
リビング横に和室があるけれど、あまり使っていない、物置になっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その反面、リビングには物や家具が増え、狭いと感じることも。このような場合は、和室とリビングを一体化して広くするのがおすすめです。
この記事では、和室とリビングを一体化する方法やメリット・デメリットを解説。費用相場や施工事例、リフォーム成功のコツまでご紹介します。
目次
1.和室とリビングを一体化する2つの方法
和室とリビングを一体化するリフォームには、2つの方法があります。
ここでは、各方法の特徴とどんな人に向いているかをご紹介します。
1-1.完全に洋室にして一体化
出典:https://www.daiken-rs.jp/case_reform/slug-31257d97478c039620b5b25899298266
一つ目の方法は、畳や襖、障子など和の要素をすべて取り除き、完全に一つの洋室として一体化するリフォームです。
例えば、12畳のLDKと6畳の和室をつなげると、18畳の広々としたLDKに変えることができます。
今より1.5倍も広くなれば、大きな家具を置いたり、友人を呼びやすくなったり、様々なメリットを得られるでしょう。
こんな人へおすすめ!
- 和室をほとんど使うことがなく、物置代わりになっている
- 子どもの成長などでLDKが手狭に感じている
- 大きなソファやダイニングテーブルを置きたい
- 畳や障子のメンテナンスが負担になっている
- 親や友人が泊まりに来ることがほとんどない
1-2.和の趣を残しながら一体化
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/202
和室とリビングを一体化させながらも、和の良さを一部残す方法もあります。
例えば、リビングの一角に畳スペースを設ける「小上がり和室」は、和と洋の良さが共存する空間作りとしておすすめです。段差に収納を設けることもできます。
また、畳コーナーを可動式の建具で仕切れるようにすれば、必要に応じてリビングと一体化したり、個室として仕切ったり、自在に使い分けができる空間になります。
こんな人へおすすめ!
- 和のインテリアが好き
- 気軽に寝転がれる空間が欲しい
- 来客時に客間が必要
- 親や友人が泊まりに来ることがある
- 子どもが安全にのびのび遊べる空間が欲しい
- 洗濯物をたたんだり、アイロン掛けをしたりする場所が欲しい
2.和室とリビングを一体化するメリット
和室とリビングを一体化するリフォームは、リビングの開放感がアップし、家族が過ごしやすい空間になることが大きな魅力です。
ここでは、和室とリビングを一体化する3つのメリットを紹介します。
2-1.開放感のあるリビングを実現できる
和室とリビングの間の壁を取り払うことで、閉塞感が解消し、リビングに広がりが生まれます。
子どもが成長すると、リビングが手狭に感じることもありますが、一部屋分の空間がプラスされることで、家族全員でゆったり過ごせるでしょう。
また、和室に窓がある場合は、リビングに採光できる窓が増えることになります。リビング全体が明るく風通しの良い環境になることもメリットです。
2-2.リビングの使い方・レイアウトの自由度が上がる
リビングが広くなると、今まで置けなかった大型のソファやダイニングテーブルを置くことができます。レイアウトの自由度が上がり、選べる家具の選択肢が広がるのは大きな魅力です。
また、和室とリビングを一体化することによって、単に広くなるだけでなく、リビングの使い方のバリエーションも増えます。
例えば、押入れはクローゼットに変えることもできますが、書斎やワークスペースにリフォームして、収納とは違う用途で使うことも可能です。
他にも、可動式の建具を付けたり、コンセントの配置を工夫したりしておくと、将来また2部屋に仕切って使うこともできます。
アイデア次第で様々な活用方法が考えられるでしょう。
2-3.畳や障子のメンテナンスの手間が省ける
畳や障子は劣化が目立ちやすく、定期的なメンテナンスが必要ですが、和室とリビングを一体化して洋室にすれば、このメンテナンスにかかる費用や手間を省くことができます。
メンテナンスが手間に感じており、和室を使う機会が少ないのなら、思い切って洋室化するのも一案でしょう。
和の趣を残すか、メンテナンスフリーを選ぶかは、よく検討しましょう。
3.和室とリビングを一体化するデメリット
和室とリビングを一体化する方法にはメリットがある一方で、何かと便利な空間である和室がなくなることで、利便性が損なわれるケースもあるので注意が必要です。
ここでは、和室とリビングを一体化する3つのデメリットを紹介します。
3-1.多目的な場所がなくなる
和室は客間、宿泊スペース、家族がくつろぐ場所など多目的に使える便利な空間です。それがなくなってしまうと、不便に感じることがあるかもしれません。
例えば、客間や家族がくつろぐ場所として使っていた場合は、和室とリビングを一体化した後に、新たにお客様をもてなすスペースや家族がくつろげるスペースをリビング内に確保する必要があります。
