
近年、屋根修理詐欺の被害に遭う方が増えています。
屋根修理詐欺とは、
「通りかかったら屋根が壊れているのが見えた。今すぐ修理しないと危険です!」
「近所で工事をしていたついでに、無料で屋根の点検をさせてください。」
などと言って突然訪問してきて不安をあおり、必要のない高額な工事を契約させるものです。
「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」に寄せられた相談件数によると、2022年度の屋根工事の点検商法に関する相談件数は2,885件にものぼり、過去5年間で最多となりました。
泣き寝入りして上記に含まれていない人がいることを考えると、無視できる件数ではないでしょう。
この記事では、屋根修理詐欺のよくある手口と詐欺に遭わないためのポイント、実際に遭ってしまった時の対処法についてご紹介します。屋根修理詐欺に遭わないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
1.実際にあった屋根修理詐欺の手口
はじめに、実際にあった屋根修理詐欺の手口についてご紹介します。どんな被害に遭うのかも解説していますので、合わせて抑えておきましょう。
手口①突然訪問してきて、屋根の劣化を指摘して不安をあおる
この手口は、
などと言って自宅に突然訪問してきて、高額な工事の契約を勧めてくるものです。
屋根は普段自分では見えない場所なので、本当に壊れているかどうかは住んでいる人にも正確にはわかりません。詐欺業者はこうした状況を利用し、住人の不安をあおってお金をだまし取ろうとしてくるため注意が必要です。
手口②調査を装って屋根を破壊する
屋根の無料点検などで訪問してきた業者が、調査を装って屋根に上り、みずから瓦をはがしたり穴をあけたりと屋根を破壊するという悪質な手口もあります。
この手の業者は、自分で破壊したにも関わらず
と言って工事を勧めてきます。
場合によっては、承諾していないのに勝手に屋根にあがる業者もいるので、突然訪問してきた業者が屋根の調査を申し出てきたときはしっかり断りましょう。
無料なら点検だけでもお願いしてみようかなと思う気持ちもわかりますが、信頼のできる業者は依頼を受けてから訪問をするため、突然訪問してくるようなことはありません。
手口③火災保険で屋根修理が無料になると言われる
最近では、火災保険を口実にした手口も増えてきています。
悪質な業者は、こちらの知識がないことをいいことに
と言って工事の契約を勧めてくることがあります。しかし、火災保険は適用される場合とそうでない場合があるので注意が必要です。
台風や暴風などによって屋根が破損した際は火災保険の補償を使って屋根の修理を行うことができますが、経年劣化による屋根の修理に関しては火災保険は下りません。
こうした勧誘に乗らないことはもちろんですが、不安な場合は保険会社に火災保険が使えるかどうかを確認してから判断するとよいでしょう。
手口④値引きをうたって急いで契約させようとする
などと値引きを強調して、その場で急いで契約をさせようとしてくる業者にも注意が必要です。
一番気になる金銭的な負担が軽減されるので良さそうに思いますが、悪質な業者はそういった気持ちを利用して実際の相場よりも高額な金額で契約させようとしてきます。
契約をせかされてしまったとしても、その場ですぐに結論を出さないようにしましょう。
他にも、実際に国民生活センターに寄せられた屋根修理詐欺の手口や勧誘トークにはさまざまなものがあります。詳しく知りたい方は、下記よりご確認ください。
屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-
2.屋根修理詐欺に遭わないための5つのポイント
ここでは、屋根修理詐欺に遭わないための5つのポイントをご紹介します。
怪しいなと思う業者訪問があったら、下記のポイントを意識して対処しましょう。
①ひとりで契約することを決めない
急な訪問で屋根の修理を勧められたとしても、その場でひとりで決断することは絶対にやめましょう。
「雨漏りする」「放置しておくと危ない」などと脅されると、不安になって契約したくなる気持ちもありますが、修理費用も安い金額ではないため、一度家族や信頼できる人に相談することが大切です。
家族や友人に相談したいと伝えた時に、嫌がったり、しつこく契約を迫ってくる様子を見せる業者は詐欺がばれることを恐れている可能性が高いです。断った時にそういった様子が見られたら、それ以上話は聞かずに帰ってもらいましょう。
②別の業者にも点検を依頼する
屋根の修理を勧められた場合は、勧めた業者だけではなく、別の業者にも点検を依頼しましょう。
屋根の状態は自分ではわからないため、1社の意見だけでは本当に修理が必要かどうかがわかりません。
別の業者にも見てもらうことで、現在の屋根の状態や必要な工事がどんなものなのか、提案されている費用が適切かどうかが判断しやすくなります。
③点検時の写真を見せてもらう
屋根は見えない場所だからこそ、うその状態を伝えることも簡単にできてしまいます。
写真を通して自分の目で状態を確認することで、本当に修理が必要な状態なのかどうかを判断することができますので、点検の際には屋根全体と破損や劣化している箇所のアップの写真を確認しておきましょう。
ここで写真を拒否する業者は怪しい業者の可能性が高いです。
④契約する場合は書面で交わす
屋根修理の契約をする場合は契約内容を書面で残すようにしましょう。
口頭だけで契約してしまうと、何かあった際に「そんな契約は結んでいない」といって適切な修理をしてくれなかったり、「その作業は追加料金が必要」などと言って追加料金を請求される恐れがあります。
口頭だけで契約を結ぼうとしてくる業者には注意が必要です。
⑤断り文句を考えておく
