
玄関周りは段差の多い場所なので、バリアフリーリフォームをお考えの方も多いのではないでしょうか。
ここでは、玄関の外・中の段差解消をはじめ、考えたいバリアフリーリフォームを費用や事例とともに解説します。
目次
1.玄関のバリアフリーリフォームの内容・費用
玄関のバリアフリーリフォームのポイント、費用などを詳しくお伝えします。
リフォーム項目 | 費用 |
---|---|
スロープの設置(外のアプローチ部分) | 10万円~(1mあたり) |
式台の設置 | 10万円程度 |
踏み台の設置 | 3万円程度 |
手すりの設置 | 3万円~(1箇所あたり) |
ドアの交換(開き戸から引き戸へ) | 15万円~(ドアの種類による) |
ドアの交換(開き戸の開く向きを変える) | 3万円~(ドアの種類による) |
ドアの拡張 | 30~60万円程度(できない場合も) |
照明の設置 | 3万円程度 |
モニター付きインターホンの設置 | 3万円程度 |
電気錠の設置 | 2~3万円程度(商品代) |
腰かけ椅子の設置 | 6万円~ |
滑りにくい床材に変更 | 8万円程度 |
※金額については、家の状況や設置する物の内容によって変わってきます。
スロープの設置(外のアプローチ部分)
一般的にスロープの長さは、高さ(段差)の約8倍以上必要だと認識しておきましょう。スロープの長さの理想の目安は以下の通りです。
- 車いすを押してもらう場合…1ⅿの段差に対して12mのスロープ
- 自走の場合…1mの段差に対して15mのスロープ
ただし車いすの種類やスロープ利用者によって、上記の数値が当てはまらないこともあります。目安ですので、実際に使う人に合った勾配や長さを設置しましょう。
式台・踏み台の設置
上がり框に「式台」や「踏み台」を置くことで大きな段差を小さく軽減することができます。手すり付きの式台もあり、段差や玄関の状況にあったものを選ぶことが大切です。
理想の段差は、100㎜〜180㎜程度です。式台と下地をしっかり固定し、転倒等の事故が無いようにしましょう。
手すりの設置
玄関は靴を脱ぐ際や、ちょっとした段差を上がる際など、バランスを崩しやすい場所です。手すりがついていると安心ですし、転倒する危険も回避できます。
手すりは使う人の手の動作に合わせ使いやすい位置につけること、壁の下地をしっかり作ることが何より重要です。
ドアの拡張・引き戸への改修
玄関のドア幅を広くすることや、開き戸を引き戸にすることもバリアフリーになります。
ドア幅は750㎜以上あると、歩行器や車いすでの出入りが楽になります。
引き戸は歩行器や車いすでも自力でドアの開閉することが可能ですし、開けたドアが出入りに邪魔になることもありません。
また、段差解消のために引き戸の下レールをなくした吊り引き戸に変更することも可能です。
センサー付き照明の設置
暗闇で電気スイッチを探しに行かなくて済むよう、人感センサー付きの自動点灯照明を設置することもおすすめします。防犯対策にもなりますし、節電にもなります。
モニター付きインターホンの設置
高齢で一人暮らしの方などはインターホンの設置は必須といえます。悪質な勧誘やセールスも多いので、防犯対策の意味でもぜひ設置しましょう。
最近では録画機能がついたものやカメラの死角ができないよう広範囲を映すカメラもあります。
電気錠の設置
リモコンなどを使い、遠隔操作で玄関ドアの鍵の開閉ができます。インターホンで相手をしっかり確認し、友人や家族であれば居間などから鍵を解除できます。
玄関まで出向く動作に時間がかかったり、苦痛をともなう方におすすめです。
腰掛椅子の設置
玄関に腰掛椅子を設置すると、靴の脱ぎ履きの際、安定した体勢で行うことができ、安全につながります。また、荷物が多い時などはちょっとした荷物置きになります。
滑りにくい床材に変更
雨の日等の玄関回りは濡れてしまいます。雨の日でも、水がすぐ乾き、滑りにくい床材に変更することをおすすめします。
床材の表面がざらざらしていると滑りにくいですが、ざらざらしすぎると掃き掃除や拭き掃除がしにくくなります。適度なざらつきで滑りにくく掃除しやすいものを選びましょう。
2.玄関のバリアフリーリフォームの事例
玄関まわりのバリアフリーリフォームをした事例を紹介します。
開き戸から引き戸にリフォーム


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/475
玄関を引き戸に変えるほか、手すりも付けて車いすでの生活に対応できるようにリフォームしました。
玄関アプローチのバリアフリー工事
※横にスクロールできます


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/114
玄関アプローチに、手すりの設置と、スロープや車いす用通路などに使用される滑りにくいタイルを敷いた事例です。
将来車いすを使用することになった時のことを考慮し、通路幅を広めにとっています。施工費用は52万円かかりました。
3.玄関のバリアフリーリフォームで使える補助金・助成金
介護保険の住宅改修費支給制度を使えば、20万円を限度額として、14~18万円の給付を受けることができます。
住宅改修の種類は下記のとおりです。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
玄関ポーチや、玄関から道路までの屋外工事も対象となります。
参考資料:介護保険における住宅改修|厚生労働省
自治体独自に住宅リフォームに関する助成金を用意している場合もあります。お住まいの都道府県や市区町村のホームページや窓口で調べてみるとよいでしょう。


また2024年度は子育てエコホーム支援事業という国が実施する事業があり、断熱に関する住宅改修と同時におこなうバリアフリーリフォームであれば、補助対象となります。
例えば、玄関ドアを改修するにあたり、断熱仕様の玄関ドアにすれば、どちらの工事に対しても補助が受けられます。




4.まとめ
玄関まわりのバリアフリーリフォームについて、費用を含めて解説しました。住む方の身体状況はもちろんのこと、将来も考えてリフォームの計画をしましょう。
また補助金・助成金制度を活用すると、お得にリフォームができます。ご自身のリフォームで使えるものがあるかを事前に調べておくとよいでしょう。
最後に、バリアフリーリフォームは、設計から施工まで専門知識が必要な分野です。そのため、リフォーム会社選びは非常に重要になります。リフォーム会社選びでお困りの際は、リフォームガイドをぜひご利用ください。