
バイクや車の趣味を再開したものの、メンテナンススペースがなくて困ることはありませんか。また、子どもたちの自転車や車の冬用タイヤなど、収納場所が足りず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そんなときに検討したいのが、建物の一部に駐車スペースを組み込む「ビルトインガレージ」です。ビルトインガレージがあれば、バイクや車を紫外線や雨風、雪などから守れるだけでなく、外置きの荷物を収納することも可能です。
本記事では、ビルトインガレージ増設リフォームの費用相場や、費用を抑えるコツを解説します。シャッターの種類や、カーポートとの違いについても紹介しているので、趣味を楽しむスペースと実用性を兼ね備えたガレージの増設をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.ビルトインガレージの増設リフォームでかかる費用相場
まずは、ビルトインガレージの増設リフォームにかかる費用の相場を見てみましょう。
具体的には以下の3パターンが考えられます。
リフォーム方法 | 費用 |
---|---|
1階の一部を解体して増設 | 80~250万円 |
庭のスペースに新たに増築 | 150~350万円 |
スケルトンリフォーム | 1,000~2,500万円 |
また、このほかにも耐震補強費用やシャッター設置などのオプション費用などがかかります。
①1階の一部を解体してビルトインガレージをつくる場合
自宅の1階部分で使用しなくなった部屋があれば、ビルトインガレージへとリフォームできます。
工事費用の目安は、80~250万円ほどです。元々あった部屋の解体やガレージ設置のための工事費用、外構費やシャッターを取り付ける費用が発生します。シャッターは、本体と工事費で30~50万円ほどが相場です。
費用はガレージにしたい部屋の条件や部屋の広さなどによって異なるため、詳しい費用を知りたい場合は専門業者に見積もりを依頼してみましょう。
また、1階部分の一部をビルトインガレージにするリフォームでは、建物を支える部分が減るため、耐震補強工事の必要性も併せて考える必要があります。
②庭のスペースにビルトインガレージを増築する場合
庭があれば、その一部のスペースをビルトインガレージにリフォームできます。そのため、「自宅の1階部分に不要な部屋がない」「ガレージにリフォームするほどの広さが自宅にはない」といったケースでも増設できる可能性があるでしょう。
費用相場は構造によって異なりますが、およそ150~350万円です。ガレージを設置するための工事費用や外構費、シャッターの設置費用だけではなく、コンクリートを敷く費用もかかります。
自宅の一室をビルトインガレージに改装するよりも費用がかかることを理解しておきましょう。
③スケルトンリフォームの場合
ビルトインガレージだけではなく住宅部分のリフォームも検討している場合には、「スケルトンリフォーム」という選択肢もあります。
スケルトンリフォームは、建物の柱や梁(はり)など、構造躯体(くたい)だけの状態にしてから一から新たに住居を造り替える手法です。
費用相場は、1,000~2,500万円ほどです。全面リフォームとなるため、家の間取りも変更できることから、より住みよい住宅へとリフォームしたい方におすすめです。
ビルトインガレージの設置は建築確認申請が必要
2025年の建築基準法の改正によってビルトインガレージを設置する際は建築確認申請が必要となります。
建物の構造によっては緩和措置の対象となるケースもありますが、ガレージはこの条件に適合しないため、ビルトインガレージのリフォームを検討している方は必ずリフォーム会社に建築確認申請について聞いておきましょう。
④耐震補強費用
ビルトインガレージをリフォームして増築する場合、耐震基準を満たせるかどうかの確認も必要です。もし耐震基準を満たしていない場合は、リフォーム時に耐震補強工事も必要になります。
まずは耐震診断を受けてから工事を行いましょう。耐震補強工事の費用目安は、およそ150~200万円です。
耐震補強工事も行う場合は、その分がリフォーム費用に加算されるため、実際の工事費用が予算を大きく上回ってしまうことも。
耐震補強工事は補助金が活用できるケースもありますので、お住まいの自治体で活用できる補助金制度があるか、確認してみましょう。
⑤シャッター設置などのオプション費用
ビルトインガレージの費用は、ガレージに付随して取り付けるオプションによっても費用が変動します。
ここではシャッターの設置費用について解説します。シャッターの仕様ごとの費用の違いは、以下の通りです。
シャッターの種類 | かかる費用 (工事費込み) |
---|---|
手動シャッター | 20~30万 |
電動シャッター | 40~50万 |
また、電動シャッター以外にもオプションは豊富にあります。
照明やエアコン、除湿乾燥機など、オプションを追加すればその分費用は上がりますが、ガレージ内の快適性はアップするでしょう。
予算と希望のバランスを考えながら必要なオプションを適宜取り入れてみてくださいね。
2.ビルトインガレージの増設に必要なスペースはどのくらい?
