
階段の上り下りを負担に感じ始めたら、手すりの取り付けを検討しましょう。
階段昇降時に力が入りやすくなるだけではなく、ふらついたときに転倒を防ぐこともできます。
本記事では手すりの必要性をはじめ、リフォームで取り付けるときの種類と高さの選び方、費用相場、補助金制度について解説します。
手すりの取り付けをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.階段に手すりは必要?設置するべき3つの理由
なぜ階段に手すりが必要なのか、まずは理由に目を通しておきましょう。
1-1.階段での転倒・転落事故を防げる
手すりの取り付けは、階段での転倒・転落事故を防ぐために必要です。
東京消防庁の『救急搬送データからみる日常生活事故の実態(令和5年)』では、階段や脚立などからの転落事故で、令和5年中には16,327人が救急搬送されたと発表されています。すべてが階段からの転落ではありませんが、それでも多くの人が怪我を負っていることがわかります。
昇降時やバランスを崩したときにすぐに掴める手すりがあるかないかで、転倒・転落リスクが変わってきます。
これが、階段に手すりが必要だといわれる大きな理由です。
1-2.階段の上り下りの負担を軽減できる
階段の上り下りは、想像以上に身体に負担がかかります。
若いときには負担に感じていなくても、高齢になり筋力が落ちてくると、昇降が困難になるかもしれません。手すりはそんなときにも役立ちます。
体重の一部を支えられるので、昇降時だけではなく膝や足腰への負担も軽減できます。
1-3.法律で手すりの設置が決められている
2000年(平成12年)の建築基準法改正によって、床から1m以上の高さがある階段は手すりの設置が義務付けられました。
改正以前に建てられた住宅は手すりがなくとも違反にはなりませんが、法律に沿った住まいにしておくという意味でも、取り付けをおすすめします。
2.階段の手すりの種類と選び方
階段の手すりには形状や素材によって、さまざまな種類があります。
それぞれの特徴を理解し、自宅の階段や家族の状況に合わせて最適なものを選びましょう。
2-1.丸型タイプ
もっとも一般的なのが、丸型タイプの手すりです。
円柱型になっていて、手で握りやすく安定感があるのが特徴。握力が弱い高齢者やお子さんに適しています。
直径は32〜35mm程度が標準ですが、握ったときに指が十分に回り込むサイズを選ぶのがポイントです。小さすぎると握りづらく、大きすぎると手が届かないので、メインで使う人の手の大きさに合うものを選びましょう。
2-2.平型タイプ
平型タイプの手すりは、高いデザイン性が特徴です。
フラットですっきりとした見た目から、インテリアを重視する方からとくに人気を集めています。
しかし握るというよりも「もたれる」というイメージなので、転倒・転落防止よりも昇降サポートに向いています。
丸型に比べると握りにくいので、バリアフリーを目的に取り付けるのであれば、滑り止めのテープを貼るか、表面が凹凸になっていて握りやすいものを選びましょう。
2-3.楕円タイプ
丸型と平型の中間的な特性をもつのが、楕円タイプの手すりです。
丸みを帯びていて握りやすく体重もかけやすいので、転倒・転落防止と昇降サポートのどちらにも適しています。小さなお子さんから高齢者まで、安心して使える形状です。
見た目も丸型よりもスタイリッシュなので、安全性を確保しつつ見た目にもこだわりたいという方におすすめです。
また、手すりの素材は大きく分けて木材、スチールの2種類あります。安価に取り付けるなら木材、価格よりも耐久性やデザイン性を重視するのならスチールといった具合に素材を選ぶとよいでしょう。
3.階段の手すりを設置する高さはどうやって決める?
