
リフォーム費用を調達する方法として、リフォームローンのほかに住宅ローンを利用するという選択肢もあります。住宅ローンはリフォームローンよりも金利が低く、長期に及ぶ借り入れが可能などの魅力がありますが、条件が揃わないと活用しづらく、すべての方におすすめできるとは限りません。
リフォーム費用を調達する際は事前に情報を集めて、リフォームの規模や費用、個人の状況に合ったお得な資金調達方法を考えることが大切です。この記事では、住宅ローンを利用したリフォーム資金の調達方法と、それをおすすめできるケースについて解説します。
お得な方法でリフォーム費用を調達したい方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
1.住宅ローンでリフォーム資金を調達する3つの方法
住宅ローンでリフォーム資金を調達するには、以下の3つの方法があります。
- 住宅購入時にリフォーム資金を含めた資金を住宅ローンで借り入れる
- 大型リフォーム時にリフォーム資金のみを住宅ローンで借り入れる
- リフォーム資金を上乗せして他の住宅ローンに借り換える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.住宅購入時に借り入れ:リフォーム資金を含めた住宅購入資金を住宅ローンで
住宅購入時に、リフォーム資金も含めた総額を借り入れる方法です。リフォームを前提に中古住宅を購入するケースなどが該当します。
【フラット35】リノベなど、中古住宅の購入とリフォームをセットにした住宅ローン商品もあり、リフォーム資金を含めた住宅購入資金を調達することができます。リフォームの内容が一定の要件を満たしていると、一定期間中の金利が引き下げられる優遇措置も受けられ、有利な条件で資金調達ができるでしょう。
なお、リフォーム資金を含めた購入資金を住宅ローンで調達するには、審査の時点でリフォーム分の見積もりが必要です。
購入前のローン審査時に正確な見積もりを用意するのは難しいので、不動産会社提携のリフォーム会社で概算見積もりを一旦取得して、ローン審査が通ってから改めて、いくつかの会社から相見積もりを取ってリフォームプランを検討するという流れにすることが多いようです。
こうすれば、購入後に複数のリフォーム会社に現地調査に入ってもらって、相見積もりからお得なプランを選ぶことができるようになります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。


1-2.新規借り入れ:大型リフォーム時にリフォーム資金のみを住宅ローンで
リフォーム費用のみを借りられる住宅ローン商品もあります。フラット35はリフォーム費用のみの調達には利用できませんが、イオン銀行の「住宅ローン・リフォーム活用プラン」など、リフォーム費用のみを借りられる住宅ローン商品を提供している金融機関は存在します(2024年4月現在の情報)。
無担保のリフォームローンよりも金利が低く、返済期間も長いことがメリットですが、現在住宅ローンを返済中の方は二重抵当になってしまうため、新たに住宅ローンを組むのはおすすめできません。既に第一順位の抵当権が設定されていると、利用できない場合もあります。
利用可能であっても審査は厳しく、住宅に担保価値がないと審査に通らない点にも注意が必要です。
1-3.借り換え:リフォーム資金を上乗せしての借り換えで、支払総額が抑えられるケースは稀
リフォーム資金を上乗せして、他の住宅ローンに借り換えることも考えられます。住宅ローンの借り換え時に、リフォーム資金を追加できる商品を提供している金融機関もあります。
借り換え時には、金融機関によって条件が決められています。居住中の物件にリフォームをするための借り入れであることが要件になっている場合などがありますので、ご自身の状況で利用できる商品を探すようにしましょう。
住宅ローンの借り換えでリフォーム資金を調達するときには、この2点に注意しましょう。
- 再度ローン手続きの手数料がかかる
- 借り換えで「支払総額」を減らせるケースは稀
[1]借り換えで再度ローン手続きの手数料がかかる
ローンの借換えを行うため、再度ローン契約のための諸費用(保証料や融資事務手数料、団体信用生命保険料など)がかかってきます。諸費用をローンに組み込めるローン商品もありますが、借入金と利息の他に、数十万円の諸費用が発生することは注意しておきましょう。
[2]借り換えで「支払総額」を減らせるケースは稀
また、現在のローン契約の残債が高額で長期、金利が高いケースでないと、そもそも住宅ローンの借り換えで支払総額を減らすことには繋がりづらい点も認識しておきたいところです。
そのため、多少のリフォーム費用を上乗せしても、住宅ローンの低金利によるメリットを享受できるとは限りません。リフォーム費用分はリフォームローンで借り入れた方が、ローンの支払総額は低く抑えられるかもしれません。
ただし、支払総額が上がっても、月額の支払い費用を抑えたい場合は、借り換えを選択することはあり得ます。住宅ローンの借り換えによるリフォーム資金の調達は、リフォームローンを使う場合と比較して、メリットとデメリットを理解した上で慎重に判断しましょう。
2.リフォーム資金を住宅ローンで調達するメリット・注意点
ここまで説明してきたように、住宅ローンをリフォームの資金調達に活用する方法はあるものの、条件が揃わないと活用は難しいです。ここでは、リフォーム資金を住宅ローンで調達するメリット・デメリットを解説します。
2-1.住宅ローンでリフォーム資金を調達するメリット:金利が低い
