
浴室暖房は、冬場の冷たい浴室を暖かくしてくれる設備です。近年は、暖房機能が搭載された浴室乾燥機が浸透しており、新築・リフォーム時に導入を考える人も多いでしょう。ただ、熱源の種類や取り付けタイプなどの種類があり、浴室の設計によっては設置できないケースもあるため、よく調査した上で決める必要があります。
本記事では、浴室暖房の特徴から設備の選び方、設置費用、浴室暖房乾燥機の後付け方法まで詳しく解説します。浴室への暖房設備の導入を検討している方はぜひご覧ください。
目次
1.浴室暖房とは
浴室暖房とは浴室を暖かくする暖房器具のことで、一般的には浴室暖房乾燥機に付いている暖房機能を指します。浴室の天井や壁の高い位置に取り付けて、温かい風を浴室内に送り込みます。入浴前にあらかじめ浴室暖房のスイッチを入れておけば、温まった状態で入浴できます。
温度差に敏感な高齢者や子どもがいる家庭では、冬場の冷たい浴室を暖房機能で暖めることによって、温度差によるヒートショックのリスクを軽減することも可能です。
2.浴室暖房乾燥機の選び方
浴室暖房乾燥機にはさまざまな種類があり、住宅の設計や設置したい場所などにより適したものが変わります。ここでは、浴室暖房乾燥機を選ぶ際に確認したい4つの項目について解説します。
2-1 熱源の種類
浴室暖房乾燥機の熱源は「電気式」と「ガス式」の2種類です。
電気式は種類が多く、設置工事も比較的簡単なため、初期費用を抑えることができます。ガス式に比べて温まるまでに時間を要しますが、種類も多く定番の熱源タイプといえるでしょう。
一方ガス式は、熱源機で温めたお湯を循環させて温めるタイプです。電気式に比べて浴室内をスピーディに温められてランニングコストも安めですが、室内機と室外機を両方設置する必要があるため、初期費用が高くなる点には注意しましょう。
初期費用を抑えたい場合は電気式、パワフルな機能を求める場合にはガス式がおすすめです。
2-2 機能
「浴室暖房乾燥機」という名前の通り、浴室暖房乾燥機のメイン機能は浴室の湿気を軽減する乾燥や換気です。
ここでは、浴室暖房乾燥機の主な機能を紹介します。※機種により機能の名称は異なります。
一般的な機種に備わっている機能
- 換気乾燥機能(浴室乾燥)…浴室の空気を入れ替える機能。湿気・カビ対策になる
- 乾燥機能(衣類乾燥)…部屋干し時に使って早く衣類を乾かす機能
- 暖房機能…冬場などに浴室を暖める機能
- 涼風機能…夏場などに浴室に涼しい風を送る機能
- 24時間換気機能…24時間換気システムの排気のため、常に使う機能
2-3 取り付けタイプ
浴室暖房乾燥機の取り付けタイプは、大きく分けて「天井埋込み型」と「天井取付け型」「壁掛け型」の3つがあります。
一般的なユニットバスでは、機能が多く選択肢が豊富な「天井埋込み型」を選択することが多いのですが、天井裏にスペースがない場合や、そもそも開口部がない場合などは他のタイプを選択することになります。
天井埋込み型 | 天井取付け型 | 壁掛け型 | |
---|---|---|---|
設置できる ケース |
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特長 |
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費用感 |
△ |
◯ |
◯ |
注意点 |
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2-4 対応室数
浴室暖房乾燥機の中には、1~3室など複数の部屋に対応しているものもあります。浴室だけでなく、脱衣所や洗面所、トイレまで広く暖めたい場合には、対応室数の多いものを選ぶと良いでしょう。
なお、リフォームの際には通気口やダクトの特性上、換気室数を変えることが難しいケースもあるため注意が必要です。
3.浴室暖房乾燥機の設置費用・光熱費
浴室暖房乾燥機の導入を検討する際は、選び方だけでなく設置費用やランニングコストがどのくらいなのか気になる方も多いでしょう。ここでは、浴室暖房乾燥機の設置にかかる費用や光熱費について解説します。
3-1 設置費用
浴室暖房乾燥機の設置費用は、本体価格のほかに設置工事費用や見積もり・出張費用などを含めて合計約10万〜30万円が目安です。設置費用は主に電気式かガス式かによって大きく異なり、一般的には電気式の方が安い傾向があります。
その他、後付け・交換などによっても費用が変わるため、本体価格以外にも幅を持たせて考えるようにしましょう。
3-2 光熱費
浴室暖房乾燥機の光熱費は、概ね下記の通りです。
タイプ | 光熱費 | |
---|---|---|
電気式(電気代) | 1時間40円程度 | |
ガス式(ガス代) | 都市ガス | 1時間40円程度 |
プロパンガス | 1時間85円程度 |
例えば4人家族で1日に1人30分ずつ使用する場合、1ヶ月あたりの光熱費は電気式と都市ガスは2,400円、プロパンガスは5,100円になります(1日の合計利用時間:2時間/1ヶ月(30日)換算)。
※設置する機種や電気料金プランなどによっても異なるため、上記の光熱費はあくまで目安です。


