で、状況に応じて追加工事費が発生する場合もあります。
交換費用は既存の給湯器の種類によって変動します。電気温水器やエコキュートからの交換は比較的費用が抑えられますが、ガス給湯器からの交換は新たな電気工事やタンク設置のための基礎工事などを伴うため、費用が高くなる傾向があります。
2-2.複数業者の比較検討が重要
エコキュートの交換費用は、同じ機種や工事内容でも依頼する業者によって見積もり金額が異なる場合があります。
なぜなら、業者によってエコキュート本体の仕入れ価格が異なりますし、工事に掛かる費用や会社を運営していくための経費もそれぞれ違うためです。
そのため、複数の業者から見積もりを取り、十分に比較検討することが大切です。比較することで適切な価格帯を知り、より安価で信頼できる業者と出会える可能性が高まります。
とはいえ、「複数の業者を探して、それぞれに見積もりを依頼するのは大変…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
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3.【2025年最新】エコキュートの交換に使える国の補助金
ここからは本題であるエコキュート交換に使える補助金について、詳しく見ていきましょう。
3-1.給湯省エネ2025事業
「給湯省エネ事業」は、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野において、高効率給湯器の導入支援を行うことで、省エネ化と二酸化炭素に代表される温室効果ガスの削減を推進することを目的とした国の補助金制度です。2024年に引き続き、2025年も実施されています。


■給湯器の新設と更新に特化した補助金
この事業の大きな特徴は、高効率給湯器の導入に特化している点です。補助対象となるのは、以下の3種類の給湯器です。
- エコキュート
- 大気の熱をヒートポンプ技術で効率よく利用してお湯を作り、貯湯タンクに溜めておく給湯システムです。
- ハイブリッド給湯器
- 電気ヒートポンプ給湯機とガス温水機器(エコジョーズなど)を組み合わせ、電気とガスの良いとこ取りで効率よくお湯を作るシステムです。
- エネファーム
- 都市ガスやLPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて発電する家庭用燃料電池です。発電の際に発生する熱を利用してお湯も作るため、エネルギーを余すことなく使用できます。
■補助金額
補助金額は、導入する給湯器の種類や性能によって異なります。
給湯器の種類 | 基本補助額 | 加算額(最大) | 最大補助額 |
---|---|---|---|
エコキュート | 6万円/台 | 7万円/台 加算額A要件:4万円 加算額B要件:6万円 A+B:7万円 |
13万円/台 |
ハイブリッド給湯器 | 8万円/台 | 7万円/台 加算額A要件:5万円 加算額B要件:5万円 A+B:7万円 |
15万円/台 |
エネファーム | 16万円/台 | 4万円/台 加算額C要件 |
20万円/台 |
※ 加算額適用条件
A:ネットワーク接続機能を持ち、翌日の天気や日射量に応じて太陽光発電が活発な日中に自動で湯沸かしを行う機種
B:補助要件の下限の機種と比較して、年間のCO2排出量が5%以上少ない機種
C:ネットワークに接続可能で、気象情報と連動して、停電が予想される場合に自動で満水運転を行う機能を持つ機種
エネルギー効率が悪いとされる、電気蓄熱暖房機(蓄暖)や電気温水器の撤去をともなう場合は、下記の金額が加算されます。
撤去する機器 | 補助額(加算額) | 補助上限 |
---|---|---|
撤去する機器 | 8万円/台 | 2台まで |
電気温水器 | 4万円/台 | 補助金を受ける台数まで |
■主な申請条件
補助金を受け取るためには、下記に挙げるいくつかの条件を満たす必要があります。
【申請者・施工業者要件】
補助金の申請手続きは、施主(購入者)自身が行うのではなく、「給湯省エネ事業者」として登録された販売施工業者が行います。
したがって、補助金を利用したい場合は登録事業者に工事を依頼する必要があります。
【住宅要件】
補助金対象となるのは、次の4つのパターンです。
- 新築注文住宅に対象機器を設置
- 対象機器が設置された新築分譲住宅を購入
- 対象機器を購入しリフォームで設置
- 既存給湯器から対象機器への交換設置をする予定の既存住宅を購入
【性能要件】
あらかじめ定められた性能基準を満たし、事務局に登録された型番の製品に限られます。
どの機種が対象かは「住宅省エネ2025キャンペーン」サイトで確認する方法と、各エコキュートメーカーのHPやカタログで確認する方法があります。
【着工日要件】
2024年(令和6年)11月22日以降に対象工事に着手したものが対象となります。
着工日の定義は下記になります。
住宅の種類 | 着工日の定義 |
---|---|
新築注文住宅 | 住宅の建築着工日 |
新築分譲住宅 | 住宅の引渡日 |
リフォーム | 設置工事の着手日 |
既存住宅の購入 | 住宅の引渡日 |
また、業者と工事請負契約を交わす以前に工事に着手した場合も補助対象になりませんのでご注意ください。
