【2025年度版】耐震工事・リフォームに使える補助金は?条件や申請の流れを確認

築年数が経って家が古くなるにつれ、住まいの耐震性に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。あるいは、耐震診断の結果が悪く、リフォームの必要性を感じている方もいるでしょう。

耐震リフォームを行う際に、ぜひ活用したいのが補助金制度です。各自治体が運営する補助金制度では、耐震リフォームにかかった費用の何割かが交付金として戻ってきます。

今回は耐震リフォームの補助金をテーマに、補助金制度の概要をわかりやすく解説します。耐震リフォームに対する減税措置や融資制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。


1.耐震工事・リフォームに活用できる補助金制度

耐震リフォームに活用できる補助金制度は、基本的に自治体が運営しているものがほとんどです。

ここでは、耐震リフォームに活用できる補助金制度の例を挙げながら、要件や補助金額の相場などの基本的な情報を解説していきます。

1-1.【2025年度】自治体における耐震リフォーム補助金の例

まずは、各自治体にどのような補助金制度があるのかを見ていきましょう。

4つの自治体を例に、耐震リフォームに対して設けている補助金制度の要件や割合、限度額を以下にまとめました。

①東京都渋谷区

【助成条件】

  • 建物所有者が居住する木造住宅
  • 渋谷区の耐震診断の結果、評点が1.0未満と判定された住宅
  • 渋谷区が派遣した耐震診断コンサルタントが、補強設計及び工事監理を行う

【補助率】

高齢者等以外の住宅:耐震(簡易)改修工事費の5割
高齢者等の住宅:工事費が50万円以内の場合は全額、50万円を超えたときは超えた額の⅔を加えた額

【限度額】

高齢者等の住宅以外の木造住宅:100万円
高齢者等の住宅:150万円

【工事施工者】要件なし

②静岡県静岡市

【助成条件】

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅
  • 補強後の評点 1.0 以上
  • 補強前後の評点が+0.3 以上

【補助率】補強計画+補強工事にかかる費用の8割

【限度額】100万円

【工事施工者】

  • 静岡市木造住宅耐震事業 業者紹介リストに掲載されている工事業者
  • 知り合いの建築士や業者に依頼する場合は「静岡県耐震診断補強相談士」の資格を持っていること

③愛知県名古屋市

【助成条件】

  • 1981年5月以前に建築された2階建て以下の木造住宅(戸建て、長屋、共同住宅含む)
  • 名古屋市の無料耐震診断の結果、評点が1.0未満の住宅(段階的改修の場合は0.7未満)
  • 住宅以外の用途に使用している面積が延べ面積の1/2未満の住宅

【補助率】耐震改修工事費用の4/5以内

【限度額】

一般世帯:115万円
非課税世帯:165万円

【工事施工者】要件なし

④北海道帯広市

【助成条件】

  • 戸建住宅または併用住宅
  • 昭和56年5月31日以前に、在来軸組工法で着工されたもの
  • 地上2階建て以下のもの
  • 耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満と診断されたもの

【補助率】

対象工事費の額によって変動

  • 20万円未満:その費用の額
  • 20万円以上200万円以下:20万円
  • 200万円以上:10%

【限度額】30万円

【工事施工者】

  • 帯広市内に事業所、支店又は営業所を置く法人又は個人
  • 建設業法の許可を受けている
  • 耐震診断・耐震改修技術者名簿において木造耐震改修の講習会区分で登録している者が所属している

自治体によって、補助金制度の利用条件や補助金額などが異なります。そのため、住んでいる自治体の公式サイトなどを確認して調べましょう。

1-2.耐震工事・リフォーム補助金の対象となる住宅のおもな条件

耐震工事や耐震リフォームでは、以下のような住宅が補助金制度の対象となっていることが多いです。

築年数 1981年5月31日以前に建てられた住宅
(旧耐震基準の木造住宅)
構造 木造軸組工法で建てられた2階以下の住宅
建物の用途 居住を目的とした戸建て住宅
※賃貸住宅などで所有者と居住者が異なる場合は、所有者が耐震診断を受けることが条件

