バリアフリーリフォームを考えているけれど、「どこをどうリフォームできるのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
この記事ではバリアフリーリフォームのひとつひとつの基本をお伝えします。
また、バリアフリーリフォームは知識と技術がないと難しく、手すりひとつ設置する場合も下地工事をして、使う人に合った場所に設置しなければ意味がありません。そのためリフォーム会社選びは慎重に行う必要があります。会社の選び方もお伝えしますので、参考にしてみてください。
※「介護する・される」に特化したバリアフリーリフォームは「必ず知っておきたい!介護リフォーム成功のための基礎知識」の記事へお進みください。
目次
1.バリアフリーリフォームの基本
バリアフリーリフォームをする際には将来を見据えたリフォームを心掛けることが大切です。バリアフリーが必要になってからリフォームをするのでは遅いことも十分考えられるからです。
ここでは、バリアフリーリフォームの基本をお伝えします。
それぞれの項目で抑えるべきポイントがありますので参考にしてください。
1-1.手すりの設置
階段を上がる時、廊下を歩く時、ちょっとした段差の昇降で壁などに捕まっていませんか?壁をつたって歩くのは安全とは言えません。身体を支える為の手すりの設置をお勧めします。
階段や段差などバランスを崩しやすい箇所には前もって設置しておくと良いです。
手すりの設置にあたっては、しっかり壁の下地工事を行い、丈夫な手すりを設置しましょう。また、設置する高さや位置も使う人に合わせてつけることが大切です。
手すり設置のポイント
- 使う人にとって握りやすい手すり(形・種類)を選ぶ
- 使う人にとって使いやすい位置に設置する
- 下地工事をしっかり行う
- 上記をしっかり行ってくれる業者を選ぶ
手すりの取り付けの費用例
I型手すり(1本)の取付け費用例:
※L型手すりの場合は4万5千円程度、回り階段に設置した場合は16万円程度です。
1-2.段差の解消
次に、段差の解消リフォームです。ほんのわずかな段差であっても、つまずく原因になり足腰の弱い方にとっては負担になります。出来るだけ段差のないようリフォームするよう心掛けましょう。
段差の解消方法は、スロープの設置や床のかさ上げ、式台などを設置して段差を小さくする方法があります。段差の解消については、解消箇所に合わせた適切な方法をとる必要があります。
段差解消リフォームのポイント
- スロープの勾配は急になりすぎないよう注意する
- スロープは長すぎないこと
- 式台などの設置はしっかり行う(動かないよう固定する)
段差解消リフォームの価格
1-3.滑りにくい床に変更
床材の変更もバリアフリーリフォームには欠かせません。
室内であっても転倒による怪我や骨折などの事例は多くあり、未然の防ぎたいものです。そのために、滑りにくい床材を選びリフォームすることをお勧めします。
洗面所など水を使用する場所の床材だけでもリフォームしておくと安心できます。また、各部屋に適した床材を選ぶことが大切です。
以下、床材の種類と特徴です。
床リフォームのポイント
- 玄関回りは、濡れることも考えてノンスリップタイルなどを用いる
- 階段は滑りにくい木材を、階段のヘリには滑り止めを付けることも大切
- 廊下はコルクタイルなど滑りにくいものを選ぶ
- 居間の床材はフローリングやコルクタイルなどクッション性や静粛性に優れたものにする
- 浴室はノンスリップ加工されたものを選ぶ。浴室の場合、素足で歩くため床材の材質も重視すると更に良い
- トイレはアンモニアなどが落ちやすい素材を選ぶ。また、汚れが目立ちにくいものやスリッパなしでも清潔感のある色や材質を選ぶことがポイント
1-4.照明器具の交換リフォーム
高齢になると視覚機能の低下が見られます。小さな字が見にくい、段差がわかりにくいなどの症状が現れます。
