バリアフリーリフォームの具体的な内容と業者の選び方

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームを考えているけれど、どこをどうリフォームできるのか分からない、知らないといった方も多いのではないでしょうか? 

手すりひとつ設置する場合も下地工事をして、使う人に合った場所に設置しなければ意味がありません。

このように、バリアフリーリフォームのひとつひとつの基本をこちらではお伝えします。

また、バリアフリーリフォームを成功させるために、業者選びは慎重に行う必要があります。業者の選び方もお伝えしますので、参考にしてみて下さい。

「介護する・される」に特化したバリアフリーリフォームは「必ず知っておきたい!介護リフォーム成功のための基礎知識」の記事へお進みください。

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目次

1.バリアフリーリフォームの基本

バリアフリーリフォームをする際には将来を見据えたリフォームを心掛けることが大切です。バリアフリーが必要になってからリフォームをするのでは遅いことも十分考えられるからです。

ここでは、バリアフリーリフォームの基本をお伝えします。

それぞれの項目で抑えるべきポイントがありますので参考にして下さい。

 1-1.手すりの設置

手すりの設置

階段を上がる時、廊下を歩く時、ちょっとした段差の昇降で壁などに捕まっていませんか?壁をつたって歩くのは安全とは言えません。身体を支える為の手すりの設置をお勧めします。

階段や段差などバランスを崩しやすい箇所には前もって設置しておくと良いです。

手すりの設置にあたっては、しっかり壁の下地工事を行い、丈夫な手すりを設置しましょう。また、設置する高さや位置も使う人に合わせてつけることが大切です。

手すり設置のポイント

  • 使う人にとって握りやすい手すり(形・種類)を選ぶ
  • 使う人にとって使いやすい位置に設置する
  • 下地工事をしっかり行う
  • 上記をしっかり行ってくれる業者を選ぶ

手すりの取り付けの費用

I型手すり(1本)の取付け費用例 I型手すり(1本)の取付け費用例
※L型手すりの場合は4万5千円程度、回り階段に設置した場合は16万円程度です。

1-2.段差の解消

次に、段差の解消リフォームです。ほんのわずかな段差であっても、つまずく原因になり足腰の弱い方にとっては負担になります。出来るだけ段差のないようリフォームするよう心掛けましょう。

段差の解消方法は、スロープの設置や床のかさ上げ、式台などを設置して段差を小さくする方法があります。段差の解消については、解消箇所に合わせた適切な方法をとる必要があります。

barrier
出典:http://www.kitasetsu.co.jp/

段差解消リフォームのポイント

  • スロープの勾配は急になりすぎないよう注意する
  • スロープは長すぎないこと
  • 式台などの設置はしっかり行う(動かないよう固定する)

段差解消リフォームの価格

参考価格.

1-3.滑りにくい床に変更

床材の変更もバリアフリーリフォームには欠かせません。

室内であっても転倒による怪我や骨折などの事例は多くあり、未然の防ぎたいものです。そのために、滑りにくい床材を選びリフォームすることをお勧めします。

洗面所など水を使用する場所の床材だけでもリフォームしておくと安心できます。また、各部屋に適した床材を選ぶことが大切です。

以下、床材の種類と特徴です。

滑りにくい床に変更

床リフォームのポイント

  • 玄関回りは、濡れることも考えてノンスリップタイルなどを用いること
  • 階段は滑りにくい木材を、階段のヘリには滑り止めを付けることも大切
  • 廊下はコルクタイルなど滑りにくいものを選ぶと良い
  • 居間の床材はフローリングやコルクタイルなどクッション性や静粛性に優れたものにリフォームする
  • 浴室はノンスリップ加工されたものを選ぶ。浴室の場合、素足で歩くため床材の材質も重視すると更に良い
  • トイレはアンモニアなどが落ちやすいものを選ぶ。また、汚れが目立ちにくいものやスリッパなしでも清潔感のある色や材質を選ぶことがポイント

1-4.照明器具の交換リフォーム

高齢になると視覚機能の低下が見られます。小さな字が見にくい、段差がわかりにくいなどの症状が現れます。

以下、加齢に伴う視覚機能の変化をまとめました。

  • 明るい場所から暗い場所、暗い場所から明るい場所に移動した際の視力回復の時間がかかる。20代は約30秒だが、60代以上は1~2分かかる
  • 明るい場所でも暗く見えがち、眩しいものもより眩しく見えがちになる
  • 青や緑が認識しにくく、灰色に見える

