
ベランダやバルコニーは紫外線や雨の影響で、室内よりも劣化が早く進みます。
しかし「今のままの状態で放置していてもいいのか」「どんなリフォームをすればいいのか」と、タイミングや工事内容でお悩みの方も多いはずです。
そこで本記事では、ベランダやバルコニーに多い悩み事や場面ごとに、適した工事を説明します。
工事内容のほか費用や工期、手順、リフォームを成功させるポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.ベランダ・バルコニーのリフォームをお悩み別に解説
ベランダやバルコニーに劣化や不便さを感じていても、どのようなリフォームが必要なのかの判断はとても難しいですよね。
まずはリフォームが必要な場面を確認し、工事の選択肢を知るところから始めましょう。
ベランダ・バルコニーから雨漏りしている
下の階に雨漏りしていたり水はけが悪かったりなど、防水面に問題が出ているのであれば、早急に防水工事や補修などの対応が必要です。
とくにバルコニーやインナーバルコニーは階下が室内になっているため、雨漏りを放置しておくと構造部分が腐食してしまう恐れがあります。
業者に依頼して雨漏りの原因調査と適切な処置をしてもらい、原因を根本からしっかりと直してもらいましょう。


なお、大雨や強風、台風、ひょうなどの自然災害後に雨漏りした場合は火災保険が適用され、補償が受けられる可能性があります。
具体的にどのようなケースが補償対象になるのかは、下記記事を参考にしてください。


ベランダ・バルコニーの床や壁が劣化している
紫外線や雨にさらされているベランダやバルコニーは、床や壁があっという間に劣化してしまいます。
色あせだけではなくヒビ割れや剥がれなどがあると、そこから雨水が侵入して雨漏りすることも。劣化に気づいたタイミングで床材や外壁の交換、または再塗装を検討したほうがよいでしょう。
また、新築または前回のリフォームから10年以上経っている場合は、防水加工もメンテナンス時期に差しかかっているので、同時に行っておくと安心です。




ベランダ・バルコニーの手すりが劣化している
鉄製の手すりがサビたり剥がれていたり、木製の手すりが朽ちていたりするのなら、手すりの交換や再塗装を検討しましょう。
手すりが劣化していると洗濯物や布団を干したときに汚れるだけではなく、触れたときにケガをしてしまう恐れもあります。
手すりだけの再塗装や交換も可能ですが、外壁部分の劣化も目立つ場合は同時に外壁リフォームをおすすめします。サイディングであれば部分的な交換も可能です。
バルコニーに屋根がない
屋根のない空間は住宅ののべ床面積に入らないため、容積率や建ぺい率、固定資産税を抑えるために、新築時には屋根を付けずバルコニーにすることも。
とくに建売住宅や分譲住宅では、ベランダよりもバルコニーのほうが多い印象です。
しかし、バルコニーは雨が降ると洗濯物や家具が濡れるだけではなく、紫外線の影響で床材や防水加工の劣化も早く進んでしまいます。
使い勝手やメンテナンスを考えると、屋根を後付けしたほうがよいでしょう。
ベランダ・バルコニーに日が当たらない
ベランダやバルコニーの方角や隣家との位置関係によって日当たりが悪いときには、別の場所に新設(増設)する、または日が当たる部分まで面積を拡張する方法があります。
費用を抑えられるのは拡張工事ですが、まったく日が当たらないのであれば別の場所に新設したほうがよいでしょう。
その際、既存のベランダやバルコニーは撤去するのが一般的ですが、室内やサンルームにすることも可能です。
ただし、新設費用に加えて撤去や室内化に費用もかかるので、予算に合わせて工事内容を検討してください。


