
暮らしぶりを大きく変えてくれる「防音リフォーム」。
あまり実施事例の多いリフォームでもないので、防音リフォームについてこんな疑問や不安のある方は多いと思います。
- どの程度の防音効果があるのだろう?
- どんな施工方法でリフォームできるのか?
- 費用は、どれくらいかかるのか?
今回は防音リフォームを検討している人向けに、防音リフォームの各トピックについて解説します。
- 防音リフォームを実施するメリット
- 防音リフォームの種類
- 防音室を作るために、必要な費用
目次
1.防音リフォームのメリット
防音リフォームのメリットは以下のようなことが挙げられます。
- 近所トラブルを回避できる
- 外界騒音を防いで、快適な生活を送れる
- 趣味を楽しめる
1-1.近所トラブルを回避できる
防音リフォームを検討する発端は、生活音にまつわる近隣トラブルという人が多いと思います。
隣室や隣家から聞こえてくる音は、生活するうえでかなり大きなストレスです。「隣の人に迷惑だったかも…」と思ったことがある人も、多いのではないでしょうか?
しかし防音リフォームをすれば、近所の人々に迷惑をかけることはグッと減るでしょう。特にマンション住まいや、隣家が近い場所に住んでいる場合、防音リフォームはより効果的です。防音リフォームを行うことで、近隣トラブルのほとんどが避けられるでしょう。
1-2.外界の騒音を防ぎ、快適な生活を送れる
自宅からの音漏れをおさえられるなら、外から聞こえる音もおさえられます。
たとえば、こんな音ですね。
- 電車の音
- 自動車のエンジン音
- 隣家の生活音
防音リフォームを施すことで、外から聞こえてくる音はかなりおさえられます。
1-3.趣味を楽しめる
防音リフォームされている部屋があれば、音楽やダンスなどの趣味を存分に楽しめます。防音室なら、音漏れについてはほとんど心配する必要はありません。
- マイクを使って歌唱する
- アンプにつないでギターを弾く
- ダンスのレッスンをする
といった趣味も、なんの心配もなく楽しめます。趣味を楽しむ時間帯についても、心配する必要がほとんどなくなるでしょう。
2.防音リフォームの施工方法
防音リフォームは、大きく分けてこの4つの工法があります。
- 遮音
- 吸音
- 防振
- 制振


2-1.遮音
遮音とは、そのまま音を遮るという意味です。これにより、内側からの音漏れや外側からの騒音をおさえられます。また、音の残響をおさえる効果も。
施工方法 | 床材の真下に「遮音材」や「遮音マット」を敷き詰めて、音が遮断されるようにする。 複数の遮音材や遮音マットを組み合わせて、より高い防音効果を得ることも可能。 |
---|---|
効果 | ・何かが落ちた音 ・足音 が緩和される。 |
費用相場 | 30万円~60万円 |
遮音は、近所トラブルや外界騒音の社団、趣味を楽しむことまで、幅広い目的に合った方法と言えるでしょう。
2-2.吸音
吸音とは、簡単に言えば材料に音を吸収させることで防音効果を得ることです。これにより、内部の音をおさえ、周りへの反響もおさえられるようになります。
施工方法 | 「吸音材」を壁内や床に挟み込む。 吸音材にはグラスウールなどの化学繊維が使われることが多い。 |
---|---|
効果 | 内外からの音が吸音材に吸収される。 |
費用相場 | 15万円~40万円 |
吸音は、楽器や運動の音を、しっかりとおさえてくれるので、特に音を出す趣味を楽しむのに有効です。
2-3.防振
防振とは、音の振動をできるだけおさえて、音が伝わりづらくすること。地震の揺れをおさえるものではないので、間違わないようにしましょう。
施工方法 | 「防振材」を壁内や床に挟み込む。 吸音材にはフェルトなどが使われることが多い。 |
---|---|
効果 | 内外からの振動を伝えないようにして、音が伝わりにくいようにする。 |
費用相場 | 15万円~25万円 |
特にダンスなどの趣味では、防振は重要です。
2-4.制振
制振とは、音の振動自体をできるだけおさえること。
施工方法 | ゴムや鉛などでできた制振素材をあてる。 |
---|---|
効果 | 音の振動を抑えて、そもそも音が出ないようにする。 |
費用相場 | 15万円~25万円 |
制振は自宅から出る音をおさえられるので、近所トラブルも避けやすくなります。
3.【場所別】防音リフォームの方法・費用・工期
防音効果を得るためには、様々な場所に防音リフォームを施す必要があります。
