【2025年度】電気代の値上げは続く?今後の動向と有効な対策とは

電気代値上げ

ロシアのウクライナ侵攻などを背景に高騰が続いていた電気代も、ピークを過ぎて落ち着きをみせていますが、電気代が高い状態であることに変わりはありません。電気代の値上げは物価高にもつながるため、そろそろ落ち着いて欲しいものです。

この記事では、電気代が値上がりした主な理由や今後の電気代の動向、電気代を節約するために有効な対策を紹介します。少しでも電気代を含む家計を抑えたいと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。


1. 電気代が値上げされた理由

電気代が値上がりする理由は、主に以下の4つが挙げられます。

電気代値上げの理由

1-1 燃料価格の高騰

電気代が値上げされる主な要因は、燃料費の高騰です。燃料価格が高騰すれば「燃料費調整額」が上昇し、毎月の電気料金に反映されます。「燃料費調整額」とは、火力発電に使用される燃料価格の変動を電気料金に反映させるための制度です。

日本は発電の約75%を火力発電に依存しており、その燃料である天然ガスや石炭などの価格上昇が電気代の値上げに直結しています。なお、日本は発電に必要な燃料のほとんどを、海外から輸入しています。

以下のグラフのとおり、2021年から上昇傾向にあった天然ガスや石炭は、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻に伴ってさらに高騰しました。

 

燃料価格の高騰

データ出典:新電力ネット「天然ガス価格の推移(年次)」「石炭価格の推移(年次)」を元に作成

燃料はほぼ海外からの輸入に頼っていることから、2021年末から続く円安傾向も燃料費の高騰に影響しています。2025年4月時点で1ドル=145円前後と、2020年の為替レートと比較すると約40円も円安が進行しています。

2023年以降は燃料の調達コストが落ち着いてきましたが、高止まりの状態です。

1-2 国内の電力供給不足

国内の電力需要に対して供給が追いついていないことも、電気代が高騰している要因の1つです。

2011年の東日本大震災以降、多くの原子力発電所が停止して電力供給能力が大きく低下しました。原子力発電所は2025年時点で22基停止しており、稼働しているのは11基のみです。資源別の発電電力量の推移を見ると、2010年に発電量が30%を超えていた原子力発電所は、2022年には5.5%まで落ち込んでいます

さらに2010年と比較すると、火力発電(天然ガス・石炭・石油等)も減少しています。これは、老朽化した火力発電所の停止や廃止などが要因です。

資源別発電電力量の推移

出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2024 第2部第1章 国内エネルギーの動向」

以上のように、原子力発電所や火力発電所が減少したことにより、国内の電気需要に対する供給のバランスが崩れている状態です。その結果、電気代高騰に繋がっています。

1-3 再エネ賦課金の上昇

「再エネ賦課金」の上昇も、電気代の値上げにつながっています。

「再エネ賦課金(再生エネルギー発電促進賦課金)」とは、太陽光発電や風力発電などの再生エネルギーを買い取るために必要な費用をまかなう財源として国から徴収されるものです。再生エネルギーの発電コストが、火力発電などの発電コストを上回っているために発生します。

「再エネ賦課金」は電気を利用する人全員が負担する仕組みで、全国一律です。なお、前述した「燃料費調整額」は電力会社ごとで料金が異なります。

直近5年の「再エネ賦課金」を見てみましょう。

年度 「再エネ賦課金」買取単価
2021年度
(2021年5月分~2022年4月分)
3.36円/kWh
2022年度
(2022年5月分~2023年4月分)
3.45円/kWh
2023年度
(2023年5月分~2024年4月分)
1.40円/kWh
2024年度
(2024年5月分~2025年4月分)
3.49円/kWh
2025年度
(2025年5月分~2026年4月分)
3.98円/kWh

2023年はロシアによるウクライナ侵攻などにより燃料価格が高騰したため「再エネ賦課金」は一時的に下落しました。ただし、燃料価格が少し落ち着いた2024年度は「再エネ賦課金」が再び上昇し、2025年度の価格も3.98円/kWhと過去最高値です。

「再エネ賦課金」の上昇も、電気代の値上がりに大きな影響を与えています。

1-4 補助金の終了と新制度の開始

以下の2つも、電気代が値上がりする要因です。

  1. 補助金の終了
  2. 新制度の開始

[1]補助金の終了

電気代の値上げに伴い、2023年より3つの補助金制度が実施されておりましたがいずれも終了し、2025年4月からは再び上昇する見込みとなっております。
ただし、2025月7~9月の間は新たな補助が出ることが決まっています。

