
限られたスペースを有効活用できるミニキッチンは、二世帯住宅のセカンドキッチンやワンルームのメインキッチンとして導入されています。
この記事では、ミニキッチンのリフォーム・増設を検討している方のために、ミニキッチンの種類や費用相場、施工事例を紹介します。
目次
1.ミニキッチンのサイズ感と特徴
この章では、ミニキッチンのサイズや種類、オプションについて解説します。

1-1.ミニキッチンのサイズと定義
ミニキッチンとは、一般的なシステムキッチンよりも、間口や奥行きが小さいコンパクトサイズのキッチンを指します。シンクとコンロが一体型となっており、冷蔵庫や電気温水器を備えたタイプもあります。
間口は、90cm・105cm・120cm・150cmの4種類を展開しているメーカーが多く、奥行きは50~60cm程度が一般的です。
省スペースに設置できるミニキッチンは、ワンルームやオフィスの給湯室の他、二世帯住宅のセカンドキッチンとして設置されるケースも見られます。
1-2.ミニキッチンの種類
ミニキッチンは下部ユニットと上部ユニットから成り、現場で連結して組み立てる構造です。様々なニーズに応えられるように、下部ユニットだけのタイプやコンロが無いタイプもあります。
[1]扉タイプ

扉タイプは、下部ユニットに物を収納できるようになっているタイプです。収納量に限りはありますが、扉があるので物が見えずスッキリ片付けられます。
[2]冷蔵庫タイプ

冷蔵庫タイプは、コンロ下の空間に冷蔵庫を納めたタイプです。そのため、収納スペースはシンク下の空間だけになります。
[3]電気温水器タイプ
電気温水器タイプは、シンク下の空間に電気温水器を納めたタイプです。お湯を貯めておけるので、使いたいときにすぐにお湯を出せるというメリットがあります(飲用には適さない場合もあります)。
[4]飲料用電気温水器タイプ

飲料用電気温水器タイプは、電気温水器に加えて、飲料用の熱湯を出せる熱湯栓が付いたタイプです。ポットがなくても飲料用の熱湯を出せるので、オフィスの給湯室などに設置されます。
[5]オープンタイプ

オープンタイプは、下部ユニットに収納がなく、フリースペースになっているタイプです。椅子に座って作業したり、車椅子を使ったりすることもできます。
[6]コンロ無しタイプ
ミニキッチンは基本的に1口コンロ付きですが、コンロ無しタイプはコンロを搭載せず、調理台として広く使えるようになっています。
[7]ハーフタイプ

