「屋根は見えないから塗装しなくても問題ないのではないか」
このように考えてはいませんか。屋根の塗装は見た目以外にも重要な役割があります。
この記事では、屋根塗装の必要性や費用などを紹介します。具体的には、
- 屋根塗装が必要な理由
- 屋根の塗装を放置すると何が起こるのか
- 屋根塗装にかかる費用
- 工事をする際の注意点
を詳しく解説します。屋根の塗装をしなければ最終的に高額な費用がかかるケースもあるでしょう。
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目次
1.屋根塗装の役割と、放置したら起こる問題とは
塗装が必要な屋根の例としては以下があります。
- スレート屋根
- トタン屋根
- セメント瓦屋根
- ガルバリウム屋根
一般的な住宅で塗装が必要ない屋根は「日本瓦」くらいでしょう。自宅の屋根が「日本瓦」でなければ塗装が必要と考えてください。
1-1.屋根塗装の役割
屋根を塗装する目的は主に2つあります。
- 屋根を保護する
- 太陽光や熱を防ぐ
他には「見た目を良くする」目的もあります。ただ、屋根は劣化しても地上から異変が見えにくいため、見た目の重要性は高くありません。
屋根を保護する
屋根は雨や風にさらされるため劣化しやすい部位です。塗装をほどこすことで雨や風から屋根の建築材を守ることができます。
屋根の内部には防水シートが張られていますが、水の侵入を完全に防げるものではありません。塗装をしなければ建築材は雨水によって腐食してしまうでしょう。
太陽光や熱を防ぐ
屋根に使う塗料には「遮熱(しゃねつ)塗料」、「断熱(だんねつ)塗料」が存在します。遮熱塗料は太陽光を反射して熱の発生を抑制し、断熱塗料は熱を通しにくくする材料です。
遮熱・断熱塗料を使うことで室温の上昇を抑えることが可能です。一般的な塗料より価格は高額となりますが、冷房費用の節約や、ヒートアイランド現象の対策として効果が期待できるでしょう。
1-2.屋根塗装の必要性と放置して起こる問題
屋根塗装を行わなければ以下の問題が起こります。
- 雨漏りが起こる
- 強風で屋根が破損しやすくなる
なぜ上記のような現象が起こるのでしょうか?
雨漏りが起き建物全体が劣化する
塗装しないと雨水が屋根の内部まで侵入しやすくなります。内部まで侵入した雨水は、屋根材を劣化させて室内まで及ぶでしょう。
室内に雨漏りを引き起こした場合は、屋根の修繕だけでは済みません。屋根塗装は外壁と一緒に行っても150万円程度ですが、住宅の建て直しとなれば2,000万円はかかります。余計な費用をかけないために屋根塗装は必要なのです。
強風で屋根が破損しやすくなる
屋根の塗装をしないと屋根材が紫外線や雨によって劣化します。屋根材が劣化すれば、今までは問題がなかった強風でも屋根は簡単に破損するでしょう。雨水が屋根内部まで侵食してしまうと、強風で屋根ごと吹き飛ぶ可能性もあります。
2.屋根塗装の種類や費用はどのくらい?