ただし、すべての耐震リフォーム補助金制度が、このような条件に当てはまるわけではありません。

耐震リフォームを行う際は、住んでいる自治体の補助金制度の条件を確認しておきましょう。

「耐震改修工事」だけでなく「耐震診断」への補助金がある場合も

自治体の補助金制度では「耐震改修工事」に対するものだけでなく「耐震診断」に対して補助金が設けられていることもあります。

耐震改修をするかどうかの判断材料として必要となるのが、住まいの状態や耐震性を確認する耐震診断。

一般的に5〜数十万円程度の費用がかかりますので、補助金制度が用意されているなら活用したいところですね。

自治体指定の業者による耐震診断を行うことが、耐震改修への補助金を受ける条件となっていることもありますので、耐震診断を受ける前に、お住まいの自治体の補助金制度を確認しておきましょう。

以下の記事で耐震診断の費用や補助金制度について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

耐震診断の費用相場を建物別に解説!作業の流れや依頼のポイントも
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1-3.耐震リフォーム補助金の相場

耐震リフォームの補助金の相場は「工事費用の〇割まで」と設定されている場合が多いです。

また、補助金額には限度額が設けられています。自治体によっては段階的改修でも補助金を受けられるケースもあるので、補助金制度の内容をよく確認しておきましょう。

どの部分までリフォームするかによるものの、耐震補強工事の費用相場は150万円前後といわれています。
仮に150万円で耐震リフォームを行い、6割の補助を受けられる場合、補助金は90万円になります。
回答

1-4.自治体が実施する耐震リフォーム補助金を確認する方法

住んでいる地域の耐震リフォーム補助金制度を調べる方法は、以下のようなものがあります。

  • 近くの市役所・区役所のウェブサイトで調べる
  • 近くの市役所・区役所の窓口に問い合わせる
  • 「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を活用する

とくに便利なのは、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」の活用です。

耐震リフォーム補助金だけでなく、省エネ化やバリアフリー化など、各自治体が提供するさまざまなリフォームに関する補助金制度を調べられます。

ほかには、検索エンジンを使って「耐震リフォーム 補助金 自治体名」などのキーワードで検索することでも、補助金制度を見つけられます。

まずはインターネットで調べてみて、より詳しい情報を知りたい場合は自治体の役所の窓口へ問い合わせましょう。また、耐震リフォームの実績が豊富な業者に相談してみるのも1つです。

リフォームガイドでは、お住いの地域にあるリフォーム会社の得意分野を把握しております。
耐震リフォームの補助金制度に詳しい業者を選んでご紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。
回答

2.耐震リフォームの補助金制度を申請する際の流れ

耐震リフォーム補助金を申請する際は、耐震診断から補助金の受け取りまで大きく7つのフローに分けられます。

耐震リフォーム補助金を申請する流れ

まずは行政による耐震診断を受け、耐震改修の必要性を確認しましょう。耐震改修が必要だと判断されたら、補強計画の作成や設計をしてもらいます。そのあと、補強計画が定まった段階で見積もりを作成してもらいましょう。

設計書・計画書をもとに自治体に補助金申請手続きを行い、申請が通って補助金の交付が決まった後に着工となります。

自治体によっては施工会社が指定されている場合があるため、契約前に確認しましょう。
回答

無事に工事が終わり、施工業者にリフォーム代金を支払ったあと、完了報告書を自治体に提出して耐震審査を受けます。審査に問題がなかったら、最終的に補助金を受け取れます。

補助金の申請は、しっかりとした補強計画の設計書・計画書の作成が必須です。また、補助金制度の内容は毎年変わるので、申請前に最新の情報を自治体へ確認しておきましょう。