以下、加齢に伴う視覚機能の変化をまとめました。
- 明るい場所⇔暗い場所の移動時、視力回復の時間がかかる。20代は約30秒だが、60代以上は1~2分かかる
- 明るい場所でも暗く見えがち、眩しいものもより眩しく見えがちになる
- 青や緑が認識しにくく、灰色に見える
上記のことをしっかり抑え、バリアフリーリフォームの照明交換に役立てましょう。照明交換のポイントは次の通りです。
照明交換リフォームのポイント
- 人感センサー付きの照明を選び、明るさの均一化を計る。そうすることで、明るい部屋から暗い廊下への移動でも視力を奪われずに済む
- 主照明の他に、補助照明(フロアスタンドやデスクスタンド)を組み合わせる
- 光が直接目に入らない照明器具を使い、電球はオレンジ系の色を選ぶと眩しさが軽減する
1-5.引き戸等への扉の取り替えリフォーム
ドアの種類は主に、引き戸、開き戸、中折れ戸の3種類です。中折れ戸は浴室で使われることが一般的です。それぞれのドアに特徴があり、使う人に合わせて選ぶことが大切です。それぞれのドアの特徴は次の通りです。
引き戸
- 車椅子の方でも開閉しやすい。
- 2枚型と3枚型がある。
- 開けた時の引き込むスペースが必要で、コストもかかる。
開き戸
- 最も多いタイプ。
- あまり力をかけずに開閉できる。
- ドアが開く向き(引き戸か押し戸)によって、車椅子での開閉が困難である。
中折れ戸
- 浴室で使われることが多い。
- 開閉には力がある程度の力が必要。
- 開き戸に比べて開閉スペースを取らない。
上記の特徴をふまえて、使用者に合ったものを選びましょう。
2.住宅全面リフォーム時の間取りのポイント
バリアフリーリフォームを考えた際に、住まい全体のリフォ―ムをお考えの方もいらっしゃると思います。その際、ぜひ考えて頂きたいポイントをお伝えします。
バリアフリーリフォームを成功させるために、ぜひ参考にしてみてください。
2-1.日常生活が同一階で過ごせるようにする
二階建て、三階建ての戸建の方は、将来階段の昇降が出来なくなった際のことを考え、生活スペースを1つのフロアにまとめておくことをお勧めします。具体的にいうと、寝室・トイレ・洗面・キッチンが同一階かつ、一階にあると良いでしょう。
また、一つの案として、減築して平屋にすることも可能です。上階に上がれない、手入れが出来ないなどの状態でしたら、平屋が住みやすいということもあります。
2-2.ヒートショックを防ぐよう配慮した間取りにする
ヒートショックとは急激な温度差がもたらす身体への悪影響のことです。主な症状として、失神、心筋梗塞、脳梗塞など血圧が大きく変動して起こるものです。
特に、冬場は寒い廊下と暖かい部屋の温度差からこの事故が起こりやすいと言われています。
このような事故を未然に防ぐために、浴室(脱衣所)と寝室、トイレの配置は十分考える必要があります。これら3つの導線はなるべく短いことが理想です。
寒い廊下を長時間通らずに、トイレに行けることを目指しましょう。
また、寒い廊下や脱衣所を経由して暖かい浴室に入ることも極めて危険です。こちらも未然に防げるよう、十分考慮しましょう。
2-3.車椅子移動を考慮した部屋の広さと廊下幅を意識する
現在、車いすでなくても、将来、車椅子を使う可能性を考慮して余裕をもった広さを確保しましょう。
廊下は、手すりが付いているお宅も多いことと思いますが、車いすで移動することになった際、廊下の幅に余裕がないと、手すりの出っ張りに接触してしまうこともあり危険です。廊下は車いすが通る可能性があることを念頭に置きましょう。
また、寝室等の部屋の広さは車いすが回転できるか確かめることが大切です。寝室を例にすると、ベッドなどの家具を置いた状態で回転できるだけのスペースがあると良いでしょう。回転スペースがないと前向きで入室して、後退しながら退出することになり、危険を伴います。
