
「天候や花粉を気にせず洗濯物を干したい」「ペットが遊べるスペースを作りたい」と考えたときに選択肢に入るのが、サンルームの設置です。
サンルームといえば庭に作るイメージがありますが、ベランダやバルコニーをリフォームすれば、今あるスペースを活用してサンルームを作ることができます。
しかしその際に気になるのが、費用面ではないでしょうか。ベランダをサンルーム化するときには、ベランダの撤去有無や施工面積によって費用が大きく異なります。
そこで本記事ではベランダ(バルコニー)をサンルームにリフォームするときの費用相場や工期、メリット、注意点などを解説します。リフォーム事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 2階のベランダをサンルーム(バルコニー囲い)にする方法・費用・施工日数
ベランダをサンルームにする方法や費用、施工日数は、もともとのベランダが「造り付け」になっているか「後付け」になっているかによって異なります。
【造り付けのベランダ】透明の囲いを後付けで設置(30〜55万円/1~3日)
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/387
上記のように建物と一体になっている「造り付け」ベランダなら、手すり壁の上にガラスやパネルの囲いを取り付ける『テラス囲い』の方法で、サンルーム化することができます。現在のベランダに後付けするだけなので、費用を抑えられる方法です。

上記画像のようにベランダ全体をサンルームにすることもできますが、一部だけをサンルーム化したいときには、下記画像のように製品を部分的に取り付けることも可能です。
ベランダの面積が広い場合や、2部屋をまたいでいるときなどにおすすめです。

造り付けのベランダに『テラス囲い』の方法でサンルームを設置する場合、費用相場は50万円前後、工期は1〜3日が目安です。
【後付けのベランダ】解体してサンルームを新たに設置(45~100万円/4〜5日)
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/207
上記のように後付けしたベランダの場合は、サンルームの設置にあたって既存のベランダを解体しなくてはなりません。
ベランダの撤去後に同じように柱で支えるタイプのサンルームを設置するため、解体・撤去新設費用がそれぞれかかります。これらの工事にかかる費用は、10〜15万円ほどが目安です。