国土交通省の指針によると、通常の駐車スペースの広さは最低でも普通乗用車1台で幅2.5m、長さ6.0mが必要と定義されています。
坪数にすれば4.5坪ほどとなるため、2台分の車を駐車したいのであれば、9.0坪を確保する必要があります。
ビルトインガレージを増設する際も、この広さを参考にすると良いでしょう。大きな車を保有している場合や作業スペースを確保する場合は、より広い空間が必要になるため作る前にスペースがあるか確認しましょう。
必要なスペースが確保できるか心配な方は、一度リフォーム会社に相談してみてください。
3.ビルトインガレージの増設リフォーム費用を抑えるポイント
ビルトインガレージは欲しいけれど、多額の工事費はかけられないと思う方は多いのではないでしょうか。
ここでは、ビルトインガレージの増設費用を抑えるポイントを解説します。
①相見積もりをして予算内で施工してくれる業者を見つける
ビルトインガレージの増築の費用を抑えるには、業者選びを入念に行うことが大切です。
ビルトインガレージの増築は坪ごとで費用を設定している業者が少なくありません。そのため坪単価を安価に設定している業者に依頼することで費用を抑えることが可能です。
しかし、あまりにも安過ぎる業者は手抜き工事などの悪徳業者の可能性があるので注意してください。
悪い業者に依頼しないためにも、ビルトインガレージのリフォームをする際は相見積もりを行いましょう。相見積もりは、同時に複数の業者から見積もりを取ることを指し、費用や条件などを比較するために役立ちます。
1社だけに見積もりを取った場合、その見積もりが相場にのっとっている料金なのかが判断できません。しかし、複数の業者に見積もりを依頼すればおおよその費用感が掴めるため、相場よりも安い・高いなどを把握したうえで予算にあったリフォーム会社と出会える確率も高まるでしょう。
②維持費を安くする
ビルトインガレージも建築物になるので固定資産税がかかります。
ビルトインガレージは延べ床面積の5分の1までは床面積に入らないという決まりがありますが、延べ床面積の5分の1を超えてしまうとガレージの面積分にも固定資産税がかかるため固定資産税が割高になってしまう可能性があります。
しかしもともとあった部屋などをガレージに変える場合には建物の評価額が下がり、結果として安くなるということも珍しくありません。
こうした維持費も長年積み重なると大きな金額となるため、リフォーム業者と相談してなるべく固定資産税も抑えられるようにしてみるとよいでしょう。
③シャッターは手動にする
ビルトインガレージの増設を検討する際、電動シャッターの導入を検討する方もいます。自動でシャッターが開くため、車を降りることなくシャッターを開けられる点が魅力です。
しかし、電動シャッターは手動シャッターに比べ騒音も少なく使い勝手も良く便利ですが、電気の工事などもする必要があるため手動シャッターに比べると費用は高くなります。
コストを押さえたい場合には、手動シャッターを選ぶのも方法の1つです。
カーポートにすると費用を抑えられる
車を駐車するスペースとしては「カーポート」の選択肢もあります。これは、屋根と柱で構成された簡易的な車庫のことです。
カーポートの増設費用の増場は車1台分で約15~30万円と、ビルトインガレージよりも大幅に費用を抑えることができます。
また、ガレージよりも狭いスペースで設置できる点も魅力です。ただし、壁やシャッターに覆われているわけではないため、雨や風が入り込みやすく車やバイクが汚れやすいというデメリットがあります。
また、柱だけで屋根を支える構造なので、雪の降る地域であれば耐雪性能のあるカーポートを設置する必要もあるでしょう。
4.ビルトインガレージに設置するシャッターの種類