また、和室が小さなお子さんの遊び場になっていた場合も、リビングにプレイマットを敷くなどして、ケガを防ぐ対策が必要になるでしょう。
親や友人が宿泊するスペースとして使っていたケースでは、新たにゲストルームやベッドを用意しなくてはならず、費用や手間が余計にかかってしまうこともあります。
3-2.プライベートな空間が確保しにくくなる
リビングと和室をつなげると、単純に部屋の数が一つ減ることになります。それによってプライベートな空間が確保しにくくなったと感じることも。
広くなったリビングで、家族とオープンに過ごす時間は楽しいものですが、やはりプライベートな空間は必要です。
部屋数が減ることによって不都合が生じないかは、事前によく確認しておきましょう。
3-3.収納が足りなくなる
和室には、布団や季節家電などを収納できる押入れがあるのが一般的です。押入れは、使用頻度の低い物を一挙に収納できるので、重宝している方も多いのではないでしょうか。
そのため、和室とリビングを一体化して押入れを撤去してしまうと、収納が不足するケースも。和室とリビングを一体化する際は、押入れを撤去せずクローゼットに造り変えたり、他に収納場所を確保したりする必要があります。
4.和室とリビングを一体化するためにかかる費用
和室とリビングを一体化するリフォームは、約45〜90万円が費用の目安になります。
工事の内訳は以下の通りです。
工事内容 | 費用 |
---|---|
畳からフローリングへの変更 | 約20~40万円 |
壁の部分撤去・下地調整・クロス張り替え | 約10~20万円 |
天井材の変更 | 約5~10万円 |
押入れの撤去またはクローゼットへの変更 | 約10~20万円 |
他に、可動式の建具を設置したり、障子からカーテンに変えたりする場合は、別途費用が必要です。
反対に、和室の機能を残しながらリビングと一体化する場合は、費用を抑えられる場合もあります。
また、リビング横の和室だけをリフォームすると、和室部分の新しい内装と比べてリビング側の内装が劣化して見えることも。特に、目に付きやすいフローリングは、色味の違いが気になることもあるでしょう。
一体化した空間の統一感を重視する場合は、LDK側の内装も一新するのがおすすめです。
ただし、リフォームする範囲が広くなる分費用は高額になり、60~100万円程度の費用が上乗せになると考えておきましょう。
5.和室とリビングの一体化リフォームをした事例
この章では、和室とリビングの一体化リフォームをした事例をご紹介します。
【完全洋室化】和室の壁を取り払い、リビングと一体化①
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建物種別 | 戸建て |
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築年数 | 25年 |
工期 | 3週間 |
リフォーム内容 | 間取り変更、内装工事 |
費用 | 148万円 (リビング和室工事124万円) |
和の要素は残さず、完全に洋室化した事例です。
あまり使っていない2階の和室を、リビングと一体化して明るい空間にすることを希望されたお施主様。
床は畳とダイニングキッチンの絨毯を撤去し、明るいホワイト系のフローリングで統一しました。押入れも解体してクローゼットに造り変えています。
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/339
【完全洋室化】和室の壁を取り払い、リビングと一体化②
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建物種別 | マンション |
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築年数 | 27年 |
工期 | 3か月(工事全体) |
リフォーム内容 | LD、キッチン、浴室、トイレ |
費用 | 669万円(工事全体) |
こちらも和の要素は残さず、完全に洋室化した事例です。
リビングのスペースが十分でなく、隣接する和室と調和が取りにくいことにお悩みだったお施主様。和室とリビングを一体化し、完全に洋室化することでインテリアを楽しめる空間になりました。
また、和室の壁がなくなることで、リビングに採光できる窓が2箇所増えたことも大きなメリットです。広さだけでなく、明るさもアップしたリフォームになりました。
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/1738
畳の一部を残して、和室とリビングを一体化
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出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=689
建物種別 | マンション |
