【2024年度版】リフォームの減税(控除)制度を分かりやすく解説!

中古物件を購入してリノベーションするときや、自宅をリフォームするときには、規模によっては高額なリフォーム費用が発生します。しかしリフォームが耐震や省エネ、バリアフリーなど一定の目的である場合には、お得な減税制度を活用できるかもしれません。

リフォームで活用できる減税制度には、住宅ローン控除リフォームによる所得税の特別控除固定資産税の減税制度などいろいろな種類があります。今回は、それぞれの概要や適用される工事の種類、必要書類などを詳しくご紹介します。

減税制度のほかに、リフォーム費用そのものを国や自治体が負担してくれる補助金や助成金もご紹介しますので、ぜひお得なリフォームをするためのご参考にしてください。


1.リフォームの減税(控除)制度

国が中古住宅の流通促進を後押ししていることもあり、リフォームに関する減税制度は充実しています。まずはどのような制度があるのかを確認しましょう。

1-1.所得税の減税(住宅ローン控除・特定リフォームの特別控除)

所得税は、毎年1月1日から12月31日までに発生した個人の所得に対して課される国税です。所得税の減税制度は2種類あり、それぞれ対象となるリフォームの内容などが違います。順番に見ていきましょう。

◆住宅ローン減税

住宅ローン減税は、10年以上の住宅ローンを利用して中古住宅をリフォームしたときに、一定の要件を満たしている場合に最大10年間、年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です。

【既存住宅における住宅ローン減税】
適用年度(入居した年)2022年(令和4年)1月〜2025年(令和7年)12月末まで
借入限度額認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅3,000万円
上記以外2,000万円
 控除率0.7%
控除期間10年間
所得要件2,000万円以下である

出典:国土交通省省「令和6年度税制改正の大綱(14頁)」

住宅ローン減税の対象となるのは、以下のいずれかに該当する工事をおこなった場合です。

  1. 建築基準法に規定する大規模の修繕または模様替え、改築、増築
  2. マンションなどの区分所有部分の床、階段、壁の過半についておこなう修繕または模様替え
  3. 居室、調理室、浴室、便所、洗面所、何度、玄関、廊下の一室の床または壁全部についておこなう修繕または模様替え
  4. 現行の耐震基準に適合させるための耐震改修工事
  5. 一定のバリアフリー改修工事
  6. 一定の省エネ改修工事

ただし、対象となる改修工事費用から、補助金などをのぞいた金額が100万円(税込)を超える場合に限ります。

2024年より、新築における住宅ローン減税を受けられる基準が上がりました※が、既存住宅のリフォームに関しては従来のとおりすべての住宅が対象です。
※2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準を満たす住宅のみ住宅ローン減税の対象に

◆リフォーム推進減税(特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除)

既存住宅に対して一定のリフォームをおこなった場合に、ローンの有無を問わず所得税が控除されます。

適用年度(入居した年):2022年(令和4年)1月1日〜2025年(令和7年)12月31日

また2024年(令和6年)より、子育て世帯※などが子育てに対応した住宅リフォームを行う場合も所得税控除の対象となりました(適用期限:令和6年12月31日)。

※ 「19歳未満の子を有する世帯」又は「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」

【リフォーム推進減税(特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除)】
対象工事最大控除額
対象工事(いずれか実施)対象工事限度額控除率
耐震250万円10%※25万円
バリアフリー200万円20万円
省エネ250万円(350万円)25万円(35万円)
三世代同居250万円25万円
長期優良住宅化耐震+省エネ+耐久性500万円(600万円)50万円(60万円)
耐震or省エネ+耐久性250万円(350万円)25万円(35万円)
子育て250万円25万円

※()内の金額は、太陽光発電設備を設置する場合
※ 対象工事の限度額超過分、およびその他リフォーム工事についても控除率5%で控除対象となる

出典:国土交通省「令和6年度 国土交通省税制改正概要(21頁)」

最大の対象工事限度額は、必須工事とあわせて合計1,000万円です。

例えば、長期優良住宅化リフォーム(耐震+省エネ+耐久性)を1000万円かけてした場合、必須工事の限度額500万円に10%、超過分の500万円に5%の控除率をかけて、最大75万円が翌年の所得税から控除されます。

対象工事の具体的な内容は、「2.減税(控除)対象になるリフォーム工事の種類」でご紹介します。

1-2.固定資産税の減税

固定資産税は、毎年1月1日時点に所有している土地や建物に対して課される地方税です。一定のリフォーム工事をおこなった場合、工事を完了してから3か月以内に市区町村に申告することで、固定資産税の減額を1年度分受けられます。