ここからは、ビルトインガレージに設置できるシャッターの種類を紹介していきます。
①巻取り式シャッター
シャッターボックスが上部にあり、シャッターを上げることでボックス内にシャッターが巻き取られて収納されるタイプが巻取り式シャッターです。
シャッターをボックスに収納できるので、天井を有効活用できる点がメリットです。照明を設置したり、収納スペースを確保できたりするので、使い勝手の良いビルトインガレージが完成します。
しかし、開閉スピードが遅く、音が大きくなりやすい点がデメリットです。頻繁にシャッターの開け閉めをする場合は、近所との騒音トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。
②オーバースライダー
ガレージの天井に沿ってシャッターを収納するタイプがオーバースライダーです。
基本的に電動式なので、自分で開け閉めをする手間がありません。開閉がスピーディーかつ静かで、早朝や深夜でも車の出し入れがしやすい点もメリットです。
ただし、天井の高さが必要です。天井部分にシャッターがスライドしていくため、照明を天井に設置することはできません。壁の横に設置しなければならず、設置方法によっては駐車する際の邪魔になってしまいます。雨が降った際にはシャッターに付いていた雨水が滴り、ぬれる心配もあります。
③スイングアップ
シャッターが前方部分にスライドして開け閉めするタイプが、スイングアップです。
基本的に電動式で、シャッターを開け閉めする負担がありません。また、開閉する際の音が静かな点も魅力です。1枚のままスライドし、開閉もスムーズです。剛性も高いので、防犯性に関しても安心できます。
ただし、前面にシャッターがスイングしてスライドするため、ガレージの前方にスペースがないと設置できません。自宅前が狭い道路だと設置できないので、スイングアップを採用したい場合は、設置ができるか業者に相談してみてください。
5.ビルトインガレージ増設リフォームのメリット
ここからは、ビルトインガレージを増設リフォームするメリットを紹介していきます。
①月々のコストを抑えられる可能性がある
これまで自宅に駐車スペースがなく、近所の駐車場を借りていた場合には、ビルトインガレージを増設することで月々の賃貸料を抑えられます。
リフォームには初期コストがかかりますが、土地が高い地域では、長期的に見て駐車場の賃貸料よりもお得になるでしょう。
②雨にぬれずに車の乗り降りができる
ビルトインガレージは建物との間に出入り口が設けられるので、ガレージから直接自宅内に入れ、雨にぬれずに車の乗り降りが可能です。
小さい子どもがいれば、チャイルドシートに乗せる必要があるため、雨が降っているとぬれた状態で子どもを乗車させなければなりません。しかし、ビルトインガレージであれば屋根があるので、雨や雪が降っていても安心して子どもを乗せられます。
高齢者がいる場合も同様で、乗り降りに時間がかかったとしてもぬれる心配がなく安心です。買い物した荷物をぬらさずに自宅まで運べる点も魅力です。
③車を風雨や盗難から守れる
車やバイクを屋外の駐車場に停めると、紫外線や雨、雪や風などに常にさらされている状態となります。大切な愛車が汚れる要因となり、場合によっては傷がついてしまう心配もあるでしょう。
しかし、シャッターを付ければ全面を守れるため、愛車やバイクを雨や風などから守れます。
また、鍵付きのシャッターを導入すれば、いたずら行為や盗難のリスクを抑えられます。防犯上の安心にもつながるので、愛車を守りたい方は設置を検討してみてください。
④趣味のスペースとして活用できる
ビルトインガレージは、単に車を駐車するスペースが確保できるだけではありません。趣味の部屋としても活用できます。