上記のことをしっかり抑え、バリアフリーリフォームの照明交換に役立てましょう。照明交換のポイントは次の通りです。

照明交換リフォームのポイント

  • 人感センサー付きの照明を選び、明るさの均一化を計りましょう。そうすることで、明るい部屋から暗い廊下への移動の際でも視力を奪われずに済みます
  • 主照明の他に、補助照明(フロアスタンドやデスクスタンド)を組み合わせる事で、より明るい環境を整えましょう
  • 光が直接目に入らない照明器具を使い、電球はオレンジ系の色を選ぶと眩しさが軽減します

1-5.引き戸等への扉の取り替えリフォーム

ドアの種類は主に、引き戸、開き戸、中折れ戸の3種類です。中折れ戸は浴室で使われることが一般的です。それぞれのドアに特徴があり、使う人に合わせて選ぶことが大切です。それぞれのドアの特徴は次の通りです。

引き戸

引き戸

  • 車椅子の方でも開閉しやすい。
  • 2枚型と3枚型がある。
  • 開けた時の引き込むスペースが必要で、コストもかかる。

開き戸

開き戸

  • 最も多いタイプ。
  • あまり力をかけずに開閉できる。
  • ドアが開く向き(引き戸か押し戸)によって、車椅子での開閉が困難である。

中折れ戸

中折れ戸

  • 浴室で使われることが多い。
  • 開閉には力がある程度の力が必要。
  • 開き戸に比べて開閉スペースを取らない。

上記の特徴をふまえて、使用者に合ったものを選びましょう。

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2.住宅全面リフォーム時の間取りのポイント

バリアフリーリフォームを考えた際に、住まい全体のリフォ―ムをお考えの方もいらっしゃると思います。その際、ぜひ考えて頂きたいポイントをお伝えします。

バリアフリーリフォームを成功させるために、ぜひ参考にしてみて下さい。

2-1.日常生活が同一階で過ごせるようにする

二階建て、三階建ての戸建の方は、将来階段の昇降が出来なくなった際のことを考え、生活スペースを1つのフロアにまとめておくことをお勧めします。具体的にいうと、寝室・トイレ・洗面・キッチンが同一階かつ、一階にあると良いということです。

また、一つの案として、減築して平屋にすることも可能です。上階に上がれない、手入れが出来ないなどの状態でしたら、平屋が住みやすいということもあります。

2-2.ヒートショックを防ぐよう配慮した間取りにする

ヒートショックとは急激な温度差がもたらす身体への悪影響のことです。主な症状として、失神、心筋梗塞、脳梗塞など血圧が大きく変動して起こるものです。

特に、冬場は寒い廊下と暖かい部屋の温度差からこの事故が起こりやすいと言われています。

このような事故を未然に防ぐために、浴室(脱衣所)と寝室、トイレの配置は十分考える必要があります。これら3つの導線はなるべく短いことが理想です。

寒い廊下を長時間通らずに、トイレに行けることを目指しましょう。

どうしても不可能な場合は、押入れスペースをトイレにリフォームすることも出来るので、そちらも視野に入れてみると良いでしょう。こちらについては、以下で詳しくお伝えします。

また、寒い廊下や脱衣所を経由して暖かい浴室に入ることも極めて危険です。こちらも未然に防げるよう、十分考慮しましょう。

2-3.車椅子移動を考慮した部屋の広さと廊下幅を意識する

2-3.車椅子移動を考慮した部屋の広さ廊下幅にする

現在、車いすでなくても、将来、車椅子を使う可能性を考慮して余裕をもった広さを確保しましょう。廊下は、手すりが付いているお宅も多いことと思いますが、廊下の幅に余裕がないと、手すりの出っ張りに接触してしまうこともあり危険です。廊下は手すりをつける可能性を車いすが通る可能性があることを念頭に置きましょう。

また、寝室等の部屋の広さは車いすが回転できるか確かめることが大切です。寝室を例にすると、ベッドなどの家具を置いた状態で回転できるだけのスペースがあると良いでしょう。回転スペースがないと前向きで入室して、後退しながら退出することになり、危険を伴います。

また、寝室を例にすると、ベッドなどの家具を置いた状態で回転出来るだけのスペースがあると良いです。前向きで入室して、後退しながら退出すことは危険です。

また、車椅子からベッドへの移動も人によって体勢が異なります。ベッドと車椅子を平行にする方もいれば垂直にする方もいます。それぞれの体勢で使いやすい広さを実現させることが大切です。

