2階にトイレを増設できる?費用相場や注意点、費用を抑えるコツを解説

朝の忙しい時間の「トイレ待ちのストレス解消」や、夜中に階下のトイレへ降りる際の「転倒リスクの軽減」、二世帯同居での「各世帯用のトイレの確保」など、2階へのトイレ増設を希望する理由はさまざまです。
しかし、実際にわが家でも増設が可能なのか、必要な費用相場や工事期間など具体的な情報が足りないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、2階にトイレ増設が可能か、費用相場や注意点・予算を抑える具体的な方法までを徹底解説します。本記事を読んで、トイレ増設のリフォーム計画を安心して進めましょう。


1.そもそも2階にトイレ増設はできるのか?

ご自宅の2階にトイレを増設することは可能ですが、以下の2点の条件を満たす必要があります。

  • 増設するスペースの確保
  • 給排水管の接続ルートの確保

トイレの広さは最低でも1畳、より快適に使いたい場合は1.5畳以上を確保すると良いでしょう。

ただし、トイレの増設は単なる内装工事ではなく「建物の構造」や「既存の設備条件」に深く関わる工事です。安全で確実な施工のためにも、できるだけ早い段階で専門業者に現地調査を依頼し、プロの判断を仰ぐことが大切になります。


2.2階にトイレを増設する費用と工期目安

次に、2階へのトイレ増設の費用と工期を、工事内容別に見てみましょう。

トイレ増設の費用と工期

2-1.2階にトイレを増設する費用目安

2階トイレの増設費用は、新たに部屋を設けるか(増築の有無)、また選ぶ設備のグレードによって大きく変動します。

  • 増築を伴わない場合:40〜100万円
  • 増築を伴う場合:70〜200万円

増築せず、2階にある既存の階段の踊り場や押入れなどを利用してトイレに改修する場合の費用は、およそ40〜100万円です。
これに対し、新たにトイレ用の空間を増築する場合には、約1畳の広さで70〜200万円が相場です。増築は家の構造部分にも触れることも多いため、費用は高額になります。

共通して言えるのは、既存の給排水管からの配管ルートが長くなるほど、材料費や施工の手間が増え、全体コストが押し上げられる点です。また、選択するトイレ本体の機能やデザインによっても、総額は大きく変わります。

2-2.2階にトイレを増設する工期目安

2階トイレ増設の工期は、一般的に3〜7日間程度です。工事にかかる日数は、給排水管からの距離や内装工事をどの程度行うか、および設置する場所によって大きく異なります。
正確なスケジュールは現地調査と見積もりを通して確定しますので、リフォーム計画を立てる際は、期間に余裕を持たせた方が安心です。


3.2階にトイレを増設する際の設置場所とドアの種類

2階にトイレをつくるときの、おすすめの設置場所を解説します。工事の難易度や費用は設置場所によって変わります。
また、2階トイレのドア選びは、安全性や使い勝手を大きく左右する重要なポイントです。限られたスペースの中で選ぶドアの種類についてもご紹介します。

3-1.おすすめ設置場所

1階のトイレの真上

最もコストを抑えやすい設置場所です。既存の給排水管から最短距離で配管できるため、工事費用を大幅に削減できます。
工事の手間も少なく済み、工期の短縮も可能です。ただし、排水音が1階に響きやすいため、防音対策が必要になる場合があります。

廊下の空きスペース

廊下にある程度の幅がある場合、そのスペースの一角を利用してトイレを設けることできます。

給排水管を屋外または屋内のどちらからでも通すことができるケースが多く、配管ルートの自由度が高いのが特徴です。生活動線上に設置できるため、使い勝手も良好です。

使っていない収納スペース

納戸やクローゼットなど、使用していない収納スペースを転用する方法です。
すでに区切られた空間を利用できるため、間仕切りなどの工事が削減でき、コストダウンや工期の短縮にもつながりやすいです。