手すりの高さは、使いやすさと安全性を左右する重要な部分です。
一般的には床から手すりの中心までの高さが75〜85cm程度とされていますが、これはあくまで目安の高さ。
安全性を確保するためには、使う人の身体特性に合わせた高さを選ぶことが重要です。
手すりの高さを決めるときは、以下の高さを参考にするとよいでしょう。
- 腕をまっすぐにおろした状態で手首がある位置
- 太ももの大転子の位置
- 身体特性に合わせて作った杖の高さ
これらを加味すると、身長の半分くらいの高さになります。
ただし高齢で腰が曲がっている方にとっては、低い手すりのほうが掴みやすくバランスもとりやすいなど、使う人によって合っている高さも異なります。
また、お子さんの身長に合わせるのなら、高さは60〜65cmが目安ととても低くなるので、大人用とは別に手すりを取り付けたほうがよいでしょう。
取り付け前に現場で高さを調整してもらうことがおすすめです。
4.階段の手すりを設置するのにかかる費用・工期
手すりを取り付けるときには、手すり本体、ブラケット(金具)、工事費用がかかります。
階段の形状によっても費用が変わってくるので、まずは費用相場を見てみましょう。
階段の種類 | 費用相場 (工事費込み) |
工期 |
---|---|---|
直階段 | 約4~7万円 | 0.5~1日 |
かね折れ階段 (L字型階段) |
約4.6~9万円 | |
折り返し階段 (U字型階段) |
約7.5~15万円 |
直階段
『直階段』は文字通りまっすぐ伸びる階段です。施工が簡単で特殊な金具も不要なことが多いので、施工費用は約4〜7万円と、もっとも安価になります。
かね折れ(L字型)階段
『かね折れ(L字型)階段』は階段に踊り場があり、その後90度に曲がって2階へと続く階段です。
曲がる形状に合わせて手すりを取り付けるので、カーブ部分には金具が必須。費用は約4.6〜9万円ほどかかります。
折り返し(U字型)階段
『折り返し(U字型)階段』は、踊り場から180度折り返して2階へ続く階段です。
手すりの長さが必要になるほか金具も多く使うため、費用は約7.5〜15万円とやや高額になります。
また、壁がない部分に手すりを設置する場合は支柱が必要になるため、上記の費用よりも高くなる場合がほとんどです。
手すりを取り付ける場所の壁や床の状態によって費用が大きく変わってくるので、詳しい費用はリフォーム会社に見積もり依頼して確認してみましょう。
工期に関しては、どの種類でも半日から長くても1日程度で終わるのが一般的。もちろん住みながらの工事も可能です。
5.階段の手すりを設置するときに活用できる補助金制度
階段に手すりを取り付けるリフォームは、補助金や助成金の対象になる可能性があります。
5-1.介護保険の住宅改修費支給
65歳以上の要介護認定または要支援認定を受けている方が手すりを取り付けるときには、介護保険制度による住宅改修費の支給が受けられます。
工事費用最高20万円を限度に、費用の9割(18万円)までが支給され、手すりの取り付けのほか、段差の解消や滑り防止、和式便器から洋式便器への交換などのバリアフリー工事全般が対象となり、限度額に達するまで何回でも受けられるのが特徴です。
5-2.各自治体の助成金制度
介護保険とは別に、各自治体でもバリアフリーを対象にした助成金制度が設けられています。
たとえば練馬区では、65歳以上で要介護・要支援認定を申請された方のうち「非該当」だった方を対象に、身体状況などに関する一定の要件を満たせば補助を受けられる『自立支援住宅改修給付 予防給付』制度を設けています。
対象となるのは、介護保険と同様にバリアフリーを目的とした工事です。限度額は20万円で、費用の9割(18万円)が支給されます。
なお、生活保護世帯、老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税の方は、限度額内であれば自己負担ありません。
このように自治体独自の助成金もあるので、まずはお住まいの市町村役場の窓口やウェブサイトで活用できる制度がないか確認してみるとよいでしょう。


6.階段の手すりの設置はDIYでもできる?
動画サイトなどで手すりを取り付けるDIY動画も多くあるため、「費用を抑えるために、DIYしたい」「知り合いに取り付けてもらおう」と考える方も多いでしょう。
しかし手すりを自分で取り付けるのは、あまりおすすめできません。
手すりの取り付けは壁に穴をあける大がかりな作業になるだけではなく、長さに合わせてカットが必要になることもあるからです。さらに取り付けが不十分だと、使っているときに外れたりぐらついたり、思わぬ事故につながる恐れもあります。
手すりは身体を支えるという重要な役割があるため、強度や安定性を考えると、リフォーム会社に依頼するほうが安心です。
依頼する業者が見つからない時は…
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7.まとめ
家族の安全を守るためにも、階段に手すりの設置は欠かせません。
高齢者や小さなお子さんがいる家庭はもちろん、ケガをしたときや妊娠中などで階段の上り下りにサポートが必要になったときにも、手すりがあれば安心でしょう。
手すりを取り付ける費用は4〜15万円ほどが相場ですが、階段の形状や選ぶ素材、自宅の状況によっても変わってきます。
詳細な費用を知りたいときには、リフォーム会社に見積もりを依頼しましょう。
対応できる会社がわからないという方は、ぜひリフォームガイドをご活用ください。
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