
愛知県では自治体ごとに、住宅の耐震診断や耐震改修、省エネ化、バリアフリー改修などに対する補助金制度をいくつか実施しています。
この記事では、補助金制度が利用できるリフォーム内容、各自治体の制度内容について、具体的な要件、補助額などをわかりやすくまとめています。
補助金申請を行う流れまでを解説していますので、ぜひご参考にしてみてください。
目次
1.愛知県で補助金が使える可能性のあるリフォーム内容
愛知県にお住まいの方が、補助金を受け取られる可能性のあるリフォーム内容をまとめました。
リフォームの補助金制度は、自治体によって実施されている内容が異なります。これらのリフォームをお考えの方は、お住まいの市区町村で同じような制度が実施されているか確認してみましょう。
耐震診断・耐震改修事業
愛知県では、南海トラフ巨大地震の発生が危惧されており、その甚大な被害予測を最小限にするため、建築物の耐震化を促す取り組みを行っています。
- 木造住宅の無料耐震診断
- 木造住宅の耐震改修費補助
- 木造住宅の住宅除却費補助
- 段階的耐震改修、木造住宅耐震シェルター整備費の補助
- 木造住宅以外の建築物への耐震診断、改修費補助
耐震改修費は補助金が最大100万円、市町村によっては上乗せがある場合もあります。
耐震改修工事は多額の費用がかかります。補助金制度をうまく活用してお得にリフォームを行いましょう。


省エネリフォーム
市町村によって、住宅の省エネ性能を引き上げる改修に対し、補助を行なっています。
これは建築物省エネ法の改正に伴い、住宅の省エネ化に向けてのものです。
例えば蒲郡市では、「蒲郡市住宅省エネ改修推進事業費補助金」という補助事業を設けており、改修後に省エネ基準またはZEH基準に相当する場合に、工事費用の一部に補助が出ます。
※ZEH:Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、断熱+省エネ+創エネで住まいで使うエネルギーをゼロ以下にした家を示す。ただし「ZEH水準」の場合、創エネ設備は必要なく、断熱等性能等級5+一次エネルギ消費量等級6の性能を示す。


バリアフリー改修
各市町村で高齢者や障がい者にかかわる住宅支援制度が実施されています。
浴室改修、手すり設置などのバリアフリー工事が対象で、市町村によって要件が異なります。
例えば名古屋市では、「障害者住宅改造補助金」という補助金制度があります。障害のある方の住宅環境改善のため、住宅の改造に必要な経費について最大80万円の助成を行うものです。
居室の改造、浴室や便所の増改築など、障がい者の身体状況に適した工事で、日常生活の利便向上・安全性確保・介護者の負担軽減に効果的なものが補助の対象となります。


空き家の改修
空き家問題を解決するため、市町村によってさまざまな支援制度が実施されているところがあります。
例えば、空き家の改修や除去に関する補助制度や、移住のために空き家を探し購入できる空き家バンク制度があります。
ブロック塀の撤去
倒壊の危険のあるブロック塀等について、各市町村で除却等の補助制度を設けている場合があります。
ブロック塀等の倒壊による被害を未然に防ぐため、安全点検および撤去・補修等の対応が求められています。
瓦屋根の耐風対策
令和元年9月に発生した房総半島台風による強風で、多数の屋根被害が発生しました。それにより建築基準法の告示基準が改正され、瓦屋根の緊結方法が強化されました。
市町村によって、台風性能が十分でない既存住宅・建築物の瓦屋根に関して、各市町村で台風性能の診断及び改修の補助制度を設けているところがあります。
アスベスト対策
愛知県では、市町村によって民間建築物のアスベスト対策の補助が行われているところもあります。
アスベストが施工されている可能性のある吹付材の分析調査費の補助、除去等改修費の一部の補助を行なっています。


2.愛知県の市区町村のリフォーム補助金例
愛知県内の市区町村のリフォームに関する補助金制度を、いくつか抜粋してご紹介します。
多くのリフォーム工事に補助制度がありますので、リフォームをお考えの方は一度こちらをチェックしてみましょう。
※2025年2月時点の情報を掲載しています。最新情報は、各自治体の窓口やホームページで確認しましょう。
