
電気代の値上がりや災害への不安から、家庭用蓄電池を検討している方は多いのではないでしょうか。
またFIT制度の終了に伴い、太陽光発電の活用方法に悩んでいる方もいるかと思います。
今回は家庭用蓄電池をテーマに、家庭用蓄電池のメリットやデメリット、費用相場などを紹介します。
同時に補助金制度も解説するので、家庭用蓄電池の購入を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
1.家庭用蓄電池は必要?メリットは災害時の備えと電気代節約
家庭用蓄電池の大きなメリットは、「災害時への備え」と「電気代の節約」の2つです。
家庭用蓄電池はこれまで災害時の備蓄目的で販売されていることが多かったのですが、昨今の電気代高騰を受けて、電気代の節約を目的に導入する人も増えています。
蓄電池は利用方法によっては電気代の節約につながることもありますので、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
①災害時・停電時も電気が使える
家庭用蓄電池に貯めた電気は、停電になった際でも利用可能です。地震や台風といった災害で停電が起こってもいつもどおり家電を使えるので、災害時の心強い味方になるでしょう。
蓄電池をフル充電した状態でどれくらい長く電気を使えるかは、蓄電池の容量や機種によって異なります。例えば容量5.6kWhの蓄電池であれば、冷蔵庫やLED照明、テレビが約16~72時間以上使えるといわれています。
② 電気代を節約できる
家庭用蓄電池による電気代の節約方法は、「深夜の電力を活用する」「太陽光発電を利用する」の2種類があります。
電気代は昼間よりも深夜帯の方が安いため、電気代が安い夜の間に家庭用蓄電池に電気を蓄え、日中に充電した電気を活用すれば、電気代を抑えられます。
また、太陽光発電を導入しているなら、昼間に発電した電気を蓄電池に蓄えて効率よく使い、電気代を節約することが可能です。
太陽光発電を導入した当時は、固定価格買取制度(FIT)で安定して売電ができていましたが、10年間の固定価格買取期間が終了し、買取価格が安くなってしまうケースが増えています。発電分を自宅で消費すれば、太陽光発電装置を上手に活用できるでしょう。
2.家庭用蓄電池設置の注意点
家庭用蓄電池を設置する際、いくつかのポイントがあります。
家庭用蓄電池の導入前に注意点を確認しておきましょう。
①設置費用・設置場所が必要
家庭用蓄電池は、高温や湿気に弱いというデメリットがあります。設置場所は慎重に決めるようにしましょう。
通気性の良い場所であれば、湿気がこもらず結露が発生しません。温度が25℃以下を保てる場所が理想的なので、直射日光のあたらない場所が望ましいです。
また、家庭用蓄電池が設置できるスペースがあるかチェックしておきましょう。スペースの目安として、幅:約80cm、高さ:約100cm、奥行:約40cm程度が必要とされています。
家庭用蓄電池の設置場所の注意点
<屋内の場合>
- 搬入や設置作業をする際にも十分なスペースがある
- 床の耐荷重に問題がない
- 温度・湿度が上がりやすいお風呂場近くは避ける
- 稼働音があるので、寝室近くは避ける
<屋外の場合>
-
- 直射日光が当たりやすい建物南側を避ける
日光が当たる場合は日除け板の導入もおすすめ
- 直射日光が当たりやすい建物南側を避ける
家庭用蓄電池の導入の際は業者に設置場所を相談できるので、具体的な場所がわからなくても心配ありません。
また、家庭用蓄電池の導入には、初期費用がかかります。
蓄電池の価格は年々下がりつつありますが、それでも導入費用は200万円程度が相場といわれています。
メーカーや家庭用蓄電池の機器、容量、プランによって費用は異なるので、導入前によく確認しておきましょう。
②充電回数が有限で寿命がある
家庭用蓄電池には寿命があり、充電や放電の耐久回数や使用回数の限度は機器ごとに決まっています。
使用回数が増えるごとに蓄電池の内部は劣化していくので、耐久回数が限度に達した際は交換が必要になります。
いずれ買い替えなければならないことも、念頭に入れておきましょう。
3.家庭用蓄電池の設置価格・費用相場
家庭用蓄電池は基本的に容量が大きく、性能が高い機器ほど価格が高くなります。しかしその分性能も良くなるため、コストとスペックのバランスを見ながら選ぶと良いでしょう。