3.耐震リフォームには減税措置も適用される

耐震リフォームを行う際は、以下のような減税措置も適用されます。

  1. 所得税の特別控除
  2. 固定資産税の減税
  3. その他税の優遇措置

順番に見ていきましょう。

3-1.所得税の特別控除

所得税の特別控除は、主に以下の2つに分けられます。

  1. リフォーム促進税制
  2. 住宅ローン減税

住宅ローンを利用している場合は、ふたつを併用することも可能です。それぞれの概要を以下にまとめました。

リフォーム促進税制 住宅ローン減税
ローンの条件 住宅ローンの有無によらない 返済期間が10年以上残っている
借入最大額は2,000万円
控除期間 1年 10年
概要 工事限度額:250万円
控除率:10%
控除限度額:25万円
(あわせて一定の増改築などの
リフォームを行った場合、最大62.5万円)
控除額:リフォーム費用相当分の年末ローン残高の0.7%

この2つの減税制度は併用可能です。

返済期間が10年以上ある住宅ローンを組んで耐震リフォームを行った人であれば、リフォーム促進税制と住宅ローン減税の両方に申請することができます。

3-2.固定資産税の減税

耐震リフォームを行った場合、固定資産税も減税されます。

固定資産税の減税は1982年1月1日以前からある住宅を対象に、耐震リフォーム費用が50万円(税込)を超えた場合に適用されます。その場合、1年間にわたって家屋の固定資産税額の2分の1が減税となります。

固定資産税の減税措置を受けるには、耐震リフォームが完了してから3ヶ月以内に各自治体へ申告しなければなりません。

なお、独自の固定資産税の減税制度を設けている自治体もあります。お住まいの自治体の窓口に、活用できるものがあるのか確認してみましょう。

3-3.その他

耐震リフォームは、ほかにも下記のような減税措置を受けられます。

措置名 概要
贈与税の非課税措置 親や親族から住宅取得等資金を贈与により受けた場合、一定金額まで贈与税が非課税になる
不動産取得税の特例措置 現行の耐震基準に満たない住宅を取得し、6ヶ月以内に耐震改修を行って一定の耐震基準を満たした場合、不動産取得税が減額される
ここまでで解説したように、耐震リフォームでは多数の減税措置が適用されます。
それぞれ要件などが違いますので、自分が利用できるものはいくつあるか、確認しておきましょう。
回答

4.耐震リフォームに活用できる融資制度

耐震リフォームに特化した融資制度を活用することで、通常のリフォームよりも低金利で融資を受けられる可能性があります。

耐震リフォームに利用できる融資制度には、以下のようなものがあります。

  • 【リ・バース60】耐震改修利子補給制度
  • フラット35リノベ

それぞれ確認していきましょう。

4-1.【リ・バース60】耐震改修利子補給制度

リ・バース60は、住宅金融支援機構と提携している民間金融機関が提供する、高齢者を対象とした住宅ローンのことです。

60歳以上の方が耐震リフォームを行う場合、この制度を利用できれば、無利子もしくは低利子で融資を受けられます。

ただし、リ・バース60は、基本的に1981年6月以降の新耐震基準相当の住宅が融資対象です。旧耐震基準の場合は、耐震リフォームで新耐震基準相当まで上げなければならないため、注意しましょう。

この制度の特徴は、月々の支払いが利子のみとなる点。元金の返済は、契約者が死亡した際に、相続人が一括で返済するか、担保物件の売却により返済される仕組みです。

【リ・バース60】耐震改修利子補給制度の概要は、以下のとおりです。

利用条件
  • 60歳以上
  • リ・バース60の融資申し込み
  • 自治体の耐震改修補助金制度を利用
    ※本制度を利用する場合は補助金額が減額
  • 本制度の取り扱い金融機関への申込み
対象工事
自治体の耐震改修補助金制度の対象工事
(例)柱の補強工事、屋根の軽量化工事など
利子補給内容
  • 70歳以上:利息の全額を国が補給(支払いなし)
  • 60~69歳:利息の3分の2を国が補給(利息の3分の1のみ負担)
融資限度額
担保評価額(住宅および土地)の50%または60%
※融資額が1,000万円以下の融資にのみ利子補給