屋根塗装で利用する主な塗料はウレタン、シリコン、フッ素の3種類があります。
30坪程度の住宅だと、屋根塗装のみにかかる費用は50〜80万円程度でしょう。外壁塗装と同時に行う場合は100〜140万円が目安となります。
以下は「屋根100㎡(30坪)あたりの塗装費用(足場・人件費含む)」の相場です。
各塗料には遮熱性能を備えた「遮熱塗料」が存在します。遮熱塗料の場合は一般塗料より高価格となるでしょう。
価格は目安であり、住宅の構造や業者によって変動します。屋根塗装は紫外線や雨などを受けやすく、外壁に比べて劣化しやすいため寿命が短い傾向があることも覚えておきましょう。
2-1.ウレタン塗料
10年ほど前までは主流だった塗料でしたが、耐用年数が5〜7年と短いため屋根で使われる機会は少なくなりました。
価格が安く、屋根塗装の予算がない場合には適していますが、長期的に考えるとコストパフォーマンスが悪い塗料です。
2-2.シリコン塗料
現在、日本の住宅で最も利用されている外壁塗料です。耐用年数がウレタン塗料より長く、価格は高すぎないためコストパフォーマンスに優れた屋根用塗料です。
特別な理由がないかぎりシリコン塗料を使っておけば問題はないでしょう。
2-3.フッ素塗料
耐用年数が8〜15年と長いですが価格も高額な塗料です。性能の高さが認められており、東京スカイツリーや公共の建造物にも利用されています。
長期的に考えるとコストパフォーマンスはよいですが、屋根塗装に予算を使うのが難しい場合はシリコン塗料を選ぶことも検討してみましょう。
2-4.遮熱塗料
遮熱塗料は、太陽光を遮断する機能を備えた塗料の総称です。一般的な塗料よりも価格が高い一方で、室温を抑える効果が期待できます。
ただし性能の基準がありません。メーカーが独自で遮熱塗料を名乗れるため性能が低い商品が存在します。
遮熱塗料として有名な商品には、日本ペイントの「サーモアイ」シリーズ、エスケー化研の「クールタイト」シリーズがあります。上記の塗料であれば遮熱性能に問題はないでしょう。
3.屋根塗装が必要な時期はいつ?
屋根塗装を行う目安は、前回の塗装や新築から10年後が目安です。本来は屋根の劣化状況に応じて判断するのが最適です。
しかし、屋根に登って劣化状況を確認するのは危険なためやめましょう。前回の塗装から10年が経過したら業者に調査に来てもらってください。
地上から屋根の劣化を確認したい場合は、以下の症状を塗り替えの目安としてください。
3-1.屋根が破損している
屋根の一部がひび割れている、欠損しているなどが見受けられたら修繕が必要です。屋根の破損は塗装だけでは直らないケースも多いですが、経年劣化による破損であれば屋根塗装が必要なケースも多いです。
修繕と塗装を一緒に行うことで費用を節約することが可能となるでしょう。
3-2.塗料が色あせている
屋根の色が薄くなっている、色あせしていると感じたら塗装が必要かもしれません。色あせするほど屋根の劣化が進んでいる場合は見えない部分が破損している可能性もあります。
前回の塗装から10年が経過していて屋根が色あせているのなら、塗装が必要かどうかを業者に調べてもらうとよいでしょう。
3-3.塗装が剥がれている
屋根の塗装が剥がれている場合は塗り替えが必要です。塗装の剥がれを放置すると紫外線や雨が下地に当たってしまい、劣化が早まります。
屋根素材の寿命を短くするおそれがあるため、多数の部位で塗装が剥がれていたら塗り替えをしましょう。
屋根の塗装時期や最適な季節を知りたい場合は「屋根塗装が必要な時期は何年目?工事に適した季節も解説」でも解説しています。
4.屋根塗装を業者に依頼する手順
屋根塗装には2〜3週間程度の工期がかかります。特に重要なのが業者の候補選びから契約までの段階です。
主な流れは以下のようになります。
- 業者の候補を探す
- 見積書や保証内容をチェックする
- 契約を結ぶ
それぞれどのような作業を行えばよいのでしょうか。
4-1.外壁塗装専門の業者に複数連絡をする
まずは工事を依頼する業者の候補を探します。いきなり1社に決めてはいけません。
屋根塗装では、複数の会社に見積りを依頼して選別する「相見積もり」が必須となります。1社の見積もりだけで決めてしまうと、相場とかけ離れた高額な請求をされても気づくことができません。
適正価格の優良業者を選ぶために相見積もりは必ず行いましょう。候補となる業者を選ぶ際は以下の点を意識してください。
