
2024年度の子育てエコホーム支援事業に引き続き、2025年度も新たな補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」がスタート。リフォームの場合、子育て世帯に限らずすべての世帯が対象となります。
こちらの記事では、リフォームでの活用方法を中心に、子育てグリーン住宅支援事業の概要から具体的な申請方法まで、最新情報をいち早くお届けします。
※令和7年3月10日時点の情報です。
目次
子育てグリーン住宅支援事業とは?
子育てグリーン住宅支援事業とは、省エネ性の高い住宅の新築や省エネリフォーム等に対する補助金制度です。2024年度は子育てエコホーム支援事業が実施されていましたが、2025年度の後継事業として子育てグリーン住宅支援事業が閣議決定されました。
こちらの補助金は2025年12月末まで実施予定ですが、予算上限に達すると早めに終了することも。過去の制度は非常に人気が高く、期限前に終了してしまうケースが多かったため、リフォームを検討している方は早めに動き出しましょう。
【過去の国土交通省による補助金事業】
・こどもみらい住宅支援事業:2022年11月28日に予算上限(100%)到達にて終了
・こどもエコすまい支援事業:2023年9月28日に予算上限(100%)到達にて終了
・子育てエコホーム支援事業:2024年12月31日終了
子育てグリーン住宅支援事業の対象者と補助金額
まずは、子育てグリーン住宅支援事業の対象者と補助金額を、新築とリフォームの場合それぞれ見ていきましょう。
【新築】住宅性能に応じて最大160万円
注文住宅を新築する方や、新築分譲住宅を購入する方は、建てる家の省エネ性能に応じて最大160万円がもらえます。
主な対象者は子育て世帯や若者夫婦世帯ですが、今年度は「GX志向型住宅(※)」がすべての世帯に向けて新設されました。子育て・若者夫婦世帯以外でも、特に高性能な住宅を建てた場合は補助金の対象となっています。
対象者 | 対象住宅 | 補助金額 | |
---|---|---|---|
すべての世帯 | GX志向型住宅 | 160万円/戸 | |
子育て世帯・ 若者夫婦世帯 |
長期優良住宅 | 建替前住宅等の除却を行う場合 | 100万円/戸 |
上記以外の場合 | 80万円/戸 | ||
ZEH水準住宅 | 建替前住宅等の除却を行う場合 | 60万円/戸 | |
上記以外の場合 | 40万円/戸 |
※子育て世帯:18歳未満の子がいる
若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下
※GX志向型住宅とは?
下記の①〜③すべてに適合する住宅のこと
①断熱等性能等級6以上
②再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」
③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」
【リフォーム】省エネ改修の内容に応じて最大60万円
リフォームの場合は家族構成の条件はなく、すべての世帯が対象となります。ただし3種類の省エネ改修(①開口部の断熱改修、②躯体の断熱改修、③エコ住宅設備の設置)のうち2種類以上を実施することが条件です。
工事内容一つひとつに対して補助金額が決められており、リフォームの内容に合わせて加算されていく仕組み。省エネ改修を3種類すべて実施するか、2種類実施するかで、最大で受けられる補助金額が変わります。
メニュー | 省エネ改修の内容 | 対象者 | 補助金額 |
---|---|---|---|
Sタイプ | 必須工事3種類 すべてを実施 |
すべての世帯 | 最大60万円/戸 |
Aタイプ | 必須工事3種類のうち 2種類を実施 |
最大40万円/戸 |
注意:水回りリフォームのみでの利用が不可
2024年度の子育てエコホーム支援事業では必須工事1つの実施でよかったため、システムバスやシステムキッチンなどのエコ住宅設備のみのリフォームでも申請が可能でした。
しかし、子育てグリーン住宅支援事業では必須工事を2つ以上実施しなければならないため、水回り単独でのリフォームは対象とならず、開口部または躯体の断熱改修とのセットでの工事が必須です。
次で、工事内容と補助金額を紹介していきます。
子育てグリーン住宅支援事業で対象となるリフォーム工事内容と補助額
子育てグリーン住宅支援事業の対象となるリフォーム工事は、下表の①〜⑧です。
①〜③の必須工事のうち2種類以上を実施すると、④〜⑧の任意工事も補助金の対象となります。
工事内容に対してそれぞれ補助額が設定されており、その合計が5万円を下回る場合は申請できません。
また、「先進的窓リノベ2025事業」の交付決定を受けていれば①、「給湯省エネ2025事業」または「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の交付決定を受けていれば③を行ったものと取り扱われます。そのため、いくつかの事業を併用することが可能です。
ただし、併用した場合でも、子育てグリーン住宅支援事業における ①~⑧ の補助額の合計が5万円以上である必要があります。
では、具体的にどのようなリフォームが補助金の対象となっているか見ていきましょう。
①開口部の断熱改修
開口部の断熱改修とは、窓やドアの断熱性を高めるリフォームです。開口部は家の中で最も熱の出入りが大きいとされている部分。寒さや暑さ、光熱費が気になる場合は、積極的にリフォームしましょう。
次の4つの工事が補助金の対象となっています。
- ガラス交換:ガラスのみを複層ガラスなどに交換する
- 内窓設置(交換):今ある窓の内側に新しい窓を設置して二重窓にするか、すでに設置されている内窓を新しい物に交換する
- 外窓交換:古い窓を取り除いて断熱性の高い窓に交換する、または新しい窓を設置する
- ドア交換:玄関や勝手口などのドアを、新しいドアに交換する、または新たにドアを設置する
それぞれの補助額は以下の通りです。
②躯体の断熱改修(外壁、屋根・天井または床)
躯体の断熱改修とは、壁・屋根・天井・床などに断熱材を入れるリフォームです。断熱性を一定以上のレベルに高めると補助金がもらえます。
床からの底冷えが気になる、夏になると2階やロフトが熱くなる場合などは検討されるとよいでしょう。