ベランダ・バルコニーに目隠しがほしい
ベランダやバルコニーに目隠しがほしいときには、シェードを付ける方法が最も手軽かつ安価です。しかし雨や強風の日にはその都度収める手間がかかり、外壁デザインから浮いてしまう心配もあります。
見栄えや使い勝手を優先するのなら、手すりや外壁を高くするリフォームや後付けフェンスを設置するのがおすすめです。
また、角度のある細い羽板を一定間隔で並べるルーバーも、目隠しに適しています。
後付けとなると外構との調和が心配になるかもしれませんが、外壁に合うデザインや色を選べば、外構の見た目を損ねる心配はありません。
ベランダ・バルコニーと部屋の段差をなくしたい
2階にベランダやバルコニーを作るときには、防水の関係で出口部分の下端を12cm以上立ち上げる必要があるため、段差が必ずできてしまいます。
段差を軽減するためには、バルコニーにウッドデッキやすのこを敷いて、立ち上がりの部分まで高さを合わせる方法があります。
しかしこの方法では室内側には段差があるため、バリアフリーにはなりません。
段差を完全になくすためには、室内よりも少しだけ高くなっているベランダやバルコニーの床を室内と同じ高さまで下げてから、立ち上がり部分を撤去する方法があります。
しかし、この方法は下階の天井が低くなり構造的にも不安定なので、あまりおすすめできません。
完全なバリアフリーとはいかずとも、室内と屋外にそれぞれスロープを設ければ、部分的に段差をなくすことは可能です。
バリアフリー化についてはリフォーム会社によって考え方が違うので、複数のリフォーム会社に話を聞いてみて、どの方法が自分たちにとって最適なのかを考えてみてください。
ベランダがなく洗濯物を干せる場所がない
室内干し前提でベランダやバルコニーを設けなかったものの、「やっぱり外干しがしたい」「布団だけでも干したい」と思ったときには、外壁に張り出す形であれば後付けが可能です。
ただし幅2m以上のものや屋根があるものは延べ床面積に影響し、面積が10㎡を超える場合は建築確認申請が必要(防火地域または準防火地域は面積に限らず申請が必要)など、注意点も多くあります。
場合によっては後付けではなく、庭の活用や外壁に物干し金具を取り付けるなどの他の方法で対処したほうがいいケースもあるので、まずはリフォーム会社に相談してみてください。


使っていないベランダ・バルコニーを部屋にしたい
使っていないベランダやバルコニーは、部屋にリフォームする方法があります。
インナーバルコニーやバルコニーのように建物の内側にある場合は、室内にしたほうがスペースを有効活用できるでしょう。


ベランダ・バルコニーをサンルームにしたい
サンルームと言えば庭に設けるイメージがありますが、既存のベランダやバルコニーに壁や屋根を取り付ける形でサンルームへとリフォームすることも可能です。
ただし、用途が変わると建築確認申請や建物表題変更登記が必要になり、建築基準法への適合など、懸念点がいくつもあります。
家の条件によっては取り付けができない可能性もあるため、まずはリフォーム会社に相談してみてください。


2.ベランダ・バルコニーのリフォーム費用と工期
ベランダやバルコニーのリフォームにはさまざまな選択肢があり、内容によって費用と工期が異なります。
前章で見たリフォームの費用と工期の目安はどのくらいなのかを、一覧で確認してみましょう。
工事内容 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
手すりのサビ止め塗装・再塗装 | 8~15万円 | 2日~ |
ベランダ外壁の再塗装・交換 | 15~30万円 | |
防水・雨漏りの修理 | 5~30万円 | 1~10日 |
屋根の設置 | 10~20万円 | 1~2日 |
ベランダ・バルコニーの室内・サンルーム化 | 50~140万円 | 3日~ |
ベランダ・バルコニーの拡張 | 30~40万円 | 2日~ |
ベランダ・バルコニーの交換・新設・増設 | 20~150万円 | 3日~ |
ベランダ・バルコニーの撤去 | 30~50万円 | 3~5日 |
10万円以下でできるリフォームもあれば100万円を超えるものもあり、工事規模が大きくなるほど工期も長くなることがわかります。
リフォーム費用について詳しく説明した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。


