
マンションの玄関でよくある悩みは、「暗くて狭く感じる」「収納が足りない」などの広さと収納量に関するもの。
広くて収納がある玄関へとリフォームすれば、使い勝手がよくなるだけではなく、来客時の印象もぐっとよくなります。
しかし、費用面も気になるところです。
そこで本記事では、玄関リフォームにかかる費用や工事前に知っておきたい注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
1.マンションの玄関ドアはどこまでリフォームできる?
「せっかくリフォームするなら、玄関ドアも新しくしたい」と考えるかもしれませんが、マンションでは玄関ドアの交換は原則としてできません。
なぜならマンションは個人に所有権がある『専有部分』と、住民全員のものとして扱われる『共用部分』にわかれており、自由にリフォームできるのは専有部分のみだからです。
ほかにも管理規約によって、たとえ専有部分であっても工事内容に制限が出ることもあります。まずは玄関ドアのリフォーム制限について、頭に入れておきましょう。
1-1.玄関ドアの“外側”は共用部なので原則変更はNG
玄関ドアは室内側(内側)は専有部分、廊下側(外側)は共用部分として扱われます。
そのため外側部分にあるドア枠やクローザー、ドアスコープなどは、勝手に色を変えたり交換したりすることは原則としてできません。
1-2.管理組合の許可が出ればドアを交換できるケースも
稀なケースではありますが、管理組合の承認が得られれば玄関ドア本体を交換できるケースもあります。ただし、申請時にはリフォーム会社が作成した書類や仕様書、工事内容の詳細の提出が求められる場合があるため、申請手順と内容を事前に確認しておきましょう。
1-3.ドア内側のリフォームは基本的にOK
玄関ドアの内側(室内側)は専有部分にあたるため、その部分のみならリフォームは可能です。たとえば、内側部分のみの塗装やシート貼りによるデザインチェンジ、断熱性を高める効果があるシートやパネルを貼ることもできます。
費用を抑えながらも、見た目や性能の変化を実感できるでしょう。
2.マンションの玄関リフォームでできること
マンションのリフォームにはさまざまな制限がありますが、その中でもできる工事は意外とあります。可能な範囲を知っておけば、リフォームの選択肢がぐっと広がります。
2-1.玄関を広くする
リフォーム時に間取りを見直せば、玄関スペースを広くできます。
たとえば、玄関横の部屋を部分的に解体して土間やシューズクロークにすることや、廊下との仕切りをなくして室内に一体感を出すことも可能です。
ただし、壊したい壁が耐力壁(建物の強度を保つための壁)になっている場合は解体できないので、マンションの構造によっては間取り変更に制限が出る可能性があります。
その点も含めて、リフォーム会社に相談するとよいでしょう。
2-2.収納スペースを見直す
玄関の広さを変えずに収納量を増やしたいときには、シューズボックスの新設・増設や壁面収納の設置がおすすめ。
近年とくに人気を集めているのは、壁に造作棚を取り付ける『オープン収納』です。扉がないので圧迫感がなく、靴をサッと出し入れできます。
また、玄関を視覚的に広く見せたいときには、シューズボックスに鏡付きの扉を取り付けるのも効果的です。
2-3.玄関まわりの印象を変える
玄関ドアは交換できませんが、室内側の壁や床材、天井なら自由にリフォームできます。
たとえば床材をタイルやコンクリート調のデザインにしたり、間接照明や人感センサー付きライトを取り付けたりするなど、照明を工夫することもできます。
内装を少し変えるだけでも室内の印象が大きく変わるので、気軽に模様変えをしたい方におすすめです。
2-4.バリアフリーで安心・快適な玄関にする
専有部分は自分たちで自由にリフォームできるので、玄関部分の段差をなくしたり、手すりを設置したりして、室内をバリアフリー化することも可能です。
明るい照明や人感センサーの設置も、安全性の向上につながります。
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3.マンションの玄関リフォームの費用相場
リフォームを考えたときに気になるのが、費用面と工期ではないでしょうか。
ここでは、工事内容ごとの目安を説明します。
| 工事内容 | 費用相場 | 工期目安 |
|---|---|---|
| 内装(壁・床・天井)の交換 | 5~10万円 | 半日~5日 |
| 照明の交換 | 1~5万円 | 数時間 |
| 玄関の拡張(土間の新設など) | 30~100万円 | 数日~1か月 |
| 収納の新設・増設 | 5~50万円 | 1~2日 |
| 玄関ドア内側部分の塗装・シート貼り | 2~6万円 | 数時間 |
| バリアフリー化 (手すり、スロープの設置など) |
2~20万円 | 半日~1週間 |
内装や照明の交換、ドアの内側部分のリフォームなどは、数万円でできる場合がほとんどです。高くても、10万円前後で済むでしょう。
一方、玄関の拡張や収納の新設・増設、バリアフリー化などは施工範囲や方法によって大きく費用が異なります。
たとえば、シューズボックスを新設するだけなら数万円から数十万円で工事できる場合もありますが、間仕切りの解体や土間の新設工事には100万円近くかかることも。
予算を考えるときには、リフォーム会社に希望を伝えたうえで、一度簡易的な見積もりを作成してもらうことをおすすめします。
4.マンションの玄関リフォームで失敗しないためのポイントと注意点
マンションの玄関をリフォームするときは、管理規約の制約や他のスペースとの兼ね合いなど、戸建てとは違ったポイントに注意しなくてはなりません。
ここでは、玄関リフォームで失敗しないために押さえておくべきポイントを説明します。
4-1.管理規約の確認は必須
『管理規約』はマンションの住人が快適に暮らせるように定められたルールのことで、内容はマンションごとに若干異なります。
専有部分や共用部分の扱いやリフォームが可能な範囲、事前申請の必要性などに関しても細かく記載されているので、工事前に必ず確認してください。
工事を始めてから「実は許可が必要だった」「禁止されているリフォームだった」となると、工事の中断や原状回復を求められる可能性があります。
必要な手続きを必ず行っておきましょう。
組合に直接確認を!
管理規約に明記されていない内容でも、管理組合の判断が必要な場合があります。とくに壁の解体や土間の新設などは制限が出るケースもあるため注意が必要です。
規約を見るだけではなく、組合に直接確認することをおすすめします。
4-2.マンションの構造上不可能な間取り変更がある

