
砂壁は日本では昔から利用されてきた壁の一つです。和室や床の間によく利用され、趣のある空間を演出できます。
しかし、年月の経過と共に、砂がボロボロ落ちてしまい、見た目が気になってしまうことも。
また、掃除の手間もかかるため、そろそろ砂壁を塗り直すべきか、それとも他の壁材にリフォームするべきか、悩まれている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、砂壁のリフォーム方法や費用相場、工期の目安をご紹介します。リフォームすべきタイミングや失敗しないリフォーム会社選びのポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.砂壁ってどんな壁材?メリットとデメリット
砂壁とは、石膏ボードやモルタルで作った下地の上に、色砂と糊液を混ぜ合わせたものを塗って仕上げた壁のこと。日本では古くから和室などの壁材として使われてきました。
色砂には、天然石・貝殻粉・金属粉・砕石などが用いられます。砂の色を変えると、ピンク・ブルー・黄色など、多彩なカラー表現が可能です。
メリット |
---|
・部屋の湿度を調整する ・趣のある独特な風合い ・カラーバリエーションが豊富 ・防火性に優れている |
デメリット |
・砂や粉が落ちて掃除の手間がかかる ・表面が剥がれると見た目が悪くなる |
2.砂壁リフォームを検討するべきタイミング
次のような困りごとが出てきたら、砂壁のリフォームを検討しましょう。
- 砂壁にカビが生えている
- 触っていないのに表面の砂がボロボロ落ちる
砂が自然に落ちるようになったら、床の掃除も頻回になり大変です。砂のはがれた砂壁は見た目も悪いですし、せっかくの調湿効果も損なわれている可能性があります。
カビが生えている場合は、気づかないうちにカビの胞子を吸い込んでしまう危険性があるので、できるだけ早くリフォームすることをおすすめします。
リフォームせず放置するとどうなる?
砂壁にカビが生えているにもかかわらず放置していると、健康被害につながる恐れがあります。カビが空気中に飛散させるカビ細胞は、アレルギーや喘息など呼吸器系の疾患を引き起こす要因になります。特に小さいお子様や高齢者、アレルギー体質の方は、受ける影響も大きくなるため注意が必要です。
また、砂壁にカビが繁殖した場合、補修するにはカビが浸食した箇所を切り取り補修しなければいけません。放置期間が長くなり、カビの発生箇所が広範囲に広がるほど、リフォーム費用も高額になるでしょう。
さらに、砂壁の表面がボロボロと剥がれ落ちている状態を放置すると、剥がれた砂がダニの餌になる可能性があり、健康被害のリスクを高めます。また、砂壁の調湿効果も薄れてしまい、室内の湿度調整ができなくなるため、カビの発生がより一層進む可能性があるでしょう。
健康被害から大切な家族を守り、かつリフォーム費用もできるだけ抑えたいのなら、砂壁に発生したカビや落ちてきている砂を放置せず、早めに対処することが大切です。
3.砂壁のリフォーム方法|費用相場と工期
砂壁をリフォームする方法は、大きく分けて「砂壁のままリフォームする」「他の壁材にリフォームする」の2種類。
ここでは、それぞれのリフォーム方法と費用相場、そして工期の目安を解説します。
①砂壁のままリフォームする:6~10万円
砂壁の劣化具合によって、そのまま塗り重ねたり砂を剥がして塗り直したりします。「砂壁の風合いが好き」「元の綺麗な砂壁に戻したい」という方には、砂壁を塗り替えるリフォームがおすすめです。
床の間の有無 | 費用相場 (6畳) |
工期 |
---|---|---|
床の間あり | 7~10万円 | 2~7日程度 |