新たにスペースを増築する

既存の建物に増築でスペースを追加する方法です。広さや空間の自由度が高く、理想的なトイレ空間を実現できます。
ただし、費用と時間がかかるのがデメリットです。

また、増築により建物全体にも影響を及ぼすため、構造に関する専門的な知識が必要になります。建築確認申請などの手続きが必要になる場合もあるため注意しましょう。

3-2.ドアの種類

引き戸

ドアの開閉スペースが不要で、狭い場所でも設置しやすいことが最大のメリット。
開閉もしやすく、安全性と使いやすさのバランスが優れているため、2階のトイレに最もおすすめするタイプのドアです。

車椅子でも出入りしやすく、バリアフリーにも対応可能。将来的な介護も想定すると、引き戸を選んでおくことで長期的な安心が得られます。

内開き戸

廊下のスペースを使わず、トイレ内に入りやすいのがメリットです。

一方で、トイレ内に開閉スペースが必要なため、トイレ室内が狭い場合は使いづらくなります。

また、万が一トイレ内で人が倒れた場合、ドアが開けにくく救助が困難になる危険性があります。
緊急時の安全性を考えると、特に高齢者がいるご家庭では避けた方が無難でしょう。

外開き戸

外開き戸はトイレから出やすいのが特徴で、トイレ内のスペースを有効活用できます。
ただし、廊下側にはドアを開くスペースが必要なので、階段に近い場所では開閉時に階段から落ちるなどの危険性があります。

外開き戸を選ぶ場合は、必ずドアの開閉範囲と階段の位置関係を確認しましょう。


4.2階にトイレを増設するメリットとデメリット

2階にトイレを増設すると生活の利便性はアップしますが、後悔しないためにも、あらかじめメリットとデメリットをしっかり理解しておきましょう。

4-1.メリット

忙しい朝の「トイレ渋滞」の解消

家族が多い家庭では、朝のトイレ渋滞が深刻な問題になることも。
2階にトイレを増設すれば、家族全員がスムーズに気持ちよく一日の準備を始められるようになります。

生活動線が改善される

2階にトイレがあれば、夜中にわざわざ階段を降りる必要がなくなります。
特に高齢の方や小さなお子様がいる家庭では、転倒リスクを減らせるのが大きなメリット。将来、介護が必要になった場合の負担も軽減できます。

来客時のプライバシー確保

2階にトイレがあることで、来客時にも家族が気兼ねなくトイレを利用でき、プライバシーが守られます。

住宅の資産価値向上の可能性

2階建て以上の戸建て物件において、各階にトイレがあることは資産価値を高める重要な要素です。
将来、売却や賃貸を検討する際のアピールポイントになり得ます。

4-2.デメリット

工事費用が高額になりやすい

一般的に給排水管の設置にかかる費用は1mにつき1万円程度が目安とされており、配管の距離が伸びれば伸びるほど、工事費用は高額になります。

希望の設置場所が既存の水回りから遠かったり、構造上の制約で配管が長くなる場合、予算をオーバーするケースもあるため、注意が必要です。

ランニングコストと手間の増加

トイレが2箇所になるため、照明や換気扇の使用、水の使用量が増え、電気代や水道代の合計額が増加します。
ほかにも、単純に掃除をする場所が1箇所から2箇所に増えるため、日常的なお掃除の手間と時間が2倍になります。

排水音や使用音・においの広がり

特に夜間など静かな時間帯に、排水の「ゴボゴボ」という音や洗浄・換気扇の音が響く場合があります。また換気が不十分な場合や設置場所によっては、においが他の部屋へ流れ出てしまうことも。

音を軽減するためには、工事の際に防音材を配管に使用したり、寝室の横を避けて設置するなどの工夫が必要です。

においについても、強力な換気扇を設置したり、脱臭機能付きのトイレを選ぶなどで対策をすると良いでしょう。


5.2階にトイレを増設する際の注意点

2階のトイレ増設を成功させ、後悔しないリフォームにするために、計画前に確認しておくべき重要な4つのポイントを解説します。

5-1.配管の位置や間取りによっては設置が難しい場合がある

すべての住宅で2階トイレの増設が可能というわけではありません。建物自体の老朽化している場合や既存の給排水管から距離が遠い場合、配管を通すルートに梁や構造壁がある場合などには、2階のトイレ増設が難しい場合があります。