車椅子からベッドへの移動も人によって体勢が異なります。ベッドと車椅子を平行にする方もいれば垂直にする方もいます。それぞれの体勢で使いやすい広さを実現させることが大切です。
以下では、箇所別のバリアフリーリフォームを解説します。
3.玄関のバリアフリーリフォームの内容・費用
玄関周りは段差の多い場所です。玄関のポーチや階段など段差のあるお宅も多いと思います。また、靴をぬいで家に上がる時の段差(上がり框)があるケースも少なくないでしょう。
玄関のリフォームのポイント、費用などを詳しくお伝えします。
※金額については、家の状況や設置する物の内容によって変わってきます。
段差の解消
たった一段の段差でも、足腰の弱い高齢者にはつらいものです。そのつらさを少しでも緩和するために、段差の軽減やスロープの設置をお勧めします。
スロープの設置
一般的にスロープの長さは、高さ(段差)の約8倍以上必要だと認識しておきましょう。スロープの長さの目安は以下の通りです。
- 車椅子を押してもらう場合…1ⅿの段差に対して8mのスロープ
- 自走の場合…1mの段差に対して12mのスロープ
ただし車椅子の種類やスロープ利用者によって、上記の数値が当てはまらないこともあります。目安ですので、実際に使う人に合った勾配や長さを設置しましょう。
式台の設置
上がり框に「式台」を置くことで大きな段差を小さく軽減することができます。手すり付きの式台もあり、段差や玄関の状況にあったものを選ぶことが大切です。
理想の段差は、100㎜〜180㎜程度です。式台と下地をしっかり固定し、転倒等の事故が無いようにしましょう。
手すりの設置
玄関は靴を脱ぐ際や、ちょっとした段差を上がる際など、バランスを崩しやすい場所です。手すりがついていると安心ですし、転倒する危険も回避できます。
手すりは使う人の手の動作に合わせ使いやすい位置につけることが何より重要です。
ドアの改修
玄関のドア幅を広くすることや、ドアの種類を変更することもバリアフリーになります。
ドア幅は750㎜以上あると、車椅子での出入りが楽になります。
ドアの種類は引き戸タイプのものがお勧めです。引き戸は車椅子の方が自力でドアの開閉することが可能ですし、開けたドアが出入りに邪魔になることもありません。
また、段差解消のために引き戸の下レールをなくした吊り引き戸に変更することもできます。
足元照明の設置
足元を照らす足元照明は暗くなりがちな夜の玄関にお勧めです。足元を照らすことはご高齢の方には非常に重要で転倒防止になります。
ご自身で電気スイッチを探しに行かなくて済むよう、人感センサー付きの自動点灯を選ぶ事をお勧めします。防犯対策にもなりますし、節電にもなります。
モニター付きインターホンの設置
高齢で一人暮らしの方などはインターホンの設置は必須といえます。悪質な勧誘やセールスも多いので、防犯対策の意味でもぜひ設置しましょう。
最近では録画機能がついたものやカメラの死角が出来ないよう広範囲を映すカメラもあります。
電気錠の設置
リモコンなどを使い、遠隔操作で玄関ドアの鍵の開閉が出来ます。インターホンで相手をしっかり確認し、友人や家族であれば居間などから鍵を解除できます。
玄関まで出向く動作に時間がかかったり、苦痛をともなう方にお勧めです。
腰掛椅子の設置
玄関に腰掛椅子を設置すると、靴の脱ぎ履きの際、安定した体勢で行うことができ、安全につながります。また、荷物が多い時などはちょっとした荷物置きになります。
滑りにくい床材に変更
雨の日等の玄関回りは濡れてしまいます。雨の日でも、水がすぐ乾き、滑りにくい床材に変更することをお勧めします。
床材の表面がざらざらしていると滑りにくいですが、ざらざらしすぎると掃き掃除や拭き掃除がしにくくなります。適度なざらつきで滑りにくく掃除しやすいものを選びましょう。
4.廊下・階段のバリアフリーリフォームの内容・費用
廊下や階段は、移動時に通る場所ですので、しっかりとバリアフリー対策を行う必要があります。
手すりの設置(もしくは壁の補強工事)