③エコ住宅設備の設置
エコ住宅設備の設置とは、節水や節電につながる設備を設置するリフォームです。
光熱費が気になるケースはもちろん、水回り設備の古さや不具合が気になっている場合などにもおすすめです。
節水トイレと節湯水栓は台数に応じた補助金がもらえますが、それ以外は何台設置しても一定の金額です。




④子育て対応改修
子育て対応改修とは、家事がしやすくなる設備を導入したり、防犯性を向上させたりと子育てしやすい住環境をつくるリフォームです。
さまざまなリフォーム工事が対象となるので、気になるものがないかチェックしましょう。
④-1 家事負担軽減に資する設備を設置する工事
料理や掃除などの負担を軽くする設備を取り入れるリフォームも補助金の対象です。
ビルトイン食洗機や浴室乾燥機など、便利な設備を取り入れるリフォームです。
「④-4キッチンセットの交換を伴う対面化改修」で補助金が交付される場合、これらの項目は補助対象になりません。
④-2 防犯性の向上に資する開口部の改修工事
屋外に面する窓やドアを、防犯性の高いものへ交換するリフォームも補助金の対象です。防犯性の高いものとして認められた「CPマーク」を取得したものが対象となります。
空き巣被害をはじめ、さまざまなトラブルに巻き込まれないよう、これを機に防犯対策を検討してみてはいかがでしょうか。


④-3 生活騒音への配慮に資する開口部の改修工事
屋外に面する窓やドアの防音性を高めるリフォームです。お子様の声が近隣へ響くのが気になるという方におすすめのリフォームです。
④-4 キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事
壁付けキッチンや独立キッチンを交換し、対面キッチンへとレイアウト変更するリフォームです。キッチンからお子様の様子が見守りやすくなり、新しいキッチンで料理も快適になります。
今お使いのキッチンセットを移設するリフォームは対象外で、新しいキッチンセットへの交換が必須です。
※キッチンセットの条件:キッチン用シンク・調理台・コンロ(IHクッキングヒーター含む)・調理室用の換気設備の4つの設備すべてを備えていること
※レイアウトの条件:シンク・調理台・コンロの2つ以上の正面に立ったとき、リビングまたはダイニングの半分以上が見渡せる


⑤防災性向上改修
子育てグリーン住宅支援事業に登録された「合わせガラス」や「合わせ複層ガラス」に交換するリフォームです。
台風や強風で飛んできた屋根瓦などが窓に当たってしまっても割れにくく、万が一割れても破片が飛び散りにくくなります。