- 自社で工事をしている塗装専門業者であること
- 地域に密着した20年以上の歴史がある業者かどうか
自社施工をしていないハウスメーカーや工務店に依頼してしまうと、工事費の一部が元請け会社に紹介料として抜かれてしまいます。実際の工事費用が安くなるため依頼主側にはメリットが少ないでしょう。
また、20年以上も同じ地域で仕事をしている会社なら優良業者の可能性が高いです。悪徳業者が同じ地域で経営し続けていると、悪評が広まって倒産しやすくなるからです。
4-2.見積書が具体的かどうかをチェック
候補の会社を決めて相見積もりをしたら、各社の見積もり内容を確認します。見積書でチェックするべき点は「具体的かどうか」です。
見積書のチェックポイントとして以下を参考にしてみましょう。
塗装回数が2度塗りで費用が倍になっていないか
屋根塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3度塗りが基本です。しかし悪徳業者は下塗りと上塗りの2度塗りで済ませようとたくらみます。
中塗りと上塗りは同じ塗料を使うため見分けが難しいです。屋根という普段は見えない場所を塗ることもあって、2度塗りは悪徳業者がよく使う手法の1つとなっています。
見積書に「下塗り」と「中塗り・上塗り」の表記がなければ、何回塗るのかを業者に確認しましょう。
見積もり時には3度塗りと言ったのに、実際は2度塗りをする業者もいます。2度塗りを防止するには中塗りと上塗りの色を変えることが有効です。
中塗りを少し薄くしてもらうなどして色分けすれば、いま塗っているのが中塗りか上塗りかを判別しやすくなるでしょう。
商品やメーカー名が記載されているか
見積書の塗料の欄に、種類、メーカー、商品名が記載されているかどうかを確認しましょう。
悪徳業者は、「シリコン塗料」「フッ素塗料」というように塗料の種類しか書いていないケースがあります。
屋根塗装の見積もりでは、最低でも塗料の商品名がないと信用できません。メーカー名や、樹脂名まで記載されているのなら優良業者の可能性が高まります。
数量が一式になっていないか
塗装面積や足場面積が「一式」と表記されている業者は危険です。「一式」は重要ではない部位の数量に使う表記方法です。
最も重要である塗装面積を「一式」と表記する場合は、悪徳業者と考えてよいでしょう。「ゴミ廃棄料金」や「諸経費」といった項目が「一式」の場合は問題ありません。
付帯部として塗る場所や材料は明確か
付帯部とは、外壁や屋根の細部を指します。具体的には、ベランダや屋根の下にある「軒天井」、屋根の側面についている「破風板」、雨水を地面に流す「雨樋」などです。
付帯部は屋根や外壁とは異なる塗料を使うことがあり、業者にとっては手間のかかる部位です。
そのため悪徳業者は付帯部を塗装しないケースがあります。見積書に付帯部が記載されていない場合は依頼してはいけません。
優良業者であれば付帯部の詳細も見積書や明細書に記載してくれます。より具体的に表記してくれる業者を選ぶようにしましょう。
4-3.保証内容について確認
屋根塗装をしても半年で剥がれてきては意味がありません。しかし、環境によって塗装が短期間で剥がれるケースがあります。
そういった場合に無償で修繕をしてくれるかどうかは重要です。見積もり段階で保証内容は確認しておきましょう。
施工後5年や10年は無償で対応する業者もあります。アフターケアを望むのであれば保証が充実した業者を選びましょう。
4-4.契約内容は書面で残す
業者を決定しても安心はできません。契約内容は口約束ではなく書面で残しましょう。
電話で「工事をはじめていいですか?」と聞かれて応じてしまうと、その時点で契約が成立します。トラブルを防ぎたいのであれば契約書を残すまでは工事は待ってもらうようにしましょう。
5.まとめ
屋根塗装は、屋根や建物を保護するために必要なメンテナンスです。塗装を行わなければ雨漏りや建て直しのリスクが高まるでしょう。
塗装は前回のメンテナンスから10年後が目安となります。屋根のみの塗装工事で50〜60万円程度、外壁と一緒の場合は100〜140万円程度が必要となるでしょう。
屋根の劣化が激しい場合は塗装だけでは対処できないケースもあります。屋根の修理や葺き替えについては「屋根の葺き替えや部分修理にかかる費用や火災保険の適用方法」をご覧ください。
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