具体的には下記のような場所です。
- 床
- 壁
- 窓
- ドア
- 天井
施工場所により、リフォームの方法や費用もさまざまです。
下記では、防音リフォームの場所・方法・費用について解説します。
3-1.床の防音リフォーム方法・費用・工期
方法 | 施工内容 | 目的 | 費用 | 工期 |
---|---|---|---|---|
遮音 | 防音機能の床材に張り替え | ・近所トラブルの回避 ・外界騒音を防ぐ |
25〜30万円 | 1〜3日 |
吸音 | 吸音マットに張り替え | ・趣味を楽しめるように ・外界騒音を防ぐ |
15〜40万円 | 1〜3日 |
防振 | フェルト素材の防振材の張り替え | ・近所トラブルを回避 ・趣味を楽しめるように |
15〜25万円 | 1〜3日 |
制振 | ゴムシートの制振材の張り替え | ・近所トラブルの回避 ・趣味を楽しめるように |
15〜25万円 | 1〜3日 |
3-2.壁の防音リフォーム方法・費用・工期
方法 | 施工内容 | 目的 | 費用 | 工期 |
---|---|---|---|---|
遮音 | 防音機能の壁材に張り替え | ・近所トラブルの回避 ・外界騒音を防ぐ |
12〜15万円 | 1〜3日 |
吸音 | 壁を吸音マットに張り替え | ・趣味を楽しめるように ・外界騒音を防ぐ |
12〜15万円 | 1〜3日 |
防振 | フェルト素材の防振材の張り替え | ・近所トラブルを回避 ・趣味を楽しめるように |
15〜25万円 | 1〜3日 |
制振 | ゴムシートの制振材の張り替え | ・近所トラブルの回避 ・趣味を楽しめるように |
15〜25万円 | 1〜3日 |
3-3.窓の防音リフォーム方法・費用・工期
方法 | 施工内容 | 目的 | 費用 | 工期 |
---|---|---|---|---|
遮音 | 防音機能の床材に張り替え | ・近所トラブルの回避 ・外界騒音を防ぐ |
25〜30万円 | 1〜3日 |
吸音 | 吸音マットに張り替え | ・趣味を楽しめるように ・外界騒音を防ぐ |
15〜40万円 | 1〜3日 |
防振 | フェルト素材の防振材の張り替え | ・近所トラブルを回避 ・趣味を楽しめるように |
15〜25万円 | 1〜3日 |
制振 | ゴムシートの制振材の張り替え | ・近所トラブルの回避 ・趣味を楽しめるように |
15〜25万円 | 1〜3日 |
3-2.壁の防音リフォーム方法・費用・工期
方法 | 施工内容 | 目的 | 費用 | 工期 |
---|---|---|---|---|
遮音 | 二重窓を取り付ける | ・近所トラブルの回避 ・外界騒音を防ぐ |
5〜10万円 | 1〜2日 |
吸音 | 複層ガラスに張り替える | ・近所トラブルの回避 ・外界騒音を防ぐ |
5〜20万円 | 1〜2日 |
3-4.ドアの防音リフォーム方法・費用・工期
方法 | 施工内容 | 目的 | 費用 | 工期 |
---|---|---|---|---|
遮音 | 防音材が含まれたドアに交換 | ・近所トラブルの回避 ・趣味を楽しめるように |
15〜30万円 | 1〜2日 |
吸音 | 吸音材が含まれたドアに交換 | ・近所トラブルの回避 ・外界騒音を防ぐ |
15〜30万円 | 1〜2日 |
3-5. 天井の防音リフォーム方法・費用
方法 | 施工内容 | 目的 | 費用 |
---|---|---|---|
防振・制振 | 天井裏に空間がある場合:吸引材などの充填内容 構造躯体がむき出しで天井裏がない場合:天井に空間を作り、吸引材などを充填 |
上階の足音などの振動音を回避 | 40万円~ |
天井から伝わる音というのは、上階にいる人の足音などの「振動」によって伝わるため、単に遮音シートを貼るなどの施工では防ぎきれません。そのため、防振と制振両方の施工が必要になり、費用が嵩みがちになります。天井の防音リフォームは、他の場所の防音リフォームに比べて難易度が高いと言われています。
現在の天井の状態によって施工できる・できないものがあるので、一度業者に相談してみましょう。
4.防音室を作る場合の費用と期間
防音リフォームのひとつとして、「防音室を作る」といった方法も考えられます。防音室の防音効果はとても強力で、音に関するトラブルや不便はほとんど解決できるでしょう。
防音室を作る方法としては、下記の2つの方法があります。
- 1室を防音室にリフォームする
- 組み立て式の防音室を設置する
