
耐震診断は、耐震補強工事の前に必要不可欠なものです。
耐震診断をして現在の耐震性能を正確に調査・分析しなければ、精度の高い耐震補強工事をすることができません。
気になる費用については、耐震診断が補助金の対象となる自治体が多いので、費用を安く抑えられるケースが多くなっています。また、耐震診断は技術力が問われますので、質の高い業者を選ぶことが大切です。
そこで今回は、耐震診断の費用、補助金、業者の探し方についてご紹介いたします。
目次
1.耐震診断の費用は10~20万円程度
耐震診断には簡易診断、一般診断、精密診断の3つの方法があります。
診断の流れは以下のようになっております。
耐震補強工事を行う必要性があるかどうかわからない場合は、精密診断よりも安い一般診断で必要性を判断します。通常は一般診断をしてから精密診断を行う流れとなります。耐震補強工事を行う必要性が明確な場合は、一般診断をせずに精密診断を行うこともできます。
それでは、診断方法ごとの費用を紹介いたします。
1-1.簡易診断:無料
簡易診断は、居住者自身が診断表をもとに自分で診断し、家のどこが強く、どこが弱いのかを確認します。ご自身でできる簡単な診断ですので費用はかかりません。
以下、診断表でご自身で耐震性を診断してみましょう。
1.建てたのはいつ頃ですか? | 1981年6月以降 | 1点 |
---|---|---|
1981年5月以前 | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
2.今までに大きな災害に見舞われたことがありますか? | 大きな災害に見舞われたことがない | 1点 |
床下浸水・床上浸水・火災・車の突入事故・大震災・崖上隣地の崩落等の災害に遭遇した | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
3.増築について | 増築していない。または、建築確認など必要な手続きをして増築を行った | 1点 |
必要な手続きを省略して増築し、または増築を2回以上繰り返している。その際、壁や柱を一部撤去するなどした | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
4.傷み具合や補修・改修について | 傷んだところは無い。または、傷んだところはその都度補修している。健全であると思う | 1点 |
老朽化している。腐ったシロアリの被害など不都合が発生している | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
5.建物の平面はどのような形ですか? | どちらかというと長方形に近い平面 | 1点 |
どちらかというとLの字、Tの字等複雑な平面 | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
6.大きな吹き抜けはありますか? | 一辺が4m以上の大きな吹き抜けはない | 1点 |
一辺が4m以上の大きな吹き抜けがある | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
7.一階と二階の壁面が一致していますか | 2階外壁の直下に1階の内壁、または外壁がある。または平屋建てである | 1点 |
2階外壁の直下に1階の内壁または外壁なし | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
8.壁の配置バランスはとてれいますか? | 1階外装の東西南北どの面にも壁がある | 1点 |
1階外装の東西南北各方面のうち、壁が全くない面がある | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
9.屋根葺材と壁の多さは? | 瓦など比較的重い屋根葺材であるが、1階に壁が多い。または、ストレート・鉄板葺・銅板葺等、比較的軽い屋根葺材である。 | 1点 |
和瓦・洋瓦など、比重の重い屋根葺材で1階に壁が少ない | 0点 | |
よくわからない | 0点 | |
10.どのような基礎ですか? | 鉄筋コンクリートの布基礎またはベタ基礎・抗基礎 | 1点 |
その他の基礎 | 0点 | |
よくわからない | 0点 |
判定 | 評価の合計 | 判定・今後の対策 |
---|---|---|
10点 | ひとまず安心ですが、念のため専門家に診てもらいましょう | |
8~9点 | 専門家に診てもらいましょう | |
7点 | 心配ですので、早めに専門家に診てもらいましょう |
出典:http://www.kenchiku-bosai.or.jp/
評点が9点以下の方は、専門家による一般診断をおすすめします。
以下サイトでより詳しく説明されています。
>>誰でもできるわが家の耐震診断
1-2.一般診断:約10万円
簡易診断で耐震性に不安があった場合には、業者に一般診断を依頼しましょう。一般診断は約10万円で行うことが出来ます。
一般診断では図面や工事履歴、外観など既存の情報をもとに耐震性能を評価します。実際の耐震補強を前提としない診断のため、壁などを破壊せずに目視で行います。
耐震補強工事が必要だと判断された場合は精密診断を行います。
一般診断の明細例
No | 項目・仕様 | 数量 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 技術者(調査,書類作成,報告) | 3 | 31,000 | 93,000 |
2 | 交通費・諸経費 | 1 | 13,000 | 13,000 |
小計 | 106,000円 | |||
消費税 | 10,600円 | |||
合計 | 116,600円 |
※一般的な戸建て住宅(床面積120㎡程度)を想定
1-3.精密診断:約20万円
一般診断で耐震補強工事が必要と判断された場合に、精密診断を行います。精密診断は約20万円で行うことができます。
精密診断では、建築士が特殊な機材で測定した詳細な情報に基づき、補強の必要性の最終的な判断、および補強の必要箇所や補強方法、補強後の耐震性を診断します。壁などを壊して行う診断ですので、耐震補強の必要性が高い場合に行います。
精密診断の明細例
No | 項目・仕様 | 数量 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 技術者(調査,書類作成,報告) | 5 | 32,500 | 162,050 |
2 | 大工(現地作業) | 1 | 26,000 | 26,000 |
3 | 機材費・交通費・諸経費 | 1 | 35,000 | 35,000 |
小計 | 224,000円 | |||
消費税 | 22,400円 | |||
合計 | 246,400円 |
※一般的な戸建て住宅(床面積120㎡程度)を想定
2.地域や条件によっては補助金で耐震診断できる
耐震診断では、すべての都道府県で補助金制度を設けていますので、その補助金を上手く活用することで費用を抑えることが出来ます。
木造住宅の耐震診断は、自治体によって5万~20万円程度の補助金あるいは技術者派遣をしてくれるところが一般的です。補助率は定められているので注意しましょう。
東京都千代田区の補助金の例(令和7年度)
- 名称:【令和7年度】千代田区木造住宅耐震化促進事業
- 補助金上限:20万円
- 補助率:100%
神奈川県川崎市の補助金の例
- 名称:川崎市木造住宅耐震改修等事業助成制度<精密診断・補強計画>
- 補助金上限:15万円
- 補助率:4/5 (部分改修の場合2/3)
一般財団法人「住宅リフォーム推進協議会」のサイトで、各自治体のリフォーム補助金を検索することができますので、チェックしてみましょう。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
その他、補助金申請の流れや利用の際の注意点などはこちらの記事を参照ください。


