
「和室を使わなくなった」「子どもが成長したので個室が不要になった」などの理由で、壁を壊して部屋をつなげるリフォームを考えることがあります。そのときに気になるのが費用です。
この記事では、洋室2部屋をつなげたり、和室とリビングをつなげたりする場合の具体的な費用相場を解説します。実際に壁を壊して部屋をつなげるリフォームをした事例や、工事にかかる費用を抑える方法も紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
1. 壁を壊して部屋をつなげるリフォームの費用相場
壁を壊して部屋をつなげるリフォームにかかる費用を、次の2つのパターンに分けて解説します。
- 洋室2部屋をつなげる
- 和室とリビングをつなげる
今回は、株式会社達磨リフォームの森田さんに、それぞれのパターンの費用の目安をお聞きしました。
株式会社達磨リフォーム 森田純
労を惜しまず、完成まできめ細かい対応が評判の株式会社達磨リフォームの営業部部長。リフォームアドバイザーとして、住宅の外装工事・水回り・間取り変更などのリフォームに携わる。リフォーム業界経験は18年以上。細かい修繕や目の届かない箇所にも配慮した提案で、顧客からの信頼も篤い。
1-1.リビングと和室をつなげる費用|約55万円~
※リビング12畳、和室6畳を想定しています。
○壁撤去+畳→フローリング|約55万円~
リビングと和室の間の壁の壁撤去と、床が一続きになるよう和室の畳をフローリングを張り替えるには、合計で約55万円~かかります。壁のクロス貼り換えは行わずできるだけ低価格で部屋をつなげる方法です。
工事内容 | 費用概算(単位:円) |
---|---|
間仕切り壁撤去 | 約5~10万 |
間仕切り壁撤去後、壁痕補修(化粧枠取付) | 約5万~ |
和室の床高さ調整※1 | 約30万~ |
和室フローリング張り※2 | 約15万~ |
合計 | 約55万~ |
(リビング12畳・和室6畳の想定)
※1 和室6畳分のかさ上げ・断熱材入れも含む
※2 一般フローリング・量産品クロス使用
○完全にリビングと一体化する|約142万円~
もともと壁があったとは思わないような自然な一続きの空間にするには、壁や天井まで貼り換える必要があり、合計で約142万円~かかります。
工事内容 | 費用概算(単位:円) |
---|---|
間仕切り壁撤去 | 約5~10万 |
間仕切り壁撤去後、壁痕補修(化粧枠取付) | 約5万~ |
天井高合わせ※1 | 約20万~ |
和室真壁から大壁に変更(窓枠交換※2含む) | 約35万~ |
電気配線工事 | 約7万~ |
和室の床高さ調整※1 | 約30万~ |
和室フローリング張り※2 | 約15万~ |
リビングと和室の壁クロス貼り※4 | 約25万~ |
合計 | 約142万~ |
(リビング12畳・和室6畳の想定)
※1 和室天井高をリビングに合わせる工事
※2 窓2カ所想定(掃出し窓/腰窓)
※3 和室床のかさ上げ・断熱材入れも含む
※4 一般フローリング・量産品クロス使用
和室と洋室では造りが違うため、リビングと一続きの空間にする際、「どれだけ自然な状態にしたいか」によって必要な工事と費用が変わってきます。
もともと一つの部屋であったかのように自然にみせたい場合、和室独特の柱がみえる「真壁」を、柱を隠す「大壁」にする工事や、床・天井の高さ調整が必要になります。
※マンションの場合は、和室の天井高をリビングに合わせることが難しい場合があります。可能かどうかはもともとの設計や造りによるため、リフォーム会社に相談してみてください。
○押し入れをクローゼットにする費用・・・約25万円
(工事内容:ふすまを折れ戸にする、ハンガーパイプ取付、棚部分撤去)
1-2.2つの洋室を一つにつなげる費用|約50万円~
※各6畳の洋室を想定しています。
○壁撤去+フローリング上張り|約50万円~
洋室2部屋をつなげる場合、クロス貼り換えをしない場合は若干費用が抑えられ、約50万円~となります。床は既存のフローリングの上に新たな床材を上張りをします。
工事内容 | 費用概算(単位:円) |
---|---|
間仕切り壁撤去 | 約5~10万 |
壁撤去後床、天井、巾木補修 | 約10万~ |
床フローリング上張り※ | 約30万~ |
部屋境目の壁・天井に化粧枠取付 | 約5万~ |
合計費用 | 約50万~ |
(6畳2室の想定)
※ 一般フローリング・量産品クロス使用