手すりの設置は必須といっても過言ではありません。足腰が弱ると、少しの移動も辛いと感じますので、身体を支える手すりがあると負担が軽減されます。
また、まだ手すりは必要ないと感じる方も、壁の下地補修だけでも済ませておくと取り付けたい時にすぐ設置でき安心です。
廊下幅の拡張
将来、車椅子での廊下移動も考慮して、廊下幅の拡張リフォームを検討しましょう。廊下に手すりがある場合、車椅子を自走しにくいことがあります。
手すりの出っ張りが手や車椅子に接触し、怪我をすることもあります。手すりのある廊下の場合、車椅子が余裕をもって通れる幅を確保しておくことが重要です。
廊下と部屋の間の段差解消
部屋と廊下、トイレと廊下など、各部屋と廊下の間の段差は解消しましょう。
小さな段差でも、つまずくポイントとなります。小さな段差を解消するために、簡易的なスロープを設置することもできます。
廊下のかさ上げをして敷居を無くし、フラットにすることも可能です。この場合、廊下のフローリングを重ね張りします。
階段の配置の変更
階段の配置に注目しましょう。万が一転倒した際に、階段が一直線であると一気に下まで落ちてしまう危険性が考えられます。
その危険性を軽減させるために、踊り場を設けたU字型の階段をお勧めします。踊り場があれば、一気に下まで落ちる心配が軽減するので安心です。
階段の踏み板幅・勾配を変更する
古い戸建て住宅は部屋の広さや大きさを重視した様式が多いため、階段に割り当てられた空間が小さくなっています。そのため、階段が急で、一段一段の踏み板の幅が狭くなりがちです。
しかし、こういった階段の昇降は年を取るにつれ大変になりますし、転倒の危険も潜むことになります。
昇降を楽にするためには、踏み板幅を21cm以上は確保し、一段の高さは23cm以下が理想です。階段の勾配は30度~35度程度が昇りやすいでしょう。
階段踏面に滑り止めの取り付け
階段の踏面には滑り止めをつけましょう。階段の昇降の際、滑って転倒することがないようにするためです。
すでに付いている階段も多いと思いますが、無い場合は取り付ける様にしましょう。
床材の変更
廊下や階段の床材で主に使用される3点を紹介します。それぞれ特徴がありますので、理解した上で選ぶようにしましょう。
- フローリング:耐水性や耐傷性が高く、汚れにくい特徴があります。フローリングを床材で用いる場合は滑り止め加工をすることをお勧めします。
- コルク:耐久性・吸音性に優れ、弾力性もあるため足腰の負担が軽減されます。転びにくいうえに怪我をしにくいので、ご高齢の方には最適です。
- カーペット:保温性や吸音性に優れ、足触りが良く、足腰の負担も軽減出来ます。
照明の変更
足元を照らすための照明はしっかり取り付けましょう。
夜中にトイレなどで廊下・階段を歩く機会もあります。寝ぼけながら照明スイッチを探す手間を無くすために、人感センサー付きのがお勧めです。
また、階段は足元に影が出来ないよう最適な場所に照明を設置することも大切です。
5.トイレのバリアフリーリフォームの内容・費用
トイレのリフォームを検討されている方も多いと思います。トイレのバリアフリーとはどのような内容かと費用の相場をお伝えします。
手すりの設置
これまでも見てきた通り、手すりは体を自分で支えるために必要不可欠で大切なものです。特に、トイレは比較的狭いスペースで便座の立ち座りや、衣類の脱ぎ着などの動作を行わねばなりません。
手すりは、使う人に合った高さや場所に設置することが大切です。手すりの設置ポイントをお伝えします。
①ドア開閉時、体を支えるための手すり
ドア開閉時もバランスを崩しやすいタイミングです。こちらの手すりは、ドア枠や壁に手垢で汚れている場合があれば、その位置を目安に設置することをお勧めします。
②便座の立ち座り、座った姿勢を安定させるための手すり
I型やL型の手すりが一般的です。写真のようにI型の手すりとペーパーホルダーを組み合わせ、L型の役割を果たしているものもあります。