ハーフタイプは、上部ユニットがない下部ユニットだけのタイプです。上部のレイアウトが自由になるので、様々な場面で使われています。
1-3.ミニキッチンのオプション
メーカーにもよりますが、ミニキッチンには選べるオプションがあります。
例えば、ミニキッチンの水栓は2ハンドル式の混合水栓が標準仕様ですが、湯水混合がしやすいシングルレバー水栓をオプションで選べるメーカーもあります。
また、換気扇や冷蔵庫本体はオプションになっているケースが多く、ミニキッチン本体とは別に費用がかかるので注意が必要です。
2.ミニキッチンのリフォーム・増設を検討したいシーン
ミニキッチンは様々な場面で活用されますが、リフォームや増設が検討される具体的なシーンを紹介します。
2-1.セカンドキッチンとして家の2階や離れに
ライフスタイルによっては、キッチンが1台では不便な場合があります。
例えば、二世帯で暮らしているケースや、自宅で習い事教室を主催しているケースなどです。家族が気遣いなく料理できる場として、セカンドキッチンがあると重宝します。
2-2.ワンルーム物件のキッチンとして
専有面積に限りがあるワンルーム物件では、キッチンに広い面積を費やすことができません。コンパクトなミニキッチンなら、単身者に必要な設備を備えつつ、省スペースに設置することが可能です。
2-3.オフィスや店舗の給湯施設として
来客にお茶を入れたり、昼休みにカップラーメンを作ったりと、オフィスや店舗にも従業員が使える給湯設備があると便利です。
また、電気温水器タイプなら、夜間にお湯を貯めて昼間に効率良く使うこともできます。
2-4.古くなったミニキッチンを交換
ミニキッチンは、水栓やコンロなどのパーツ交換も可能ですが、10~15年が経過したミニキッチンは全体的な劣化が見られ、後から他のパーツが故障する可能性もあります。
年数が経過したミニキッチンに不具合が見られる場合は、ミニキッチン一式を交換したほうが良いでしょう。
3.ミニキッチンリフォームの費用相場
ミニキッチンをリフォームする費用相場は、交換の場合で25~55万円程(ミニキッチン込み)が目安です。
増設の場合は、設置場所や現場状況によって工事費用に幅があり、30~100万円程(ミニキッチン込み)の費用が見込まれます。
3-1.本体価格:10~30万円程度
ミニキッチンの本体価格は10~30万円程度が相場で、メーカーやグレードで費用は変動します。工事費用は次に解説する通り、交換か増設かで大きく異なります。
3-2.交換工事費用:15~25万円程度
現状のミニキッチンを交換する工事費用は、15~25万円程度が目安になります。
おおよその内訳は以下の通りです。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 新設ミニキッチン搬入・組み立て費用 | 3~6万円 |
| 既存ミニキッチン解体・処分費用 | 2~3万円 |
| 給排水工事 | 3~5万円 |
| 電気工事 | 2~3万円 |
| 換気設備工事 | 2~3万円 |
| ガス工事(ガスコンロを設置する場合のみ) | 3~5万円 |
※他、諸経費が10%程度かかります。
※内装工事が必要になる場合もあります。
3-3.増設工事費用:20~70万円程度
ミニキッチンを増設(新設)する工事費用は、20~70万円程度が目安です。
交換する費用よりも高額になる理由は、キッチンに欠かせない給排水やガス、換気設備がない場所に新設するためには高額な費用がかかるからです。
また、ミニキッチン増設にかかる費用は、現場状況によって大きく異なります。費用の詳細や内訳を知りたい場合は、リフォーム会社に現地調査を依頼しましょう。
また、相見積もりの手間を省くには、リフォームガイドをご活用ください。専任のコンシェルジュが各社との間に入って、現地調査のスケジュール調整や工事要件のまとめを代行します。
3-4.追加で発生する可能性がある工事費用
ミニキッチンを増設するにあたり、追加で工事費用が発生する可能性もあります。
例えば、キッチンを増設するとお湯の使用量が増え、給湯器の能力によってはお湯の出が悪くなるケースがあります。容量の大きい給湯器への交換や、増設するミニキッチン専用の給湯器を検討するのが良いでしょう。
また、IHヒーター搭載のミニキッチンを設置する場合は、ブレーカーの増設や電圧の切り替え、分電盤交換などの費用がかかることもあります。
他にも、2階にミニキッチンを増設する場合で、階段からの搬入が困難なケースでは、機械による荷揚げ費用も必要です。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 給湯器の交換 | 15~25万円 |
| クレーン等による荷揚げ | 3~5万円 |
| 分岐ブレーカーの増設 | 1万円程度 |
| 分電盤交換 | 5~8万円程度 |
| 難易度の高い場所への増設 | 30万円~ |
4.2階・特殊な場所に設置する際の注意点
コンパクトなミニキッチンは、2階や特殊な場所に設置したいケースも少なくありません。ただし、思いがけない追加費用がかかることもあるので注意が必要です。
4-1.増設時の配管は露出配管となるのが一般的
ミニキッチンに限らずキッチンの増設は、給排水管やガス管の経路を確保することが重要です。通常、配管は床や壁の内部に隠ぺいされますが、増設の場合に配管を隠ぺいするには、壁を解体してつくり直す工程が必要になります。
しかし、実際には工事が大掛かりになるため、そのような工事は行いません。配管は屋外に露出し、外壁に沿うように配管するケースが一般的です。外観の見栄えが気になる方は注意しましょう。

