
こどもエコすまい支援事業は、予算上限(100%)に達したため、2023年9月28日を持ちまして、交付申請(予約含む)の受付を終了しました。
2024年度は後継事業として「子育てエコホーム支援事業」が新たにスタートしています。くわしくはこちらをご覧ください。


「こどもエコすまい支援事業」は、2023年(令和5年)に新しく始まる住宅に対する補助金事業です。注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入のほか、既存住宅に対するリフォームも事業の対象とされています。
「こどもエコすまい支援事業」(リフォームの場合)の対象となるのは、
- リフォームする住宅の所有者(法人を含む)や居住者
- 管理組合・管理組合法人
が、工事施工業者と工事請負契約を結んで実施するリフォーム工事です。
補助額の上限は、世帯の属性や既存住宅の購入の有無などによって以下のように異なります。
この記事では、「こどもエコすまい支援事業」ではどのようなリフォーム工事でいくらの補助がでるのかを、補助対象となる条件、申請の流れとあわせて詳しく解説していきます。
1.こどもエコすまい支援事業(リフォームの場合)の概要
「こどもエコすまい支援事業」とは、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯が、より高い省エネ性能を有する住宅への改修などをおこなう場合に補助金を交付し、サポートする事業です。政府は現在、2050年のカーボンニュートラル*実現に向けて取り組んでおり、その実現を図る目的もあります。
ここでは具体的に
と分けてみていきます。
*二酸化炭素などの温室効果ガスの、大気中に排出される量と大気中から吸収される量の差をゼロとすること
1-1.補助対象の工事と補助額
補助額は、下記①〜⑧のリフォーム工事などに応じて設定されている補助額の合計となります。
上記①〜⑧までの合計補助額が5万円未満の場合は、補助申請できません。(例外として、「先進的窓リノベ事業」または「給湯省エネ事業」において補助申請が受理される場合は、1申請あたりの合計補助額が2万円以上であれば申請可能です。)
具体的な工事内容や補助額を見ていきましょう。
1-1-1.①開口部の断熱改修と補助額
窓やドアなど開口部の断熱改修とは、以下のような工事を指します。
- ガラス交換(既存の窓を利用し、複層ガラスなどに交換する工事)
- 内窓設置(既存窓の内側に新たに窓を新設する、および既存の内窓を新たなものに交換する工事)
- 外窓交換(既存窓を取り除き新たな窓に交換する、および新たに窓を設置する工事)
- ドア交換(既存のドアを取り除き新たなドアに交換する、および新たにドアを設置する工事)
補助額は、ガラスの大きさや省エネ基準レベルによって以下のように異なります。
1-1-2.②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
改修後の外壁、屋根・天井または床の部位ごとに、一定の使用量以上の断熱材(事務局に登録された製品に限る)を使用する断熱改修工事です。補助額は、省エネレベルや部位によって以下のように異なります。
1-1-3.③エコ住宅設備の設置
以下の住宅設備(事務局に登録された型番の製品に限る)を設置する工事を指します。
- 太陽熱利用システム
- 節水型トイレ
- 高断熱浴槽
- 高効率給湯器
- 節湯水栓
- 蓄電池
補助額は以下のとおりとなります。
上記の合計額が補助されます。
なお節水型トイレと節湯水栓については、補助額×設置した台数分が補助されますが、それら以外については何台設置しても1戸あたりの補助額上限を超えることはない点に注意しましょう。
1-1-4.④子育て対応改修
子育て対応改修には、以下の4種類があります。
(1) 家事負担の軽減につながる設備の設置
(2) 防犯性の向上につながる開口部の改修
(3) 生活騒音への配慮につながる開口部の改修
(4) キッチンセットの交換をともなう対面化改修
こちらも一つずつ見ていきます。
(1) 家事負担の軽減につながる設備の設置
家事負担の軽減につながる設備とは、以下を指します。
- ビルトイン食洗機
- 掃除しやすいレンジフード
- ビルトイン自動調理対応コンロ
- 浴室乾燥機
- 宅配ボックス
それぞれに対する補助額は、以下のとおりです。
(2) 防犯性の向上につながる開口部の改修工事
開口部とは窓やドアを指し、工事内容や開口部の大きさによって以下のように補助額が定められています。
(3) 生活騒音への配慮につながる開口部の改修工事
同じく窓やドアなどの開口部を、生活騒音を防ぐために改修工事するときには、工事内容や開口部の大きさに応じて以下の補助金額が交付されます。
(4) 対面キッチンへの改修工事
基準を満たすキッチンセット(キッチン用シンク、調理台、コンロ、調理執拗の換気設備が一体となったもの)に交換し、対面キッチンとする改修工事を指します。
なお対面キッチンへの改修工事で補助金が交付される場合、(1)の「掃除しやすいレンジフード」および「ビルトイン自動調理対応 コンロ」について補助を受けることはできません。
1-1-5.⑤防犯性向上改修
住宅の防犯性を向上するためにおこなう、窓やドアなど開口部に対する改修工事を指します。補助額は、開口部の大きさや改修方法によって以下のように定められています。
1-1-6.⑥バリアフリー改修
住宅をバリアフリーへと改修する以下のような工事も、補助対象とされています。
1-1-7.⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
対象となる空気清浄機能・換気機能付きエアコンを設置した場合に、冷房能力に応じた設備×台数分が補助されます。
1-1-8.⑧リフォーム瑕疵(かし)保険などへの加入