詐欺の手口を常習的に使っている悪質な業者ほど「結構です」や「一度考えてみます」などの優しい言葉ではなかなか引き下がらず、強引に押し切ろうとしてきます。
強引な営業トークに押し切られないようにするためにも、あらかじめ断り文句を用意しておきましょう。特に「家族に屋根修理の仕事をしている人がいる」「いつもお願いしている業者がいる」など屋根修理に詳しい人が身近にいることを伝えることが効果的です。
3.屋根修理詐欺に遭ってしまったときの対処法
ここでは、実際に詐欺に遭ってしまった方に向けて、対処法を紹介します。焦らず対処することで被害を最小限に抑えることができますので、万が一詐欺に遭ってしまった場合はこの章を参考にしてください。
①クーリング・オフが適用できるか確認する
契約後に詐欺だとわかった場合は、クーリング・オフが適用できるか確認してください。
下記の条件を満たす場合は、クーリング・オフ制度を適用することができます。
- 訪問営業で契約してしまった場合
- 契約書面を受け取った日から8日以内
ただし、8日を過ぎてしまった場合でも契約に不備があったりした場合はクーリング・オフ制度が適用できる場合があります。ご自身の契約がクーリング・オフの対象かどうかがわからない方は近くの消費生活センターへ相談してみましょう。
②消費者ホットラインに相談する
消費者ホットラインは消費者庁が設けている相談窓口で、商品やサービスなどの消費生活全般に関する問い合わせに対応しています。
全国共通の3桁の番号「188」に電話をかけると最寄りの消費生活センターを案内してくれるので、不審な業者の訪問に少しでも不安を感じたらすぐに相談してください。
③「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」に相談する
屋根修理でトラブルが発生した際に相談したいのが「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」です。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターは「住まいるダイヤル」の愛称で呼ばれる公益財団法人で、インターネット上に相談窓口を設置しています。リフォームにおける過去のトラブル事例も紹介しているため、あなたが遭遇した問題の解決法も見つけやすいでしょう。
もし屋根修理で詐欺に遭ったと感じたら「住まいるダイヤル」に相談することをおすすめします。
④弁護士に相談する
工事費用を支払ったあとに詐欺だとわかった場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
消費者センターでは詐欺被害の内容に応じて解決に向けたアドバイスや、事業者との間に入った調整を行ってくれますが、事業者がそれに応じない場合はそれ以上の対応ができません。
一方で、弁護士であれば事業者との間に入って法律に基づいて交渉を進めることができますし、支払ってしまった代金を回収できる可能性も高まります。
ただし、弁護士に依頼する際は依頼料が別途かかりますので、費用に関しては依頼前に確認しておきましょう。
4.信頼できる業者を見極めるコツ
最後に、信頼できる業者を見極めるコツを紹介します。
屋根修理詐欺に遭わないようにするためには、信頼できる業者に点検や工事を依頼することが大切です。安心して屋根修理を行うためにも適切な業者選びを行いましょう。
①相見積もりをする
1社から見積もりを取得しただけでは、提案された工事内容や費用が適切なのかどうかを判断することができません。複数の業者の見積もりを比較することではじめて、費用の相場や、必要な工事内容がわかり、それをもとに適切な判断を行うことができるようになります。
また、各社の見積内容もしっかり確認しておきましょう。「~一式」などの表記で曖昧にまとめている見積もりは無駄な費用をだまし取られる可能性が高いため注意が必要です。
▼屋根の費用の相場はこちらの記事で解説しています。


②信頼できる業者を紹介してくれるサービスを使う
信頼できる業者を自分ひとりで見極められる自信がない方は、信頼できる業者を紹介してくれるサービスを利用するのもひとつの手です。
リフォームガイドでは厳しい審査に通過した優良業者のみを紹介しており、丁寧なヒアリングをもとにコンシェルジュがあなたの自宅に適した会社を選んでくれます。
信頼できる業者を見極める手間が省けるだけではなく、相見積もりの候補となる業者を探す手間と時間も省けるため、業者探しに不安を感じている方はリフォームガイドの利用を検討してみてください。
屋根のメンテナンス周期
屋根のメンテナンス時期は屋根の種類によって異なりますが、一般的には10年~20年に一度の周期で行うことが推奨されています。家を建ててからもしくは前回のメンテナンスから10~20年が経過している方は現在の屋根の状態を点検してもらいましょう。
屋根のメンテナンスについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
>>屋根のメンテナンス費用から工事が必要な時期までチェック!
リフォームガイドでは、希望する工事内容に合わせて複数の業者から無料で見積もりを取ることができます。屋根の修理を得意とする会社も多数ご紹介できますのでお気軽にご相談ください。
5.まとめ
今回は近年増えている屋根修理詐欺について、よくある手口や対処法について解説しました。
詐欺業者の訪問営業をすべて避けることは難しいですが、屋根修理詐欺に関する知識を持っておくだけでも被害を最小限に抑えることはできます。本記事で紹介したポイントを踏まえて万が一に備えておきましょう。
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