
ライフスタイルや家族の成長、人数の変化に伴い、和室を洋室へリフォームするケースは最近ニーズが増えています。それと共に「いくらかかるのか?」、「どこまでリフォームすればいいの?」といった費用に関心を寄せる方も多いでしょう。 今回は和室を洋室へと変更するリフォーム費用と、リフォームのポイント、注意点など様々な切り口から詳しく紹介いたしますので参考にしてみてください。
>>実際の見積もりから算出した和室リフォームの費用相場をチェック!
1.和室を洋室にリフォームする費用
和室を洋室へとリフォームする際には大きく分けると以下の4パターンに分けられます。今回はそれぞれのパターン別に紹介いたしますのでご自身のケースと併せて読み進めてみてください。
1-1.畳をフローリングへ変更/約9万円台〜20万円台前後
「和室」を印象付け、その使い勝手の基となる畳。これをフローリングや張り付けタイプのカーペットなどに張り替えます。今回は人気の高いフローリングを例にとってご紹介いたします。
このケースは、和室の建具(襖やドア)や、壁はそのままに、文字通り畳だけをフローリングへと張り替える床面のみのリフォームとなります。 工事内容としては、畳と畳寄を撤去した後、フローリングを張っていきます。
畳の厚さ約40〜50ミリに対し、フローリングの厚さは約12ミリ程度なので、仕上がりを他の部屋と同等にすべく畳撤去後には隣接する洋室やリビングなどの床面との高さ調整である下地木工事を行った上でフローリングを張ります。
使用するフローリング材は、性能や強度などで費用が変わってきます。カーペットなど、フローリング以外の床材を選ぶ場合は、おおよそですがフローリングよりも安価で、3万円〜4万円ほど安くなります。 ※フローリング以外の床材の場合/6万円台〜17万円台前後
フローリングリフォームの工事の工程
畳を撤去し、状況に合わせた下地工事を行い、その上からフローリングを張ります。この工程は一戸建てもマンションも同様となります。
以下の記事も参考にしてください。
>>和室からフローリングへのリフォームを完全解説!費用相場や工事期間、業者選びなど
1-2.和室の床や壁・天井も洋室へリフォーム/約16万円台〜31万円台前後
畳からフローリングへの変更と併せて、壁や天井、室内全てを洋室に合うようリフォームしたいとお考えなら、全体予算で16万円台〜31万円台ほど。床のみのリフォームより費用は掛かりますが、床リフォームとのセットで割引きとなるケースもあるようですので、リフォーム会社に相談してみることをおすすめします。床だけでなく壁や天井もフローリングの雰囲気に合わせて変更すると和室の名残はほとんど払拭できます。
1-3.和室の押入れをクローゼットへリフォーム/約20万円台〜25万円台前後
和室独自の良さは活かしながら、収納スペース(押入れや天袋)のみをクローゼットなど洋風に変更するリフォームです。まず襖を撤去しクローゼットとなる内部の仕切りやハンガーパイプ(衣類を掛けたハンガーなどを掛けるパイプ)といった内部収納ユニットを設置します。内部収納ユニットはリフォーム会社と希望の物を相談します。
クローゼットの建具は、襖を洋風の物と交換するのみでも可能ですが、予算が許すなら、せっかくのリフォームを機に、収納の扉を物の出し入れがしやすい折れ戸タイプにしたり、クローゼット内の湿気対策とて調湿材を使用してみるなど、一工夫すると、リフォーム後の使い勝手が格段に良くなるのでおすすめのポイントです。
1-4.和室全体を使い勝手の良い洋室へリフォーム/約75万円台〜100万円台前後
和室自体を丸ごと洋室へとつくり変えるリフォームです。先に紹介した、畳の張替え、壁クロスや天井の張替え、収納部分や建具の細部、あるいは、間取り変更に至るまでリフォームによって和室を丸ごと変更します。
フローリング・壁クロスの張替え、収納や建具の変更と併せ、概算で費用はおよそ75万円台〜100万円台前後。もちろん、リフォーム内容の詳細や、もともとの傷み具合(築年数)などによっても費用は変わってきますので事前の見積もりなどでしっかりと確認してください。