これまでに実施された補助金制度の概要は、以下のとおりです。

補助金制度 期間 電気代の補助金額
電気・ガス料金負担軽減支援事業 2025年1~2月使用分 2.5円/kWh
2025年3月使用分 1.3円/kWh
酷暑乗り切り緊急支援 2024年8~9月使用分 4.0円/kWh
2024年10月使用分 2.5円/kWh
電気・ガス価格激変緩和対策事業 2023年1月~8月使用分 7.0円/kWh
2023年9月~2024年4月使用分 3.5円/kWh
2024年5月使用分 1.8円/kWh
電気・ガス料金支援 2025年7月・9月 2.0円/kWh
2025年8月 2.4円/kWh

2025年4月発表の「電気・ガス料金支援」施策では、一般家庭の電気代に2025年7月から9月にかけて、2.0~2.4円/kWhの補助が予定されています。さらに、ガス料金においても利用量に応じた補助が8.0~10.0円/1㎥支給されます。

[2]新制度の開始

「託送料金」の制度が新しくなったことも、電気料金が高騰している要因の1つです。

「託送料金」とは、電気を発電所から家庭や企業に届けるための送配電ネットワークの利用料金を指します。小売電気事業者が送配電事業者に支払うものでしたが、2024年4月使用分から新たに発電事業者にも支払い義務が発生し、電気料金に転嫁されることになりました

「託送料金」による電気代の値上げはエリアによって異なり、値下げした電力会社があるものの、全体的に見ると値上げ傾向です。一般家庭の場合、電力会社別に見た毎月の電気料金への影響は以下のようになります。

電力会社名 影響金額
北海道電力 +62円
東北電力 -24円
東京電力EP -2円
中部電力ミライズ +38円
北陸電力 +7円
関西電力 +65円
中国電力 +27円
四国電力 -3円
九州電力 +23円
沖縄電力 +35円

※月の使用電力量が260kwhの場合の影響金額

影響金額は少ないものの、「託送料金」の制度が変わったことも、電気代の値上げにつながっています。


2. 電気代値上げの今後の動向

2022年に問題となった電気代の高騰は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」などの補助によって抑えられていました。ただし2025年4月現在は終了しているため、再び値上げ傾向になることが予想されます

一般的な家庭で見ると、2025年4月の電気料金は前月と比較して300〜400円程度の値上げとなります。各電力会社でどのくらいの値上げになるのか、表にまとめました。

電力会社名 2025年4月 2025年3月 値上げ幅(前月比)
北海道電力 9,155円 8,854円 +301円
東北電力 8,485円 8,119円 +366円
東京電力EP 8,595円 8,218円 +377円
中部電力ミライズ 8,379円 7,968円 +411円
北陸電力 7,406円 7,112円 +294円
関西電力 7,326円 7,014円 +312円
中国電力 8,103円 7,757円 +346円
四国電力 8,197円 7,864円 +333円
九州電力 7,223円 6,921円 +302円
沖縄電力 9,232円 8,857円 +375円

世界情勢もいまだに安定せず、ウクライナ情勢や円安の影響で燃料費の高止まりが予想されます。また「再エネ賦課金」も2025年度は最高値を更新していることから、今後も電気代はゆるやかに値上がりする傾向ではないでしょうか。

補助事業の拡充や延長がない限り、電気代の負担は増えていく見込みです。


3. 電気代値上げに有効な対策

このまま国による補助事業が再開されない場合、2025年4月以降の電気代の値上がりが予想されます。今のうちに電気代を節約するために有効な対策を実践して、今後の電気代の値上げに備えましょう。

電気代の値上げ対策

3-1 電力会社・電気料金プランの見直しを行う

まず最初に検討したいのは、電力会社や電気料金プランの見直しです。電力自由化により、原則どこの電力会社とでも契約は可能です。各社が提供している電気料金のシミュレータなどで試算を行い、現状よりも安くなる電力会社や電気料金プランへの変更を検討してみましょう。

手軽に電気料金プランを比較検討するには、各社の特徴も含めて解説している記事も参考にするといいでしょう。
「電気プラン乗り換え.com」の電力会社比較記事の例

なお、一部の集合住宅では、建物全体で「高圧一括受電契約」をしていることがあります。その場合は個別で変更できないこともありますので、管理会社や不動産会社に確認してみましょう。