名古屋市|住宅等の脱炭素化促進補助(断熱窓回収に関する補助)
概要 | 市内の既存住宅の窓を断熱改修する方に対して補助金を交付します。 |
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補助内容 | 窓の断熱改修工事 |
補助対象となる要件 | ・令和6年度に国のリフォーム支援事業における補助金交付を受ける改修 ・内窓設置、外窓交換またはガラス交換を伴う改修 ・改修後の熱貫流率が2.3W/㎡・K以下 ・未使用品を採用 など |
補助金額 | 補助対象経費の1/3(上限20万円) |
申請受付期間 | 令和6年4月15日〜令和7年2月28日 |
参考URL | 令和6年度 住宅等の脱炭素化促進補助|名古屋市 |
豊田市|住宅省エネ改修補助制度
概要 | 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅の省エネ化を推進するためにZEH基準に満たすよう既存住宅を改修した場合の費用を一部補助するものです。 |
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補助内容 | ・ZEH水準に相当する全体改修 ・複数の開口部を含む部分改修(改修部分がZEH水準の仕様基準に適合) |
補助対象となる要件 | ・改修後の住宅全体がZEH水準に相当(全体改修) ・2箇所以上の開口部の改修(部分改修) |
補助金額 | 補助対象経費の4/5(上限70万円) |
申請受付期間 | 令和6年4月15日〜令和7年2月28日 |
参考URL | 住宅省エネ改修補助制度|豊田市 |
岡崎市|岡崎市結婚等新生活支援補助金
概要 | 結婚等に伴う経済的負担の軽減のため、新婚世帯等に対して住宅取得費用、リフォーム費用、引越し費用を最大60万円補助します。 |
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補助内容 | 住宅リフォームの費用 |
補助対象となる要件 | ・令和6年3月1日から申請日までに婚姻した夫婦 ・夫婦共に新整備において岡崎市内にある新居となる住宅の住所に住民票があること ・夫婦共に婚姻日における年齢が39歳以下であること ・夫婦の令和5年中の所得を合算した額が500万円未満であること |
補助金額 | リフォーム費用(上限30万円) |
申請受付期間 | 令和7年1月6日~令和7年2月28日 |
参考URL | 岡崎市結婚等新生活支援補助金|岡崎市 |
一宮市|木造耐震改修費補助制度
概要 | 地震による住宅の倒壊から身を守るために、住宅の耐震工事を行う方にその費用の一部を補助します。 |
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補助内容 | ・耐震改修工事(耐震診断の判定値が1.0未満から+0.3かつ1.0以上になるもの) ・簡易耐震改修工事(耐震診断の判定値が0.7未満から0.7以上1.0未満になるもの) |
補助対象となる要件 | 当該年度の2月10日までに耐震改修工事が完了できること |
補助金額 | ・耐震改修工事 上限100万円 ・簡易耐震改修工事 上限30万円 |
申請受付期間 | 令和6年4月1日〜令和6年12月13日 |
参考URL | 木造住宅耐震改修費補助制度|一宮市 |
豊橋市|空家利活用改修費補助金
概要 | 空き家の増加における問題を解決するため、空家の有効活用等を促し、地域の活性化を図ることを目的とし、改修費用の一部を補助します。 |
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補助内容 | 空家のリフォーム |
補助対象となる要件 | ・空家バンクに登録された物件 ・居住のための賃貸借、売買契約が成立または賃貸借契約締結に関して同意している物件 ・耐震基準を満たしていない場合は、耐震改修を行うこと |
補助金額 | 住宅部分にかかる改修工事費の1/2(上限50万円) 新婚・子育て世帯は、改修工事費の2/3(上限66万円) |
申請受付期間 | 随時 |
参考URL | 空家利活用改修費補助金|豊橋市 |