また、配管にかかる費用を抑えるには、外壁に面するようにミニキッチンを設置し、配管距離を最短にすることもポイントです。
4-2.排水管の勾配を確保できない場合はポンプが必要
2階にミニキッチンを増設する場合は、排水管の勾配を確保できないケースも少なくありません。適切な勾配を確保できない場合は、排水圧送ポンプの導入が必要になる可能性もあります。
4-3.分電盤に予備回路がない場合は電気工事が大掛かりになる
3章で述べた通り、電気コンロやIHヒーター付きのミニキッチンを導入する場合は、専用回路が必須です。分電盤に予備回路がない場合は、ブレーカーの増設工事が必要になります。
また、新規の電気配線は、配管と同様の理由で露出配線にするのが一般的です。
4-4.壁や床の補強工事が必要な場合がある
現場状況にもよりますが、壁や床の補強工事が必要な場合もあります。
[1]床の補強工事
ミニキッチンは搭載する設備にもよりますが、50~100kg程の重量があります。さらに、電気温水器タイプの場合は、満水時の重量を考慮することも重要です。床がこれらの重さに耐えられるように、補強工事を行う必要があります。
また、床が畳やカーペット敷きの場合は、ミニキッチンを安定して設置できないので、フローリングに張り替える工事も必要です。
[2]壁の補強工事
ミニキッチンの転倒を防ぐために、本体は壁に金具で固定されます。固定するための取付下地がない場合は、下地補強工事が必要です。
4-5.マンションでは管理規約に注意
マンションの水回りの増設は、漏水の危険が伴うので制限される場合があります。ミニキッチンの増設を検討する前に、管理規約を確認することが重要です。他にも管理規約では、ガスの新規配管や増設が制限されていることもあります。
また、換気設備を増設する場合は、排気経路を確保できるか事前に確認しておきましょう。
4-6.計画時に使い勝手と動線の確認を入念に行う
ミニキッチンの使用目的にもよりますが、日常的に料理をする場合は、使い勝手や家事動線も重要です。冷蔵庫や電子レンジの置き場所も検討しておきましょう。
調理スペースや収納スペースが不足している場合は、カウンターやワゴン、収納家具の購入も検討する必要があります。
5.ミニキッチンのリフォーム事例
ミニキッチンは二世帯住宅や賃貸物件によく導入されます。この章では、そういった目的別にミニキッチンの施工事例を紹介します。
5-1.【二世帯住宅】離れにミニキッチンを設置
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離れの板の間にあるミニキッチンをリフォームした事例です。和の趣を残しつつ、フローリングへのリフォームも行いました。椅子で立ち座りがしやすく、キッチンまで数歩と便利な生活空間です。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/refo310613/
5-2.【二世帯住宅】子世帯が使いやすいキッチンにリフォーム
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二世帯で暮らすにあたり、ご実家2階の流し台をリフォームした事例です。
2つある窓のうちの1つをふさぎ、レンジフードと吊戸棚を新設。使いづらい瞬間湯沸器は、給湯管を新設することで水栓からお湯を出せるように。子世帯が好きな時間にキッチンを使えるようにリフォームしました。
出典:https://www.yutoriform.com/products/water/kitchen/case/11/
5-3.【二世帯住宅】3世代同居のためのサブキッチン
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親・子・孫の3世代同居のために、戸建て全体をリフォームした事例です。1階にはメインキッチンとしてコの字型のキッチンがありますが、子世帯のリビングにもコンパクトなキッチンを設置。鏡を取り付けているので、洗面台としてもお使いいただけます。
出典:https://www.artreform.com/example/9878/
5-4.【スペース活用】自宅で教室を開くためのミニキッチン
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自宅で教室を開くために、和室2部屋を洋室1部屋にリフォームした事例です。お仏壇は新設したクローゼット内に収納。押入れは撤去し、お仏壇があった場所に料理や手洗いができるミニキッチンを新設。お教室を開ける空間に生まれ変わりました。
出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=2925
5-6.【賃貸物件】価格を抑えたブロックキッチンに
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借主の退去を機に、水回りの原状回復をした事例です。古い瞬間湯沸器付きのブロックキッチンは、シングルレバー水栓から直接お湯を出せる仕様に性能アップ。コンロキャビネットを設置しないことで、価格を抑えることもできています。
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/263
6.まとめ
ミニキッチンは、シンクとコンロが一体となったコンパクトなキッチンを指し、二世帯住宅や賃貸住宅、オフィスの給湯室など様々な場面で使われています。
ミニキッチンの本体価格はシステムキッチンよりも安価ですが、工事費用は交換と増設で大きく異なるので注意が必要です。
特に、増設工事は大掛かりな工事になるケースもあるので、どのくらいの費用がかかるのか現地調査で事前に把握しておきましょう。
リフォームガイドでは、キッチンリフォームを得意とする優良業者をご紹介しています。ご希望やお住まいの地域に対応できる会社探しをサポートしていますので、ぜひご活用ください。









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