
「ベランダの防水工事をしたいけれど費用や種類を知りたい」こう思ってはいませんか?防水加工は方法を間違えるとすぐに剥がれてしまい、雨漏りを引き起こします。防水の種類や費用、寿命を知って、適切な工事をできるようになりましょう。
この記事では、ベランダにおける防水工事の種類や費用について紹介します。
目次
1.ベランダ防水の種類や費用
ベランダ防水には3種類があります。
種類 | 防水工事の費用 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
FRP防水 | 10万~15万円 | 10〜13年 | 複雑な形状に対応できて耐久性は高いが費用がかかる |
ウレタン防水 | 8万~10万円 | 10〜13年 | 複雑な形状に対応できるが劣化しやすい |
シート防水 | 7万~9万円 | 12〜15年 | 安価で丈夫だが決まった形状にしか加工できない |
アスファルト防水 | 20万~30万円 | 15~20年 | 耐久性があるが費用と工期がかかる |
上記は4㎡程度のベランダを想定しています。ベランダの広さや補修状況によっては価格が大きく変動します。
また、「防水加工」と「外壁塗装」は何が違うのかと疑問に思う人もいるでしょう。両者は明確に違いがあります。
「防水加工」とは水を通さないことに特化した工事です。ベランダや屋上の床に行う工事で、水が溜まりやすい場所に必要です。
「外壁塗装」とは、防水性を問わず塗料を塗る工事です。外壁塗装や屋根塗装を指すことが多いでしょう。ベランダにおいては床以外の部位が外壁塗装の領域です。床を外壁塗装で塗ってしまうと雨漏りが起こりますし、外壁を防水塗装してしまうとデザイン性が低下します。
それぞれの特性を理解して使い分けることが重要です。
1-1.FRP防水|ベランダで一般的
FRP防水の塗料はガラス繊維を含んだ強化プラスチックによって作られています。ウレタン塗装と並んで、ベランダの防水加工としてよく利用されています。
メリットは、シート防水に比べて複雑な構造物でも加工ができること、ウレタン防水よりも耐久性が高いこと、塗装ムラができにくいことです。
デメリットは、3種類で最も価格が高いことと、塗膜が硬いためひび割れしやすいため、定期的に表面を塗り替える必要があることです。
FRP防水は広範囲に塗るとひび割れしやすい性質があるため、狭いベランダに向いています。
1-2.ウレタン防水|安価でどんな場所にも対応
ウレタン樹脂を塗装することで防水性を高める加工方法です。FRP塗装と並んでベランダの防水加工としてよく利用されています。
メリットは、シート防水に比べて複雑な構造物でも加工ができること、FRP防水よりも安いことです。
デメリットは、他の加工方法に比べて工期が長いこと、手塗りのため防水塗膜の厚さにムラができることです。また経年による劣化と亀裂に弱いため、約5年ごとに表面を塗り替える必要があります。
しかしFRP防水よりも費用を抑えられることから、ウレタン防水は、価格を抑えて防水加工をしたい人に向いています。
1-3.シート防水|屋上の防水や広いベランダ向き
シート防水は、防水シートを貼り付ける防水加工の方法です。主に屋上で使う手法のためベランダではほとんど利用しません。
メリットは、FRP防水よりも安いことと、伸縮性があるため亀裂にも柔軟に対応し丈夫なことです。
デメリットは、形状が固定されているため複雑な構造の床には利用できないことです。
シート防水は、広いベランダを所有する人に向いています。テラスのような30㎡を超えるベランダを所有しているのならシート防水を検討してみてもよいでしょう。
1-4.アスファルト防水|広い屋上向き
アスファルト防水は、合成繊維不織布にアスファルトを含ませ、ルーフィングという防水シートを貼り重ねていく工事方法です。シート防水と同じように、主に屋上のような人目につかない場所の防水に用いられます。
メリットは、耐用年数が長いので、メンテナンスの回数を減少させることができることです。
デメリットは、高熱でアスファルトを溶かす工事になるため、工事中に臭いが発生します。また幾層にもシートを重ねていくので、工事の手間が掛かり、工期も長くなりがちです。
広いベランダや屋上の防水で、メンテナンスの手間を減らしたい人に向いています。
<ベランダ防水のまとめ表>
FRP防水 | ウレタン防水 | シート防水 | アスファルト防水 | |
---|---|---|---|---|
おすすめ度 | ◎ | 〇 | △ | △ |
費用/4㎡(一般的なベランダ) | 10万~15万円 | 8万~10万円 | 7万~9万円 | 20万~30万円 |
工期 | 1~2日 | 下処理によっては3~4日かかる場合もある | ||
耐久性 | 10~13年 | 10~13年 | 12~15年 | 15~20年 |
よく用いられる場所 | ベランダ | すべて | 屋上 | 広い屋上 |
2.FRP防水工事の工程・流れ
FRP防水工事の流れについてご紹介します。FRP防水の場合は塗料の硬化が速いため、1~2日で終えることができます。
手順 | 工事内容 | 備考 |
---|---|---|
1 | 古い防水層の撤去 | 撤去後には掃除をして汚れを取り除きます |
2 | 下地の設置 | 木材を隙間なく敷き詰めて下地を作ります |
3 | プライマーの塗布 | この後の塗装の密着性を確保します |
4 | 防水層の作成 | ポリエステル樹脂を含ませて作成します |
5 | ポリエステルの塗布 | トナー入りのポリエステルを塗布し防水性を高めます |