対象となるリフォーム工事と軽減額は、以下のとおりです。

制度期間:2024年(令和6年)3月31日まで

リフォームの内容軽減額
耐震リフォーム2分の1
バリアフリーリフォーム3分の1
省エネリフォーム3分の1
長期優良住宅化リフォーム3分の2

出典:国土交通省「令和6年度 国土交通省税制改正概要(22頁)」

それぞれの工事内容は、次章で詳しくご紹介します。

1-3.贈与税の非課税措置

贈与税の減税は、親や祖父母などの直系尊属から住宅取得資金などの贈与を受けてリフォーム工事を実施したときに、一定の上限額まで贈与税が非課税とされる制度です。

制度期間2026年(令和8年)12月31日まで
床面積要件50㎡以上※
受贈者20歳以上
※2022年4月以降は18歳以上
非課税枠の上限額耐震、省エネまたはバリアフリーの要件※を満たす住宅用家屋
1,000万円
上記以外の住宅用家屋
500万円

※合計所得金額が1,000万円以下の受贈者に限り、40㎡以上50㎡未満の住宅についても適用

※非課税枠上限1000万円となる耐震、省エネまたはバリアフリーの要件
①断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上
②耐震等級2以上又は免震建築物
③高齢者等配慮対策等級3以上

出典:国土交通省「令和6年度税制改正の大綱(15頁)」

対象工事は、以下のとおりです。

  1. 以下のいずれかの工事をおこなった場合

①建築基準法に規定する大規模の修繕又は模様替え、改築、増築
②マンションなどの区分所有部分の床、階段、壁の過半についておこなう修繕または模様替え
③居室、調理室、浴室、便所、洗面所、何度、玄関、廊下の一室の床または壁全部についておこなう修繕または模様替え
④現行の耐震基準に適合させるための耐震改修工事
⑤一定のバリアフリー改修工事
⑥一定の省エネ改修工事

  1. 給排水管または雨水の浸入を防止する部分の修繕・模様替え
  2. 質の高い住宅の基準に適合させるための修繕・模様替え

2.減税(控除)対象になるリフォーム工事の種類

ここでは、どんなリフォーム工事が減税対象になるのかを解説します。

2-1.バリアフリー化リフォーム

バリアフリー化リフォームは、高齢者や障がい者を含めた家族全員が安全に暮らせる住まいにするためのリフォームです。

改修工事の種類

  1. 通路などの拡幅
  2. 階段の勾配の緩和
  3. 浴室改良
  4. トイレ改良
  5. 手すりの取り付け
  6. 段差の解消
  7. 出入り口の戸の改良
  8. 滑りにくい床材料への取り替え

2-2.耐震に関するリフォーム

耐震リフォームは、現行の耐震基準に適合させるための耐震工事を指します。

改修工事の種類

現行の耐震基準に適合する耐震改修工事
(固定資産税の減額については、改修工事費が50万円超であること)

2-3.省エネリフォーム

省エネリフォームは、住宅の省エネ性能を上げるためにおこなうリフォームのことです。

改修工事の種類

  • 窓の断熱工事 
  • 床・天井・壁の断熱工事
  • 太陽光発電設備設置工事
  • 高効率空調機設置工事/高効率給湯器設置工事/太陽熱利用システム設置工事
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2-4.同居対応リフォーム

親子、孫の世代間が助け合って暮らしやすい住宅環境を整備する、三世代同居のためのリフォームが該当します。

改修工事の種類

  • 調理室の増設
  • 浴室の増設
  • トイレの増設
  • 玄関の増設

2-5.長期優良住宅化リフォーム

住宅の耐久性を向上させるリフォームをおこない、「長期優良住宅(増改築)認定」を取得した場合に減税などを受けられます。

改修工事の種類

  1. 小屋裏の換気性を高める工事
  2. 小屋裏の状態を確認するための点検口を天井などに取りつける工事
  3. 外壁を通気構造などにする工事
  4. 浴室または脱衣室の防水性を高める工事
  5. 度台の防腐または防蟻のためにおこなう工事
  6. 外壁の軸組などに防腐処理または防蟻処理をする工事
  7. 床下の防湿性を高める工事
  8. 床下の状態を確認するための点検口を床に取りつける工事
  9. 雨どいを軒または外壁に取りつける工事
  10. 地盤の防蟻のためにおこなう工事
  11. 給水管・給湯管、または排水管の維持管理または更新の容易性を高める工事

【対象となる住宅の種別】木造:①〜⑪ / 鉄骨造:①②⑦⑧⑪のみ / 鉄筋コンクリート造など:⑪のみ

子育てリフォーム

2024年(令和6年)から所得税の減税で適用になった子育て対応のリフォームは、下記のような工事が対象となります。

改修工事の種類

  1. 住宅内における子どもの事故を防止するための工事
  2. 対面式キッチンへの交換工事
  3. 開口部の防犯性を高める工事
  4. 収納設備を増設する工事
  5. 開口部・界壁・床の防音性を高める工事
  6. 間取り変更工事(一定のものに限る)

2-6.中古住宅を購入してリフォーム

中古物件を購入してリフォームするときに利用できるのは、以下の減税制度です。

<10年以上の住宅ローンを組んでいる場合>
・住宅ローン減税

<10年未満の住宅ローンを組んでいる、もしくは現金で購入した場合>
・既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除

中古住宅を現金で購入した場合はリフォームによる特別控除が、住宅ローンを組んでリフォーム工事をしたときには、住宅ローン減税とリフォームによる所得税の特別控除のいずれかを選べます。

工事の内容、ローンの有無や借入額などにより、どちらが結果的にお得になるか、よく考えて選びましょう。


3.リフォームして減税(控除)を受けるには申告が必要!