床の間なし | 6~8万円 | 2~7日程度 |
砂壁のままリフォームする場合、似た材料で塗り直すのが一般的です。工事期間は砂壁の劣化状態によりますが、おおむね2~7日程度で完了します。
なお、費用相場はあくまでも目安です。砂壁の劣化が酷い場合、表層的なリフォームでは済まないことがあり、その場合は費用が高くなる可能性があります。
②ペンキで塗装する:6~10万円
砂壁をペンキで塗装すると、見た目が美しくなり砂が落ちにくくなります。壁の砂が落ちるのが気になるという方には、ジョリパッドや砂壁専用塗料などのペンキで塗りなおすのがおすすめです。
ただしペンキを塗った場合、砂壁ならではの風合いやメリットである調湿効果は失われてしまいます。
リフォーム方法 | 費用相場 (6畳) |
工期 |
---|---|---|
ペンキ塗装 | 6~10万円 | 2~4日程度 |
また、6畳程度であれば6~10万円でリフォームできるので、「できるだけ費用を抑えてリフォームしたい」という方にもおすすめです。ただし、施工内容によっては下地補修代が別途かかることもあるため、不安な方は事前にリフォーム会社に確認しておきましょう。
なお、ペンキで塗装する場合の工期は、2~4日程度です。砂壁の塗装は、養生→下地作成→下塗り→仕上げ塗りの流れで行います。砂壁を塗装するには養生が必要なため、工期に数日間かかるのが一般的です。
③壁紙(クロス)を貼る:8~16万円
お手入れを楽にしたいなら、砂壁の上にクロスを貼る方法がおすすめ。
豊富なデザインから選べるので、和室から洋室へのリフォームなど、部屋のイメージをガラッと変えることも可能です。傷や汚れに強いものや調湿効果があるものなど、機能性に優れた製品が選べるのも嬉しいポイント。
ただし砂壁はザラザラしているため、綺麗に壁紙を貼るには滑らかな下地を作る必要があります。
リフォーム方法 | 費用相場 (6畳) |
工期 |
---|---|---|
壁紙を貼る | 8~16万円 | 1〜5日程度 |
壁紙クロスには多くの種類があり、柄や色も豊富なため、部屋の雰囲気を自分好みに変更したい方にもおすすめのリフォーム方法です。
一般的なのは、ベニヤ板や石膏ボードを下地材として砂壁の上に貼り、さらにその上に壁紙クロスを貼る方法です。しかし、現状の状態が悪くなければ、砂壁に下地用のシーラー処理を行い、その上から壁紙を貼ることも可能です。
後者であれば下地材の施工が不要費用なため、少し費用や工期を抑えられる可能性があります。
なお、砂壁に壁紙を貼る場合の工期は、1~5日程度です。
④珪藻土・漆喰で塗る:12~19万円
砂壁の調湿機能や風合いに魅力を感じている方や自然素材にこだわりたい方には、自然素材の珪藻土や漆喰の塗り壁リフォームがおすすめです。
塗り方でいろいろな模様がつけられるので、趣を感じられるような風合いを残せるでしょう。珪藻土は植物性プランクトンの化石から、漆喰は消石灰からできており、砂壁同様に調湿性に優れているのも嬉しいポイントです。
ただし6畳で12〜19万円程度と、リフォーム費用は最も高額になります。
リフォーム方法 | 費用相場 (6畳) |
工期 |
---|---|---|
珪藻土・漆喰 | 12~19万円 | 2~4日程度 |
珪藻土や漆喰に塗り替える場合の工期は、2~4日程度です。どちらも職人が手作業で塗り替え作業を行うため、職人の技術次第で仕上がりが大きく変わります。
なお、珪藻土の場合、カラーバリエーションが豊富なため、自分好みの仕上がりを選べます。一方、漆喰は強アルカリ性のため、カビの発生を抑えることが可能です。
4.砂壁リフォームは簡単にDIYできる?プロに依頼すべき?