⑥バリアフリー改修
手すりの設置や、段差解消などのバリアフリー改修も補助金の対象となる予定です。
バリアフリー改修をすることで、高齢者が安全に過ごせるだけでなく、小さなお子様や妊婦さんなどさまざまな世代の方が安心して暮らせる住まいになります。
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事
空気清浄機能や換気機能がついたエアコンも補助金の対象です。
既存のエアコンが古くなって交換を検討されている方、子ども部屋や寝室などエアコンがない部屋に新設したい方は、省エネリフォームと同時に検討してはいかがでしょうか。
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入
リフォーム瑕疵保険とは、工事が終わった後に欠陥が見つかったときに、補修や保険金が受け取れるものです。
国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担責任保険法人が取り扱っている「リフォーム瑕疵保険」や「大規模修繕工事瑕疵保険」に加入した場合、補助金の対象になります。
子育てグリーン住宅支援事業の補助金申請の流れ
子育てグリーン住宅支援事業の補助金を活用する場合、どのようにリフォームを進めていけばよいのでしょうか。迷わずリフォームが進められるよう、リフォームを検討しはじめたタイミングから工事、申請、補助金を受け取るまでの流れを解説します。
流れ1. リフォーム会社を探す
まずは、お住まいの地域が施工エリアに含まれているリフォーム会社を探しましょう。リフォーム会社によって得意分野はさまざまなので、希望の工事内容が得意な会社を探すのがポイントです。
また、子育てグリーン住宅支援事業を活用するには、事業者登録をされた会社に依頼する必要があります。補助金を使える会社をご自身で探すのが難しい場合は、見積もりサービスの活用がおすすめです。
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流れ2. 工事請負契約・共同事業実施規約を締結する
リフォーム会社の現地調査と見積もりを経て、金額や内容に納得できたら「工事請負契約」を結びます。
子育てグリーン住宅支援事業を活用する場合は、補助金の受け取り方法などを約束する「共同事業実施規約」も同時に締結します。
流れ3. リフォーム工事に着手する
契約を結んだら、いよいよ工事がスタート。補助金の申請は工事が終わったあとに行いますが、その時点で予算上限に達していると補助金を受け取ることができません。そのため予算が確保されるよう、着工後に交付申請の予約をしておくと安心です。
【補助金の対象となるリフォーム】
工事着手日:令和6年11月22日以降
【交付申請の予約(任意)】
子育てグリーン住宅支援事業を活用する場合は、工事が始まった時点でリフォーム会社に交付申請の予約をしてもらうと、予算が確保できて安心です。
※交付申請の予約受付期間:申請受付開始~予算上限に達するまで(遅くとも2025年11月30日までを予定)
流れ4. 交付申請をする(リフォーム会社が行う)
工事が終わったら、リフォーム会社が補助金の交付申請を行います。申請についてはリフォーム会社にお任せできるので安心です。
交付申請受付期間
申請受付開始~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日までを予定)
流れ5. リフォーム会社に交付された補助金を受け取る
申請内容に問題がなければ、交付決定の通知がきます。
交付された補助金は工事代金に充当、もしくは現金での支払いにより還元されます。
どちらの方法で還元されるかは、「流れ2」であらかじめ確認しておきましょう。
子育てグリーン住宅支援事業でよくあるQ&A
Q.既に工事を始めている場合は申請できますか?
2024年11月22日以降に着手した工事であれば申請できます(新築の場合は基礎工事より後の工程の工事、リフォームの場合はリフォーム工事に着手)。
また、交付申請までに、リフォーム会社の事業者登録が行われていることも必要です。
Q.申請は自分で行わなければなりませんか?
リフォームを依頼される方が、自分で申請する必要はありません。
申請はリフォーム会社などの業者が行い、補助金は施主に100%還元されます。ただし、各種手続きの際に本人確認書類などが必要となるため、リフォーム会社から求められた書類を準備しましょう。
Q.他の補助金と併用できますか?
環境省の「先進的窓リノベ2025事業」、経済産業省の「給湯省エネ2025事業」「賃貸集合給湯省エネ2025事業」との併用ができます。
また、「子育てグリーン住宅支援事業」を含めたこれらの4つの制度は、ワンストップ申請の利用が可能です。
その他、各自治体の補助金などと併用できるかどうかは、制度によって異なります。自治体の窓口などに相談しましょう。
▼ほかのリフォーム補助金との併用については、下記の記事で解説しています。
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まとめ
子育てグリーン住宅支援事業を使ってリフォームすると、1戸あたり最大60万円の補助金を受け取ることができます。リフォームの場合はすべての世帯が対象となるため、お住まいの古さや不具合などが気になっている方はお得な補助金が活用できるタイミングでリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
こちらの補助金制度は2025年12月末まで実施される予定ですが、予算上限に達すると早めに終了することがあります。リフォームを検討中の方は、早めにリフォーム会社に相談されると安心です。