3.耐震診断業者の選び方
耐震診断をどこに頼めばいいのかわからない方は多いと思います。耐震診断はリフォーム業者等ではなく、建築士事務所に依頼することになります。
精密診断は特に専門性の高い作業なので、自分の判断で選んだ業者が技術不足の場合は耐震補強工事で大失敗をしてしまいます。
ここでは、耐震診断の依頼先の探し方について解説します。
3-1.相談窓口(自治体・建築士事務所)の活用
各都道府県や市区町村では、市・区役所内などに耐震診断・改修の相談窓口を置いており、耐震診断を実施している機関の紹介や、助成制度の相談に応じています。
耐震診断に関する疑問点なども一緒に相談できるので、まずはこうした相談窓口を活用しましょう。
また、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合では、Webサイト上で耐震リフォームの技術を持ったリフォーム会社を検索できるので、下記のリンク先からお近くのリフォーム会社を探してみてください。
3-2.日本建築防災協会の事務所一覧
日本建築防災協会で公表されている「耐震診断・耐震改修実施事務所一覧」も業者選びにおいて参考になります。
一覧には、都道府県ごとに信頼できる業者が載っていますので、お近くの業者を探しましょう。 どの方法で業者を選ぶ場合であっても、必ず複数の業者から見積もりをとり、工法や金額など、納得する事務所と契約するよう十分注意してください。
3-3.耐震診断が得意なリフォーム会社を簡単に見つける方法
もし自分では業者選びがよくわからないということであれば、リフォームの一括見積サイトで対応できる会社を紹介してもらうのがおすすめです。
あなぶきデジタルサービスが運営するリフォーム会社紹介サービス「リフォームガイド」の場合は、耐震診断や耐震工事が得意な会社を無料でご紹介しております。プロのコンシェルジュがご希望の条件を丁寧にヒアリングして複数の会社を手配するので、会社選びの手間を大幅に減らすことができます。


4.まとめ
耐震診断は、その後の耐震補強工事の精度を上げるために非常に重要なものですが、各地方公共団体の補助金制度を活用すれば安く済ませることが出来ます。
補助金制度は耐震診断工事を始める前に申請しなければいけないので、ご自身がお住まいの地方公共団体ではどのような補助金が利用できるのかを、事前によく調べておくようにしましょう。
そして、精度の高い耐震診断をできるよう、適切な業者を選択するようにしてください。
▼こちらの記事では、戸建ての耐震補強工事の費用や、主な耐震補強の方法と優先度などについて解説しています。


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