
民泊経営には、建物のリフォームや各設備の導入など、まとまった資金が必要です。民泊経営を始めたいけれど、初期費用の高さがネックという方は多いのではないでしょうか。
民泊経営を考えている、または始めたばかりという方におすすめしたいのが、補助金や助成金の利用です。補助金・助成金にはさまざまな種類があり、政府や地方自治体が主体となって進めています。
今回は民泊リフォームで活用できる補助金や助成金制度について、詳しく解説します。補助金が採択されやすくなるポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.民泊経営のリフォームで利用できる補助金・助成金制度
民泊経営のリフォームで利用できる補助金や助成金制度として、主に以下の5種類が挙げられます。
- 事業再構築補助金(成長枠)
- 事業再構築補助金(コロナ回復加速化枠)
- 小規模事業者持続化補助金(一般型)
- 宿泊施設サステナビリティ強化支援事業
- 地方自治体による改修時の補助金
1から4までは政府の公募による助成金制度で、5は地方自治体による補助金制度です。それぞれの制度を詳しく見ていきましょう。
1-1.政府の公募による補助金
政府の公募による補助金制度は、「事業再構築補助金(成長枠)」「事業再構築補助金(物価高騰対策・回復再生応援枠)」「小規模事業者持続化補助金(一般型)」「宿泊施設サステナビリティ強化支援事業」の4つです。
[1]事業再構築補助金(成長枠)
「事業再構築補助金(成長枠)」とは、成長分野の事業再構築を目指す企業を対象に、事業の発展や業務転換のために政府が支援する補助金です。かつては売り上げが減少していることが適用条件の1つに入っていましたが、現在は撤廃されているため、ほとんどの事業者が申請できます。インバウンド向けの民泊事業のもっともベーシックな補助金制度といえるでしょう。
事業再構築補助金(成長枠)の特徴は、建物も補助対象な点です。一般的に、費用がかさむ建物は補助金の対象外になっていることが多いのですが、事業再構築補助金(成長枠)は建物を含め機械装置費やシステム構築費、広告宣伝費など、幅広い費用が助成対象となっています。
事業再構築補助金(成長枠)の補助率は中小企業で1/2、上限金額は従業員数によってが決められており、20名以下で1500万円です。対象は「事業者」で個人は対象外ですが、法人格で物件を保有している場合は活用を検討してみましょう。
[2]事業再構築補助金(コロナ回復加速化枠)
事業再構築補助金には、業況が厳しい事業者や物価高騰などの影響を受ける中小企業を対象に、事業再生や再構築を政府が支援する枠もあり、令和5年までは「物価高騰対策・回復再生応援枠」としていましたが、令和6年4月の第12回公募から、ポストコロナの事業回復に重点をあてた「コロナ回復加速枠」として見直しがされました。
コロナ回復加速枠は「通常類型」と「最低賃金類型」の2種類に分かれ、民泊経営の場合は「通常類型」への申請となります。
「コロナ回復加速枠」は補助対象経費に建物費や加工・設計などの外注費が含まれます。インバウンド向けでなくても申請可能なので、国内旅行者向けの民泊を経営したい人にもおすすめです。
通常類型の補助率は中小企業で2/3、上限金額は従業員数で決められており、5人以下の場合1,000万円です。
[3]小規模事業者持続化補助金(一般型)
「小規模事業者持続化補助金(一般型)」とは、小規模事業者を対象に、自社の持続的な経営に向けた販路開拓や生産性向上への取り組みを政府が支援する補助金制度です。
小規模事業者持続化補助金(一般型)は従業員数に制限があり、宿泊業の場合は従業員数が20名以下の場合のみ申請できます。通常型は上限金額が50万円で、補助率は2/3です。事業再構築補助金に比べると少額ですが、採択率が50~70%と高い点が魅力です。
