ベランダに最適なFRP防水とは|メンテナンスや施工方法も解説

経年劣化による汚れやひび割れなど、ベランダ(バルコニー)の傷みを解消するには、メンテナンスが欠かせません。工事にはさまざまな工法がありますが、中でもベランダ(バルコニー)にはFRP防水が適しています。

しかし、「FRP防水って何?」と感じている方も多いでしょう。

本記事では、FRP防水のメリット・デメリットを中心に、適切なメンテナンス時期や施工方法などについて解説します。メンテナンスを実施するポイントや他の防水工法についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。


1.ベランダ(バルコニー)に使う「FRP防水」とは?

FRP防水とは、ベランダ(バルコニー)の雨漏りを防ぐために使う塗装方法の一種です。

FRPは「Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)」の頭文字から取った略称で、ガラス繊維や炭素繊維などを使って強化したプラスチックのこと。

このFRPを利用するFRP防水は、耐久性や防水性などの面でさまざまな特徴があり、近年では戸建て住宅などのベランダ(バルコニー)で多く採用されています


2.FRP防水のメリット

FRP防水には、次の4つのメリットがあります。

  1. 防水性が高い
  2. 耐久性が高い
  3. 軽量で建物に負担があまりかからない
  4. 工期が短い

ひとつずつ詳しく解説します。

防水性が高い

FRP防水は、マット状にしたFRPを敷き詰めてその上から樹脂を塗り重ねて硬化するため、継ぎ目のない防水層ができ上がります。継ぎ目がないので雨水などが侵入しにくく、防水性が高いことがメリットです。ベランダ(バルコニー)以外にも、浴槽やプール、貯水槽、船舶など幅広い分野で用いられています。

防水工法には、シート防水やウレタン防水などさまざまな種類がありますが、その中でも特にFRP防水は高い防水性を誇っています。

耐久性が高い

耐久性の高さもFRP防水の魅力のひとつです。

ベランダ(バルコニー)では、洗濯物を干したりガーデニングや家庭菜園を楽しんだりすることもあり、歩行や物の設置によって振動や衝撃が加わることが多いです。

FRP防水はガラス繊維やプラスチックなどを原料とするFRPを用いるため、施工後は硬くて頑丈な仕上がりになります。摩擦にも強く、多少の歩行や衝撃はもちろん、車両の走行にも耐えられるほどの耐久性を備えています。

軽量で建物に負担があまりかからない

FRP防水に用いるFRPは、他の防水工法で用いる防水材より軽量であることも特徴です。

人間が重い荷物を持った際に体へ負担がかかるのと同様に、住宅にも屋根材や床材、防水材などさまざまな重量が加わることで負担がかかります

住宅へ負荷がかかりすぎると建物が傾いたり、床が崩れ落ちたりすることもありますが、FRP防水なら軽量で建物への負担がそれほどかからないため、住宅への負荷も抑えられるでしょう。

工期が短い

FRP防水は硬化にかかる時間が短いため、工期が1~2日と短くて済むこともうれしいポイントです。

人によっては工事期間が長引くことでストレスを感じてしまうことがありますが、工期の短いFRP防水なら、ストレスの軽減につながります。

さらに工期の短さは職人にとっても「集中力を維持しやすい」「スケジュール管理が容易」などの理由から、品質の安定にも寄与するでしょう。


3.FRP防水のデメリット

FRP防水には3つのデメリットがあります。

  1. ひび割れしやすい
  2. 紫外線に弱い
  3. コストが高い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ひび割れしやすい 

FRP防水は、材質が硬く伸縮性がないためひび割れしやすい欠点があります。

施行箇所がコンクリート材や一般的なベランダ(バルコニー)の広さであればそれほど心配する必要はありませんが、収縮しやすい木材や広すぎるベランダ(バルコニー)などには不向きです。熱や温度による形状変化についていけず、ひび割れを起こすおそれがあります。

また、経年劣化や雨漏りなどで傷んだ下地も、温度や湿度の変化によって歪みが生じやすいため施工は向いていません

ちなみに、広いベランダにはシート防水が適しています。木材の場合はシート防水も可能ですが、凹凸がある場合はウレタン防水になるでしょう。

>>FRP以外のベランダ(バルコニー)防水との比較(下部に移動します)

紫外線に弱い

FRP防水は他素材に比べて紫外線による劣化が進行しやすいため、太陽光が常に当たる「屋上」には適していません

屋上よりも雨が入りにくく、屋根や壁によって太陽光が遮断されているベランダ(バルコニー)に適した塗料です。

コストが高い

FRP防水は、コストが高いこともデメリットのひとつです。
ウレタン防水やシート防水などと比較すると、1平方メートルあたりおおよそ500~1,500円高く費用がかかることを理解しておきましょう。

しかしながら先述した通り、FRP防水は広いベランダ(バルコニー)には適していないため、一般的な広さのベランダ(バルコニー)や小面積に施工する場合であればそれほど費用の差は感じないかもしれません