サンルームの費用自体はテラス囲いと同じくらいですが、追加工事によって費用相場は45〜100万円ほどになります。
さらに解体と撤去に時間がかかる分、工期も4~5日ほどかかるでしょう。
<ベランダ(バルコニー)をサンルームにする費用のまとめ>
まとめると、ベランダをサンルームにリフォームするときの費用は以下のとおりです。よくあるオプション追加の費用も参考にしてください。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
ベランダ・バルコニーに後付け(テラス囲い)※1~4畳 | 30〜55万円 |
ベランダを解体し、サンルームを新設 | 45~100万円 |
▼オプション追加 | |
物干し台 | 3万円前後 |
換気扇 | 2.5万円前後 |
日よけ | 4~14万円前後 |
照明(LED) | 15万円前後 |
カーテンレール | 1.3~2.5万円 |
4畳以下のコンパクトなベランダをガラスやパネルで囲ってサンルームにするのなら、30〜55万円が目安。オプション類を追加しても、70万円以内には収まるでしょう。
ただし実際にどのくらいの費用がかかるのかは、既存のベランダの状態によって異なります。たとえば既存のベランダを撤去して新たにサンルームを作るのなら、費用相場は45〜100万円。撤去費と支柱の新設が必要になるため、費用がぐっと高くなります。
2. ベランダをサンルームにリフォームするメリット
ベランダをサンルームにするためには、50万円前後という決して安くはない費用がかかります。前章を見て、「そこまでしてサンルームにする費用があるのか」と感じた方も多いはずです。
しかしベランダをサンルーム化すると、次のようなメリットが得られます。
雨風や花粉を気にせず洗濯物が干せる
ベランダをサンルームにすれば室内のような使い方ができるため、雨風や花粉、黄砂、PM2.5などを気にすることなく洗濯物を干せます。
さらに沿岸部に近い住宅ならば潮風による洗濯物のベタつきを防ぎ、山間部や林に近い住宅ならば虫の付着を防げるのもメリットです。
室内干しの必要がなくなりリビングを広く使える
自宅に乾燥機やランドリースペースがない場合は、リビングで室内干しをしている方も多いはず。サンルームを作れば天候に関係なく洗濯物を干せるので、リビングが洗濯物で溢れることはありません。
来客時に干している洗濯物を隠す必要がなくなる点もメリットです。
読書や作業スペース、ペットの遊び場など多目的に使える部屋ができる
サンルームは物干しスペースとしてだけではなく、読書や作業場、ペットの遊び場としてフレキシブルに使うことができます。
室内でありながらも屋外にいるような気持ちで過ごせるので、気分転換をしたいときにはうってつけです。
猫などペットの脱走・飛び出しを防げる
庭のドッグランやキャットタワーは脱走や飛び出しの心配がありますが、サンルームならば部屋とつながっているため、それらの心配はありません。
ペットの安全を守りつつ、のびのびと遊ばせてあげられるのも、サンルームならではのメリットです。
ベランダ床材の劣化を防ぎやすくなる
防水加工を施した床材でも、雨風や紫外線にさらされていると劣化が早まります。劣化を放置すると雨漏りにつながるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。これが「ベランダはお金がかかる」といわれる理由のひとつです。
しかしサンルームにリフォームして雨風や紫外線を防げば、床材を長く使うことができます。粉塵で汚れる心配もないので、お手入れが簡単になる点もメリットです。
家の断熱性も上がり、室内でも快適に過ごせる
サンルームは二重窓のような役割を果たすため、断熱効果が期待できます。
イメージとしては、北海道や東北地方のような寒冷地で玄関前の風よけとして作られる「風除室(玄関フード)」と同じです。
サンルームに隣接している部屋は外気の影響を受けにくくなり、快適に過ごせるでしょう。
3.ベランダをサンルームにリフォームするデメリット
ベランダをサンルームへとリフォームするときには、元々屋外であったからこそ出てくるデメリットもあります。
快適さだけを求めてリフォームすると後悔する恐れがあるため、デメリットと対策を頭に入れておきましょう。
夏場や冬場はサンルーム内で過ごせない
サンルームを作れば隣接する部屋の断熱効果は上がりますが、サンルーム自体の断熱性は高くありません。夏は暑く、冬は寒く感じるため、サンルームで過ごすのは難しくなります。
夏場や冬場もサンルームを活用するためには、カーテンや内部日よけ、換気扇を取り付けたり、隣接する部屋のドアを開けて冷暖房を効かせたりするなどの工夫が必要です。
きれいな状態を維持するために手間とコストがかかる
透明のパネルやガラスで囲まれたサンルームは、土埃、落ち葉などにより、外側の汚れが目立ちます。
しかし2階のベランダをサンルームにする場合は自力で掃除するのが難しいので、業者依頼をしなくてはなりません。
きれいな状態を維持するためには、手間とコストがかかる点は覚えておきましょう。
4.ベランダをサンルームにリフォームする際の注意点
デメリットと同様に、ベランダをサンルームへとリフォームするときにはいくつか注意しておきたいポイントもあります。
増築扱いになるため、建ぺい率など法的制限を確認する
床面積に含まれていないベランダやバルコニーをサンルームへとリフォームすると、増築とみなされます。
増築によって建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)を超える場合は、サンルームの設置自体ができません。
建築確認が必要な場合がある
防火地域・準防火地域の住宅や、10㎡(約6畳)を超える増築については、建築基準法に沿った工事であるのかを審査する『建築確認』の申請が必要になります。
申請はリフォーム会社が代行手続きをしてくれる場合がほとんどですが、15〜20万円ほどの追加費用が必要です。
建築確認が必要になると費用総額が一気に上がってしまうため、防火地域・準防火地域である場合や、広いベランダにサンルームを付けたいという場合は注意が必要です。