縦の手すりは、立ち座りの動作を支え、横の手すり(もしくはペーパーホルダー)は座った体勢を支えます。
段差の解消
トイレの出入り口の段差は解消することをお勧めします。ドア横に手すりがあったとしても、足腰の弱った高齢者や障害を抱えた方にとっては不便なものです。段差を取り除くには、トイレ床のかさ上げが必要です。
ドアの変更
トイレのドアは車椅子の方でも自力で開閉しやすいよう、引き戸にすることをお勧めします。また、中で万が一のことがあった場合に備えて、外からも鍵があけられるタイプにしましょう。更に、ドア(出入り口)の位置も重要です。便座後方か便座横に設置することで出入口から便座までの移動が楽になります。
床材の変更
転倒防止など安全性を重視するだけでなく、清潔さを維持しやすい床材にリフォームすることも大切です。
濡れても滑りにくく、スリッパ無しでも不潔感や抵抗感を生まない素材や色合いを選ぶことがポイントです。また、アンモニアや水に強い床材を選びましょう。
お勧めの素材はクッションフロアです。ビニール系の素材でクッション性があり、水にも強い特徴があります。また、柄の種類も豊富でお好みのトイレ空間を演出してくれます。機能性、デザイン性、どちらにも優れた床材です。
便座のかさあげ
便座に腰掛ける動作が辛いと感じる方へのリフォームです。便座の位置を高くすることで、足腰の負担を軽減しながら腰掛けることが出来るようになります。
便座のかさあげには下記のような方法があります。
- 便座と便器の間に補高部材を挟むことでかさ上げする
- 便座が電動で上下し、立ち座りの動作を補助する装置
洗浄レバー・ボタンの変更
見落としがちですが、洗浄レバーやウォシュレットなどのボタンの位置が不便ではないか、沢山あるボタンが見にくくはないか、確認してみてください。
レバーへ手を伸ばしにくいという状況は解消することができます。また、ボタンが少なくシンプルなデザインで、文字が大き目のものに変更することも可能です。
リフォームポイントは以下の通りです。
- 自動洗浄タイプや手をかざすタイプのものに変更
- 洗浄ボタンを付ける
- ウォシュレット等のボタンはペーパーホルダーの上部など、押しやすい位置に設置する
- 大きな字、見やすく分かりやすいデザインのボタンを選ぶ
ペーパーホルダーの変更
弱い力で、片手でもペーパーを切ることができるペーパーホルダーがあります。
また、ペーパーを取り替えることが億劫な方には予備のペーパーもセットできる、2つの紙巻器のあるペーパーホルダーがあります。
手洗いコーナーの設置
トイレから洗面所までの距離がある場合には非常に便利です。
また、手洗いコーナーがトイレ内にあると掃除もはかどります。
和式トイレを洋式に変更
和式トイレでかがむ体勢は足腰の弱った方にとって非常に困難です。これが洋式トイレですと、和式と比べて随分と楽な姿勢で用をたすことが出来ます。
大掛かりな工事にはなりますが、バリアフリーリフォームとしは必須リフォームといえます。
出典:https://www.8044.co.jp/costs/10
こちらのリフォームをさらに詳しく知りたい方は「和式トイレを洋式にするリフォーム費用を完全解説!費用抑える方法も」の記事も参考にしてください。
トイレを新設する
トイレに十分なスペースが確保できない、寝室からトイレの距離が遠いなどのお悩みがある方は、トイレを別の場所に新設するリフォームも検討できます。
押入れやクローゼットだった場所をトイレにリフォームしたり、空間を仕切ってトイレを作ることができます。
詳しくは「トイレの増設をお考えの方必見!増設費用・設置場所・注意点」の記事をご覧ください。
▼トイレの介護リフォームについてはこちらで解説しています。あわせてご覧ください。
6.キッチンのバリアフリーリフォームの内容・費用
キッチンでの立ち仕事は思っている以上に体に負担がかかります。高いところから食材や鍋を出す動作など、辛くはありませんか?