2.和室を洋室にリフォームする3つのポイント
4つのリフォームのパターンを費用別に紹介してきました。ここでは、それぞれに使用するクロスやフローリング材を選ぶ際に抑えておきたいポイントや価格、注意点などを紹介させていただきます。
2-1.壁にはビニールクロスが人気!使用用途を考えて選ぼう
クロスとは、住まいやオフィスなど室内に張る壁紙のことです。ビニール、織物、紙、その他、紙と珪藻土(けいそうど)を混ぜて作られる「珪藻土壁紙」、金属やガラス繊維が原料の「無機質壁紙」など、他にも数種類あります。
中でも人気が高いのがビニールクロスです。他の素材に比べ安価で品質も安定している点がその理由で、耐久性に優れ掃除など手入れがしやすく、その性質から色やデザインも豊富となっています。
またクロス自体に様々な機能を持たせた商品も豊富に揃っています。シックハウス対策はもちろん、ペット対応用に表面強化をしたもの、防カビ・抗菌、抗ウィルス・抗アレルゲン、吸放湿、防カビ、防臭・防汚加工など、室内で過ごす際に気になる点においては、ほぼ網羅されていると言っても良いかもしれません。
クロスのサンプル
出典:https://www.sangetsu.co.jp/
具体的な選び方については、リフォーム後の和室の主な使用目的に合わせて考えると選びやすくなります。
例えば子供部屋なら、子供の年齢によって、表面強化タイプや防汚加工、抗菌・抗ウィルスを選択。大人だけの暮らしであるなら、住まい自体をケアする目的の防カビや吸放湿を、そしてペットのいる暮らしならペット対応の表面強化をといったイメージです。
価格に関してですが、こちらも工事費用に含まれているケースがほとんどですが、参考までに、壁クロス単体の販売価格として、通常のもので1㎡あたり1100円〜1200円、抗菌仕様な機能性クロスで1㎡あたり1300円〜1400円といったところです。
2-2.マンションの場合はフローリング選びに注意!
マンションにおけるフローリング選びの際の注意点として「防音基準」があります。
多くのマンションにおいては、近隣、特に階下住民への生活音の配慮としてマンションの管理規約で「防音規定」が定められています。防音基準とは、この「防音規定」で定められた防音基準のことです。
そのため、マンションで和室の畳をフローリングに張り替える際は、この防音基準を満たす必要があります。一般的な合板のフローリングであれば、各メーカーからこの基準に対応する製品が出ているので問題ないと言えるでしょう。
注意が必要なのは、グレードや天然素材にこだわる方に人気のある「無垢のフローリング」です。無垢フローリングは、フローリング自体に防音性能が認められていません。ご希望のフローリング材が防音基準を満たしてない場合は、畳を剥がしたあと、フローリングの下に防音対策用の下地を張ります。
この工程は防音基準を満たした合板フローリングであれば不要となる工程です。(※その他に、他の居室との段差がある場合などで下地が必要なケースもあります。) 結果として、通常の合板のフローリングより費用は高くなり、工期も長くなります。
マンションにおける無垢のフローリング材の使用は、費用面で高額になってしまうことを考慮しておいてください。
2-3.フローリング材は2種類!違いを知って好みのフローリングを選ぼう
ナチュラルな木の温もりと、時間をかけてゆっくりと変化してゆく様を楽しめるフローリング。
木目の美しいフローリングには大きく分けて2種類あります。
それぞれに異なるメリット、デメリットがありますので、フローリングに何を求めるかで好みが別れるのではないでしょうか。使用素材の安定性と汎用性の高い機能面や費用については複合(合板)フローリングがおすすめです。
複合(合板)フローリング
メリット
- 価格が抑えられる
