キッチンを増設する費用をプロが解説!おすすめの設置場所や事例も

「親世帯と同居を始めたが、思っていたより自由にキッチンが使えない」
「生活リズムが家族と違うから、簡単に調理ができるミニキッチンが欲しい」

キッチンの増設は、ライフスタイルの変化をきっかけに考え始める方が多いです。

しかし、「費用はどのくらいかかるのか」「どこに増設できるのか」などキッチンの増設に関してわからないことも多いのではないでしょうか。

この記事では、キッチンを増設する際の費用やおすすめの設置場所を解説しています。また、キッチンを増設するときに事前に知っておくべき注意点や施工事例も紹介しているので、キッチンリフォームの参考にしてみてください。


1.キッチンを増設する際の費用はいくら?

まず初めに、キッチンを増設する際の費用を解説します。
増設するキッチンの種類によって費用がどのように変わるのかを見ていきましょう。

システムキッチンを増設

システムキッチンを増設する際にかかる費用は約65~190万円程度です。

増設するキッチンのグレードやご自宅の既存の配管から設置場所までの距離によって費用は変わりますが、一番大きく影響を与える要素は配管の移設有無です。

システムキッチンを増設する費用

配管の移設

費用

あり

70~190万円

なし

65~180万円

※システムキッチンの本体価格の目安は60~150万円

親世帯と一緒に二世帯で暮らしており、二世帯ともに毎日頻繁にキッチンを利用するライフスタイルの方には多くの機能がしっかり備わっているシステムキッチンの増設がおすすめです。

ミニキッチンを増設

ミニキッチンを増設する際にかかる費用は約15~70万円程度です。

ミニキッチンを増設する費用

配管の移設

費用

あり

20~70万円

なし

15~60万円

※ミニキッチンの本体価格の目安は10~30万円

ちょっとお湯を沸かしたい、簡単に料理したいなど、しっかりした炊事で使用する予定はないが簡易的な用途として使用したいとお考えの方には、ミニキッチンの増設がおすすめです。

システムキッチンとミニキッチンの違い|どちらを増設する?

キッチンの増設にかかる費用は、システムキッチンかミニキッチンかで50万円ほど差がありますので、ライフスタイルと目的に合わせて増設を検討すると良いでしょう。

ここでは、システムキッチンとミニキッチンの特徴をまとめていますので、キッチン選びの参考にしてみてください。

種類 本体価格 特徴
ミニキッチン
10万~30万円 補助キッチンとして増設したい人向け
・来客用のお茶出しなど簡単な炊事用
・コンロが1~2つ
・調理スペースが狭い
システムキッチン

60万~150万円

毎日使う、独立したキッチンが良い人向け
・通常のキッチン
・コンロは基本3つ
・180cm以上のスペースが必要

画像引用元:クリナップ株式会社

ミニキッチンはシステムキッチンと比較して大幅に安いですが、イメージとしては一人暮らしのワンルームやオフィスの給湯室などにあるようなキッチンです。

簡易的な使用には十分ですが、毎日3食をきちんと作りたいと考えている方はシステムキッチンの増設がおすすめです。

逆に、高齢者や小さなお子様がいるご家庭などでは、ミニキッチンの増設がおすすめです。

例えばキッチンが1階で高齢者やお子様が過ごす生活スペースが2階だった場合、お茶を入れたりミルクを作るのにわざわざ階をまたいで移動しなければなりません。ミニキッチンを導入することで移動の手間を省くことができます。

■キッチン増設までにかかる期間

キッチンの増設にかかる期間は約2か月です。
以下の図はキッチンの増設を考え始めてから施工完了までの流れをまとめたものです。

思い立ってから施工完了までの流れ

実際に工事する期間だけであれば約4日~1週間と短く、すぐに増設できるように感じます。

しかし、現地調査から見積もりの受け取りまで、見積もりをもらってから契約までの比較検討期間などを含めるとキッチンの増設を考え始めてから増設が完了するまでには意外と長い期間が必要です。

すぐに使いたいと思っていたのに、実際に導入できるまでに想像よりも時間がかかってしまったということのないように時間に余裕を持ったリフォームを進めると良いでしょう。


2.どこにキッチンを増設するべき?

キッチンの増設をするべき場所は

  • 十分なスペースが確保できる場所
  • 配管設備工事がしやすい場所

です。

ひとつずつ見ていきましょう。

キッチンの増設に必要なスペース

キッチンを増設するためには、新しいキッチンを置くためのスペースが必要です。

実際にどのくらいのスペースが必要か、以下の表にまとめました。

キッチンの増設に必要なスペース
  ミニキッチン システムキッチン
本体 横1,500~1,800×奥行600~650mm 横1,800~2,700×奥行650~800mm
その他 なし 冷蔵庫、食器棚のスペース
イメージ図  ミニキッチン寸法 システムキッチン寸法

使用頻度の高いシステムキッチンの場合、キッチン本体だけでなく冷蔵庫や食器棚のスペースも確保する必要があります

一方、ミニキッチンはサブキッチンとして使われるのでキッチン本体以外のスペースを確保する必要はあまりありません

また、イメージ図ではI型キッチンの増設を想定していますが、システムキッチンにはアイランド型L型、Ⅱ型などさまざまな形があります。

増設したいキッチンのサイズの分だけスペースが必要になりますので、ご自宅のスペースとキッチンの大きさを照らし合わせた上で増設を検討しましょう。

以下の記事では使いやすいキッチンのレイアウトについて解説しています。

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配管設備工事がしやすい場所は?