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築年数 | 19年 |
工期 | 14日 (工事全体) |
リフォーム内容 | キッチン対面化リフォーム、間取り変更、内装工事 |
費用 | 330万円 (工事全体) |
こちらは畳の一部を残して、和室とリビングを一体化した事例です。
壁で囲まれた和室とキッチンの暗さにお悩みだったお施主様。オープンキッチンへのリフォームとあわせて、和室とリビングを一体化するリフォームを行いました。
アイロン掛けやお昼寝のために少しだけ畳を残したいとのご要望で、畳コーナーとして3畳を残しています。2方向の壁がなくなったことにより、明るく開放的な空間になりました。
6.和室とリビングの一体化リフォームを成功させるコツ
和室とリビングの一体化リフォームを計画する際は、完成後の暮らしをイメージしながら、細部まで考えることが大切です。
6-1.一体化してつなげた後の使い方を考えておく
リビングに6畳前後の空間が加わると、想像より広く感じられ、家具の配置に悩むことも少なくありません。
そのため、あらかじめ一体化してつなげた後の空間をどう使うか考えておくことがリフォーム成功のコツです。
特に、テレビのレイアウトは変わる可能性が高いので、TVアンテナやコンセント、ソファの配置計画は入念に確認を。広くなったリビングでの家族の過ごし方を想像し、他の家具の配置や動線も考えておきましょう。
また、可動式の建具を設置しておけば、客間やゲストルームとして活用しやすくなります。
普段は開放して広々リビングとして使い、来客があった際に建具で仕切ることも可能です。
6-2.統一感のあるデザインを意識する
和室とリビングの一体化リフォームは、和室の洋式化だけにとどめると費用を抑えることができますが、リビングの状態によってはちぐはぐとした印象を与えることも。
クロスや床材は、なるべくリビングとの統一感を意識して選ぶと良いでしょう。
全体的な内装の統一感も重視するのであれば、リビングと和室を一緒にリフォームするのがおすすめです。
6-3.収納計画を見直す
和室とリビングを一体化する際に、押入れを撤去してしまうケースもありますが、リビングは家族が使う物が集まりやすいので、収納は必須です。
押入れをクローゼットに造り変えたり、小上がり和室の段差部分を収納にしたりするなど、リフォームプランの中に、収納計画を盛り込むことを忘れないようにしましょう。
6-4.日差しの入り具合を考慮する
和室とリビングを一体化すると、窓が増えるケースが多く、日差しの入り方が変わる場合があります。
一体化によってリビングに西日が入る場合は、夕方の室温上昇や日差しの眩しさが気になることも。日差しの入り方を想定して、遮光カーテンやブラインドで対策すると良いでしょう。
また、サンシェードやオーニングの設置などで、窓の外側から日差し対策をすると、遮熱効果も期待できます。
検討する際は、管理規約を事前に確認しましょう!
6-5.エアコンの配置や性能を見直す
エアコンは、畳数に合わせた製品を選ぶのが一般的です。そのため、リビングが広くなる場合は、エアコンの性能や配置を広さに合わせて見直す必要があります。
新しいエアコンへの変更が必要かどうかも含め、プランの検討段階で一度リフォーム会社に相談してみましょう。
リフォームの予算には、エアコンの撤去費用と新しいエアコンの費用を見込んでおくと安心です。
6-6.マンションでリフォームする場合は、管理規約を確認する
マンションでリフォームをする場合は、管理規約の確認と管理組合の承認が必要です。管理規約で認められていないリフォームはできないので注意しましょう。
和室とリビングの一体化リフォームは、壁の一部を撤去する必要がありますが、壁が耐力壁である場合は撤去することができません。撤去できる壁かどうかは業者に確認してもらう必要があります。
また、床材の変更は、防音性に影響を与えるので、規約で遮音等級が決められているケースがほとんどです。規定の遮音等級に適合した床材から選ぶ必要があります。
このように、壁や床に関わるリフォームは、構造的な問題や管理規約をクリアしないとリフォームができないので、必ず管理規約は確認しましょう。
不安な方は会社選びも工夫してみましょう。
7.まとめ
和室とリビングをつなげるリフォームは、使っていない和室を活用しながら、広々としたリビングを叶える方法です。完全に洋式化することも、部分的に畳を残すこともできるので、ライフスタイルや好みに合わせて選びましょう。
また、リビングを広くする際には注意点が多くありますので、思いがけない失敗を防ぐためには、内装リフォームを得意とするリフォーム会社に相談することが大切です。
間取り変更による西日対策の必要性やエアコンの見直しなど、見落としがちなことまでしっかり提案してもらえるでしょう。
リフォームガイドでは、専任のコンシェルジュがお客様の希望を伺いながら、内装リフォームを得意とする会社をご紹介しています。
もし、あまり活用していないリビング横の和室がある場合は、ぜひ一度リフォームガイドにご相談ください。