
築年数が経過した賃貸物件の給湯器交換、コストが気になって踏み切れないオーナーの皆様に朗報です。
2025年度、賃貸オーナー向けの給湯器交換補助金「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の実施が発表されました。
1棟あたりの交換台数要件が緩和され、附帯工事も補助対象になるなど、より使いやすい制度となっています。
この記事では、補助金を活用した賢い給湯器リフォームの方法をご紹介します。
※令和7年3月11日時点の情報です。
目次
賃貸集合給湯省エネ2025事業とは?
賃貸集合給湯省エネ2025事業は、賃貸オーナーが省エネ給湯器の交換をする際などに使える補助金制度です。
設置スペースの制約からヒートポンプ給湯機(エコキュート)の導入が難しい既存賃貸集合住宅を対象に、省エネ性能の高いエコジョーズなどの小型給湯器への交換を支援。住宅省エネ2025キャンペーンの一環として実施されます。
住宅省エネ2025キャンペーン
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 先進的窓リノベ2025事業
- 給湯省エネ2025事業
- 賃貸集合給湯省エネ2025事業
目的は、家庭部門の省エネ目標達成を加速させるとともに、エネルギーコスト上昇に強い住宅づくりを推進することです。
1棟あたり1台以上の交換から補助対象となり、工事費用の一部が補助されます。
▼個人の住居の場合は、「給湯省エネ2025事業」を利用することができます。


賃貸集合給湯省エネ2025事業の補助金額
賃貸集合給湯省エネ2025事業では、1住戸につき1台までの給湯器の交換に対して補助金が支給されます。
1台あたりの補助金額は、給湯器の種類と工事内容によって異なります。
追い焚き機能 | 補助金額 |
---|---|
なし | 5万円/台 ※共用廊下を横断してドレンレールを敷設した場合:8万円/台 |
あり | 7万円/台 ※浴室へのドレン水排水(三方弁、三本管(二重管含む))工事の場合:10万円/台 |
ドレン水とは、給湯器が熱を再利用する際に発生する結露水のことで、排水処理が必要です。
共用廊下を横断してドレンレールを敷設した場合や、浴室へのドレン水排水工事の場合、基本額に3万円が上乗せされる仕組みとなっています。
2024年度との違い:附帯工事も補助対象に
2024年からの重要な変更点として、ドレン水に関する附帯工事も補助対象に加わりました。
賃貸集合給湯省エネ2025事業の対象となる給湯器
新しい給湯器への交換を検討する際は、「現在の給湯器」と「交換後の給湯器」の両方が条件を満たす必要があります。
リフォーム前の給湯器:エコジョーズ・エコフィール以外の従来型給湯器
リフォーム後の給湯器:省エネ性能要件を満たした事前登録済みのエコジョーズ・エコフィールに交換する
従来型給湯器では、お湯を沸かすときに大量の排気熱が捨てられていました。エコジョーズやエコフィールでは、その排気熱をうまく活用して効率よくお湯を沸かすことができます。
エコジョーズ
エコジョーズとはガスを使ってお湯を沸かすタイプの高効率給湯器です。
補助金の対象となるのは、給湯のみができるもののほか、自動お湯はりや追い焚き機能を備えたもの、床暖房などの温水暖房機能を備えたものも含まれます。
お湯を沸かすときの熱効率が優れており、性能要件を満たした製品が、補助金の対象です。
種類 | 性能要件 |
---|---|
給湯単能機 | モード熱効率90%以上 |
ふろ給湯器 | モード熱効率90%以上 |
給湯暖房機 | 給湯部熱効率95%以上 |
エコフィール
エコフィールは、灯油を使ってお湯を沸かすタイプの高効率給湯器です。
ガス・電気給湯器と比べてパワフルなため、寒冷地などでよく使われます。
補助金を受け取るには、種類ごとの性能要件を満たさなければなりません。
種類 | 性能要件 |
---|---|
油焚き温水ボイラー | 連続給湯効率95%以上 |
石油給湯機(直圧式) | モード熱効率91%以上 |
石油給湯機(貯湯式) | モード熱効率80%以上 |
貸集合給湯省エネ2025事業の補助金がもらえる条件
補助金を受けるには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。
住宅条件を満たすこと
まずは、お持ちの物件が、補助対象となる賃貸集合住宅であることが必要です。
既存の賃貸集合住宅が主な対象で、区分所有の場合は1棟あたり2戸以上を所有していることが条件となります。
補助対象となる住宅 | 補助対象とならない住宅 |
---|---|
|
|
マンスリーマンションなどの定期借家物件や、社員と直接契約を結ぶ社宅も対象となりますが、借り上げ社宅は対象外です。
店舗併用住宅は、複数の賃貸住戸がある場合に限り、補助対象になります。補助対象となる小型の省エネ型給湯器は、住宅部分で使用するもの、または店舗と兼用するものに限ります。
1棟あたり1台以上の給湯器交換をすること
補助金申請には1棟あたり1台以上の給湯器交換が必要です。
- 2024年度との違い:申請台数要件の緩和