住宅ローンでリフォーム資金を調達する最大のメリットは、無担保型のリフォームローンよりも金利が低いことです。住宅ローンはリフォームローン等と比べて金利が低く、月々の支払総額を抑えられます。
住宅ローンの金利は一般的に変動金利で0.4~2%程度の範囲で設定されています。一方、無担保型のリフォームローンの金利は変動金利で2~4%程度となることが多いです。
金融機関 | 商品名 | 金利 |
---|---|---|
イオン銀行 | 住宅ローン・リフォーム活用プラン | 年0.38%~(変動金利) |
りそな銀行 | リフォーム資金セット型 | 年0.34%~(全期間型変動金利) |
みずほ銀行 | 中古・リフォーム一体型 | 年0.375%~(変動金利) |
SBI新生銀行 | 住宅ローン | 年0.42%~(変動金利半年型) |
金融機関 | 商品名 | 金利 |
---|---|---|
イオン銀行 | リフォームローン | 年3.27%~(固定金利のみ) |
りそな銀行 | りそなリフォームローン | 年3.475%~(変動金利) 年1.600%~(変動金利/住宅ローン併用・リフォーム内容の条件付きの場合) |
みずほ銀行 | みずほリフォームローン | 年3.975%~(変動金利) 年3.875%~(変動金利/リフォーム内容の条件付きの場合) |
関西みらい銀行 | 関西みらいリフォームローン | 年2.00%~4.00%(変動金利) 年1.00%~3.00%(変動金利/住宅ローン併用等の条件付きの場合) |
住宅ローンとリフォームローンに金利差が生じる理由として、住宅ローンはリフォームローンよりも融資期間が長く、融資対象の不動産を担保にしていることなどが挙げられます。
2-2.住宅ローンでリフォーム資金を調達するときの注意点
住宅ローンでリフォーム資金を調達する際は、以下の4点に注意が必要です。
[1]諸費用や手数料が高額になる
住宅ローンでリフォーム資金を調達する際は、諸費用や手数料が高額になることに注意が必要です。諸費用や手数料には、保証料、融資事務手数料、抵当権設定費用、団体信用生命保険料などがあり、すべてを合わせると数十万円程度になることがあります。手数料が高額であるため、少額融資で住宅ローンを利用するのは向きません。
[2]審査が厳しい
住宅ローンはリフォームローンに比べて審査が厳しく、審査期間が長いため、利用できるかどうかを確定するまでに時間がかかることにも注意が必要です。金融機関は借り手の返済能力や担保価値などを慎重に判断するため、最短でも1~2週間程度はかかります。必要書類も多く、膨大な書類を収集しなければなりません。
[3]住宅ローン減税の対象にならない
リフォーム費用分は住宅ローン減税の対象とならないことが多く、リフォーム費用が100万円以上で一定の基準を満たす工事が行われたことなどが条件になります。
[4]リフォーム費用のみに適用できる住宅ローン商品は限られる
リフォーム費用のみに適用できる住宅ローン商品は限られることにも注意が必要です。リフォーム費用のみに適用可能であっても、小規模なリフォームには利用できない場合があります。
3.リフォーム資金調達に住宅ローンを検討したいケース
ここまでを踏まえて、住宅ローンでリフォーム資金調達を検討した方が良いケースを解説します。
大規模リフォームをするときや月額の支払金額を抑えたい場合は、住宅ローンの利用がおすすめです。
3-1.高額の資金を借り入れる必要がある
物件購入に伴うリフォームや大規模なリフォームを検討する場合は、金利の低い住宅ローンで資金調達するのがおすすめです。住宅ローンはリフォームローンよりも金利が低いため、返済額を低減できます。
リフォームを前提に中古住宅を購入する際は、リフォーム工事費も低金利が適用されるため、リフォーム工事費だけをリフォームローンで調達するよりもお得です。
逆に、住宅ローンは諸費用や手数料が高額になり、手続きも煩雑で時間がかかります。一部分のみの小規模リフォームの場合は、金利が高くてもリフォームローンの方がおすすめです。
3-2.月額の支払金額を抑えたい
既存の住宅ローンの返済に、リフォームローンの月額支払いを上乗せするのが厳しい場合では、住宅ローンを借り換えて費用をまとめると、月額の支払金額を軽減することができます。
リフォームローンは金利が比較的高く、住宅ローンと比べると短期間での返済となることが多いため、月々の返済額が高めになることがあります。そのため、住宅ローンとリフォームローンを並行して返済すると、月あたりの返済額の総額が高くなってしまいます。状況によっては返済が困難になることもありますので、返済総額が高くなったとしても、住宅ローンを借り換えて1本化するという選択肢はあり得ます。
4.住宅ローンを利用できないときはリフォームローンを検討しよう
住宅ローンは金利が低めに設定されており、1,000万円以上の大規模リフォームをする際や月額の支払金額を抑えたい場合はおすすめできます。ただし、審査は厳しく、手数料や諸費用が高額になるなどのデメリットが存在します。
住宅ローンの審査に通らなかったり、シミュレーションをしてもお得にならなかったりする場合は、リフォームローンを検討しましょう。リフォームローンの金利は比較的高いものの、初期費用はかからないことが多く、住宅ローンと比べると審査基準は高くありません。
リフォームローンについては下記の記事で詳しく解説しています。リフォームの規模や費用、個人の状況に合わせて、最適な資金調達方法を選びましょう。