5-2.設置場所に気を付ける

トイレの設置場所は、安全性と快適性の両面から慎重に選びましょう。
たとえば、階段付近への設置であれば、ドアを開閉する際の転落のリスクが考えられます。ほかにも、寝室やリビング付近への設置は、においや音が気になる可能性も。

このような場所への設置をお考えの際は、ドアを引き戸にする、消臭機能を高める、防音材を入れるなどの対策をあわせて検討しましょう。

5-3.工事中の生活への影響を事前に確認する

工事中は、工具による騒音や壁や床を削る際の振動などが発生します。加えて、工事期間中は工事箇所周辺に立ち入れなかったり、通路が狭くなったりなど生活動線が制限されることもあります。
そのため、事前に業者と工事スケジュールや工事範囲などを確認し、生活への影響を最小限にする計画を立てましょう。

また、配管工事の内容によっては、1階の既存トイレが一時的に使用できなくなることも。前もって使用できない時間帯を確認し、その場合の対応を考えておくことが大切です。

5-4.建築確認申請が必要なケースもある

2階にトイレを増設する際、基本的に増築を伴わない工事であれば建築確認申請は不要です。しかし、以下の増築となるケースでは申請の必要があります。

  • 防火地域や準防火地域に指定されている地域で増築を伴う場合
  • 防火・準防火地域以外の地域で、増築する床面積の合計が10㎡を超える場合

建築確認申請が必要かどうかの判断は、お住まいの地域や建物の構造、リフォームの規模によって変わります。必ず施工業者に確認しましょう。
申請が必要な場合は、通常は施工を依頼するリフォーム会社や建築士が申請を行います。まずは専門知識を持つ業者に相談し、法令を守った安全なリフォームを進めることが大切です。


6.2階にトイレを増設した事例3選

ここからは、2階へトイレを増設した施工例をご紹介します。

6-1.洋間の一部を利用し2階へトイレを増設

※横にスクロールできます

二階トイレ増設事例①_Before
二階トイレ増設事例①_After

二階トイレ増設事例①写真

家全体のリフォームに合わせて、2階に新しくトイレをつくった事例です。
大幅な間取り変更をする際に、廊下に隣接する洋間の一部にトイレ用のスペースを確保。1階のトイレの真上に近いため、配管の長さも短く済みました。

ドアは、階段の転落リスクも減らせる引き戸にしたため安心感もあります。
2階にある2部屋のどちらからもアクセスしやすい、使い勝手の良いトイレが誕生しました。

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/411

6-2.2階の押し入れスペースにトイレを増設

※横にスクロールできます

中古住宅購入にともない、家全体をリフォームし、2階にトイレを増設した事例です。
元は押し入れだった箇所に、トイレスペースをつくりました。
補助金もしっかりと活用。お得に、快適な住まいに生まれ変わりました。

出典:有限会社米倉商店

6-3.二世帯住宅リフォームにともなう2階へのトイレ増設

※横にスクロールできます

築46年の住まいを二世帯住宅にリフォームする際に、2階の子世帯用にトイレを新設した事例です。元々洋間だったスペースの一部を利用して、トイレ空間を確保しました。
限られたスペースでも設置できる壁掛け手洗い器は、一緒に暮らす愛猫のお水交換時にも役立ちます。

出典:株式会社山口建設


7.2階にトイレを増設する際の費用を抑えるコツ

限られた予算の中で2階にトイレを増設するために、押さえておきたいポイントがあります。費用を軽減するための3つのコツをご紹介します。

7-1.配管がしやすい場所につくる

トイレ増設で費用の多くを占めるのが配管工事です。
工事費は、先述のとおり配管の距離が長いほど高くなります。そのため、既存の配管の真上など、給排水管の縦引きだけで済む、あるいは横への延長が最短で済む場所に設置すれば、費用を最小限に抑えられます。
理想的な設置場所は、1階トイレの真上や、洗面所・浴室など他の水回りの真上付近です。間取りを再確認し、配管ルートが短くなる場所を選びましょう。