- 色、柄のバリエーションが豊富で色や模様が比較的均一
- 温度、湿度の変化に強く膨張や収縮、反りなどが生じにくい
- 耐水性、耐候性があり、キズに強い
- 耐摩耗性や強度を強化しているものもあり、用途に合わせて選びやすい
- バリエーションが豊富
デメリット
- 表面の単板がはがれるような傷は補修が難しい
- 経年劣化してしまう
- 踏み心地が若干硬い
- 見た目の高級感は得にくい
価格
1坪あたり安いもので4000円台から8000円台ほどが目安です。それぞれ、フローリング材単体でというより、リフォーム工事全体価格の中に含められるケースが多く一概に価格の判断はできないのですが、通販など個人で購入するケースですと、合板は1坪あたり安いもので4000円台から8000円台ほどが目安となるので参考にしてみてください。
単層(無垢)フローリング
天然の木から取り出した1枚の板を加工したもので、自然素材ならではのナチュラルさや温もりある肌触りが魅力です。複合フローリングと比較して高価ですが肌触りや、時間を重ねるごとに風合いが増す点などで根強い人気があります。
メリット
- 断熱性が高く感触がなめらかであたたかみがある
- 木が持つ調湿効果を発揮する
- 自然素材ゆえにアレルギーなどの心配が少ない
- 経年変化を楽しめる
デメリット
- 自然素材のため複合フローリングに比べて高価となる
- 湿度変化による膨張、収縮などで反りや割れが発生しやすい
- 汚れを吸収しやすい
- 自然素材のため、木目など色柄にばらつきがある
- マンションにおいては防音対策が必要となるため費用がかさむ
価格
実は、木自体に一定の基準のグレードがあり、同じ種類の木を使用していても、グレードが高いか低いかによって値段が異なってきます。高グレードですと、一坪あたり2万4000円〜3万6000円といったケースもあります。こちらは天然素材ゆえの価格となるため、実際にリフォーム会社に確認することをおすすめいたします。
合板、無垢どちらを選ぶべき?
合板と無垢の特性を見極めた上でどちらを使用するか決定しましょう。無垢のフローリングは実際にリフォーム会社に希望の色味や風合い、木の種類など希望を伝えて、ご自宅の現状のケースと併せて相談してみてください。
合板は色や表面の加工やキズに強いなどといった機能を備え、抗菌性や遮音性などそれぞれの機能に特化したものなど多種多様です。無垢はキズがつきやすいものの、キズも味があり楽しめる方も多くいらっしゃいます。
まず、フローリングにどの機能を求めるのか優先順位をはっきりさせた上で、好みの色のトーンなどから選ぶようにしてください。先にも触れましたがマンションの方は、まず遮音性能の確認を行うようにしましょう。あらかじめご自身のマンションの気遮音基準を満たした商品の中から選択するようにすれば、手間が省けるでしょう。
様々な色調が揃うフローリング材
機能性を決定したうえで、室内の家具や壁の色、好みも考慮して選びたいものです。色一つで室内の印象は大きく変わります。判断に迷うようであればリフォーム会社に相談してみるとよいでしょう。
3.和室を洋室にするなら、段差を解消するチャンス!
水回りやリビングの出入り口や、リビングに隣接する和室との間に段差はありませんか?
現状、和室と洋室に段差があるのであれば、リフォームする際は、この段差をなくすことを検討することをおすすめします。
なぜなら、畳を剥がしフローリングを張る前の下地の段階で、高さ調節が可能なケースがあるからです。費用と工期は少し余分にかかりますが、検討する価値のあるポイントです。将来的には床段差だけでなく、手摺の設置や浴室の改修なども必要になるかもしれません。
必要に迫られてから全てに対応しようとすると、リフォームの対象が広範囲に及び、費用も工期もかかります。また、そのための労力もかなりの負担になるでしょう。 高齢者だけでなく、室内の段差には何かと危険や不便を感じるものです。もし、車椅子の生活なども想定するのであれば、なおさらで