設置工事費用の相場は20万~35万といわれており、そこに家庭用蓄電池の価格がプラスされるイメージです。工事費用と本体価格を合わせた相場を以下にまとめました。
容量 | 参考費用 (本体価格+工事費) |
---|---|
1kWh | 20万~40万円 |
5kWh | 100万~200万円 |
7kWh | 140万〜280万円 |
家庭用蓄電池の容量は5kWh~7kWhのものが多く、人気です。この容量の蓄電池であれば、リーズナブルなものだと大体160万円以内に収まると考えられます。
また、補助金対象の機器を選べば、さらに初期費用を抑えることが可能です。


4.家庭用蓄電池の補助金制度
家庭用蓄電池の補助金制度は、「国からの補助金」と「自治体からの補助金」の2種類あります。それぞれの特徴は以下の通りです。
補助金提供元 | 補助金名称 | 詳細 |
---|---|---|
国(環境共創イニシアチブ) | DR補助金 | 下記4点をクリアすれば上限60万円の補助金を受けられる。
|
国(環境共創イニシアチブ) | DER補助金 | 下記4点をクリアすれば上限60万円の補助金を受けられる。
|
各都道府県の自治体 例:東京都 |
災害にも強く健康にも資する 断熱・太陽光住宅普及拡大事業 (東京都) |
東京都が提示する条件をクリアすれば 15万円/kWh(最大で120万円/戸)の 補助金を受けられる。(東京都) |
※2024年5月時点の情報です
DR補助金は初期費用の上限がDER補助金よりも高いため人気で、早い段階で予算が上限に達し受付を締めきってしまいます。
DER補助金を受けたい方は、受付開始時期などの情報をこまめにチェックしておきましょう。


5.家庭用蓄電池の選び方|寿命(耐用年数)/容量
家庭用蓄電池を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。
①寿命
家庭用蓄電池は基本的に充電と放電の回数に上限があり、上限に達すると交換が必要になります。充放電の限度は蓄電池の機器やメーカー、設置場所の環境によって変わります。
一般的に家庭用蓄電池の耐用年数は10~15年程度といわれていますが、機器によっては5~6年ほどで寿命が来てしまう場合もあります。
また寒冷地に対応していない、塩害のある地域では使えない蓄電池もあるので、住んでいるエリアの環境に合った製品を選ぶようにしましょう。
メーカーの製品保証は大体10~15年ほどが多く、保証期間内であれば無償や格安で交換してくれるところが多くあります。家庭用蓄電池を選ぶ際は、こうした機器ごとの充放電サイクルやメーカーの保証対応を確認しておきましょう。
蓄電池を長持ちさせるには?
蓄電池を長持ちさせるには、充放電のサイクル回数を減らし、本体やシステムにかかる負荷を減らす方法が有効です。
蓄電池の充放電サイクルは、0%から100%に充電し、また0%になるまで放電する動作を1回とカウントします。充電を頻繁に行うことで蓄電池の寿命を伸ばすことができます。
②容量
家庭用蓄電池は容量が大きいほど使える電気量も増えますが、その分価格も高くなります。蓄電池を選ぶ際は、貯めたい量と使いたい量のバランスをみて決めると良いでしょう。
また家庭用蓄電池の多くは過剰な充放電を防ぐため、電気残量が100%や0%にならないよう制御されています。蓄電池に記載されている容量よりも実際に使用できる電気量は少ない傾向があるので、その点も考慮して選ぶようにしましょう。
6.太陽光発電と組み合わせれば効率的な電力消費に
かつて太陽光発電の活用方法として、電力会社への電気の売却が注目されていました。
これには「FIT制度」と呼ばれる、一定期間電力会社が固定価格で電力を買い取ることを国が義務付けた制度が背景にあります。
しかし2019年以降、FIT制度の契約期間が続々と満了になっています。それに伴い、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電力消費の方法にスポットが当たるようになってきました。
家庭用蓄電池は災害時への備えのほかに、電力消費の効率化というメリットがあります。太陽光発電で生まれた電気を蓄電池に貯めておくことで、電力会社の利用を最小限に押さえた生活が可能になるのです。日々の電気代が抑えられれば、家計の負担もいくぶん軽くなるでしょう。
家庭用蓄電池の特徴やポイントをよく理解し、上手に太陽光発電と併用してみましょう。