
近年、空き巣や自宅侵入などの犯罪被害が身近な問題になっています。「我が家は大丈夫かな?」「家族の安全を守るためには何をすればいいの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、手軽にできる防犯対策から本格的な防犯リフォームまでをご紹介します。大掛かりな工事や高額な設備でなくても、窓や玄関の弱点を理解し適切な防犯対策をすれば、大きな効果を発揮します。
大切な住まいを守るために、生活スタイルや予算に合わせて防犯対策のリフォームをしましょう。
目次
1.防犯リフォームが必要な理由
警察庁のデータによると、令和5年に発生した住宅を対象とした侵入窃盗は、1万7,469件。前年と比較すると11.3%増加しています。
また、一日当たり約48件の侵入窃盗が発生しており、多くの住宅が被害に遭っている状況です。
侵入窃盗を発生場所別に見ると、約3割が戸建て住宅で発生していることが分かります。マンションなどに比べて戸建て住宅は侵入のリスクが高く、より強固な防犯対策が必要です。
また、侵入経路のデータを見ると、戸建て住宅では窓からの侵入が約6割。マンション等の共同住宅では、表出入口(玄関)からの侵入が最も多くみられます。
一般的な住宅では窓や玄関の防犯性能が十分でなく、防犯リフォーム等による対策が不可欠であることがわかります。
そして注目したいのが、「侵入に5分以上かかると、約7割の犯罪者があきらめて退却する」というデータです。防犯リフォームによって窓やドアの侵入までの時間を延ばすことが、犯罪防止に大きな効果をもたらすと考えられます。
参考:警察庁|防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議
2.防犯リフォームの種類と費用
ここからは、主な侵入経路である窓と玄関の防犯リフォームについてご紹介します。
安全性の高い窓に交換したり、鍵を追加したりとさまざまなリフォーム方法がありますが、防犯性能の目安となるのが「CPマーク」です。
このマークがついた建物部品は、侵入まで5分以上かかることが試験で確認されています。
①窓
最優先で実施したいのが、侵入口として利用されやすい窓の対策。
ガラスを一部壊したところから手を入れて鍵を開けるなど、戸締りをしていても防犯対策は万全とは言い切れません。
窓の防犯対策では、戸締りを確実にすることに加え、破るのに時間がかかる窓にすることが重要です。
注意:マンションの窓はリフォームの制限あり
マンションの屋外に面する窓は共用部分のため、基本的に自由なリフォームができません。
内窓の設置であれば可能とされていることも多いため、管理規約を確認して実施しましょう。
リフォームできない場合、防犯フィルムを貼ったり簡易的な補助錠を取り付けたりと、簡易的な防犯対策もあります。
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(1)雨戸・シャッター・面格子の設置
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/422
窓に雨戸やシャッターを取り付ければ、外から侵入しにくくなります。
その中でも電動シャッターは、簡単に手でこじ開けられないため安心感が高まります。シャッターを閉めたまま、採風・採光できるタイプの商品もあるので、リビングや寝室等で検討してみるとよいでしょう。
また、換気のために窓を開けることの多いお風呂やトイレでは、防犯しながら窓が開けられる面格子もおすすめです。
単板タイプ | 2~15万円 |
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ルーバータイプ | 9~15万円 |
手動シャッター | 10~20万円 |
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電動シャッター | 15~45万円 |
ステンレス製 | 約5~10万円 |
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アルミ製 | 約1~3万円 |
(2)内窓の設置
出典:https://freshhouse.co.jp/case/25613/
既存の窓の内側に、もう一枚の窓をプラスする方法もあります。ガラスも鍵も2枚分壊す必要があるため、侵入の難易度が上がります。
内窓は断熱効果も高めてくれるため、冷暖房の効きが良くなり、電気代の節約につながる点も魅力です。
内窓の設置費用 | 5~30万円/箇所 |
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(3)防犯ガラスへの交換
引用元:株式会社LIXIL
防犯ガラスとは、2枚以上のガラスの間に強靭な中間膜を挟むことで、割れにくくしたガラスのこと。防犯対策はもちろん、強風時の飛来物対策にも有効です。
ただし、地震などで窓が開かなくなったとき、窓を割って脱出しにくくなる注意点も。窓枠を補強して歪みにくくする、防犯ガラスではない脱出経路を確保するなどの対策も検討しましょう。
防犯ガラスへの交換費用 | 4万円~/箇所 |
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(4)クレセント錠の交換
引用元:株式会社LIXIL
窓のクレセント錠のぐらつきや不具合がある場合は、新しいものに交換しましょう。
古い家ではロック機能などのないシングルクレセントがよく使われていますが、最近はボタン錠付きやスライドキー付きなどのダブルロックが主流です。
さらに防犯性を高めたい場合は、暗証番号が設定できるダイヤル付クレセント錠、付属の鍵を使うシリンダー付クレセント錠などもあります。
クレセント錠の交換費用 | 0.8~2万円 |
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(5)補助錠
クレセント錠に加えて補助錠も設置すると、さらに窓を破るまでの時間を稼ぐことができます。
補助錠は、手の届きにくい窓の上側やレール部分、外から見えない位置に取り付けるとよいと言われています。
窓枠にネジで固定するタイプのほか、粘着テープ等で簡単に取り付けられる商品もあるため、賃貸住宅でも実施しやすい防犯対策です。