フローリングの上張りをしないと費用は抑えられますが、壁を撤去した部分の床に補修痕が残ってしまう可能性があります。家の造りにもよりますので、予算とあわせてリフォーム会社に相談しましょう。
○完全に一つの洋室にする|約70万円~
完全に一つの洋室にするため、壁クロスも全面的に貼り換え、床だけでなく壁・天井もきれいな一続きの空間にするには、約70万円~となります。
工事内容 | 費用概算(単位:円) |
---|---|
間仕切り壁撤去 | 約5~10万 |
壁撤去後床、天井、巾木補修 | 約10万~ |
床フローリング上張り※ | 約30万~ |
クロス貼り替え※ | 約20万~ |
合計費用 | 約70万~ |
(6畳2室の想定)
※ 一般フローリング・量産品クロス使用
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2.壁を壊して部屋をつなげるリフォームの事例
それでは、実際に壁を壊して部屋をつなげるリフォームをした事例を見てみましょう。
2-1.和室の壁だけを撤去した事例【約9万円】
リビングに隣接する和室コーナーの壁を撤去し、一体感がある開放的な空間へとリフォームした事例です。
畳や床、クロスの張り替えはおこなわず、壁を撤去した部分のみを補修しました。
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壁を壊して和室をつなげるリフォームで、もっともコストを抑えられるパターンです。
和室の天井もそのまま活かしたので、壁はなくとも空間の区切りが自然と演出できています。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/479
2-2.和室を撤去し、リビングにつなげた事例【約80万円】
リビングと和室の間の壁を撤去・解体し、一体化させたリフォームです。フローリングは張り替えましたが、天井と壁のクロスは既存のものを活かしました。
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少し相場よりも費用がかかってしまった事例ですが、原因は主に2つ。1つはマンションということもあり、フローリング材が戸建ての場合と比べて高価であること(遮音規定を満たす必要がある為)、2つ目は床暖房がもともと入っており、床暖房を傷つけないようきれいに既存の床を剥がすために日数がかかったこと。
ただ、費用を抑えるために、クロスは貼り換えていません。もともと2部屋の壁紙が近い色だったこと、さらに撤去した壁の補修に白枠を使ったことで微妙な色の違いが気になりません。
2-3.和室を撤去し、リビングにつなげた事例【約200万円※】
リビングと和室の間にあった壁を壊して、和室を完全に解体・撤去する形でリビングと一体化させたリフォーム事例です。
※キッチンの垂れ壁の撤去、キッチン背面のカップボード設置の費用も含まれています。
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壁はもちろん畳も撤去し、リビング・キッチンの床もあわせてフローリングを張り替えました。一体化されたLDKは壁紙も刷新したので、まるで初めから一つの空間だったかのように違和感がありません。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/464
2-4.キッチンと和室の壁を撤去し、広いLDKにした事例【約295万円※】
独立型のキッチンとリビングの間にあった壁を撤去し、さらに隣接する和室も解体して一体化させ、広々としたLDKにリフォームした事例です。
※キッチン工事とLD工事にかかった概算です。新しいキッチンへの入れ替え費用も加わっています。
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壁に囲われ暗かった独立型のキッチンはアイランドキッチンを採用したので、今どきのおしゃれな空間に生まれ変わりました。間取りが気にならない中古物件でも、壁を壊して部屋をつなげることを視野にいれると理想の空間づくりが可能です。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/1096
3.壁を壊して部屋をつなげるリフォームの費用を安くする方法
コストを抑えて壁を壊して部屋をつなげるリフォームをしたいときに、できる工夫を紹介します。