7-2.トイレ本体のグレードを落とす

トイレ本体のグレードは、全体の費用に大きく影響します。
多機能な最新モデルのトイレを選ぶと、費用は跳ね上がります。生活に必要な機能が付いた標準モデルやベーシックなグレードを選ぶことで、数十万円単位で費用を抑えることが可能です。
トイレ本体の選択には「生活に合った必要な機能」と「費用」のバランスを考慮することが大切。家族の要望を整理して、最適な一台を選びましょう。

7-3.補助金を活用する

2階へのトイレ増設リフォームでは、条件を満たせば国や自治体の補助金制度が活用でき、費用負担を軽減できる場合があります。

トイレ増設が補助対象となる主な事業・制度例

  • 子育てグリーン住宅支援事業
  • 介護保険における住宅改修

これらの制度は、節水型トイレ導入の省エネ改修やバリアフリー化、二世帯住宅(三世代同居)のトイレ増設に関わる工事を、補助の対象としています。
ただし、申請には一定の条件が設けられているため、事業の公式サイトなどで事前に詳細を確認しましょう。

そのほか、自治体でも独自のリフォーム補助金制度を設けていることがあります。
それぞれの自治体によって制度の有無や内容が大きく異なるため、お住まいの市区町村の窓口やホームページなどで確認しましょう。
上限に達すると利用できなくなる補助金制度もありますので、早い段階で施工業者に相談し、利用可能な補助金がないか確認してもらうのがおすすめです。

▼トイレリフォームの補助金の詳細は、こちらの記事もご覧ください。

【2025年度版】トイレリフォームで使える補助金は4種類!申請条件も解説
【2025年度版】トイレリフォームで使える補助金は4種類!申請条件も解説
【2025年度版】トイレリフォームで使える補助金は4種類!申請条件も解説
記事を読む

7-4.複数社から相見積もりを取る

リフォーム会社によって費用は大きく異なることがあります。そのため、複数の業者から見積もりを取り、工事の内容や費用の妥当性を比較して確認することが大切です。
複数社を比較した中で最も信頼できる業者を選ぶことが、後悔しないリフォームの鍵となります。


8.まとめ

2階のトイレ増設は、暮らしの快適性を高めるのにおすすめなリフォームです。メリット・デメリットを把握したうえで自宅にも必要かどうかを検討しましょう。
設置費用は増築の有無やトイレ本体のグレード、設置場所によっても大きく変動します。設置場所を工夫する、補助金を活用する、相見積もりをとるなど、費用を抑えるコツを取り入れた計画を立てましょう。

業者を選ぶ際には、トイレ増設の知識が豊富な業者や補助金に詳しい業者に依頼することが大切です。信頼できる優良業者に相見積もりがとれるリフォームガイドをぜひお役立てください。

あなたにぴったりの会社を、
プロが無料で選定!

厳しい審査をくぐり抜けた優良リフォーム会社の中から、
プロのコンシェルジュがあなたにぴったりのリフォーム会社をご紹介!
有力候補・複数社の、お見積もりの手配を代行します!

  • リフォーム業界に精通したコンシェルジュが、各会社の
    得意分野や評判などを元にあなたに合ったリフォーム会社をご紹介します!
  • 豊富な対応実績から、見積もり後の会社選びの判断にもアドバイスできます!
  • 見積比較後、気に入るものが無ければ追加紹介も可能です!

厳しい審査をくぐり抜けた優良リフォーム会社の中から、プロのコンシェルジュがあなたにぴったりのリフォーム会社を選び、複数社のお見積もりの手配まで対応いたします!

  • リフォーム業界に精通したコンシェルジュが、各会社の得意分野や評判などを元にあなたに合ったリフォーム会社をご紹介します!
  • 豊富な対応実績から、見積もり後の
    会社選びの判断にもアドバイスできます!
  • 見積比較後、気に入るものが無ければ
    追加紹介も可能です!