補助錠の追加費用 | 0.5~3万円 |
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②玄関
玄関はピッキングやサムターン回しなどで鍵を開けられてしまうケースが多いため、なるべく解錠に時間がかかる玄関ドアにするのがおすすめです。
また、センサーライトや防犯カメラをつけるなど、玄関ドア以外の対策方法もあります。
ただし、マンションの玄関ドアは共用部分でありリフォームが難しいため、サムターンカバーをつけるなどの簡易的な方法だけでも対策をしておきましょう。
(1)玄関ドアや鍵の交換
古いドアは突破しやすいと考えられてリスクが上がるため、予算に余裕があれば玄関ドア自体の交換を検討しましょう。
2ロックの玄関ドアや、サムターン回し対策で室内側のつまみが取り外せるものなどがあります。リフォーム費用を抑えたい場合は、鍵交換や補助錠の設置もおすすめです。
〈2ロック〉
〈室内側のつまみを外せる〉
引用元:株式会社LIXIL
ピッキング |
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〈どんな方法?〉 鍵穴に工具を差し込んで解錠する |
〈対策〉
|
サムターン回し |
〈どんな方法?〉 郵便受けやドアスコープ、ガラスを破った部分から工具や手を差し込み、室内側のつまみを操作して解錠する |
〈対策〉
|
玄関ドアの採光ガラス破り |
〈どんな方法?〉 採光ガラスを破り、手や工具を差し込んで解錠する |
〈対策〉
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カム送り |
〈どんな方法?〉 シリンダーの隙間から工具を差し込み、鍵本体を操作し解錠する |
〈対策〉
|
玄関ドアの交換費用 | 20~50万円 |
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鍵の交換費用 | 2.5~25万円 |
補助鍵の設置費用 | 2~3.5万円 |
(2)センサーライト
不審者は見通しの悪い場所を狙うため、玄関にセンサーライトを取り付けて明るくするのも効果的。
玄関以外にも、ベランダや1階リビングの大きな窓の外など、外部から侵入しやすい場所に取り付けるのもおすすめです。
センサーライトの設置費用 | 3~4万円 |
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(3)防犯カメラ
防犯面をさらに強化したい場合は、防犯カメラの設置も検討しましょう。
ダミーカメラも一定の抑止力はありますが、見破られてしまう可能性があり、カメラ以外の対策をしていないと判断されることも少なくありません。
本物の防犯カメラを設置する方が、万が一の際も証拠を残すことができて安心です。
DIYで設置できる防犯カメラも市販されていますが、設置方法や角度を誤ると防犯効果が薄れるため、業者に依頼すると安心です。個人では設置が難しい壁面や天井にも、適切に設置できます。
防犯カメラの設置費用 | 10~30万円 |
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3.防犯リフォームの実例
ここからは、防犯リフォームの実例をいくつかご紹介します。
事例1:腐食した雨戸を防犯性の高い雨戸へ交換
※横にスクロールできます


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/84
雨風にさらされて酷く劣化した雨戸をリフォームした事例です。
腐食に強く、防犯性に優れたLIXILの「雨戸一筋」を採用したことで、安心して暮らせる住まいになりました。
工期 | 3日 |
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費用 | 70万円 |
事例2:防犯を考えた玄関ドアへの交換
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出典:https://freshhouse.co.jp/case/16668/
外壁のリフォームと併せて、玄関もリフォームした事例です。
鍵のコピーやピッキングを防げる、LIXILの電子キー扉「リシェント」を採用。また、玄関横の掃き出し窓にはシャッターを取り付け、家全体の防犯面も強化されています。
工期 | ー |
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費用 | ー |
事例3:防犯性と快適さを両立したルーバー雨戸の設置
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出典:https://freshhouse.co.jp/case/16505/
相続した家を全面リフォームした事例です。複数台の駐車場を確保できるよう、塀をなくしオープン外構へ。
1階の窓には、防犯面を考慮して鍵付きのルーバー雨戸を設置しました。雨戸を閉めたままでも、通風や採光をとることができます。
工期 | 約3カ月 (全体のリフォーム期間) |
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費用 | ー |
4.まとめ
住宅への侵入を防ぐには、窓や玄関ドアの弱点を把握して、適切な防犯対策を実施することが重要です。予算や生活スタイルに応じた防犯対策を見つけて、安心安全な住まいづくりを実現しましょう。
そして防犯リフォームで大切なのが、どのような会社に依頼するかということ。リフォーム時に家の構造や生活パターンなど重要な情報を伝えるため、信頼できない業者に依頼することで、かえってリスクを招く可能性があります。
突然の訪問営業には注意をし、急かされても即決しないこと。必ず連絡先や所在地が明確で、専門性を持ったリフォーム会社に相談しましょう。
リフォームガイドに登録されているのは、厳しい審査をクリアした優良会社のみ。コンシェルジュが要望をヒアリングして、お住まいの地域で経験豊富なリフォーム会社を紹介しています。どこにリフォームを依頼したらいいかわからない方は、ぜひ活用してみてください。
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