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3.玄関のバリアフリーリフォーム

玄関のバリアフリーリフォームについて

玄関は出入り口であり、皆が使う場所です。家族だけでなく訪れるゲストにも使いやすい玄関にしたいものです。玄関のリフォームのポイント、費用などを詳しくお伝えします。

3-1.玄関のバリアフリーリフォーム内容

段差の解消

段差の解消

玄関周りは段差の多い場所です。玄関のポーチや階段など段差のあるお宅も多いと思います。また、靴をぬいで家に上がる時の段差(上がり框)があるケースも少なくないでしょう。

たった一段の段差でも、足腰の弱い高齢者にはつらいものです。そのつらさを少しでも緩和するために、段差の軽減やスロープの設置をお勧めします。

スロープの設置

スロープの設置

一般的にスロープの長さは、高さ(段差)の約8倍必要だと認識しておきましょう。スロープの長さの目安は以下の通りです。

  • 車椅子を押してもらう場合…1ⅿの段差に対して8mのスロープ
  • 自走の場合…1mの段差に対して12mのスロープ

車椅子の種類やスロープ利用者によって上記の数値が当てはまらないこともあります。目安ですので、実際に使う人に合った勾配や長さを設置しましょう。

式台の設置

式台の設置

上がり框に式台を置くことで大きな段差を小さく軽減することができます。手すり付きの式台もあり、段差や玄関の状況にあったものを選ぶことが大切です。理想の段差は、100㎜〜180㎜程度です。式台と下地をしっかり固定し、転倒等の事故が無いようにしましょう。

手すりの設置

手すりの設置

玄関は靴をぬぐ際や、ちょっとした段差を上がる際など、バランスを崩しやすい場所です。手すりがついていると安心ですし、転倒する危険も回避できます。

手すりは使う人の手の動作に合わせ使いやすい位置につけることが何より重要です。

ドアの改修

ドアの改修

出典:http://www.ykkap.co.jp/

玄関のドア幅を広くすることや、ドアの種類を変更することも重要です。

ドア幅は750㎜以上あると、車椅子での出入りが楽になります。

ドアの種類は引き戸タイプのものがお勧めです。引き戸は車椅子の方が自力でドアの開閉することが可能ですし、開けたドアが出入りに邪魔になることもありません。

また、段差解消のために引き戸の下レールをなくし、吊り引き戸に変更することもできます。

足元照明の設置

足元照明の設置
出典:シノザキ建築事務所(http://s-machi.com/

足元を照らす足元照明は暗くなりがちな夜の玄関にお勧めです。足元を照らすことはご高齢の方には非常に重要で転倒防止になります。

ご自身で電気スイッチを探しに行かなくて済むよう、人感センサー付きの自動点灯を選ぶ事をお勧めします。防犯対策にもなりますし、節電にもなります。

モニター付きインターホンの設置

モニター付きインターホンの設置

高齢で一人暮らしの方などはインターホンの設置は必須といえます。悪質な勧誘やセールスも多いので、防犯対策の意味でもぜひ設置しましょう。

最近では録画機能がついたものやカメラの死角が出来ないよう広範囲を映すカメラもあります。

電気錠の設置

電気錠の設置

リモコンなどを使い、遠隔操作で玄関ドアの鍵の開閉が出来ます。インターホンで相手をしっかり確認し、友人や家族であれば居間などから鍵を解除できます。

玄関まで出向く動作に時間がかかる方や、苦痛な方にお勧めです。

腰掛椅子の設置

玄関椅子の設置

玄関に腰掛椅子を設置すると、靴の脱ぎ履きの際、安定した体勢で行うことができ、安全につながります。また、荷物が多い時などはちょっとした荷物置きになります。

床材の変更

雨の日等の玄関回りは濡れてしまいます。雨の日でも、水がすぐ乾き、滑りにくい床材に変更することをお勧めします。

床材の表面がざらざらしていると滑りにくいですが、ざらざらしすぎると掃き掃除や拭き掃除がしにくくなります。適度なざらつきで滑りにくく掃除しやすいものを選びましょう。

3-2.玄関のバリアフリーリフォームの費用

次に玄関回りのリフォーム費用をお伝えします。ここでは項目ごとに記載しています。

金額につきましては家の状況や設置する物の内容によって変わってきます。

玄関のバリアフリーリフォームの費用