床下暖房(床下エアコン)とは|床暖房より経済的?メリット・注意点を確認

床下暖房

寒い冬でも快適に過ごすため、住まいの暖房にはこだわりたいところです。近年、床下部分に暖房機器を設置し、足元から部屋全体を暖める床下暖房(床下エアコン)が注目を集めています。

床下暖房は新築時に導入するケースが多いですが、床下のスペースや断熱工法といった設置条件がそろっていれば、リフォームで後付けすることも可能です。

今回は床下暖房の仕組みや床暖房との違い、設置費用や後付けリフォームについて解説します。


1.床下暖房とは?床暖房との違い

床下暖房の仕組みや床暖房との違いを詳しく見ていきましょう。

1-1.床下暖房の仕組み

床下暖房とは床下に設置された暖房機器を指します。床下で発生した暖かい空気を循環させることで、足元から室内を暖めます。暖房機器にエアコンを使用する場合は「床下エアコン」とも呼ばれます。

床下暖房を設置するには、床下に一定のスペースがあることが条件です。また、床下で発生した暖かい空気を逃がさないように、住宅の建設時に基礎部分に断熱工法を施す必要があります。また、すべての部屋を床下暖房で暖めたい場合は、暖かい空気が床下すべてに行き渡るよう、基礎の空間が風が通りやすい形状の一つの空間である必要があります。

1-2.床暖房との違い

床下暖房と床暖房の違い

床下暖房と床暖房は名前こそ似ていますが、暖め方が異なります。床下の空気を暖め循環させる床下暖房に対し、床暖房は床面を直接暖めることで暖房効果を発揮します。

床暖房には床下の配管に温水を循環させる「温水式」と、電気ヒーターの力で暖める「電気式」の2種類があります。床面が直接熱を持つため、長時間座っていると低温火傷になる可能性があり、注意が必要です。

また、床が直接熱を持つ床暖房と違い、床下暖房は床を中心に室内がゆるやかに暖まるという特徴があります。

1-3.床下暖房の仕組みは2とおり

床下暖房には、以下のように床下の暖め方が2通りあります。

  1. 床下に暖房機を置く
  2. 床下に放熱器を置く

それぞれの違いを見ていきましょう。

1-3-1.床下に暖房機を置く

1つ目の暖め方は、床下にエアコンやFF式ストーブと呼ばれる暖房機を設置し、床下空間を暖める方法です。

FF式ストーブは燃焼用の空気を屋外から強制的に取り入れ、屋外に排気します。床下暖房の中でもコストが安く、床下の空間にストーブを設置するだけなので比較的簡単に導入できます。またエアコン式は火災の心配がなく、外出の頻度が高い世帯にもおすすめ。床下に循環した温風が、足元から室内をじんわりと暖めます。

1-3-2.床下に放熱器を置く

床下暖房のもう1つの暖め方は、床下に温水ボイラーやパネルヒーターといった放熱器を設置し、暖気を床下から室内へ循環させる方法です。

放熱器は、基礎コンクリートや土間コンクリートといった大きい部位に蓄熱された熱も全体に広げられるため、エアコンやFF式ストーブを置く方法よりも高い暖房効果があるといわれています。一方で、暖房機を置く方式よりも導入費用が高くなる傾向があります。


2.床下暖房のメリット

床下暖房のメリットとして、主に以下の3つがあります。

  1. 床暖房より設置費用が安い
  2. 暖房効率がよく、電気代を節約できる
  3. 床材の選択肢が多い

ひとつずつ見ていきましょう。

2-1.床暖房より設置費用が安い

新築時の導入コストを考えると、床下暖房は、床暖房よりも低コストで設置できます。

床下暖房に必要な暖房機器は、1フロアにつき1台です。2階建ての家なら、2台で十分でしょう。また、専用の暖房器具は必要なく、家電量販店に売っている一般的なエアコンや暖房機器を利用できます。1畳あたり数万円という費用がかかる床暖房と比較すると、かなり安く抑えられます。

床下暖房の導入には、暖房機器のほかに換気口の設置や二重床にする工事費用、や基礎の断熱などもかかってきますが、それでもイニシャルコストは床暖房よりも低く済むでしょう。

2-2.暖房効率がよく、電気代を節約できる

床下暖房は、床下で発生した暖気の輻射熱が効率良く室内を暖めるため、エアコンと比較し電気代を低く抑えられます。床暖房は設置されている部分のみが暖まりますが、床下暖房の場合、部屋全体を暖めることが可能です。

また、床下暖房を導入するには高断熱・高気密な家である点が条件となります。床下暖房と高性能な住まいの組み合わせで、月々の電気代を節約できるでしょう。

2-3.床材の選択肢が多い

床を直接暖める床暖房は、急な温度変化に対応できる専用の床材が必要となります。床暖房対応の床材は選択肢が限られ、費用も割高です。

一方で床下暖房は床下の空間を暖めるため、床材に制限がありません。好きな床材を選べるので、内装にこだわりたい方や使いたい床材がある方には特におすすめです。


3.床下暖房のデメリット・注意点

床下暖房のデメリットや注意点として、以下の3つが挙げられます。

  1. 点検口や吹き出し口を設ける必要がある
  2. シロアリ対策が必要になる
  3. 暖まるまでに時間がかかる

それぞれ解説します。

3-1.点検口や吹き出し口を設ける必要がある

床下暖房を導入する際は、床下に空気を循環させるための吹き出し口やメンテナンス用の点検口を設けなければいけません。また、清潔な空気を使えるよう、メンテナンス以外に床下を定期的に掃除する必要があります。