マンションの共用廊下側にはMB(メーターボックス)という、水道メーターや電気メーターなどが設置されている場所や、室内にはPS(パイプスペース)と呼ばれる上下階で繋がっている配管が通る空間があります。
これらはいかなる場合でも動かすことはできないため、希望のリフォームが構造上不可能な場合があることも念頭に置いておきましょう。
特に玄関リフォームの場合はMB(メーターボックス)が玄関と隣り合っていることが多いため事前に間取りを確認しておくといいでしょう。
4-3.近隣への配慮を忘れずに
玄関まわりの工事は、音や振動が近隣に伝わりやすいので近隣住人への配慮が欠かせません。トラブルを避けるためには、工事日程と内容の連絡はもちろん、挨拶回りまで行うことをおすすめします。
また、工事車両の駐車場所についても管理組合と相談し、他の住民に迷惑がかからないよう注意しましょう。
4-4.日常生活への影響を見越して計画を
玄関のリフォーム中は出入口が一時的に使えなくなるので、工期によっては日常生活に影響が出る可能性があります。
とくに玄関の拡張や壁の解体、土間の新設を伴う工事は期間が長くなるため、その間の過ごし方まで計画しておいたほうがよいでしょう。
あらかじめスケジュールを確認し、無理のない工期を組むことが重要です。
4-5.マンションリフォームに慣れた業者を選ぶ
ここまで説明したように、マンションリフォームにはさまざまな制限があります。
構造や管理規約によって「できる工事」「できない工事」も出てくるので、その部分をしっかりと理解し、リフォーム方法を提案してくれるリフォーム会社を探すことが重要です。
マンションリフォームに慣れている業者なら、専有部分と共用部分の線引きはもちろん、申請が必要な工事内容や申請手順まで把握しているので、管理組合とのやり取りもスムーズです。
玄関リフォームの施工実績がある業者だと、なおよいでしょう。
5.マンションの玄関リフォームで使える補助金・介護保険
マンションの玄関をリフォームするときには、補助金や介護保険の対象になる可能性があります。主に対象となるのは、手すりの設置、段差解消、滑りにくい床材への変更など住宅のバリアフリー化を目的とした工事です。
また、補助額が大きい省エネ補助金では断熱リフォームも補助金の対象となりますが、それらの主な要件は「断熱性が高い玄関ドアへの交換」。そのため、マンションでは対象外となる場合がほとんどです。
玄関ドアのリフォームで使える補助金について説明した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。


6.マンションの玄関リフォームの事例紹介
マンションでも玄関リフォームの方法はたくさんあるとわかりましたが、実際にどのようなリフォームが人気なのかも気になるところ。ここからは、実際にマンションの玄関をリフォームした人の事例をいくつか紹介します。ぜひ参考にしてください。
収納の増設と玄関ドアの内側にシールを貼ってリニューアル
シューズボックスをサイズアップした事例です。
リフォーム前はマンションでよく見るコンパクトなシューズボックスでしたが、リフォームを機に床から天井まである大容量タイプを設置。鏡付きで身だしなみチェックができるのはもちろん、空間を広く見せる効果もあります。
玄関ドアの内側には大理石風のシートを貼り、昭和チックな印象から、モダンな空間へと一新しました。
クロスを変えたことで玄関の雰囲気を一新
玄関の壁紙を貼り替えて、空間の印象を一新した事例です。
リフォーム前はシューズボックスのデザインもあり、アンティーク調な玄関でしたが、模様替えのためにウッド調の壁紙へと交換。壁面に視覚的なアクセントができたことで、アジアンリゾート風の印象にがらりと変わりました。
このように、内装材を部分的に交換するだけでも、空間の印象を大きく変えることができます。費用を抑えたいときには、部分的なリフォームもおすすめです。
玄関のシューズボックスを高さのあるものに変えて収納力UP

出典:リフォームガイド
コンパクトだったシューズボックスを、壁一面の大容量タイプへと交換した事例です。
床から天井までがすべて収納スペースになったので、靴はもちろん、アウトドア用品まで収納できるようになりました。
玄関に余分な空間があるときには、その部分を収納スペースにするだけで収納量を大きく増やすことができます。
7.まとめ
マンションの玄関をリフォームすれば、狭さや暗さ、収納不足など日常の小さな不満が解消できるだけではなく、室内へと入ったときの印象までがらりと変えることができます。
内容によっては数万円から気軽にリフォームできるので、ぜひ今回紹介した内容を参考に、工事を検討してみてください。
ただし、マンションには共用部分や管理規約による制限があるので、必ずしも自分たちの好きなようにリフォームできるとは限りません。
まずはリフォーム会社に相談し、自分たちのマンションで「できること」「できないこと」を確認するところから始めましょう。
そのパートナーを探す際には、ぜひ『リフォームガイド』をご活用ください。
お客さまの希望や予算をもとに、専属のコンシェルジュが優良業者のみを複数社紹介し、相見積もりまでしっかりとサポートいたします。












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