
「給湯省エネ事業」は、2024年に新しく始まった高効率給湯器の導入を支援する補助事業です。
給湯省エネ事業を利用すると、注文住宅・分譲住宅の新築はもちろん、中古住宅(既存住宅)への設置に対しても、補助金を受け取ることが可能です。
この記事では、既存住宅のリフォームにおける対象の工事や補助額、補助金をもらえる人の条件などを、わかりやすくご紹介します。
ご自宅に高効率給湯器の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.給湯省エネ事業の概要
現在国は2030年度までに、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指しており、給湯省エネ事業はその目標達成に向ける取り組みの一つです。
お湯を沸かすために消費される電気やガスは、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占めています。消費者に高効率給湯器を導入してもらい、家庭でのエネルギー消費量を減らすことが、この事業の目的です。
1-1.補助対象の工事内容と補助額
給湯省エネ事業で補助対象となるリフォームは、以下の給湯設備の設置工事です。
戸建て住宅、共同住宅のいずれも対象となり、①~③の合計が補助額となります。
①基本額
導入する高効率給湯器に応じて、定額の補助額が交付されます。
設置する給湯器 | 補助額 | 補助上限 (住戸あたり) |
---|---|---|
ヒートポンプ給湯機 (エコキュート) |
6万円/台 | <戸建て住宅> いずれか2台まで <共同住宅など> |
電気ヒートポンプ・ ガス瞬間式併用型給湯機 (ハイブリッド給湯機) |
8万円/台 | |
家庭用燃料電池 (エネファーム) |
16万円/台 |
②性能加算額
①の給湯器において、A~Cの要件を満たす場合は、さらに性能に応じた補助額が加算されます。
設置する給湯器 | 加算要件 | 補助額 (加算額) |
|
---|---|---|---|
いずれか | 両方 | ||
ヒートポンプ給湯機 (エコキュート) |
A | 4万円/台 | 7万円/台 |
B | 6万円/台 | ||
電気ヒートポンプ・ ガス瞬間式併用型給湯機 (ハイブリッド給湯機) |
A | 5万円/台 | 7万円/台 |
B | 5万円/台 | ||
家庭用燃料電池 (エネファーム) |
C | 4万円/台 |
- A要件…インターネットに接続可能で、翌日の天気や日射量の予報と連動することで、昼の時間帯に沸き上げをシフトする機能を備えたものである
- B要件…補助要件の下限の機種と比較して、5%以上CO2排出量が少ないものとして、以下のaもしくはbに該当するものである
a)2025年度の目標基準値+0.2以上の性能値を有する
b)おひさまエコキュート - C要件…ネットワークに接続可能で、気象情報と連動して、停電が予想される際に、稼働を停止しない機能を備えたものである
③撤去加算額
①の給湯器の設置と同時に、下記の撤去工事を行う場合は、工事内容に応じて補助額が加算されます。
工事内容 | 補助額 (加算額) |
補助上限 |
---|---|---|
電気蓄熱暖房機の撤去 | 8万円/台 | 2台まで |
電気温水器の撤去 | 4万円/台 | ①で補助を受ける台数まで |
●ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
夜間電力や太陽光で発電した電力を有効活用し、ヒートポンプの原理で冷媒の圧縮・膨張サイクルによってお湯をつくり、貯湯タンクに蓄えておくシステムです。
「エコキュート」については、省エネ法上のトップランナー制度の対象機器であり2025年度の目標基準値以上の製品のみが補助対象となります。太陽光発電の余剰電力を活用する「おひさまエコキュート」については2025年度の目標基準値を満たしていなくても対象とされます。
●電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)
ヒートポンプ給湯器とガス温水機器を組み合わせたものです。二つの熱源を効率的に用いることにより、高効率な給湯をおこないます。
一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格(JGKAS A705)で、年間給湯効率が108%以上のものが補助対象となります。
●家庭用燃料電池(エネファーム)
都市ガスやLPガスなどからつくった水素を、空気中の酸素と化学反応させることにより発電し、その際発生する排熱を回収して給湯します。エネルギーを燃焼させないため、高い発電効率を得られるのが特徴です。
一般社団法人 燃料電池普及促進協会(FCA)が公表する「登録機器リスト」に登録されている製品が補助対象となります。
▼関連記事


1-2.補助金がもらえる人の条件
補助事業の対象者は、以下2つの条件に該当する人です。
- 対象機器を設置する住宅の所有者