砂壁リフォームは、砂壁の状態によっては自分でDIYすることも可能です。以下では、「自分でDIYできるケース」と「プロに依頼するべきケース」をご紹介します。
自分でDIYできるケース
砂壁の状態が良好であれば、DIYでリフォームすることも可能です。
ただし、砂壁をDIYするには、養生や下地の調整をしてから塗料を塗る必要がありますので、DIYに慣れている方向けの作業といえるでしょう。
プロに依頼するべきケース
表面にカビが生えている、傷やヒビがあるなど砂壁の状態が悪い場合は、プロに依頼するのがおすすめです。
カビや傷、ヒビがある状態のままリフォームしてしまうと、壁の症状が悪化する恐れがあります。健康被害につながる可能性もあるため、プロに依頼し、カビの除去や砂壁を剥がすなどの作業をしてもらいましょう。
また、塗装ではなく壁紙を貼りたい場合も、プロに依頼するのが無難です。下塗りするのは良いものの、ただ壁を固めただけで壁紙を貼ると、下の凸凹を拾い、仕上がりに影響を与える可能性があります。
壁紙を綺麗に貼るには、パテで凸凹を埋める、砂壁を剥がす、下地としてベニヤ板や石膏ボードを貼るなどの下準備が必要です。高い技術力が必要となり、初心者がすべて行うのは大変ですので、実績豊富なリフォーム会社への依頼を検討してみましょう。
5.砂壁をDIYでリフォームする手順
業者に依頼するよりも費用が安く抑えられるDIYリフォーム。そこで気になるのが、実際にどのくらいの手間がかかるかという点です。
ここからは砂壁をDIYでリフォームする手順を詳しく見ていきましょう。今回はDIYでも挑戦しやすい、ペンキ・珪藻土・漆喰で仕上げる場合について解説します。
準備するもの
<必須>
養生テープ・マスカー・補修用パテ・砂壁用下塗り剤・ローラー・ハケ・バケツ
<ペンキで仕上げる場合>
水性ペンキ
<珪藻土・漆喰で仕上げる場合>
珪藻土または漆喰・コテ・コテ板・スポンジ・攪拌機
下準備
ペンキで塗装する場合も、珪藻土・漆喰を塗りつけて仕上げる場合も、同様の下準備が必要です。
作業ができるように養生などをして、古くなった砂壁が落ちてこないように下塗り剤で表面を固めます。
①養生
天井やコンセントなどが汚れないように、砂壁との境目をマスキングテープで養生します。
床や窓のような面積が大きい部分は、テープとシートが一体化した「養生マスカー」を使うと、作業効率がアップします。
②壁の補修
砂壁のひび割れや、柱との間に隙間があればパテで埋めます。
③下塗り材を塗る(2〜3回)
表面のもろくなっている砂やホコリは、ホウキで掃いてある程度落としておきましょう。その後、砂壁用の下塗り剤を塗り、表面を固めます。広い面はローラー、細かい部分はハケを使いましょう。
1回目に塗る下塗り材は、ほとんど壁に吸い込まれてしまいます。そのため完全に乾燥するまで1日以上おいて、2回目も重ねて塗りましょう。2回目を乾燥させてもツルツルしない場合は、3回目も塗り重ねます。
ペンキで塗装する場合
仕上げの水性ペンキは、下塗り材が完璧に乾いてから塗り始めます。ジメジメした日や冬場は乾くのが遅いので、完全に乾燥するまで1日以上かかる場合もあります。
①水性ペンキを塗る(1回目)
水性とはいえペンキを使うため、必ず窓を開けて換気をしながら作業をしましょう。最初にコンセント周りや壁の四隅など細かいところをハケで塗り、広い範囲をローラーで塗ります。
②水性ペンキを塗る(2回目〜)
一度で綺麗に塗るのは難しいので、ムラがなくなるまで何度か塗るのがポイントです。2回目以降を塗り重ねるときは、1回1回きちんと乾燥させましょう。
塗り終わったらペンキが乾ききる前にマスキングテープを剥がします。完全に乾いた後は剥がれにくくなるので注意してください。
珪藻土・漆喰で塗り替える場合
珪藻土と漆喰仕上げの場合も、下塗り材が完璧に乾いたことを確認して始めましょう。どちらも同じ手順で進めます。
①珪藻土・漆喰を練る
バケツに規定量より少なめの水と、珪藻土もしくは漆喰を入れます。攪拌機でよく練り合わせたら、水を少しずつ足しながら固さを調整しましょう。ダマができるのでつぶしながら練り合わせます。
攪拌機がない場合は、少量ずつヘラなどを使って練っていくのがおすすめです。練済みの珪藻土や漆喰も売られているので、そちらを使うとこの工程を省略できます。
固さの目安