4-1.部屋全体を防音環境にする
1室全体を防音室にして防音環境をつくる場合、費用としては170万円~かかります。リフォーム費用としては高額な部類に入るでしょう。
参考:https://www.reform-guide.jp/topics/bouon-reform-hiyou/
この場合、吸音材や遮音材に加え、防振支持やコンクリート造など、さまざまな防音対策がなされます。
結果として、ピアノやギターを演奏したとしても問題ないほどの防音効果が得られるでしょう。
期間としては、7日程度かかると考えられます。
4-2.組み立て式の防音室を作る場合
1室を防音室にリフォームするのが難しければ、組み立て式防音室を利用する方法もあります。
組み立て式の防音室を作る場合、おおむね50万円から300万円の費用がかかるでしょう。決して安いものではありませんが、1室を防音室に変えるリフォームと比較すれば、まだ現実的な範囲です。
参考:https://www.reform-guide.jp/topics/bouon-reform-hiyou/
組み立て式防音室の広さは、1畳から4畳までとさまざま存在します。広さと防音能力、メーカーによって価格は変わりますので、必要な広さで、望みの防音能力があるものの中から、予算内の商品を選びましょう。
期間としては短く、おおむね1,2日ほどで終わるはずです。
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5.防音リフォームをする際の注意点
防音リフォームを実施する際は、さまざまな注意点があります。
- 住んでいる場所の賃貸契約を確認する
- 安い見積もりが出された場合は注意
- ハウスメーカーから業者を紹介してもらう場合も費用感に注意
5-1.マンションなど賃貸契約の場合は規約を確認する
まず、賃貸契約している場合は、規約をチェックしましょう。規約を破って防音リフォームした場合、のちに契約トラブルへ発展するかもしれません。
マンションなどの防音アパートでは、窓などはリフォームしてはいけないと定められているケースが多くあります。つまり、自由に防音リフォームができるわけではないのです。
賃貸契約の場合は、きちんと契約を確認したうえで、リフォームを進めていきましょう。


5-2.安い見積もりを出す業者には注意
また、安い見積もりを出す業者にも注意しなければいけません。
なぜなら見積もり金額が低いなら、材料費や工事費もおさえられている可能性があるからです。じゅうぶんな材料が使用されず防音効果が得られない、といった問題に発展するかもしれません。
あまりにも安すぎる見積もりを提示してきた場合は、注意しましょう。
疑問を感じたら、なぜ安くできているのか、希望している効果は得られるのかを納得できるように説明してもらいましょう。
5-3.ハウスメーカ紹介だと高くなる
また、ハウスメーカーから紹介を受けると、費用が高くなる点についても注意しましょう。紹介された業者は、ハウスメーカーに手数料を支払っていることがあります。
ハウスメーカーから紹介された業者が安心できるのはたしかですが、費用が割高になる点には注意しなければいけません。
費用をおさえたい場合は、紹介ではなく自力で業者を探すといった方法も頭に入れておきましょう。
6.防音リフォームで使える補助金
防音リフォームを実施する場合、補助金が使えるかもしれません。
補助金が使えた場合、防音リフォームにかかる費用はかなりおさえられるでしょう。
具体的にこのような条件の場合には、補助金が使える可能性が高いです。
- 幹線道路に近い場所である
- 周辺に自衛隊・在日米軍基地があり、軍用機の離発着がある
- 空港の近くに住んでおり、航空機の離発着がある
「周辺からの騒音による影響が大きい」と判断されている場合、防音リフォームについて補助金や助成金が支給されます。
自治体に確認してみるか、お住まいのエリアの補助金について詳しいリフォーム会社に、使える補助金があるか相談するのが確実です。
7.まとめ
防音リフォームは、音に関する問題を解決して生活を向上させるうえで、たいへん重要です。
- 近所トラブルを防げるようになる
- 外界騒音を防げるようになる
- 目一杯、趣味を楽めるようになる
なお、一口に防音リフォームといっても、その方法は遮音や吸音に始まり、さまざまです。また、防音する場所によっても効果や費用、あるいは工期が変化します。
本記事を参考に、よりよい防音リフォームを実施してください。