- 給湯省エネ事業者から対象機器を購入し、高効率給湯器の設置工事を契約・発注する人
対象機器を導入する補助対象者が個人である場合は、以下の条件も満たす必要があります。
- 共同事業実施規約にて、以下のいずれかの方法でJ-クレジット制度参加の意思表明をしていること
(a)事務局が指定するJ-クレジット事業実施団体に入会予定
(b)地方公共団体・民間団体などが管理するプログラムに入会予定・入会済み
1-3.その他の要件
給湯省エネ事業において、知っておくべきその他の要件をご紹介します。
交付申請は事業登録している施工業者などが代行する
交付申請は、原則としてリフォーム工事の請負契約を締結した施工業者が代行します。
なお手続きを代行する業者は、給湯省エネ事業者として事業者登録が必要です。
また、本事業に給湯省エネ事業者として登録されている電力会社やガス会社などと電力・ガス契約している場合には、それらの会社に手続き代行を依頼することも可能です。
自分で購入した給湯器は対象とならない
本事業を活用して取り付ける高効率給湯器は、請負工事を契約する事業者から購入する必要があります。
施主が自分で購入した給湯器を、給湯省エネ事業者に取り付けだけを依頼する場合は補助の対象にはなりません。
子育てグリーン住宅支援事業との重複補助は受けられない
給湯省エネ事業は、子育てグリーン住宅支援事業との併用が可能です。そのため複数の高効率給湯器を導入する場合、給湯器の性能などに応じてそれぞれ補助を受けられます。
ただし、両事業の補助対象である機器であっても、一つの機器に対して重複して補助を受けることはできません。子育てグリーン住宅支援事業での高効率給湯器への補助金上限額は3万円と、給湯省エネ事業よりも低いため、基本的には本事業の利用を検討することをおすすめします。
1-4.補助金の申請期間
給湯省エネ事業の申請期間は、2025年3月31日~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)とされています。
工事は2024年11月22日以降に着手したものから対象となります。
基本的に国の補助事業は、たとえ申請期間内であっても、予算に達した時点で締め切られてしまうため、早めに申請することが重要です。なお予算の消化割合は、公式サイトで随時更新されているので確認するとよいでしょう。
参考:給湯省エネ2025事業
2.補助金を申請する流れ
①給湯省エネ事業の登録事業者に高効率給湯器導入を相談する
リフォーム業者やガス・電力会社などに「給湯省エネ事業を利用して給湯器を導入したい」と相談します。
どの会社に依頼する場合も、給湯省エネ事業の登録事業者であることが重要です。補助事業での工事経験が豊富で、手続きに慣れた業者に依頼すると、スムーズに手続きを進められるでしょう。
対象事業者は公式サイトで検索して探すほか、リフォームガイドでもお近くの優良業者のご紹介が可能です。
②工事請負契約を締結する
給湯器の取り付けを依頼する業者と工事請負契約を締結します。
③工事着工・必要に応じて予約申請
高効率給湯器の取り付け工事を実施します。
高効率給湯器の取り付け工事のみであれば1日で終わるのが一般的ですが、ほかのリフォーム工事とあわせておこなうケースでは手続きまで長くかかることがあります。
その場合、予算を確保するための予約申請が可能です。
なお予約申請後3カ月以内に交付申請がない場合は、予約は取り消されます。
④工事完了・交付申請
工事が完了すると、リフォーム業者などが交付申請を代行します。申請時には、以下の書類を提出します。
書類名称 | 工事発注者(あなた)が用意 | 工事施工者が用意 |
---|---|---|
給湯省エネ2025事業 共同事業実施規約 |
〇 | 〇 |
工事請負契約書(原契約) | ― | ○ |
設置した給湯器の製品型番が確認できる書類(設置台数分) | ○ | ○ |
性能加算の適合が確認できる書類 | ― | ※ |
撤去加算の適合が確認できる書類 | ― | ※ |
工事【前】写真(設置台数分) | ― | ○ |
工事【後】写真(設置台数分) | ― | ○ |
上記の書類は全てスキャンデータでの用意が必要で、※印がついている書類は該当する場合に提出が求められます。
⑤交付決定・補助金の交付
交付が決定されたら、補助対象者に対して交付決定と振込のお知らせが送付されます。補助金は、補助対象者に対して直接交付されます。
3.まとめ
近年電気代・ガス代が高騰しています。
「電気代やガス代を抑えたい」と考えている方は、給湯省エネ事業を活用すると、費用を抑えて高効率給湯器を導入できるのでぜひ検討してみるとよいでしょう。
「どうやって探せばいいのかわからない」「業者を見極める自信がない」といった方は、リフォームガイドにご相談いただければ、条件にあった業者をご紹介いたします。
ご利用は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせしてみてくださいね。