室内で過ごしていて、外部からの騒音や冷暖房効率の悪さでストレスを感じているのであれば、窓のリフォームが効果的です。
この記事では、窓リフォームの目的別に、効果や費用相場を実際の施工事例とともに解説します。活用できる補助金制度なども紹介しているので、窓のリフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。
1.窓のリフォームの種類
まずは窓のリフォームにはどのような目的・種類があるのか、そしてリフォームすることでどのような効果が得られるのかを押さえておきましょう。
1-1 断熱性を高めるリフォーム
断熱性の高い家は外気温の影響を受けにくく、過ごしやすい室温を保てます。高断熱の家は、外壁と内壁の間や天井裏などに断熱材を挟むことで実現しますが、窓ガラスも高断熱タイプを用いたり、内窓(二重窓)を追加するとさらに効果的です。
冷暖房の効きも向上し、光熱費の節約にもつながります。
1-2 結露を防ぐリフォーム
寒くなって暖房を使うようになると、窓に発生する結露が気になるという方も多いでしょう。窓についた水滴をそのままにしておくと、窓枠や窓まわりの壁紙、カーテンなどにカビやダニが発生し、アレルギー疾患を引き起こす原因にもなります。
結露の原因は室内外の温度差のため、高断熱の窓ガラスや窓枠にすることで結露の軽減につながるでしょう。
1-3 防音性を高めるリフォーム
近くを走る車やバイクの音、子どもたちが遊ぶはしゃぎ声、近所の生活音など、家の中で過ごしていると外部からさまざまな音が飛び込んできます。同じように、テレビの音や家族の話し声など、家の中の音も外に漏れていると考えられます。騒音問題はトラブルに発展することもあるため、注意が必要です。音を遮断する効果を持つ窓に交換すれば、外部の音に悩まされたりプライバシーが漏れたりする不具合を軽減できます。
1-4 防犯性を高めるリフォーム
警視庁が発表するデータによれば、2022(令和4)年の一戸建て住宅への侵入窃盗は12,071件発生しており、そのうちの約30%はガラス破りによる侵入です。
出典:手口で見る侵入犯罪の脅威|警察庁
ガラス破りとは窓ガラスを割って外から手を入れて開錠し、室内に侵入する手口ですが、犯人は侵入までに時間がかかりそうな家を避けるといわれています。厚みがあって割れにくいガラスや、割れても穴が開きにくいガラスであれば、ガラス破り防止に効果が期待できるでしょう。また、台風などで飛来物がぶつかっても割れにくいガラスだと安心です。
1-5 風通しを良くするリフォーム
換気のために窓を開けても、一箇所だけでは意味がありません。換気のコツは、風の通り道をつくることです。対角線上にあるドアや窓などを開くことで、外から入ってきた風が室内の空気をスムーズに外に押し流してくれます。
対角線上に開口部がない場合、設計上問題なければ窓を新設するのがおすすめです。外部からの視線が気になる場合は、突き出し窓やオーニング窓など、開け方を調整できるタイプの窓にリフォームするのが良いでしょう。
1-6 耐震性を高めるリフォーム
太陽の光がたっぷりと差し込む大きな窓は、明るく開放感のある空間演出に欠かせません。ただし、開口部が大きくなるほど建物の強度は弱まります。特に木造で開口部を大きくとると、地震で建物が倒壊する危険性があります。
気になる場合は窓リフォームで耐震補強フレームを設置したり、窓のサイズを小さくしたりして、建物の耐震性を高めることが可能です。
2.【目的別】リフォーム費用と事例
窓のリフォームといっても、ガラスを交換するだけのものから新設・増設といった大掛かりなものまでさまざまで、内容によって費用も工事日数も変わります。ここでは事例を紹介しつつ、窓リフォームの費用相場について解説します。
2-1 断熱性を高める/結露を防ぐ
断熱性を高めることや窓の結露を防ぐことが目的の窓リフォームでは、複層ガラスなどの断熱性能を持つガラスに交換したり、内窓を設置したりするケースが多いです。
2-1-1 リフォーム費用
リフォーム費用は窓のサイズや工事内容によって異なります。幅はありますが、5万~50万円程度と考えておくと良いでしょう。
窓の交換リフォームの場合、既存のサッシの上に新しくサッシを被せる「カバー工法」と、サッシを撤去して窓を丸ごと交換する「はつり工法」の2パターンがあります。「はつり工法」の場合、性能が高いのは魅力ですが、一度壁を壊して工事するため費用が高額になる点には注意が必要です。
2-1-2 事例
◆浴室の窓の断熱性を高めるリフォーム
※横にスクロールできます
浴室の窓を断熱性の高いペアガラスに交換したケースです。
浴室内の暖かさが保たれ、ヒートショック予防にも効果が期待できます。
出典:http://cube-renovation.co.jp/works/13390/