キッチンは、バリアフリー用に開発された機能も多く、リフォームによって無理なくキッチン仕事ができるようになるでしょう。
キッチンをまるごと交換し、足元の空いたシステムキッチンにリフォームした場合(IH、食洗器、電動・手動昇降棚付き)、およそ150万円程度です(工事費込み)。
足もとにスペースのあるキッチンに変更する
車椅子や椅子に座った状態でキッチン作業が出来ます。一般的なシンクより浅めなので、座った状態でも足が当たりません。
また、座った状態での作業を想定しているため、座った状態で水栓レバーにも手が届くよう設計されています。
電動・手動昇降棚の設置
手動式
電動式
出典:panasonic
キッチンは手の届きやすい位置に調理などの作業スペースがあるため、収納スペースのほとんどは高い場所か低い場所です。特に高い場所の収納は出し入れも困難で、使いづらいものです。
そこで、電動もしくは手動の昇降型の収納棚があります。電動の場合、上の棚がボタンを押すだけで昇降するので、簡単にものの出し入れが出来ます。
また、手動の場合も小さな力で棚の内部がゆっくりと下せるので便利です。
食器洗い乾燥機の設置
食器洗い乾燥機(食洗機)は、食器洗いが大変、苦痛になってきたと感じる方にお勧めします。
食器を洗う手間が省けるのはもちろんのこと、少ない水で一気に大量に洗えるため、節水にもなります。
IHクッキングヒーターに変更
IHはガスと違い、炎が出ないので安心です。そして掃除がしやすいことも大きな利点です。
しかし、ガスと電気では熱の感覚が異なりますので、初めは料理のしにくさを感じることもあるかもしれません。
照明の設置
包丁や火を扱うキッチンですから、手元を照らす照明は非常に重要です。事故を防ぐためにもしっかり確認すべき項目です。
人感センサー付き照明なら、わざわざ手を伸ばす動作が省けます。
7.浴室のバリアフリーリフォームの内容・費用
浴室は家の中で最も事故が起こる場所の1つです。事故を未然に防ぎ、安全でストレスのない入浴が出来るようリフォームしましょう。
入口の段差の解消
浴室の入り口の段差は転倒の原因にもなりますので、解消することをお勧めします。
浴室の底上げ工事など大掛かりなリフォ―ムもありますが、「浴室すのこ」のように簡単に段差を解消することも出来ます。
ドアの変更
浴室のドアは「折り戸」か「引き戸」がお勧めです。ただし、引き戸はドアを引き込むスペースが必要であることと、高コストが難点です。
一方、折り戸の中でも「中折れ戸」は開き戸に比べ、開閉時も浴室内のスペースを最大限に使うことが出来ますので、引き戸が難しい場合は中折れ戸を検討しましょう。
床材の交換
浴室での転倒事故を防ぐため、床材は滑りにくいものを選ぶことが基本です。冬の寒さで床が冷えないよう、保温性の優れた床材を選ぶことも重要で、肌触りも考慮しましょう。浴室は素足で入る場所ですので、ザラザラしたものは避けた方が無難です。
具体的にお勧めの素材は「樹脂素材」や「木材」が滑りにくく、温かいです。タイルの場合も、滑り止めや保温加工が施されたものがあるので、素材選びの際にしっかり確認しましょう。
また、肌触りについては、実際にショールームなどで触って確認することをお勧めします。
手すりの設置
手すりは浴室でも重要です。また、取り付ける位置については以下の箇所に設置することが一般的です。
あくまで一般的な例ですので、こちらを参考にご自宅の浴室と使う人の状況に合わせて設置してください。
- 出入り口付近:ドア開閉時の体を支える。脱衣所側と浴室側の両方に設置すると良い
- 洗い場(移動用):入り口~シャワーへの導線上に設置する
- 洗い場(シャワーチェアから立ち座り用):チェアを置く位置を確認し、的確な位置に設置する
- 浴槽出入付近:浴槽をまたぐ際に使用できるよう設置する
- 浴槽内:浴槽につかる際の立ち座りの動作をサポートする
洗面器台の設置
シャワーチェアに座った状態でも楽に体を洗えるよう、洗面台の位置を調節します。無理のない姿勢で作業できる髙さに設置しましょう。
入浴台の設置
浴槽をまたぐ動作が億劫な方にはとてもお勧めです。
浴槽に接して設置された入浴台に座り、片足ずつ浴槽に入り、手すりで支えながら座る姿勢に持っていけます。
またぎやすい浴槽に交換
浴槽が深すぎてまたぐのが怖い方もいるはずです。またぎやすい高さの浴槽に交換することも出来ます。
中には、落とし込みタイプの浴槽もあり、床より浴槽の底が深いものがあります。
しかし、実際にまたぐ深さを考慮して、浴槽のフチから浴槽の底の高さをしっかり確認しましょう。