- 2024年度:原則として1棟あたり2台以上の交換が必要
2025年度:1棟あたり1台以上の交換で対象に
工事請負契約orリース契約を締結すること
補助金を受けるには、必ず「工事請負契約」または「リース契約」を締結する必要があります。工事を伴わない機器の販売や無償貸与は対象外です。
ただし、自社所有物件に自社で施工する場合は、別途申請することで補助金の対象となる予定です。
2024年11月22日以降に1台目のリフォームに着手すること
補助金の対象となるのは、2024年11月22日以降に1台目の工事に着手するものです。複数台数をまとめて交換する場合は、1台目の着工日が基準となります。
賃貸集合給湯省エネ2025事業の補助金申請の流れ
補助金の申請から受け取りまでは、以下の4つのステップで進みます。申請の流れを把握して、計画的に進めていきましょう。
流れ1. リフォーム会社を探す
まずは、お住まいの地域でリフォーム会社を探しましょう。
給湯器の交換工事に実績があり、補助金の申請手続きに詳しいリフォーム会社を選ぶのがポイントです。
なお、賃貸集合給湯省エネ2025事業の補助金を活用するには、事業者登録された会社に依頼する必要があります。
適切な会社を見つけるのが難しい場合は、リフォーム見積もりサービスの活用がおすすめです。
補助金が活用できる会社はリフォームガイドで探そう!
- 各会社の得意分野や評判を元に、あなたにぴったりの会社をご紹介します
- ご紹介するのは厳しい審査をクリアしたリフォーム会社のみなので安心です
- 専属のコンシェルジュが日程調整やキャンセル対応までサポートします
流れ2. 工事の契約を締結する
次に、リフォーム会社と工事請負契約を締結します。
この時、補助事業者(リフォーム会社や販売業者等)と共同事業者(賃貸オーナー等)との間で、補助事業の実施や補助金の受け取りに関する取り決め「共同事業実施規約」も必要です。
この規約は公式ホームページからダウンロードでき、交付申請時に提出が求められます。
流れ3. 機器設置工事をする
契約後、2024年11月22日以降に工事を開始します。
スムーズに補助金を受け取るために、工事開始前に交付申請の予約をしておくことをおすすめします。
これにより、予算が確保でき、安心して工事を進められます。
交付申請の予約受付期間
2025年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2025年11月14日まで)
流れ4. 交付申請をする(リフォーム会社が行う)
最後に、工事完了後、リフォーム会社が専用ポータルサイトで申請手続きを行います。
交付申請受付期間
2025年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日までを予定)
流れ5. リフォーム会社に交付された補助金を受け取る
申請内容に問題がなければ、交付決定の通知がきます。
交付された補助金は工事代金に充当、もしくは現金での支払いにより還元されます。
どちらの方法で還元されるかは、「流れ2」であらかじめ確認しておきましょう。
賃貸集合給湯省エネ2025事業でよくあるQ&A
Q.申請期間はいつからいつまで?
交付申請受付は2025年3月下旬以降に、段階的に開始する予定です。申請期間は2025年12月31日までと発表されていますが、予算上限に達すると終了してしまいますので早めに進めましょう。
(申請予約期間は2025年11月14日まで)
Q.既に工事を始めている場合は申請できますか?
2024年11月22日以降に1台目の工事に着手したものであれば申請可能です。ただし、それ以前に着工した工事は対象外となります。
Q.申請は誰が行うことになりますか?
補助金の申請は、工事発注者(賃貸オーナー等)と工事元請事業者(リフォーム会社等)の共同申請となります。
具体的な手続きは、リフォーム会社が代表して行い、補助金の交付を受けます。
Q.空室時も補助金の対象となりますか?
空室時でも補助金の対象となります。そのため、入居者の退去タイミングに合わせて、計画的に給湯器の交換を進めることができます。
Q.補助対象となる製品はどこで確認できますか?
賃貸集合給湯省エネ2025事業の公式サイトやメーカーの公式サイトに掲載される予定です。
また、補助金申請に詳しいリフォーム会社に相談すれば、対象製品の選定についてアドバイスを受けることができます。
まとめ
賃貸集合給湯省エネ2025事業は、賃貸オーナーの方々にとって、省エネ給湯器への交換を後押しする心強い制度です。
2024年度からの変更点として、申請台数要件が緩和され1棟1台以上の交換から対象となったほか、ドレン水の排水工事なども補助対象に加わり、より活用しやすい制度となりました。高効率給湯器への交換により、物件の省エネ性能が向上し、光熱費の削減も期待できます。
ただし、補助金の予算には限りがあるため、給湯器の交換をご検討中の方は、補助金に詳しいリフォーム会社に早めにご相談することをおすすめします。工事の計画から申請手続きまで、プロのサポートを受けることで、スムーズに補助金を活用することができます。