◆マンションの結露防止のためのリフォーム
※横にスクロールできます
マンションの構造の関係で内窓の設置が難しかったため、ガラス交換のみ行ったケースです。真空ガラスに交換しただけでも、結露によるカビや外部からの騒音などのお悩みが改善されました。
出典:http://cube-renovation.co.jp/works/5813/
2-2 防音性を高める
防音性を高めたいという場合も、機能性ガラスへの交換や内窓設置で改善が期待できます。
2-2-1 リフォーム費用
既存のガラスを複層ガラスに交換するだけでも防音効果はありますが、内窓を設置するとより効果的です。ガラスとサッシの交換費用は10~50万円程度、内窓設置の費用は、1箇所あたり費用は6万~12万円程度です。
より費用を抑えたい場合は、遮音タイプの単層ガラスを選べばもう少し抑えられるかもしれません。近隣道路の交通量が多い周辺環境や、室内の音漏れを防ぎたいなどの事情に応じて、ガラスの種類を選ぶようにしましょう。
2-2-2 事例
※横にスクロールできます
人通りの多い都心のマンションに多いケースですが、夜間の外部からの騒音対策に内窓を設置しました。日々気になっていた外部からの音がまったく聞こえなくなったと効果は歴然です。
また、フレームは部屋に合った色が選び、インテリアになじみやすくなっています。
出典:http://cube-renovation.co.jp/works/1403/
2-3 防犯性を高める
窓から不審者が侵入するのを防ぐには、特殊構造の防犯ガラスへの交換や内窓の設置がおすすめです。
2-3-1 リフォーム費用
ホームセンターなどで防犯フィルムを購入して自分で貼るという手もありますが、前述のとおり、侵入を阻止するポイントは「窓をこじ開けるのに時間がかかる」ことです。
そのためには防犯ガラスに交換したり、内窓をつけて窓を二重にしたりするのが効果的といえるでしょう。ガラスとサッシの交換費用は10~50万円程度、内窓設置の費用は、1箇所あたり費用は6万~12万円程度と、窓リフォームの中でも比較的安価に抑えられます。
また、取り外しにくい面格子をつけるのも防犯対策になります。DIYで取り付け可能な製品もありますが、簡単に取り付けられる分、対策としては不十分です。防犯目的の面格子取り付けは、プロであるリフォーム業者に依頼するようにしてください。
2-3-2 事例
古さを活かしながら、全面リフォームを実施しておしゃれなお部屋に仕上がりました。窓は内窓へリフォームし、通常の窓よりも防犯性・防音性・断熱性が高くなったうえに、窓が二重になっていることで外から侵入しづらくなり、防犯効果も期待できます。
出典:https://www.aigisetsubi.com/works/works-001/
2-4 風通しを良くする
風通しを良くするための窓の増設やサイズ変更は壁を壊す必要があり、工事は比較的大掛かりなものになります。
2-4-1 リフォーム費用
リフォーム費用はサッシや窓ガラスのグレードなどによっても異なりますが、10万~40万円程度が目安です。サッシの交換程度で済むような工事であれば10万円かからず工期も短いですが、窓の増設によって壁を壊すものや足場を組むような大掛かりなリフォームになると、50万円以上かかることもあります。
まずはリフォーム業者に相談して、プランと見積もりを出してもらうようにしましょう。
2-5 耐震性を高める
大きな窓の周囲を補強したり窓を小さくサイズ変更したりすることで、建物の耐震性を高めることができます。
2-5-1 リフォーム費用
工事内容によって大きく異なるため、耐震補強する場合は5万~100万円程度と幅があるのが特徴的です。
窓を小さくする工事であれば比較的費用を抑えられますが、耐震補強フレームを窓まわりに取り付ける工事は100万円前後かかることが想定されます。足場の設置が必要となり費用がプラスになることもあるため、まずはリフォーム業者に相談してみてください。
3.窓のリフォームに利用できる補助金制度
断熱性などの住宅性能を高めることを目的とした窓のリフォームは、補助金の適用対象になる可能性があります。代表的なリフォーム補助金制度として、次の4つを紹介します。
- 先進的窓リノベ事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
- 子育てエコホーム支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
上記の制度以外にも、自治体が独自で補助金制度を設けていることがあるため、活用できる制度がないか調べてみましょう。
3-1 先進的窓リノベ事業