車やバイクが好きであれば整備用品を置くスペースをつくったり、愛車を眺められるソファを設置したりするのもおすすめです。
また、アウトドア用品なども収納できるので、物置スペースを別に確保する必要がありません。DIYが好きであれば、DIYに必要なアイテムを収納するだけではなく、作業場としても活用できます。
自分の好きなようにカスタマイズでき、趣味のスペースを確保したい方にもビルトインガレージはおすすめです。
6. ビルトインガレージ増設リフォームのデメリット
次に、ビルトインガレージを増設するデメリットを紹介していきます。
①広いスペースを確保する必要がある
ビルトインガレージの最大のデメリットが、広いスペースが必要となる点です。
特に1階部分の部屋をガレージに変える場合は、部屋がなくなるため、住居スペースが狭くなってしまいます。また、1階部分を丸ごと駐車スペースにして、入り口を2階にした場合などでは高齢になったときに不便に感じるケースもあるので、動線をどうするか考える必要があるでしょう。
②初期コストがかかる
ビルトインガレージの増設リフォームには、高額な初期費用が発生します。
カーポートの設置やカースペースを確保するよりもコストがかかることはもちろん、1階部分をビルトインガレージにする場合は建物を支える部分が少なくなり、耐震補強工事を実施しなければいけないケースもあります。
快適性にこだわってオプションなどを導入した場合もその分費用がかさむため、予算オーバーにならないためにも優先順位を考えて、必要な機能を必要な分だけ備えたリフォームを計画しましょう。
7.ビルトインガレージのリフォームにおける注意点
ビルトインガレージをリフォームする際には、以下のポイントに注意が必要です。
- スペースに余裕があるか考える
- 騒音・排気ガス対策を行う
それぞれ、詳しく解説していきます。
①スペースに余裕があるかを考えること
スペースに余裕があるかどうかというのはビルトインガレージを増築する上で非常に重要なポイントです。
車が入るギリギリのスペースでつくってしまうとバックでの駐車がしにくかったり、荷物を持って乗り降りしづらいといったことが起こりかねません。また、将来的に大きな車に乗り換える予定がある方は、その分の広さを考慮する必要があります。
費用を抑える意識を持つことは大切ですが、スペースにはなるべく余裕を持って計画を進めてください。
②騒音と排気ガスの対策が必要になる
ビルトインガレージは建物内で車やバイクを出し入れするので、エンジン音が室内に聞こえやすい点に注意しましょう。
早朝や深夜など、家族が寝ている時間帯に車の出し入れをすれば安眠を妨げ、家族に迷惑をかけてしまう心配があります。天井や壁に防音素材を使用する他、ガレージの近くに寝室を設けないなど、さまざまな対策が必要です。
また、排気ガスも出るため、換気設備が十分でなければ居室内にもガスが流れ込んでしまう恐れがあります。換気扇や空気清浄機の設置を検討し、空気が循環しやすい設計を確保することも大切です。
8.まとめ
今回は、ビルトインガレージを増設する際にかかる費用について解説しました。
雨や風などから大切な車やバイクを守ることができ、趣味のスペースとしても活用できるビルトインガレージはとても魅力的ですが、設置費用が割高になってしまう懸念も。
しかし、オプションの見極めや相見積もりなど工夫次第では費用を抑えることが可能です。また、相見積もりで自分の予算に合わせた適切なリフォーム会社を選ぶことも費用を抑えるためには大切です。
どんな会社に依頼したら良いかわからないという方は、リフォーム会社紹介サービスを利用してみましょう。
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