国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱う「リフォーム瑕疵保険」や「大規模修繕工事瑕疵保険」への加入も補助金の対象となります。リフォーム瑕疵保険とは、リフォームした箇所に問題があったときに補償を受けられる保険を指し、リフォーム業者が加入します。
1-2.補助金がもらえる人の条件
「こどもエコすまい支援事業」は、補助金がもらえる人についての制限はありません。ただし世帯属性によって補助金額の上限が異なります。
このうち「子育て世帯」とは、申請時点において、以下の子どもがいる世帯を指します。
- 2022年4月1日時点で 18 歳未満(2002年4月2日以降に生まれた子ども)がいる世帯
- 2023年3月末までに工事着手をおこなうものについては、令和3年4月1日時点で 18 歳未満(2002年4月2日以降に生まれた子ども)がいる世帯
一方若者夫婦世帯とは、以下の条件を満たす世帯を指します。
- 申請時点において夫婦であり、2022年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1982年年4月2日以降生まれ)である世帯
- 2023年3月末までに工事着手をおこうものについては、2021年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1981年4月2日以降生まれ)の世帯
上記に該当しない世帯は、「その他の世帯」となります。
1-3.その他の要件
「こどもエコすまい支援事業」を申請するのは、リフォームをおこなう住宅の所有者ではなく、工事をおこなう事業者となります。さらに申請ができるのは、「こどもエコすまい支援事業」の事務局に事業者登録されている事業者に限られています。
そのため補助金を活用してのリフォームを検討する場合には、事業者登録されているリフォーム業者を探す、もしくは工事を依頼したい業者に事業者登録を依頼しなければならない点に注意しましょう。
1-4.補助金の申請期間
「こどもエコすまい支援事業」の申請期間は、2023年3月下旬から予算上限(1,500億円)に達するまでで、遅くとも2023年12月31日までとされています。
本事業に限らず、国の補助金事業は予算が定められており、予算上限に達した時点で期間内であっても申請受付が打ち切られてしまいます。そのため補助金を活用してのリフォームを検討する場合には、早めに計画を立ててリフォーム業者に相談することが重要です。
2.補助金を申請する流れ
「こどもエコすまい支援事業」を活用してのリフォームをスムーズに進めるために、補助金を申請する流れを確認しておきましょう。
10つの流れを詳しく見ていきます。
①リフォーム業者に工事の相談をおこなう
リフォームを計画するときには、早めにリフォーム業者に相談にいきましょう。リフォーム業者を選ぶときには、「こどもエコすまい支援事業」の事業者登録がされているか、されていない場合は事業者登録してもらえるかを確認します。
②工事の請負契約と共同事業実施規約を締結する
リフォーム工事の内容や費用に納得したら、工事の請負契約を締結します。さらに「こどもエコすまい支援事業」の共同事業者として、共同事業実施規約を締結します。事業の申請などはリフォーム業者がおこないますが、リフォームの依頼者も関心を持ち内容をよく理解することが大切です。
③工事に着工する
工事の請負契約を締結したら、工事に入ります。
④交付申請の予約(任意)をおこなう
工事に着工したら、事業者は任意で交付申請の予約をおこなえます。交付申請の予約をすると、予約から3カ月間は予算を確保してもらえるので、事業者に申請予約を依頼すると良いでしょう。
⑤工事が完了したら工事代金を精算する
工事が完了したら、工事代金を支払います。この時点では補助金は交付されず、いったん工事代金の支払いが必要になる点には注意しましょう。なおリフォーム業者によっては、工事代金と補助金を相殺する場合もあります。契約時点で補助金の受け取りはどのように対応されるのか、よく確認しておきましょう。
⑥交付申請をおこなう
リフォーム業者が正式な交付申請をおこないます。この時点で予算上限に達していた場合には、補助金を受け取れません(申請予約をおこなっていない場合、もしくは申請予約から3カ月が経過している場合)。「こどもエコすまい支援事業」の活用を検討するときには、早めにスケジュールを組んで進めることが重要です。
⑦交付決定(補助金の確定)がされる
交付が決定されると、リフォーム業者には「交付決定通知」が、リフォームを依頼した人には「交付決定のお知らせ」が届きます。
⑧実績報告をおこなう
リフォーム業者が、工事内容についての実績報告と、補助金の請求をおこないます。
⑨補助金額が確定され、リフォーム業者に補助金が交付される
実績を確認した事務局が補助金額を確定し、事業者に対して補助金交付額確定通知を発行します。補助金額確定がおこなわれた月の翌月末に、補助金が振り込まれます。(毎月20日締め。20日を過ぎた場合は翌々月末の振込となる)
⑩リフォーム業者に交付された補助金を受け取る
リフォーム業者に交付された補助金を受け取ります。業者によっては、工事金額と相殺する場合もあるので、補助金の受け取りはどのようにおこなわれるのかをあらかじめ確認しておきましょう。
3.まとめ
「こどもエコすまい支援事業」を活用すると、お得にリフォームをおこなえます。近年の電気代やガス代の相次ぐ値上げで光熱費の高騰に頭を悩ませているのなら、制度を活用して省エネリフォームに取り組み、あわせて子育て対応改修やバリアフリー改修などをおこなうのがおすすめです。
なお「こどもエコすまい支援事業」は、事業者登録しているリフォーム業者しか申請できないとされています。リフォーム業者に登録を依頼するのも方法のひとつですが、はじめから事業者登録している業者を探すと手間と時間がかかりません。
リフォームガイドでは、「こどもエコすまい支援事業」に事業者登録しているリフォーム業者のご紹介が可能です。簡単に相見積もりを取れるのに、リフォーム業者から直接営業が来ることもありません。まずはお気軽にご相談くださいね。