一般的に30センチ~50センチの深さが適当と言われています。
暖房の設置
脱衣所と浴室の温度差を緩和するために暖房の設置も可能です。特に冬場に多いヒートショックを防ぐためにも効果的です。
浴室だけでなく脱衣所にも設置可能です。
8.洗面所・脱衣所のバリアフリーリフォームの内容・費用
毎日の生活で使う洗面所や脱衣所も使い易いものにしたいですね。どのようなリフォームが出来るのか詳しくお伝えします。
洗面台の交換
一般的な洗面台では車椅子の方は不便ですし、高さが合っていない、水栓に手をかけることが困難などのお悩みがあると思います。
これらの悩みを解決してくれるバリアフリー専用の洗面台があります。特長は下記のとおりです。
- 足元に空間があり、車椅子や椅子に座った状態でも利用可能
- 水栓位置への配慮
- スイッチやコンセントの位置も座った状態から届きやすい
- 自動水栓機能も取り付け可能
- 座っていても映る鏡の設置
段差の解消
廊下と洗面台の境に段差があると不便ですし危険です。転倒の恐れもありますが、車椅子の通行の妨げにもなります。
出入り口を広くし、引き戸にする
出入り口の開口部は車椅子が通ることを考慮して最低でも80~85cmは必要です。
また、車椅子の方でも開けられるよう、引き戸への変更もお勧めします。引き戸はドアを引き込むスペースが必要ですが、開閉の際でもスペースを要しないので洗面所スペースを最大限に使えます。
床材の変更
洗面所や脱衣所は水を頻繁に使う場所ですので耐水性に優れた素材を選びましょう。また、水で濡れても滑りにくい素材を選ぶ事も大切です。
さらに、お風呂あがりに素足で歩いても心地良い素材であることもポイントです。
具体的な例として、クッションフロアやコルクがお勧めです。この2つの特徴は以下の通りです。
- クッションフロア(CFシート):耐水性に優れ、汚れが落としやすい。弾力性もあり、バリアフリーにおすすめ
- コルク:水や汚れに強いタイプもある。耐久性が強く、断熱性も高いため床暖房に対応した種類もある。また、弾力性があるので転倒の際の衝撃も吸収してくれる
9.寝室のバリアフリーリフォームの内容・費用
最後に寝室のバリアフリーリフォームです。寝室でも快適に過ごせるようにするためのリフォームをお伝えします。
十分な部屋の広さを確保する
バリアフリーの寝室として必要な広さの目安は以下の通りです。
一人部屋の場合…6~8畳
二人部屋の場合…8~12畳
現在、布団で寝ている方も、加齢や体力の衰えとともに布団の出し入れや、布団への出入りが負担になってきます。
そうなった場合、ベッドでの就寝に切り替える可能性があります。ベッドを置いても十分な広さを確保するためには最低限、上記の広さが必要となります。
また、車椅子の場合はベッドを置いても車椅子を自由に動かせるための十分な広さが必要になります。車椅子の方の寝室の広さは一人部屋でも最低8畳は必要です。
8畳でも十分とは言えませんので、家具やベッドの配置、車椅子の導線などを十分に考慮する必要があります。
スイッチやコンセントの位置を移動させる
スイッチやコンセントの位置が合わない場合、調節しましょう。
スイッチは、リモコン式のものがありますので、こちらも検討してみると良いでしょう。
手すりの設置
寝室でも手すりは大変重要です。ベッドからの立ち上がり、移動の際のつたい歩きなど体勢を保つためです。
手すり使用者の動きをサポートできるよう、適切な場所に設置しましょう。
10.介護保険や市区町村の助成金・補助金制度を使ってお得にリフォームする
バリアフリーリフォームをお考えの方はぜひこれらの制度を活用してお得にリフォームしましょう。
介護やバリアフリー目的の住宅リフォームに用意されている補助・助成金制度は以下の2つです
- 介護保険の住宅改修費支給
- 市区町村の助成金制度
それぞれ解説していきます。
介護保険の住宅改修費制度を活用する
介護保険制度は平成12年(2007年)4月から始まりました。40歳以上はこれに加入し、保険料を払わねばなりません。そして、この保険料を財源として介護保険サービスを市区町村が運営します。
そのサービスのひとつに、住宅改修費の支給があります。こちらを活用して、バリアフリーリフォームを行うことが出来ます。
以下で詳しくお伝えしますので参考にしてください。
給額は原則ひとり最大18万円
介護認定のレベルに関係なく、リフォーム費用20万円のうち9割の18万円が支給されます。言い換えると、20万円までのリフォームを1割負担で出来るということです。