建物表題変更登記が必要
床面積に含まれていないベランダやバルコニーをサンルームにすると、リフォームによって床面積が増えるため、工事から1か月以内に登記手続きが必要になります。
手続きが必要になるのは、建物の内容や所有者にかかわる『建物表題変更登記』の部分です。
固定資産税が高くなることも
サンルームを後付けすると、固定資産税が高くなる可能性があります。
固定資産税は評価額によって決まるため、10畳程度の増築で年間1〜2万円の上乗せが目安です。
ベランダやバルコニーを活用したコンパクトなサンルームであれば大きく負担が増える心配はないですが、広いベランダやバルコニーをサンルーム化したい場合は心に留めておきましょう。
マンションのベランダはサンルームにできない
マンションのベランダは共用部分になるため、勝手にリフォームすることはできません。
サンシェードのように簡易的に雨風や日差しをよけるものであれば認められているケースもありますが、管理規約はマンションによって異なります。
リフォーム会社に相談のうえ、規約内でできる工事を検討しましょう。
5.ベランダ(バルコニー)にサンルームを設置する際よくある質問
ここまでベランダをサンルームにするメリットやデメリット、注意点などを説明してきましたが、よくある質問にも目を通しておきましょう。
Q.3階のベランダにサンルームを設置できる?
サンルームの既製品は1階、2階専用のものしかなく、3階への取り付けはできません。
取り付けてくれるリフォーム会社があったとしても、それは規格外工事に該当するため、メーカー保証の対象外となります。
また3階部分は風が強く破損の恐れもあるため、サンルームの設置は必ず1階または2階で検討しましょう。
Q.ベランダをサンルームにする際、室外機はどうする?
エアコンの稼働中は室外機から冷風や温風が排出されているため、置いたままにするとサンルーム内に室外機から出た空気が充満してしまいます。
そのためベランダに室外機を置いている場合は、リフォーム時に移設が必要です。
6.ベランダにサンルームを設置した施工例
※横にスクロールできます


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/251
新築から20年経った住宅のバルコニーを、サンルームへとリフォームした事例です。
リフォーム前は屋根がなかったため、床材の劣化がとても進んでいました。
そこでリフォームを機に、紫外線や雨風を防ぐためにテラス囲いの方法でサンルームを設置。紫外線や赤外線を通しにくいサンルーム『晴れもようⅢ(三協アルミ)』を採用し、二重サッシやカーテンを取り付けて、断熱性も向上しています。
室内のような使い方ができるサンルームが完成しました。
費用 | 159万円(床材の修繕、二重窓工事も含む) |
---|---|
工期 | 2週間 |
施工面積 | 14.8㎡ |
築年数 | 20年 |
7.ベランダをサンルームにしてくれる業者の探し方
ここまで説明してきたように、ベランダ(バルコニー)をサンルームへとリフォームする際には建築基準法や登記などの知識が必須です。知識が乏しい業者に依頼すると、気づかぬうちに住まいが違法建築物になってしまう恐れがあります。
また目的に応じた空間に仕上げるためには、知識だけではなく実績も問われるため、サンルームの後付けリフォームは業者選びがとても重要です。
リフォーム会社はインターネットを利用して自力で調べる方法もありますが、安心なのはリフォーム会社紹介サイトの活用です。たとえばリフォームガイドに相談いただければ、専任のコンシェルジュがご希望のエリア内で経験と実績が豊富な信頼できる会社を選び、無料でご紹介いたします。
8.まとめ
ベランダをサンルームへとリフォームすれば、使い勝手がぐっとよくなります。
とくに室内干しにストレスを感じている方や、ペットの遊び場を作りたい方には、サンルームの設置がおすすめです。
しかし何度も説明してきたように、サンルームは増築とみなされることがあるため、建築確認や登記の必要有無の確認が欠かせません。
安心して工事を行うためには、信頼できるリフォーム会社を探すことが大切です。
お住まいの地域に対応している会社を探す際には、ぜひリフォームガイドをご活用ください。一定の審査をクリアし登録しているリフォーム会社の中から、サンルーム設置の経験が豊富な優良会社を厳選してご紹介いたします。