小規模事業者持続化補助金の補助対象に建物は入っていません。民泊リフォームに使えそうな対象として、借料や設備処分費、委託・外注費などがあります。
[4]宿泊施設サステナビリティ強化支援事業
「宿泊施設サステナビリティ強化支援事業」とは、宿泊事業者を対象に、宿泊施設の省エネ設備などの導入を支援する補助金制度です。訪日旅行者の増加を受け、宿泊施設のサステナビリティ強化を目的としてつくられた補助金制度なので、民泊経営にぴったりといえるでしょう。
補助金の上限金額は1,000万円で、補助率は1/2となります。省エネ型空調や省エネ型ボイラー・配管、太陽光発電・蓄電設備などが対象です。そのほかにも省エネに必要な設備や備品であれば補助対象なので、詳しい内容は観光庁のホームページを確認しましょう。
1-2.地方自治体による改修時の補助金
地方自治体によっては、施設の改修などに利用できる補助金制度を用意しているところもあります。
例として、金沢市と赤穂市の補助金制度を見ていきましょう。
[1]金沢市|宿泊施設改修事業費補助金
石川県の金沢市には、宿泊施設を対象とした補助金制度があります。おもてなしや利便性の向上を目的とした改修工事の経費を補助するもので、上限は500万円、補助率は1/2です。ただし、補助対象経費が10万円以下の場合は対象外となります。
補助金の支給対象となる工事は、建物や設備の改修のほかに無線LANの設置工事やスマートロック、デジタルキーの導入工事なども含まれます。
[2]赤穂市|古民家再生促進支援事業補助金
高齢化や人口減少によって空き家の増加が懸念される中、国土交通省は2014年11月に「空き家再生等推進事業」を制定しました。これは自治体が民間事業者と連携し、空き家の活用や除却に対する支援として補助金を支給するものです。
兵庫県の赤穂市では、この「空き家再生等推進事業」の一環として「古民家再生促進支援事業補助金」という補助金制度を用意しています。空き家となった古民家を改修し、宿泊施設や賃貸住宅として再生する場合、改修にかかった費用に応じた補助金が支給されます。
改修にかかった費用 | 補助金額 |
---|---|
500万円以上1,000万円未満 | 250万円 |
1,000万円以上 | 333万円 |
※その他歴史的価値のある建築物などでは補助金額が変わります。
赤穂市以外にも、古民家の再生に補助金を支給している自治体はあります。古民家をリフォームして民泊経営を始めようと考えている人は、自治体のホームページを確認してみましょう。
2.民泊のリフォームに関する補助金・助成金で採択されやすくなるポイント
民泊リフォームに関する補助金・助成金は、審査を通らないと受けることができません。ここでは、補助金・助成金審査に採択されやすくなるポイントを、実際に民泊物件の開発やコンサルティングを行っている、株式会社One Note田村さんに伺いました。
株式会社One Note 田村浩彦
沖縄県で民泊事業を行う、株式会社One Noteの営業統括部長。民泊運営代行物件の新規開拓、開業コンサルティング、不動産売買仲介等を行う。特に宮古島など離島での物件開拓に注力し、物件選びから運営まで手厚いサポートを提供している。
- 書類の形式や要件を守る
- 期限に余裕を持って申し込む
- 補助金・助成金の目的と申請目的が一致した事業計画になっている
こういった申請に慣れていないと、なかなか難しそうですね…。
3.まとめ
民泊リフォームを行う際は、国・政府主体の補助金や地方自治体の助成金など、各種制度を利用すると費用を抑えられます。
補助金・助成金の申請を通すには、形式や要件に沿った必要書類の準備や、事業計画書の内容を充実させることが大切です。初めての申請では、補助金・助成金の申請に慣れた民泊コンサルタントやリフォーム会社にサポートを依頼すると良いでしょう。
リフォームガイドなら、各種補助金に詳しいリフォーム会社を探すことができます。民泊リフォームを検討中の方は、ぜひリフォームガイドをご活用ください。