【申請期限要件】
補助金予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)とされています。予算には限りがあるため、早めに検討をすすめて申請することをおすすめします。
参考に、2025年度の事業では2025年11月14日をもって交付申請の予約受付の停止が予告されています。
3-2.子育てグリーン住宅支援事業
エコキュート交換で利用できる可能性があるもうひとつの国の補助金制度が「子育てグリーン住宅支援事業」です。
こちらは、住宅の省エネ改修などを幅広く支援する制度で、高効率給湯器への交換も対象工事に含まれています。


■全世帯対象のリフォーム補助金
この事業では、エコキュートだけでなく、高効率なガス給湯器(エコジョーズ)や石油給湯器(エコフィール)の設置も補助対象となることが特徴です。
ただし、給湯省エネ2025事業と子育てグリーン住宅支援事業は、同じ給湯器に対して両方の補助金を重複して受け取ることはできません。どちらか一方の制度を選択する必要があります。
■補助金額
子育てグリーン住宅支援事業の補助金を活用してエコキュートを設置した場合の補助額は、一戸あたり一律3万円です。
ハイブリッド給湯器やエコジョーズ、エコフィールの場合も同様に一戸当たり3万円となります。
■主な申請条件
【申請者・施工業者要件】
こちらの補助金も、施主自身ではなく「住宅省エネ2025キャンペーン」に登録された事業者(グリーン住宅支援事業者)が申請手続きを行います。従って、補助金を利用するには登録事業者に依頼することが必須です。
【住宅要件】
リフォーム工事の工事請負契約の締結日において、建築から1年が経過している住宅または過去に人が居住した住宅です。
【必須工事要件】
この補助金を受け取るためには、高効率給湯器の設置に加えて、以下のいずれかの工事を必須で行う必要があります。
- 開口部の断熱改修(ガラス交換・内窓設置・外窓交換・ドア交換)
- 躯体の断熱改修(外壁/間仕切壁/屋根/天井/床の断熱材交換や追加)
さらに、1申請あたりの補助額合計が5万円以上になる必要があります。
つまり、エコキュート設置(3万円)だけでは申請できず、他の対象工事と組み合わせて補助額を5万円以上にする必要があります。
【性能要件】
補助対象となるエコキュートは、事務局に登録された型番の製品に限られます。
対象製品リストは「住宅省エネ2025キャンペーン」の公式サイトで確認できます。
【着工日要件】
給湯省エネ2025と同様に、2024年(令和6年)11月22日以降に対象工事に着手したものが対象となります。
3-3.国の補助金申請の流れ
「給湯省エネ2025事業」「子育てグリーン住宅支援事業」ともに、補助金申請は施主ではなく登録事業者が行います。
施主が面倒な手続きをする必要はありませんが、申請の流れを知っておくと書類の準備などに戸惑わず、余裕を持って申請できるでしょう。
①対象製品の確認と事業者の選択
まずは、補助金申請に対応している登録事業者を探し見積もりを依頼します。
この際には、製品や工事内容についての打ち合わせだけではなく、どの補助金制度を利用するのか、補助金額の想定と金額の還元方法などを事業者としっかり確認しましょう。
②契約・工事
見積内容と補助金の活用方法について合意ができたら、登録事業者と工事請負契約を結びます。それと併せて各補助金制度で用意されている、補助金の還元方法や手数料の有無などを確認する「共同事業実施規約」の合意締結をする必要があります。その後、エコキュートの設置工事が実施可能になります。
繰り返しになりますが、補助対象となるのは2024年(令和6年)11月22日以降に着手した工事です。工事請負契約締結前の着手も認められませんのでご注意ください。
③申請書類の準備
補助金の申請に必要な書類(工事請負契約書、工事前後の写真、製品の証明書など)の多くは、登録事業者が準備・作成します。
施主は、事業者から求められた書類(本人確認書類など)を準備し事業者に提出します。
④補助金の申請
必要書類が揃ったら、登録事業者が施主に代わってオンラインで補助金の交付申請を行います。
補助金を確保し手続きをスムーズに進めるため「交付申請の予約」という制度もあります。予約申請期間は、申請受付開始から予算上限に達するまで(遅くとも2025年11月14日まで)とされていますので、工事依頼業者が決まったらまずは予約申請して補助金枠を確保してもらうことをおすすめします。
⑤補助金の交付決定
補助金事務局で申請内容が審査され、不備などがなければ補助金の交付が決定し、事業者へ通知されます。
⑥補助金の受領
交付決定後、補助金はまず登録事業者に振り込まれ、その後施主へ原則として全額が還元されます。還元方法は前述の共同事業実施規約で合意した以下のいずれかになります。
- 契約代金への充当
- 最終的に支払う工事代金から補助金額を差し引く
- 現金での支払い
- 工事代金を全額支払った後、事業者から補助金額を現金で支払う
3-4.補助金申請時の注意点
補助金を確実に受け取るために、いくつか注意しておきたい点があります。
■登録事業者に依頼する
これまで何度も触れてきましたが、補助金の申請は「給湯省エネ2025事業者」または「住宅省エネ支援事業者」として登録された業者でなければ行えません。