また、工事費用の合計が20万円になるまで何度も活用することが出来ます。
基本的には一人、生涯一度きりの制度です。しかし、以下の場合は再度支給限度額18万円が設定されます。
- 転居した場合
- 要介護区分が3段階上昇し、重くなった場合
3つの支給条件
- 要介護認定で「要支援」または「要介護」の認定がされていること
- 福祉施設に入所しておらず、病院にも入院していないこと
- 改修する家の住所が被保険証の住所と同一で、本人が実際に居住していること
以上3点をすべて満たす必要があります。
支給対象リフォーム
すべてのバリアフリーリフォームが支給対象になるわけではありません。以下のリフォームが対象ですのでこちらで確認してみてください。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止及び移動の円滑化のための床材変更
- 扉の変更
- 洋式便器への便器の取り替え
- 上記5つの住宅改修に付帯して必要な工事
市区町村別の住宅改修費制度を活用して介護リフォームする
介護保険とは別に各市区町村が独自に行う住宅改修費制度があります。こちらの内容はお住まいの市区町村のHPや役所の窓口でご確認ください。
以下では市区町村の助成金について、詳しくまとめてあります。併せてご活用ください。
>>介護リフォームで使える補助金は2種類!どんな工事が対象?申請方法は?
>>リフォームの減税制度を分かりやすく解説!
11.業者の選び方
バリアフリーリフォームを行う際にどのようなリフォーム会社に相談するか悩む方も多いと思います。そういった方へ、業者の選び方をお伝えします。
業者選びはリフォーム成功のカギを握る大事なアクションですのでこちらで確認してみてください。
バリアフリーリフォームを得意とする、実績のある業者を選ぶ
バリアフリーリフォームは一般的なリフォームとは異なる特殊なリフォームです。従って、リフォームの知識だけでなく、介護やバリアフリーの知識も必要になります。
中には、バリアフリーリフォームの専門知識がない業者もいますので、そういった業者に依頼することはお勧めできません。
バリアフリーリフォームを得意とする、実績のあるリフォーム会社を選ぶ方法の一例を紹介します。どこの業者も同じと思わず、しっかり比較してから選びましょう。
- 会社のホームページや広告などから、実績や得意分野を確認する
- 評判などを確認する
- 実際にバリアフリーリフォームした知人等がいれば、そういった人に聞いてみる
2〜4社程の複数の業者から見積をとる
信頼できる業者を探すためにも複数社から見積もりをとりましょう。もちろん、料金の比較等も行いますが、実際に現場を見て見積を出してもらうため、業者と接する機会でもあります。
その際に、この業者に頼みたいなどと感じることがあるかと思います。金額だけでなく、そういった直観も大切にすることで満足のいくリフォームが出来ます。
見積書は業者によって書き方が異なります。従って、見てもよくわからないことが多いはずです。
しかし、分からないからといって任せきりにするのでなく、ご自身でしっかり確認することが大切です。そして、分からないことはその都度確認し、納得した上でリフォームをお願いしましょう。
ケアマネージャーに相談する
介護認定を受けている方は、それぞれ担当のケアマネージャーがいらっしゃると思います。専門知識を持ち、経験も豊富でしょう。ですので、信頼できるケアマネージャーに相談してみることもお勧めです。
バリアフリーリフォームが出来る業者を教えてくれることや、業者を探す手助けとなるでしょう。
また介護保険の住宅改修費を申請する場合は、ケアマネージャーの協力が必須になります。
12.まとめ
バリアフリーリフォームの内容・費用を中心に詳しく見てきました。家の各場所それぞれに使う人に合ったバリアフリーリフォームを行うことで、より快適な暮らしが出来るはずと思います。
また、介護保険など活用できる制度は活用し、お得にリフォームしましょう。その際には、注意事項や手順をよく確認してから活用しましょう。
さらに、業者は慎重に選びましょう。予算や費用面だけで選ぶ事はお勧めしません。信頼できる業者に納得したリフォームをお願いしましょう。
(バリアフリーリフォームの関連記事)
全ノウハウまとめ
バリアフリーリフォームの具体的な内容と業者の選び方
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