- 珪藻土:コテですくっても垂れない
- 漆喰:コテですくうとポタッと落ちる
②珪藻土・漆喰を塗る(1回目)
適量の珪藻土や漆喰をコテ板に乗せてコテでならし、壁に平らに塗りつけていきます。左端からスタートして、下から上に塗り上げ、右に向かって塗り広げていくのがコツです。
③珪藻土・漆喰を塗る(2回目)
1回目に塗ったものが完全に乾ききらないうちに、2回目を重ね塗りします。
表面に模様をつけたい場合は、コテやスポンジで模様をつけましょう。乾ききる前に養生テープを剥がしたら完成です。
リフォーム会社に依頼すれば、素人では判断が難しい現状の砂壁の状態もプロ目線で判断し、適切な施工を行ってくれます。
6.砂壁リフォームを依頼する会社の選び方
砂壁リフォームを依頼する場合に大切なのが、リフォーム会社選び。リフォーム会社のWebサイト・チラシ・口コミサイトなどを参考に、以下の3つのポイントをクリアする会社を選びましょう。
- 砂壁リフォームの施工実績が豊富
- 実際にリフォームした利用者の口コミが高評価
- 担当者が誠実で信頼できる
しかし、1社ずつ調べて比較するのはなかなか大変です。「複数の会社を一気に比較したい」「絶対にいい会社にお願いしたい」という方は、一括見積もりサービスを活用しましょう。
壁・天井リフォームが得意な会社をご紹介します!
リフォームガイドは、ヒアリングしたお客様のお悩みやリフォーム内容から、最適なリフォーム会社を厳選してご紹介しています。
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会社選びでお困りの方はぜひ一度ご相談ください。
7.砂壁リフォームでよくある質問
最後に、砂壁リフォームでよくある質問にお答えします。
Q1.砂壁リフォームと同時にした方がいいリフォームは?
築年数のたった住宅の場合、壁だけリフォームすることで、他の古い部分が目立ってチグハグした印象になってしまうことも。
せっかく砂壁リフォームを業者に依頼するなら、部屋全体を使い勝手よくおしゃれにリフォームするのもいいでしょう。
例えば、砂壁リフォームと同時に畳をフローリングに、押し入れをクローゼットにリフォームすると、部屋全体が統一感のある洋室へ生まれ変わります。部屋の用途に合わせて、デスクや収納を造作するのも一つの手です。
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Q2.砂壁リフォームにはどのくらい施工期間がかかる?
砂壁リフォームにかかる施工期間は、1〜4日程度です。壁材ごとの施工期間は、下記の表を参考にしてください。
リフォーム方法 | 工事期間の目安 |
---|---|
砂壁→砂壁 | 2~7日 |
砂壁→ペンキ | 2~4日 |
砂壁→壁紙 | 1~2日 |
砂壁→珪藻土・漆喰 | 2~4日 |
Q3.砂壁リフォームはどのような業者に頼めばいい?
壁の仕上がりの綺麗さは職人の技術力によって変わります。砂壁リフォームの実績が豊富なリフォーム会社に依頼しましょう。
業者を見極めるには利用者の口コミや担当者との相性を確認することも大切です。
会社を探すのが難しい場合は、一括見積もりサービスをご活用ください。審査にクリアした優良会社から、希望に合ったリフォーム会社を紹介してもらえます。
Q4.砂壁リフォームを安く抑える方法は?
最もリーズナブルなのは、DIYです。ただし素人には難しく、上手く下処理をしないと仕上がりが悪かったり長持ちしなかったりする可能性があります。
結局何度もやり直して、余分な手間とお金がかかってしまうケースも。DIYに自信がない方は、リフォーム会社に依頼するのがおすすめです。
8.まとめ
日本ならではの風合いが感じられる砂壁。調湿効果があるというメリットの一方で、砂が落ちるというデメリットもあります。砂が落ちると見た目も悪いですし、掃除も大変です。
表面にカビが生えていたり砂がボロボロと落ちるようになったら、砂壁リフォームを検討しましょう。
ペンキ塗装や壁紙を貼れば和風の雰囲気を一新することもできますし、珪藻土・漆喰などにリフォームすれば、趣深さは残したままと機能性を向上させることもできます。
DIYでリフォームすることもできますが、今の砂壁の状態を判断して正しく処理を行うことは簡単ではないので、一度リフォーム会社に相談してみましょう。