春日井市|民間住宅省エネ改修費補助金
概要 | 2050年カーボンニュートラル実現に向け、既存住宅における窓・屋根等の断熱改修により既存住宅の省エネルギー化を推進します。そのための省エネ基準やZEH基準への適合を図る改修工事等の一部を補助します。 |
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補助内容 | ・開口部の断熱化 ・躯体等の断熱化 ・設備の効率化 |
補助対象となる要件 | ・改修後の住宅が省エネ基準またはZEH水準に適合することについて第三者機関による評価・認証を受けていること ・対象住宅の階数が2階以下かつ床面積が500㎡以下の木造住宅 ・複数の開口部の断熱改修工事を含む改修工事を行うこと *部分改修の場合 |
補助金額 | ・省エネ基準の改修費の2/5(上限30万円) ・ZEH基準の改修費の4/5(上限70万円) |
申請受付期間 | 令和6年4月1日〜令和7年2月28日 |
参考URL | 住宅省エネ改修費の補助制度|春日井市 |
刈谷市|三世代同居等住宅取得等支援補助金
概要 | 子育て世代が安心して生活できるよう、三世代同居または近居するための住宅取得等に補助金を交付を行います。 |
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補助内容 | 同居に必要なリフォーム工事 |
補助対象となる要件 | ・三世代で同居するために行うもの ・補助対象事業後に同居(補助対象事業前から同居しているものはリフォーム補助金の対象外) |
補助金額 | リフォームに関する補助金 定額30万円(加算を含めると上限50万円)
※次の各条件を満たすと10万円の加算 |
申請受付期間 | 認定を受け、工事の支払いを行なった日の年度末まで |
参考URL | 三世代同居等住宅取得等支援補助金|刈谷市 |
安城市|アスベスト対策費補助制度
概要 | 市内にある建築物のうち、壁、柱、天井等にアスベストが吹き付けられているおそれのある建築物の分析調査・除去等工事を補助します。 |
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補助内容 | ・アスベスト含有の有無の分析調査に要した経費 ・アスベストの除去、封じ込め又は囲い込み工事に要した経費 |
補助対象となる要件 | ・アスベスト調査台帳に掲載されている建築物が対象(非掲載には登録が必要) ・建築物石綿含有調査に係る講習を修了した者による調査が対象 |
補助金額 | 分析調査:分析調査に要した経費の全額(上限25万円/棟) 除去等工事:除去、封じ込め又は囲い込みに要した経費の2/3(上限180万円/棟) |
申請受付期間 | 先着順(予算額に達し次第終了) |
参考URL | アスベスト対策費補助制度|安城市 |
小牧市|小牧市定住促進補助金
概要 | 若年層の定住を促進し、子育てに対する不安・負担の軽減、中古住宅の利活用を促進し、活気あるまちづくりに繋げることを目的とした制度です。小牧市に定住するための住宅リフォーム費用の一部を補助します。 |
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補助内容 | ①-1. 三世代同居支援タイプ 三世代同居のためのリフォーム ①-2. 三世代近居タイプ 三世代近居のためのリフォーム ②中古住宅活用タイプ 若年世代が中古住宅をリフォーム |
補助対象となる要件 | ①三世代同居支援タイプ ・親世帯が小牧市内に1年以上継続して定住 |
補助金額 | ①-1. 補助対象経費の1/2(上限60万円) ①-2. 補助対象経費の1/2(上限30万円) ②補助対象経費の1/2(上限30万円) それぞれを併用した場合、上限120万円 |
申請受付期間 | 定住を初めて6ヶ月以内 |
参考URL | 小牧市定住促進補助金|小牧市 |
西尾市|西尾市瓦屋根耐風対策費補助金
概要 | 強風や地震による住宅の瓦屋根の被害が増え、令和4年から瓦屋根の緊結方法が強化されました。市民の身体及び財産を保護するため、瓦の台風対策を行う方に補助 |