リフォームをして減税制度を活用するには、適切な申告先・タイミングでの申告が必要になります。

税金の種類によって、申告先や必要な書類の種類が違うので、あらかじめ確認しておきましょう。なお、申告に必要な証明書を発行できる人は、以下のいずれかになります。

①建築士事務所登録をしている建築士事務所に所属している建築士
②指定確認検査機関
③登録住宅性能評価機関
④住宅瑕疵担保責任保険法人
⑤地方公共団体(住宅耐震改修証明書、住宅用家屋証明書のみ)

リフォームを始める前に、減税制度が利用したいことをリフォーム業者に伝え、必要な書類を用意できるか確認しておきましょう。

減税制度ごとの申告先や必要書類、申告のタイミングは以下のとおりです。

<所得税の申告>

リフォームの種類必要書類提出時期提出場所
耐震①〜④が発行する増改築等工事証明書入居日の翌年の各地申告期間お住まいの地域を管轄する税務署
⑤が発行する住宅耐震改修証明書
バリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化・住宅ローン減税①〜④が発行する増改築等工事証明書

<固定資産税の減額>

リフォームの種類必要書類提出時期提出場所
耐震①〜④が発行する増改築等工事証明書工事完了後3か月以内物件所在の都道府県・市区町村
⑤が発行する住宅耐震改修証明書
バリアフリー物件所在の市区町村に問い合わせ
省エネ・長期優良住宅化①〜④が発行する増改築等工事証明書

<贈与税の非課税措置>

必要書類提出時期提出先
①〜④が発行する増改築等工事証明書贈与を受けた年の翌年の確定申告時期お住まいの地域を管轄する税務署
 

※増改築等工事証明書とは?

増改築等工事証明書とは、いわばリフォーム証明書です。

新築や大規模な増改築を行う際は「建築確認申請」をしますが、それ以外の小規模な工事(いわゆるリフォーム)の場合、これを証明するものとして存在します。

(関連記事:増改築とは?定義や減税制度、必要な手続きについて完全解説


4.リフォーム減税制度、それぞれ併用はできる?

リフォームで使える減税制度を見てきましたが、併用はできるのでしょうか?

住宅ローン減税を利用する場合、同じ所得税の減税制度からは「耐震リフォーム」のみ併用ができます。

所得税と固定資産税、異なる税の減税であれば併用は可能です。

住宅リフォームの減税制度の概要|一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会


5.お得な補助金・助成金もチェックしよう

リフォームについては、ほかにも政府や自治体が各種補助金・助成金制度を提供しています。

<リフォームで活用できる主な補助金・助成金制度>

補助金・助成金制度対象リフォーム補助(助成)限度額
子育てエコホーム支援事業断熱(必須)・子育て対応・バリアフリーなどを目的としたリフォーム最大60万円/戸
既存住宅における断熱リフォーム支援事業断熱性の高い素材や窓を利用し、断熱性を高めるリフォーム最大120万円/戸
次世代省エネ建材の実証支援事業断熱や蓄熱、調湿を目的としたリフォーム最大300万円/戸
長期優良住宅化リフォーム推進事業住宅の長寿命化・高性能化を目指すリフォーム最大250万円/戸
介護・バリアフリーリフォーム補助金要介護者などが暮らしやすいようにおこなう一定のバリアフリーリフォーム最大18万円/戸
各自治体のリフォーム関連助成金制度により異なる制度により異なる

補助金・助成金の内容は年度によって異なり、申請期間もあります。

詳しくはこちらの記事にまとめていますのであわせてご覧ください。

【2024年度】リフォームで使える補助金8種類!申請方法も解説
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6.まとめ

住宅リフォームに関しては、国が中古住宅の流通・活用を後押ししているためさまざまな減税制度が用意されています。適用されると所得税や固定資産税などを大幅に節税できるので、条件に当てはまるかよく確認して活用しましょう。

また、リフォーム工事をおこなうときには、工事内容が減税制度の対象となるか、申告に必要となる証明書を用意できるかなどをリフォーム業者に確認することが大切です。

リフォームガイドでは、減税制度の利用を踏まえたうえで、適切な対応ができるリフォーム業者のご紹介が可能です。無料でご利用いただけますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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