3.ベランダ・バルコニーのリフォームを成功させるポイント
悩みを解消して暮らしをより良くするためにリフォームしたにもかかわらず、工事後に後悔する方も少なくありません。
リフォームで失敗しないために、ここで成功のポイントを押さえておきましょう。
悩みや目的を明確化しておく
ベランダやバルコニーに限らず、リフォームでは悩みや目的を明確化しておきましょう。
「なんとなく」「とりあえず」でリフォームすると、根本的な悩みの解決ができず、工事後に使いづらさを感じることがあるからです。
「雨漏りを直して床をきれいにしたい」「洗濯物をたくさん干せるようにしたい」など、なんのために、どんなリフォームをするのかを、家族で話し合ってみてください。
安全面・防犯面・プライバシー面を考える
ベランダやバルコニーのリフォームで考えなくてはならないのが、安全面・防犯面・プライバシー面の3つです。
開放感のある空間はとても快適ですが、手すりが低いと小さなお子さんの転落が心配ですし、外から見えやすくなるのでプライバシー面も心配です。
しかしだからといって隠しすぎてしまうと、空き巣の標的になりやすくなる恐れがあります。
快適さだけに気を取られず、安全面・防犯面・プライバシー面も考慮しながら計画を進めましょう。
採光・通風計画をしっかり行う
ベランダを新設(増設)したり拡張したり、屋根を設けたりする場合は、階下に太陽光が届きにくくなる可能性があります。
また、手すりや外壁を設けたために、バルコニーやベランダに接する部屋の通風が悪くなることも。
取り付ける部屋はもちろん、他の部屋へ影響がないのか、しっかりとした採光・通風計画が必要です。
補助金が利用できるか確認する
ベランダやバルコニー単体のリフォームで受けられる補助金はありませんが(2024年6月時点)、工事の一部に対してなら補助金が支給される可能性があります。
たとえば「子育てエコホーム支援事業」では、窓やガラス、サッシの交換などが補助対象となるため、同時に対象部分を工事することで補助金を受けられるでしょう。
ただし補助金が支給されるのは「補助金事業で指定された箇所」のみなので、どの工事が対象となるのかを、必ずリフォーム会社に確認してください。
マンションの場合は管理規約で認められたリフォーム内容を確認する
マンションにおけるベランダやバルコニーの扱いは共用部分になるため、原則として個人が勝手にリフォームすることはできません。
ウッドデッキやタイルなどを敷くなどの簡単なリフォームならば認められるかもしれませんが、ここまでに紹介したようなリフォームは認められない場合がほとんどです。雨漏りが発生した際も、管理会社や管理組合が業者を手配して修理します。
ただしリフォーム可否はマンションごとに異なるので、まずはお住まいのマンションの管理規約を確認してみてください。


4.ベランダ・バルコニーのリフォーム業者を選ぶポイント
雨漏り修理や防水加工などを伴うことが多いベランダやバルコニーのリフォームは、費用面だけではなく、技術面においても業者選びが重要です。
具体的にどのような部分を意識して優良業者を見極めればいいのか、最後に業者選びのポイントを説明します。
施工事例や実績が多い
リフォームのようなイレギュラーが起こりやすい工事は、実績がとても重要です。
たとえば「雨漏りで依頼をしても、実は原因がシロアリだった」など、当初の依頼内容と原因・対処方法が変わる場面も度々あるからです。
これまでにどのような工事に携わってきたのかは、会社のホームページやSNSに掲載されている施工事例が参考になります。
費用が掲載されていれば、予算組みの参考にもなるでしょう。
どれだけ多くの現場を経験し、どのような工事を行ってきたのかを、まずは確認してみてください。
要望に合わせた提案をしてくれる
リフォームの選択肢は1つではありません。
たとえば「日当たりが悪い」という悩みがあるのなら、新設(増設)のほか、拡張、屋根の交換などの選択肢もあります。
希望や予算、住宅の状態を元に、どんな選択肢があり、どの方法が最適なのかを提案してくれる業者に相談しましょう。
保証・アフターサービスが充実している
ベランダやバルコニーのリフォームは、雨漏り修理や防水加工などを伴う工事が多いため、工事後に不備が出ることも珍しくありません。
そのようなとき、保証やアフターサービスがない会社だと、点検や修理に別途費用がかかる可能性があります。
「工事後〇年保証」「工事後〇年間は点検無料」など、保証とアフターサービスが充実している業者に依頼すると安心です。
5.まとめ
塗装や交換、新設(増設)、拡張など、ベランダやバルコニーのリフォームにはいろいろな方法があります。
同じ悩みを抱えていても選択肢が1つとは限らないので、悩みや希望、予算などからできる限り多くの提案をしてくれる業者を選ぶのが、リフォームを成功させるカギです。
リフォームガイドではリフォーム会社の特徴を熟知したコンシェルジュが、お客さまの悩みを解決できる優良業者を紹介し、見積もりの取得までしっかりとサポートいたします。
ベランダやバルコニーのリフォームをお考えの方はぜひ、リフォームガイドにご相談ください。