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補助内容 | ・瓦屋根の診断 ・瓦屋根改修 |
補助対象となる要件 | ・瓦屋根診断の結果、告示基準に適合していないこと *屋根が強風等で被災した場合は瓦屋根診断は不要 ・瓦屋根の前面を告示基準に適合させること ・台風改修後の住宅が地震に対して安全な構造であること |
補助金額 | 瓦屋根診断に要する費用の2/3(上限2.1万円) 瓦屋根の改修に要する費用の23%(上限55.2万円) |
申請受付期間 | 令和6年度分は終了 |
参考URL | 西尾市瓦屋根耐風対策費補助金|西尾市 |
3.愛知県のリフォーム補助金制度を申請するときのポイント
リフォーム補助金は、自治体によって細かい要件などが指定されていますので、それぞれの公式ホームページや窓口でしっかりと確認するようにしましょう。
3-1.補助金の申請タイミングは「工事前」がほとんど
補助金の申請は、工事内容と見積書を事前に提出し、補助金が下りるかどうかの決定通知が来てから契約・工事を行う場合がほとんどです。
工事後に申請を行なっても、補助金が交付されませんので注意しましょう。
そのため補助金制度に詳しく、申請サポートも行なっている施工会社に相談するとスムーズに申請を行うことができます。どのような工事が対象なのかを把握し、申請に必要な見積書や写真を用意してくれるので安心です。
3-2.予定より早く打ち切られることも!早めの準備が大切
申請受付期間が設けられていますが、予算に達したら終了してしまうこともあります。
先着順で受付が行われますので、すでにリフォームの予定がある場合は、なるべく早めに準備を行いましょう。
3-3.国の補助金制度の利用や併用も検討する
国リフォームに関する補助金制度と、愛知県の補助金制度を併用することができる場合もあります。
ただし、工事種が同じ場合には併用不可など、制度によって条件がありますので事前に確認しましょう。
▼国の補助金に関しては、こちらの記事でまとめて解説しています。
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4.愛知県のリフォーム補助金の申請の流れ
流れ | 備考 |
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1.見積もり依頼 | |
2.見積書の受け取り、事前申請書の作成・提出 | |
3.交付決定通知の受領 | |
4.契約、工事開始 | 工事前・中・後の写真撮影、実績報告のための資料作成が必要な場合あり。施工業者に補助金申請の経験があるとスムーズです。 |
5.工事、支払い完了 | |
6.交付申請および実績報告の作成・提出 | 事前申請が不要で、工事完了後に補助金申請をする補助金制度の場合は、このタイミングで申請と報告を同時に行います。 |
7.補助金交付決定、確定額通知書の受領 | 補助金制度を併用する場合には、その補助金確定通知書類が必要な場合もありますので、書類は大切に保管しておきましょう。 |
8.交付額の入金 |
補助金を利用したリフォームは、下記のポイントに注意する必要があります。
補助金を利用するリフォームの注意ポイント
- どの工事が補助金対象か
- 申請のタイミングはいつか
- 申請のための見積書・写真・申請書の準備
- 他の補助金制度との併用可否
これらのポイントを理解してスムーズに進めるにはリフォーム会社の協力が不可欠なので、補助金を使ったリフォームの経験があり制度に詳しいリフォーム会社を選ぶようにしましょう。
また、申請の際も「見積書」や「工事前写真」などが必要なため、リフォーム会社の協力が不可欠です。補助金申請に慣れている会社であれば、申請のサポートも安心できますので、リフォームがスムーズに進みます。
5.まとめ
愛知県では、脱炭素化を目的とした断熱窓の設置など、住宅のリフォームに関する補助金事業を多く実施しています。
これらをうまく活用することで、より快適な暮らしをお得に実現できるかもしれません。
補助金制度には、対象工事、併用の可否、登録事業者による工事の必要性など、細かい要件があります。
そのため、補助金制度について詳しく、申請サポートを行っている施工業者を選ぶことが、スムーズに工事を進めるために重要です。