4.FRP以外のベランダ(バルコニー)防水との比較

FRP防水とそれ以外の主なベランダ(バルコニー)防水工事は次の通りです。

種類 よく用いられる場所 耐用年数 費用(/平方メートル)
ウレタン防水 屋上・ベランダ・バルコニー 8~13年 3,000~7,500円
シート防水 屋上・ベランダ・バルコニー 10~15年 2,500~7,500円
アスファルト防水 広い屋上(特にビル・マンション) 15~25年 3,000~8,500円
FRP防水 ベランダ・バルコニー 10~15年 4,000~8,000円

ウレタン防水は、防水工法の中でも比較的安価に施工できる方法のひとつです。ウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を作るため塗装場所を選ばず、ベランダ(バルコニー)以外にも幅広く使用されています。

シート防水は、基本的にどのような下地にも対応できる工法です。しかし、凹凸や傾斜のある部分への施工は難しく、ベランダ(バルコニー)以外では住宅の屋根(例えば勾配がない陸屋根など)や屋上への施工に向いています。

アスファルト防水は、防水工法の中でも高耐久性が特徴の工法です。ただし、アスファルトを重ねて施工するため重量があり、建物への負担もかかります。大型ビルやマンションなど、広い屋上への施工に向いています。

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5.FRP防水のベランダ(バルコニー)をメンテナンスする時期

ベランダ(バルコニー)のFRP防水をメンテナンスする時期は2つの方法で確認できます。それは「年数」と「劣化状況」です。

年数でチェック

ベランダ(バルコニー)のFRP防水は、前回の工事から10年程度でメンテナンスが必要です。15年程度もつ場合もありますが、手遅れになると雨漏りのリスクがあるため10年に1度は点検することをおすすめします。

劣化状況を確認

FRP防水のメンテナンス時期は劣化状況から判断するほうが確実です。メンテナンスが必要な劣化の例としては以下の4つがあります。

  1. 塗装のふくれ
  2. 塗装の剥がれ
  3. ひび割れ
  4. 水たまり

具体的に解説していきましょう。

塗装のふくれ

FRP防水の塗装がふくれている現象です。塗膜の耐久性が限界を超えている場合に起こりやすいでしょう。放置すると、塗装が剥がれてベランダ(バルコニー)の床材の寿命が短くなります。

塗装の剥がれ

防水塗装が剥がれている現象です。こちらも塗膜の耐久性が限界を超えている場合に起こりやすいでしょう。

放置すると、むき出しとなったベランダ(バルコニー)の床材が雨にさらされてしまい寿命が短くなります。

ひび割れ

塗装やベランダ(バルコニー)の床材がひび割れている現象です。塗装の耐久性が低下している場合に起こりやすいでしょう。放置すると、雨漏りのリスクがあります。

水たまり

雨がやんだのにベランダ(バルコニー)に水が溜まりやすくなる現象です。ベランダ(バルコニー)の床の傾斜に異常がある場合に起こるでしょう。放置すると、塗装や床材が劣化したり雨漏りしたりするおそれがあります。


6.FRP防水のベランダ(バルコニー)をメンテナンスする方法

FRP防水をしたベランダ(バルコニー)をメンテナンスするには3つの方法があります。

  1. トップコートのみ塗替え
  2. 防水層からの塗替え
  3. 床材からの補修

FRP防水は、雨を通さない「防水層」と表面を保護する「トップコート」から作られています。図にすると下のような構造となっています。

以下では、それぞれのメンテナンス方法を詳しく見ていきましょう。

トップコートのみ塗替え

防水層を保護している「トップコート」のみを塗装するメンテナンス方法です。トップコート部分の塗装がふくれていたり剥がれたりしている場合に行います。

防水層からの塗替え

床材を保護している防水層とトップコートの両方を塗装するメンテナンス方法です。防水層まで塗装がふくれていたり剥がれていたりする場合や、ひび割れがある状態でも行います。