3-1.リフォームの範囲を減らす
「1.壁を壊して部屋をつなげるリフォームの費用相場」でもご紹介したように、リフォームにかかる費用は工事する範囲が広くなるほど高くなります。そのため和室はそのまま残す、既存のクロスを活かすなどすれば、リフォームの費用を抑えることにつながります。
とくに天井のクロスはもともとの色が似ていれば、つなぎ目をきちんと処理さえすれば、それほど違和感を覚えなかったりするものです。内装の劣化がさほど気にならないような築浅の物件は、既存のクロスを活かすことを考えてもよいでしょう。
3-2.提案力の高いリフォーム会社に依頼する
壁を壊して部屋をつなげるリフォームは、提案力の高いリフォーム会社に依頼することもポイントです。
予算が限られている場合、どれだけきれいに解体部分を補修できるか、既存の壁紙や床材を使っても違和感のない空間にできるか、がカギとなります。提案力のある会社であれば、家の状況とご希望から、予算内でできる限りの提案をしてくれます。
3-3.相見積もりをする
相見積もりを取ることも、費用を抑えるうえで重要です。(相見積もりとは、複数の会社に同じ内容のリフォームの見積もりをもらうことを指します。)
リフォームには「定価」がなく、いくらで見積もりを出すかはリフォーム会社によって異なります。複数の見積もりをもらえば、一番低価格の会社を選ぶことができます。
※ただし見積もりの価格が安いからという理由だけで選ぶべきではありません。見積もりについてくわしくは下記の記事でまとめていますので参考にしてください。


ご希望のリフォーム会社から一括で相見積もりを取るなら「リフォームガイド」
「リフォームガイド」では、ご希望のリフォーム内容をお伝えいただければ、対象エリア内の優良リフォーム会社をご紹介いたします。
ご利用は無料、リフォーム会社との交渉やお断りのご連絡は、すべてコンシェルジュがいたします。手間なく、負担なくリフォーム会社を探したい方は、ぜひ利用をご検討してみてくださいね。
4.壊せない壁もあるので注意
「壁を壊して部屋をつなげたい」と考えても、すべての壁が撤去できるわけではありません。壁のなかには、耐震性を担保するために壊すことができない「耐力壁」と呼ばれる壁があるからです。
どの壁が耐力壁なのかは、マンションか戸建てか、また建物の構造によっても異なります。
4-1.マンションの場合
マンションには大きく分けて、柱と梁(はり)で床と天井を支える「ラーメン構造」と、壁自体で建物を支える「壁式構造」があります。
部屋の中に梁(はり)や柱の出っ張りがあるならラーメン構造、なければ壁式構造であるのが一般的です。ラーメン構造の場合、室内壁のほとんどは撤去できると考えて問題ありません。一方壁式構造は、叩いたときに中が詰まっているような鈍い音がする壁は耐力壁であると考えられ、撤去することはできません。
ただしマンションがどの構造で、またどの壁が撤去できるのかを見分けるのは難しいので、基本的にはプロに見極めてもらうことをおすすめします。
壁を撤去するリフォームは大がかりになりがちで、また家の耐震性にも影響を及ぼしかねません。マンションのリフォームに慣れ、家の構造を熟知した会社に依頼すると安心して任せられます。
4-2.一戸建ての場合
一戸建ての場合、筋交い(柱と柱の間に斜めに渡す柱)が設けられた耐力壁は、建物のバランスを取るように、構造計算されて配置されています。しかし木造住宅の耐力壁は、見た目で判断することはできません。筋交いなどの柱は壁の裏に隠れているためです。
そのため設計図面や構造図などを、プロに見てもらう必要があります。耐力壁を安易に撤去すると、家自体の耐震性に関わるため慎重な見極めが必要です。そのため一戸建ての壁を壊して部屋をつなげるリフォームを希望する場合は、一戸建てのリノベーションや大規模なリフォームを得意としている会社に相談することが重要です。
5.まとめ
壁を壊して部屋をつなげる費用は、クロスや床を全面張り替えるのかなど、どこまで範囲を広げるのかによって費用が異なります。コストを抑えてリフォームしたい場合は、まずは同条件で複数の業者に相見積もりを取り、費用を比較するとよいでしょう。
リフォームガイドでは、ご希望のリフォーム内容をお伝えいただけると、対象エリア内で経験豊富な業者をご紹介いたします。業者との交渉はもちろん、お断りする場合もコンシェルジュが対応しますのでご負担がありません。まずはお気軽にご相談してみてくださいね。