出典:住宅金融支援機構「【リ・バース60】耐震改修利子補給制度のお知らせ」

2025年2月にはじまったばかりの制度のため、取り扱っている金融機関がまだ少ないことがデメリットです。

住宅金融支援機構の「【リ・バース60】取扱金融機関」の「絞り込み条件」で「(耐震改修利子補給制度を利用検討中の方)」にチェックを入れて検索すると、取扱金融機関を確認できます。

なお、融資額の合計が1,000万円以下の場合は、水回りなどのリフォームも対象になります。

4-2.フラット35リノベ

フラット35リノベは、中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを実施することで受けられる融資制度です。

通常のフラット35よりも、金利が優遇されるメリットがあります。2つの金利プランがあり、それぞれの概要は以下のとおりです。

金利プラン 金利引下幅 耐震リフォーム
金利Aプラン 年▲1.0%
(当初5年間)
以下のいずれかを実施
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅
・免震建築物
金利Bプラン 年▲0.5%
(当初5年間)
壁・筋かい等の設置工事など

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】リノベ 2025年4月版」

耐震リフォームだけでなく、省エネやバリアフリー、耐久性向上などのリフォームも対象です。

ただし、中古住宅の購入が必須です。中古住宅を購入してリフォームする場合は、候補の1つとしてフラット35リノベを検討してみてください。

地方銀行では耐震リフォームに特化したローンがある場合も

地方銀行のなかには、耐震リフォームに特化したリフォームローンを提供しているところもあり、通常のリフォームローンよりも金利が優遇されます。

たとえば、高知銀行の「こうぎん耐震リフォームローン」では、固定金利を選択した場合に以下の金利優遇が受けられます。(2025年7月時点)

固定金利期間 金利引下幅
3年 年▲0.8%
5年 年▲0.5%
10年 年▲0.3%

出典:高知銀行「こうぎん耐震リフォームローン」

ただし、耐震に特化したリフォームローンを扱っている銀行は少ない点に注意が必要です。

ローンの利用を考えているものの、リ・バース60を利用できない年齢の方も多いでしょう。
その場合は、耐震リフォームで金利優遇を受けられるかどうか、近くの銀行や信用金庫に問い合わせてみるのもひとつの方法です。


5.耐震リフォームの補助金制度を利用する際の注意点

耐震リフォームの補助金制度を利用する際は、以下のような点に注意しなければなりません。

  1. 補助金制度の内容・申請期間を確認する
  2. 施工会社の制限の有無を確認する

それぞれ解説します。

5-1.補助金制度の内容・申請期間を確認する

耐震リフォームの補助金制度の内容は、毎年同じとは限りません。補助金の上限や適用条件などが変更になっている可能性もあるので、最新の内容を確認しましょう。

また、補助金の申請期間も自治体によって異なります。通年募集しているところならよいのですが、申請期間が決まっている場合は、期間内に申請を完了させる必要があります。

なかには申請期間内でも予算を超えた時点で募集を締め切ってしまう自治体もあるので、最新の情報を集めて、内容を確認したら早めに申し込むようにしましょう。

5-2.施工会社の制限の有無を確認する

自治体によっては、耐震リフォームの施工会社に制限を設けている場合があります。たとえば、同じ市区町村内に営業所や支店を持つ企業のみを許可するケースなどがあります。

施工会社に制限があると、地元企業からリフォーム業者を探さなければなりません。施工業者だけでなく、耐震診断の業者にも制限を設けている自治体もあるので、補助金の申請前によく確認しておきましょう。


6.まとめ

本記事では、耐震リフォームで活用できる補助金制度について、詳しく解説しました。

地震の多い日本では、住宅の耐震性は無視できない要素です。現在、耐震リフォームの補助金制度は多くの自治体に用意されており、補助金の割合が工事費用の5割以上のケースも少なくないため、耐震リフォームを行う際は、こうした制度の活用も検討してみましょう。

また、補助金制度の申請は複雑な部分もあるため、補助金を活用した工事に詳しいリフォーム会社に依頼するとスムーズに工事を進められるでしょう。

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