6 | トップコートの塗布 | 防水性を保護するために、数回上塗りします |
3.ベランダ防水工事の費用を抑える3つの方法
ベランダ防水工事にかかる10数万円の費用を、工事の質を落とさずに抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか。3つの方法を説明いたします。
3-1.他の防水工事と同時に行う
屋上や外壁の防水工事と同時に行うと、費用を抑えることが出来ます。
防水工事の工程はほぼ同じなので、施工場所が広くなっても準備費や人件費が大きく変わることはありません。よって、平米単価を抑えることができ、約30%以上のコスト削減を見込めるので、積極的に業者に相談してみましょう。
3-2.中小規模の防水工事専門業者を選ぶ
防水工事は、元請け業者・下請け業者・孫請け業者と、中間業者が入れば、その中間マージンは工事費用に加算されます。特に大手の業者や、防水工事を専門としない工務店の場合は、防水工事については下請け業者に外注するのが一般的です。
下請けのない中小規模の防水工事専門業者を選べば中間マージンは発生せず、大手の場合よりも約20~30%安く施工することができます。
3-3.DIYで簡易な防水工事をする
あくまで簡易的なものですが、DIYで防水工事もすることができます。DIYなら、費用を大幅に抑えることができます。
ただしDIYができるのは、以下のように表面層が剥がれている場合のみに限られます。ひび割れや、防水層の剥がれがある場合は専門業者に依頼しましょう。
トップコートのはがれ | シート・防水層のはがれ | 水たまり | ひび割れ | |
---|---|---|---|---|
DIYの可否 | 〇 | × | × | × |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/197
DIYの際は、以下を参考にしてください。
ベランダ防水DIYに必要な物(ウレタン塗料による場合)
掃除用 | ブラシ・バケツ・水・皮すき |
---|---|
塗料 | プライマー塗料・ウレタン塗料 |
塗料用具 | ローラー・コテ・ハケ・バケツ |
(溶接塗料を使う場合) | (ゴーグル・マスク・手袋・作業者) |
※溶剤塗料とは
塗料には、水と混ぜて使う水性塗料と、シンナーと混ぜて使う溶剤塗料があります。溶剤塗料の方が耐久性に優れますが、臭いがきついなど扱いに注意が必要となります。
ベランダ防水DIYの作業内容
手順 | 作業内容 |
---|---|
1 | ブラシなどでゴミを取り除き、皮すきで塗膜はがれや膨れを除去する |
2 | ホースなどで洗浄した場合は、しっかりと乾かす |
3 | プライマー塗料をローラーやハケで塗布する |
4 | 乾いたらウレタン塗料を分厚く塗る(こぼしてからコテで均一に広げていくイメージで) |
5 | 乾いたら2層目のウレタン塗料を塗る |
6 | 乾いたらトップコートをローラーやハケで塗る |


4.ベランダの防水工事を業者に依頼する際の注意点
防水工事は他のリフォームなどに比べると頻繁に行われるものではないので、業者選びが難しいといった点があります。ベランダの防水工事を主に扱う業者の中にも悪徳業者が含まれています。悪徳業者は素人目には判断できない部分で、使用する防水塗料を減らすなどしています。このような悪徳業者を避けるための3つの注意点を紹介します。
4-1.外壁塗装ではなく防水の専門業者に依頼する
外壁塗装と防水加工は別分野のため、外壁塗装業者に防水に関する専門知識があるとは限りません。誤って外壁塗装の専門業者に依頼してしまうと、未熟な技術で工事をされてしまう恐れがあります。修繕部分を適切に防水加工されず雨漏りを引き起こすこともあるかもしれません。防水加工の際は防水専門業者に依頼するようにしましょう。
例外としては、外壁塗装と防水加工を同時に行う場合です。この場合は外壁塗装会社に依頼してもよいですが、「防水加工は専門の職人を呼んでください」と伝えるようにしましょう。
4-2.相見積もりをとる
ベランダの防水工事をする業者は相見積もりをして選別しましょう。相見積もりとは複数の業者に見積もりを依頼することです。相見積もりを行うことで、1社だけでは見抜けなかった工事の問題点や価格の高さに気づきやすくなります。
相見積もりを行う際は工事内容と使う材料を統一してください。工事内容が異なる見積書を比較しても価格が適正なのかどうかは見抜けません。
4-3.アフターサービスの有無を確認する
防水工事は非常にシビアな工事で、一度漏水してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。
5年保証や10年保証などの保証がついているか、その具体的な内容はどのようなものかをしっかりと確認するようにしましょう。
5.まとめ
ベランダの防水加工にかかる費用の目安は5〜10万円程度です。防水加工の耐用年数は10年程度です。可能なら5年おきにメンテナンスを行うとよいでしょう。防水加工をする際は外壁塗装会社ではなく専門の防水業者に依頼してください。もし外壁塗装と防水加工を同時に行いたい場合は外壁塗装業者に依頼しても構いません。
ただし、外壁塗装業者に依頼する際は「防水部分は防水専門の職人が行ってください」と伝えましょう。外壁塗装で使う塗料については「壁の塗り替えに使う塗料の特徴を知って効果的に工事しよう」で詳しく紹介しています。ベランダ防水ではなく外壁に使う塗料を知りたい人はチェックしてみてください。
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