掃除やメンテナンス時は床下に人が入って作業するので、最低でも高さ1mほどは確保したいところです。そのため床下暖房の設置には、一定のスペースが必須となります。

3-2.シロアリ対策が必要になる

床下暖房を導入するには、住宅の基礎部分に断熱工法が施してあることが条件です。しかし、断熱されていてなおかつ暖房が設置されている床下は、外より暖かい分シロアリが発生しやすいというデメリットがあります。また、断熱材はシロアリの餌にもなり、断熱材の中にシロアリが巣をつくってしまうケースもあります。

こうしたデメリットを回避するには、専門業者に薬剤を散布してもらう、防蟻剤入りの断熱材を使用するといった対策が必要です。

3-3.暖まるまでに時間がかかる

床下暖房は、まず床下を暖め、その後に暖気を循環させ室内を暖める仕組みです。そのため、立ち上がりから室内が暖まるまでに、5~6時間ほどかかってしまいます。立ち上げ後、比較的すぐに暖かさを実感できる床暖房と比べると、この点はデメリットといえます。

しかし、床下暖房は基本的に24時間稼働しておくものであるため、毎日使っている分には特に不便を感じることはないでしょう。


4.床下暖房は後付け可能?

既存の住宅に床下暖房を設置するには、いくつかの条件があります。

  • 基礎部分に断熱工法が施されている
  • 床下空間と室内空間が一体化している
  • 高気密・高断熱な家である

いずれも家の基礎や構造に関わる条件です。このため一般的には、床下暖房は新築時に導入するものと考えてください。

床下暖房の後付けは不可能ではないですが、それには基礎断熱がされていて、住まいに高い気密性や断熱性がなければいけません。また、床下に暖房機器を設置できる一定のスペースも必要です。さらに、家全体を床下暖房で暖められるようにしたいなら、床下の隅々まで暖められた空気が行き渡るよう、風が通りやすい基礎の立ち上がりになっている必要があります。
これらの条件を満たしていない場合、基礎工事をはじめ家全体の断熱工事が必須となり、あまり現実的ではありません。

また、上記の条件を満たしていても、必ずしも後付けできるとは限りません。まずは住まいの状況をリフォームのプロに見てもらいましょう。


5.床下暖房の設置にかかる費用

床下暖房の導入には、暖房機器本体の費用と工事費用がかかります。暖房機器の種類によって総額に若干の違いはあるものの、新築時に床下暖房を追加する場合、エアコンだと本体費用と工事費用を足してトータル6万~7万円が相場です。温水ボイラーやパネルヒーターといった放熱器や、高性能の暖房機器を設置する場合はもう少し金額が上がります。

また、追加で断熱工事を行ったり二重床を設置したりする場合、10万~30万円ほどの費用がかかります。初期費用はある程度しますが、床下暖房の電気代が安いことや、床暖房の設置費用が100万円程度かかることを考慮すると、決してコストパフォーマンスは悪くないでしょう。

なお、これらはすべて新築で床下暖房を導入する際の費用です。リフォームでの後付けを考えている方は、専門業者に直接聞いてみましょう。


6.床下暖房でよくある質問

床下暖房についてよくある質問にお答えします。

5-1.低温やけどの心配は?

Q.床暖房だと、長時間直に触れたところが低温やけどになるっていうけど、床下暖房なら大丈夫?
A.床下暖房は空気を使って床を間接的に暖めるので、床暖房のように床面が直接熱くなりません。そのため、長時間座ったり寝ころんだりしても低温火傷になる心配はないでしょう。
小さなお子様や高齢の方がいる世帯でも安心して利用できますよ。
回答

5-2.DIYは可能?

Q.そんなに大きな工事にならないのなら、床下暖房を自分でつけることはできる?
A.基礎断熱がしっかり施されていて、床下にスペースがあれば、エアコンを置いて床下暖房をDIYすることは可能です。しかし、床下暖房は、風の通りやシロアリ対策なども必要で、DIYの中でも難易度の高い部類に入る工事です。専門の業者に依頼することをおすすめします。
回答

5-3.掃除やメンテナンスは必要?

Q.床下の掃除やエアコン・ストーブの掃除も必要?
A.床下暖房には定期的なメンテナンスや掃除が必要です。しかし、頻繁に行う必要はなく、年に数回床下に掃除機をかけたりエアコンのフィルターを掃除したりすれば十分でしょう。掃除をできる十分なスペースが確保できない場合は、放熱器や放熱器の代用となる配管をエアコン代わりに設置するのがおすすめです。
万が一暖房機器が故障しても、電気屋に依頼すれば修理してもらえます。施工会社に連絡が必要な床暖房と比べ、メンテナンスも楽です。
回答

 


6.まとめ

床下暖房は、床暖房に比べ設置費用やランニングコストが安く、1フロアに1台設置すれば家全体が暖まります。床暖房のように床材の制限もないため、導入しても内装の邪魔をしないというメリットもあります。

床下断熱は、基本的に新築時に設置するものであり、基礎部分に断熱工法が施されており、住まいが高断熱・高気密仕様になっていることが条件です。また、暖房機器を設置するスペースも必要です。これらの条件を満たしていれば床下断熱を後付けできる可能性があるので、専門のリフォーム業者に住まいを見てもらい、判断をあおぎましょう。

もし、後付けができない場合でも、リフォーム実績の豊富な業者であれば、床下暖房に代わるリフォームを提案してくれるでしょう。リフォームガイドで、ぜひ信頼できるリフォーム業者を見つけてください。

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