床材からの補修

床材を補修してから防水層とトップコートを塗装するメンテナンス方法です。床材までひび割れている場合のほか、傾斜に異常がある場合に行います。


7.FRP防水のベランダ(バルコニー)をメンテナンスする費用相場

一般的な広さのベランダ(バルコニー)にFRP防水をメンテナンスする際の費用相場を、以下の3種類に分けて紹介します。

  1. トップコートのみ塗替えする場合
  2. 防水層から塗替えする場合
  3. 床材から補修する場合

確認して無駄な費用をかけないよう、見積もり段階から金額をチェックしておきましょう。

トップコートのみ塗替えする場合

FRP防水のトップコートのみを塗替える場合の費用は、人件費や材料費を含めて1平方メートルあたり1,800~3,000円が目安となるため、2~8万円が相場です。

また、上記金額に加えて諸経費(運搬費、養生費)が15%ほど別でかかる場合もあります。

現在の防水塗装の上にトップコートを塗ります。防水の表面がほとんど劣化していない場合にのみ利用できる方法です。

防水層から塗替えする場合

防水層から塗替える場合は、人件費や材料費を含めて1平方メートルあたり4,000~8,000円が目安となり、10~15万円が相場です。

トップコートと防水層を剥がしてから塗替えをします。塗装が劣化している場合は基本的に防水層から塗替えが必要です。

床材から補修する場合

ベランダ(バルコニー)全体が劣化していたり、水たまりができやすくなっていたりする場合に行う方法です。

床材から補修する場合は、防水層から塗替える際の費用(1平方メートルあたり4,000~8,000円)に別途、床材の補修費がかかるため、15〜50万円が目安です。

傾斜を直すだけなどの簡単な補修なら価格は安いですが、木材や金属の床材が劣化していて交換となれば30万円を超えるでしょう。


8.ベランダ(バルコニー)へのFRP防水施工方法・工程を解説 

FRP防水の施工方法は、次の通りです。

  1. 下地処理
    高圧洗浄で汚れを落とし、下地に凹凸があれば取り除いて地面を平らに整えます。
  2. プライマー(下地)の塗布およびシーリング作業
    下地とFRP防水塗料の密着性を高めるプライマー(下地)を塗布します。
    隙間などがある場合は、シーリング剤の充填も行います。
  3. 下塗り
    ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜたものを均一に塗布します。
  4. ガラスマット敷き
    ベランダ(バルコニー)のサイズに合わせてカットしたガラスマットを丁寧に敷き詰めます。
  5. 中塗り
    ポリエステル樹脂を塗布し、樹脂内に空気が残らないよう適宜ローラーなどを使用しながら脱泡します。
  6. トップコートを塗布
    仕上げに保護塗料を塗布して防水層を保護します。
業者に施工を依頼する場合でも、念のため工程を理解しておきましょう。
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9.FRP防水のベランダ(バルコニー)メンテナンスの注意点

FRP防水のベランダ(バルコニー)をメンテナンスする際は以下2つの点に注意してください。

  1. 初心者は特にDIYではなく業者に依頼する
  2. 相見積もりで優良業者を探す

DIYではなく業者に依頼する

FRP防水DIYでの工事は可能です。ただし難易度が高く、失敗すると1年ともたずに剥がれます。

再塗装も含めると最初から業者に頼んだほうが安いため、確実性を高めるため防水塗装を得意とする会社に依頼しましょう。

相見積もりで優良業者を探す

FRP防水は施工技術によって耐用年数が変わります。このため、優良業者に依頼することが何より重要です。

優良業者を探すには相見積もりがおすすめです。相見積もりとは2社以上の業者に同じ工事内容で見積もりを依頼することです。

相見積もりで気をつけるポイントは3つあります。

  1. 工事内容や工程の記載が不十分な場合は注意する
  2. 塗装面積が「一式」なら注意
  3. 極端に値引きする業者は注意

見積書を確認するときの参考にしてください。

工事内容や工程の記載が不十分な場合は注意する

工事の具体的な内容や工程に関しては、見積もりの段階で確認するようにしましょう。これらの記載がない場合は注意が必要です。

例えば、現在の防水塗装が剥がれかけているのに、ケレン(劣化した塗装を剥がす作業)もせずに塗り直すだけの業者などは危険です。剥がれかけている塗装は、ケレン作業なしで塗り直しても1年以内に剥がれる可能性が高いためです

適切な作業を行ってもらうためにも事前に工事内容を把握しておくことが大切です。

塗装面積が「一式」なら注意

塗装面積の数量が「一式」でまとめられている業者はおすすめしません。

なぜなら、「一式」だと工事面積がわからないため金額を業者が自由に決められるからです。誠実な業者であれば「平方メートル」で表記してくれます。

ただし、ベランダ(バルコニー)工事の場合は一式と表記するケースは珍しくありません。それでも「平方メートル単位」で面積を記載する業者の方が信頼性は高いでしょう。

極端に値引きする業者は注意

工事金額の3割以上を値引きする業者には注意してください。ベランダ(バルコニー)のFRP防水による業者の利益はさほど多くありません。工事金額の3割も割引していると赤字となるでしょう。

大幅な割引をする業者は、もともとの見積額が高額なケースが多いです。価格を抑えるために手抜き工事をするおそれもあるため、値引き額が大きい業者には注意しましょう。


10.まとめ

ベランダ(バルコニー)のFRP防水は、10年おきに劣化状況をチェックすることが望ましいです。

工事方法としては、「トップコートの塗替え」「防水層の塗替え」「床材からの補修」の3種類があります。劣化状況に応じて工事内容を業者と相談しましょう。

FRP防水のメンテナンスにかかる費用は2〜15万円程度が目安となります。床材まで劣化している場合は30万円を超えるおそれもあるでしょう。

また、ベランダ(バルコニー)の防水方法はFRPだけではありません。他の塗装方法についてより詳しく知りたい場合はこちらの記事もご覧ください。

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