4.浴室暖房乾燥機は後付け可能?
浴室暖房乾燥機は、既存の換気扇が付いていれば後付け可能です。しかし、以下のようなケースでは後付けできない可能性があります。
- 換気扇や開口部がない
- 換気扇と照明の位置が近い
- 設置場所に凹凸がある
換気扇と照明の位置が近い場合、設置できないことがあります。
というのも換気扇に取り付けた浴室暖房乾燥機の暖房を使用することで、すぐそばの照明が熱くなりすぎて、予期せぬ事故につながることがあるからです。
また、設置するスペースはフラットな面が必要です。デザイン性の高い住宅などでは、浴室の天井に凹凸があったり曲面になっていることがあり、設置スペースを確保できないことがあります。
自分で判断せずに、まずは施工業者に相談してみましょう。


5.浴室暖房乾燥機以外の寒さ対策
浴室暖房乾燥機を設置できない場合は、他の方法で浴室を暖めることになります。
浴室暖房乾燥機以外の、浴室を暖めるためにできる寒さ対策を紹介します。
5-1 脱衣所や浴室内に暖房器具を設置する
一番手軽なのが、暖房器具を置くことです。浴室用の、水がかかっても大丈夫なヒーターも市販されているので、浴室を手軽に暖めたいなら検討してみましょう。脱衣所・洗面所用としても、壁掛け型の遠赤外線ヒーターが市販されています。
脱衣所の足元などに小型のヒータを置くことも考えられますが、衣類やタオルを近づけないよう、特に注意しておきましょう。
どのタイプを選んだ場合も、水回りで可燃物もある狭い空間で暖房器具を使用することになります。火事や感電を起こさないよう、器具の取扱説明書をよく読んで安全に使用しましょう。
5-2 床暖房を設置する
浴室の空気を暖めるには、温風だけでなく床暖房を入れて床から暖めるという方法もあります。素足に直接触れる床が冷たいと寒さを感じやすくなりますが、浴室や脱衣所の床に床暖房を設置すれば、浴室に足を踏み入れたときの「ヒヤッと感」をなくして体感温度も上げられます。
5-3 内窓を設置する、ペアガラスに交換する
浴室や脱衣所に窓がある場合、寒さを軽減する目的で窓を断熱リフォームする方法もあります。
既存窓の内側にもう1つ窓を設置する内窓や、2枚のガラスを一体化させたペアガラスは、どちらも断熱効果を得られます。


5-4 【古い浴室の場合】ユニットバスに変更
タイル張りの古い浴室の場合は、ユニットバスへのリフォームにより断熱性を高めることが可能です。断熱材が十分に設置されていないと床や壁が冷えやすい傾向があります。既製の浴室ユニットをはめ込むユニットバスは壁が二重構造のため冷えにくく、温度を保ちやすくなるでしょう。


5-5 断熱材を入れる
浴室の壁や床、天井に断熱材を入れることも寒さ対策に有効です。空気の層を挟むことで浴室内に外気を伝わりにくくし、暖かい室温をキープしやすくなります。また、湿気に強い断熱材を採用すれば、腐食やカビ防止にもつながります。


6.まとめ
冬は浴室や脱衣所が寒いと入浴が億劫になりがちですが、浴室暖房を取り入れると、入浴タイムが楽しみになるかもしれません。
浴室暖房乾燥機は種類が多く、熱源の種類や機能、設置タイプなどが異なるため、目的や希望に合ったものを選びましょう。また、浴室暖房乾燥機が取り付けられない浴室もありますので、浴室を暖める目的をリフォーム会社に相談して、適切な方法を提案してもらいましょう。そのためにも、施工実績が豊富な業者を選んで相談するのがおすすめです。
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