先進的窓リノベ事業では、住宅の断熱性能を高める窓リフォームに対して最大200万円の補助を行っています。対象となるのは、リフォームの工事請負契約日時点で建築から一年以上経過している住宅で、アパートなどの集合住宅にも適用可能です。
なお、補助金の額は窓の性能区分やガラスのサイズなどで異なります。詳細はこちらの記事を参考にしてください。
※交付申請期間は2024年3月29日~2024年12月31日までです。予算上限に達し次第申請の受付も終了になりますのでお早めの申請をおすすめします。
3-2 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業(通称:断熱リノベ)は、断熱材や機能性ガラスなどを使用した断熱リフォームに対して補助金を交付する制度です。
対象となるのは住居スペースのみの専用住宅で、社宅を含む賃貸住宅にも適用されますが、店舗や事務所などとの併用住宅は申請できません。詳細はこちらの記事を参考にしてください。
3-3 子育てエコホーム支援事業
こどもエコすまい支援事業の後継事業である子育てエコホーム支援事業は、断熱性や防犯性を高めることを目的としたリフォームについて、最大60万円の補助を行います。主に子育て世帯や若者夫婦世帯を対象としていますが、その他の世帯も利用可能です。
また、「子育て対応改修」として防犯性や防音性を高める窓のリフォームだけでなく、ビルトイン食洗器や浴室乾燥機などの家事負担を軽減する設備にも補助金が交付される点が押さえておきましょう。詳細はこちらの記事を参考にしてください。
3-4 長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の性能の向上を目的とした国の支援事業です。リフォーム後の住宅が長期優良住宅の認定を取得すれば最大210万円、認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められた場合には最大130万円の補助が受けられます。
補助金を受けるにはいくつかの条件がありますが、さまざまなメリット・デメリットもあるため詳細はこちらの記事を参考にしてください。
4.窓をリフォームする際に押さえておきたいポイント
最後に、窓をリフォームする際に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。満足のいくリフォームにするために、ぜひ参考にしてください。
4-1 予算・目的にあわせた施工をおこなう
リフォームの検討を始めると、つい気になる箇所が複数出てしまい、費用が膨らみがちです。まずはリフォームの目的と予算を明確にしましょう。希望が複数ある場合は、優先順位をつけるようにしてください。
窓のリフォームは方法次第で費用を抑えることができます。リフォーム業者に相談するときは目的と予算を伝え、どうすれば希望を叶えられるかアドバイスしてもらいましょう。
4-2 デザインだけでなく機能面にも配慮する
一般的な引き違い窓のほかにも、上げ下げ窓、すべり出し窓、ルーバー窓などさまざまなタイプの窓があります。家のイメージに合うおしゃれな窓を選ぶことも大切ですが、選び方によっては住宅の機能性が低下してしまうかもしれません。
各タイプの特徴や機能を理解し、なかでも断熱性・耐震性・防犯性に配慮した窓選びを心掛けるようにしましょう。
4-3 マンションの場合はリフォーム可能か事前確認が必要
国土交通省が提供する「マンション標準管理規約(単棟型)」の第7条2項3には、「窓枠や窓ガラスは専有部分に含まれない」という表現があります。
一般的にマンションの窓枠や窓ガラスは共有部分にあたり、共用部分のものは区分所有者でも個人の判断でリフォームできません。また、室内に設置する内窓であれば良いかというと、必ず良いとは言い切れません。管理規約はマンションによって異なるため、専有部分であっても一定の制限を受けることがあります。
窓に限らずマンションをリフォームする際は、事前に管理組合に確認するようにしましょう。
リフォーム会社からどうしてこの工事内容になるのかを、納得できるまで説明してもらいましょう。
5.まとめ
窓のリフォームは、住宅の断熱性や防犯性の向上などに効果的です。リフォームの内容は、ガラスのみを交換するケースやサッシを交換するケース、窓を新設・増設するケースなどさまざまあります。既存の窓の状態やリフォームの目的などによって費用や工期が大きく変わるため、まずはリフォーム業者に相談してみましょう。
リフォームガイドでは、窓リフォームの実績豊富な業者を複数ご紹介できるため、プランや見積もりの比較が簡単に行えます。業者選びの方法がわからずお悩みの場合も、専任のコンシェルジュのサポートによって最適なリフォーム業者を選定できるでしょう。リフォーム業者をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。