また、電気をあまり使わないご家庭であれば、アンペア数を下げて基本料金を安くする方法もあります。ただしアンペア数を下げると、一度に多くの家電製品を使う際などに、ブレーカーが落ちやすくなるので注意が必要です。

3-2 省エネ性能に優れた家電に買い替える

家電製品を省エネ性能に優れた製品に買い替えることで、電気代の節約を期待できます。調子が悪くなっているような家電があるなら、買い替えを検討してみましょう。

省エネになる買い替えの例
対象機器 アクション エネルギー削減率
冷蔵庫 10年前の商品から買い替える 約28〜35%
照明器具 白熱電球を電球型LEDランプに買い替える 約86%
エアコン 10年前の商品から買い替える 約15%
温水洗浄便座 10年前の商品から買い替える 約8%

出典:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「省エネルギー政策について」

買い替える費用を考慮しても、トータルで考えれば省エネ家電への買い替えは節約につながります。省エネ基準を満たしている製品には「省エネルギーラベル」が表示されているので、家電製品を選ぶ際の目安にしましょう。

なお、各自治体で、省エネ家電購入に対する補助金制度が用意されていることがあります。お住まいの自治体の情報を探して、お得に買い替えましょう。

3-3 無理のない範囲で省エネ行動を行う

エネルギー消費を抑えるという観点では、家電の使い方に配慮することでも電気代を抑えることができます。

省エネになるアクションの例
対象機器 アクション 電気代削減額/年
エアコン 冬の暖房時の室温は20℃を目安にする 約1,650円
フィルターを月に1~2回清掃する 約990円
電気カーペット 設定温度を「強」から「中」にする(3畳用の場合) 約5,770円
テレビ 1日1時間テレビを見る時間を減らす(50V型) 約895円
冷蔵庫 物を詰め込みすぎない(半分程度まで減らす) 約1,360円

(想定電気代: 31円/kWh)

出典:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「省エネルギー政策について」

もちろん、健康を損なうほどの節電を行う必要はありませんが、生活の中でできる範囲の節電を心がけてみましょう。

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3-4 省エネリフォームを行う

省エネリフォームは、消費エネルギーを抑えることによって、光熱費を節約することを目的としたリフォームのことです。
省エネリフォームによって、ガス代も含めた年間の光熱費を約6万円以上も節約できるようになる試算もあります。

温暖地(例:東京) 寒冷地(札幌)
従来の住宅 28万3,325円 39万3,191円
一般的な省エネ住宅 22万2,317円
6万1,008円削減
33万3,174円
6万0,017円削減
高度な省エネ住宅(ZEH基準相当) 15万9,362円
6万2,955円削減
20万8,323円
12万4,851円削減

出典:省エネ住宅消費者普及ワーキンググループ「快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅]

省エネリフォームの例

  • 窓や壁などの断熱性能を向上させる「断熱改修」
  • 高効率な設備や自家発電システムを導入するリフォーム

また、省エネリフォームは一定の要件を満たすことで補助金制度を利用できます。
たとえば「先進的窓リノベ事業」では、窓の断熱改修などに対し、1箇所あたり55,000円~183,000円が補助されます。そのほか、エネファームやエコキュートを設置する住宅に対し、1台あたり最大20万円を補助する「給湯省エネ事業」などもあります。設備の入れ替えやリフォームを検討する場合は、補助金制度を活用してお得にリフォームしましょう。
省エネリフォームについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

省エネリフォームの基礎知識|工事の種類・補助金について
省エネリフォームの基礎知識|工事の種類・補助金について
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なお、リフォームの補助金には、登録事業者が実施した工事しか対象にならないものもあります。補助金事業のwebサイトから登録業者を探すか、リフォームガイドに事業登録のある優良会社の紹介をご依頼ください。
回答

4. まとめ

電気代の高騰は今後も続く可能性があります。家電の買い替えや省エネリフォームには費用がかかりますが、トータルで考えれば節約になるうえ、快適な住環境も手に入ります。電気は生活に欠かせないものなので、費用対効果の大きい対策を行い、今後の電気代高騰に備えましょう。

リフォームガイドでは、省エネリフォームが得意な優良会社を紹介しています。補助金事業への登録状況を踏まえた紹介もできますので、まずはお気軽にご相談ください。

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