補助金利用を前提とするリフォームは、必ず登録事業者に見積もりを依頼し、契約および工事を進めてください。
■申請期限を守る
各補助金制度には申請期間が定められています。
期限を過ぎると、たとえ対象工事を行っていても補助金申請ができなくなってしまいます。
■予算上限に注意
国の補助金申請額が予算の上限に達した場合、申請期間内であっても受付が終了してしまいます。補助金を活用してエコキュートの導入を検討しているのなら、早めに業者の選定と見積の取得を進めることを強くおすすめします。
4.地方自治体の補助金・助成金
国の補助金だけでなく、お住まいの地方自治体(都道府県や市区町村)でも、独自にエコキュート導入に対する補助金や助成金制度を実施している場合があります。
4-1.東京都の例:東京ゼロエミポイント
例えば、東京都では「東京ゼロエミポイント」という制度があります。
これは、都民が都内の住宅に設置されているエアコン、冷蔵庫、給湯器などを、省エネルギー性能の高い対象製品に買い替えた場合に、「東京ゼロエミポイント」が付与され、購入金額から差し引くことができる制度です。
エコキュートの場合、対象機種であれば一律12,000ポイント(12,000円相当)が付与されます。
特徴的なのは、施主が直接ポイントを申請するのではなく、事前に登録された都内の対象店舗(家電量販店やリフォーム業者など)を通じて申請する点です。
多くの場合、エコキュートを購入・設置する際に、店舗で共同申請の手続きを行い、その場でポイント相当額が販売価格から値引きされる形で還元されます。
利用するには、購入するエコキュートが対象製品として登録されており、かつ購入する店舗が「東京ゼロエミポイント」の登録事業者である必要があります。対象製品や登録店舗は、東京都の公式ウェブサイトで確認できます。
4-2.その他の自治体
東京都以外にも、多くの都道府県や市区町村で、省エネ設備の導入支援策としてエコキュートに対する独自の補助金・助成金制度が設けられています。
補助金額や条件、申請方法は自治体によって様々ですので、まずはお住いの市区町村に直接問い合わせをしてみることをおすすめします。
また、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会のウェブサイトでは、全国の自治体が実施している住宅リフォームに関する支援制度を検索できますので参考にしてみてください。
5.補助金を最大限に活用するためのポイント
補助金を最大限に活用するためのポイントを3つご紹介します。
5-1.性能の高い機種を選ぶ
給湯省エネ2025事業では、基本補助額に加えて、より高性能な機種に対して加算額が設定されています。
- 加算額A要件
- ネットワーク接続機能を持ち、翌日の天気や日射量に応じて太陽光発電が活発な日中に自動で湯沸かしを行う機種
- 加算額B要件
- 補助要件の下限の機種と比較して、年間のCO2排出量が5%以上少ない機種
これらのA要件またはB要件を満たすエコキュートを選ぶことで、最大7万円の加算が受けられ、補助金総額がアップします。
初期費用は少し高くなるかもしれませんが、補助額が増えるだけでなく、エネルギー効率が高い機種は日々の電気代削減効果もより大きくなります。長期的な視点で、性能の高い機種を選ぶことを検討しましょう。
また、太陽光発電パネルが設置されているご家庭では、日中の太陽光発電の余剰電力を直接給湯に活用できる「おひさまエコキュート」を選定することも、電気代削減の有効な選択肢となります。
5-2.電気温水器からの買い替えを検討する
もし、現在お使いの給湯器が電気温水器の場合、エコキュートへの交換は特におすすめです。
前述の通り、給湯省エネ2025事業では、エコキュート設置と同時に電気温水器を撤去する場合に4万円の補助が加算される制度があります。
さらに、電気温水器はエコキュートに比べて消費電力が非常に大きいのが特徴です。一般的に、電気温水器からエコキュートに交換すると、給湯にかかる電気代が約3分の1程度になると言われています。補助金による初期費用の軽減に加えて、ランニングコストも大幅に削減できるため、メリットは非常に大きいでしょう。
5-3.国の補助金と地方自治体の補助金の併用を検討する
国の補助金(給湯省エネ2025事業または子育てグリーン住宅支援事業のいずれか)と、お住まいの地方自治体が実施している補助金・助成金は、条件を満たせば併用できる可能性があります。
例えば、給湯省エネ2025事業で13万円、お住まいの市区町村の補助金で3万円、合計16万円の補助を受けられるといったケースも考えられます。
併用できれば、自己負担額をさらに抑えることができます。国の補助金だけでなく、必ずお住まいの自治体の制度も確認し最大限に活用しましょう。
6.まとめ
今回は、2025年にエコキュート交換で利用できる補助金制度を中心に、申請の流れや注意点などを詳しく解説しました。
「どの補助金を使えばいいの?」「信頼できる登録事業者はどう探すの?」など、ご不明な点や不安なことがあれば、ぜひリフォームガイドにご相談ください。
リフォームガイドでは、エコキュート交換を含むリフォーム工事の補助金に対応できる会社の情報を把握しております。
賢く補助金を活用して、快適で経済的な暮らしを実現しましょう!