配管設備工事がしやすい場所は、すでにあるキッチンとの距離が近い場所や外壁に面しているスペースのことを指します

基本的には希望の場所にキッチンの増設をすることができますが、キッチンを増設したい場所と現在のご自宅の配管の位置次第で給排水管工事の費用が変わります。

そのため、配管の延長や床下だけではなく壁にも配管を通す必要がある場合は、その分費用が高くなると考えられるでしょう。

したがって、配管設備工事がしやすい場所への増設を選ぶことで、費用を押さえて満足のいく増設を実現することができると言えます。

キッチンの増設では2階に増設するケースが多いのですが、2階に増設する場合は1階のキッチンとの距離が近く、外壁に面している場所が配管工事もしやすく費用も抑えられるためおすすめです。


3.キッチンを増設した事例

ここでは、実際にキッチンを増設した事例をご紹介します。

事例①2階にミニキッチンを設置

※横にスクロールできます

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=78

2階にミニキッチンを設置した事例です。
すっきりした見た目にしたいというご要望から、あまり使われていなかったクローゼットの中にキッチンを新設しました。

使用しないときはクローゼットの扉を締めることで、生活感がなくなりご要望通りのすっきりした印象に見せることができます。

費用

30万円

工期

4日

事例②自宅で教室を開くためにミニキッチンを新設

※横にスクロールできます

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=2925

ご自宅で教室を開くために、和室を洋室にリフォームされた事例です。

洋室内に簡易的な料理や手洗いができる機能をご希望だったため、用途とスペースを考えてお手頃サイズなミニキッチンを設置しました。

費用

184万円

工期

20日

※洋室全体のリフォームにかかった費用と工期です。そのほかの工事費用も含まれています。

事例③完全分離型の二世帯住宅リフォームで2階にキッチン増設

※横にスクロールできます

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/373

結婚をきっかけに二世帯住宅へとリフォームをした事例です。
2階には水回り設備がほとんどなかったため、キッチン・お風呂・トイレ・洗面台を新設しました。

キッチンは洋室を改築して設置。ライフスタイルの違いを考慮して、完全分離型の二世帯住宅にしたため親世帯に気を使うことなくいつでも自由にキッチンが使えます。

費用

983万円

工期

2.5ヶ月

※リフォーム全体にかかった費用と工期です。そのほかの工事費用も含まれています。

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4.キッチンを増設するときの注意点

キッチンの増設では、増設するキッチンの種類と増設する場所以外にも注意すべき点があります。

①増設する床がカーペットや畳の場合は床材の張り替えが必要

キッチンを増設したい場所の床がカーペットや畳の場合、こうした不安定な床にはキッチンを設置することができないため、フローリングへの変更が必要になります。

床材の変更費用は次のようになります。

内容 追加費用
カーペットをフローリングに変更 8万~15万円
畳をフローリングに変更 15万~22万円

※6畳分のスペースで合板フローリングに張り替える場合を想定

カーペットよりも畳の場合のほうが、高さを揃えるために下地を調整する必要があるため、張り替え費用は比較的高くなります。

床を張り替える費用は、以下の記事で詳しく解説しています。

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②給湯器の容量が小さい場合は交換を検討する

お使いの給湯器の容量が小さい場合は、増設したキッチンをそのまま接続するとお湯を同時に使えなくなる可能性があるので、給湯器の交換・追加を検討する必要があります。

その費用は次の通りです。

内容 追加費用
2階キッチン用給湯器を追加 10万~11万円
既存給湯器を24号に交換 13万~25万円

24号であれば1つの給湯器で問題なく同時利用が可能です。既存の給湯器が10年以上経過している場合は、近い将来交換しなければならなくなるのでこのタイミングで交換されることをおすすめします。

逆に既存給湯器が新しいものであれば、10万円程度費用を抑えることのできる2階キッチン専用の給湯器を追加する方がよいでしょう。

給湯器交換の費用を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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③外壁に面していない場所に増設する場合は費用が高額になる可能性も

外壁に面していない場所にキッチンを増設する場合、床下や壁に給排水管を延長する工事費、さらに換気設備の工事費、大規模な内装工事費が発生します。これらの費用はかなり大きく、別途発生する費用だけで30万円以上になるでしょう。

実際のリフォームに必要な費用は現地調査後に業者が出してくれる見積もりで確認することができますので、自分がやりたいキッチンの増設が実現できるかどうか見積もりを見ながら検討してみましょう。

見積もりを比較するポイントは、以下の記事を参考にしてください。

リフォーム見積もりで知っておくべき5つの鉄則!優良業者の見極め方も
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5.キッチンの増設では補助金・減税など優遇制度が使える可能性も!

同居のためにキッチンの増設をお考えの方は、国や地方自治体の補助金や減税制度が利用できるかもしれません。
こちらも合わせて事前にしっかり確認しておきましょう。

キッチンの増設で使える可能性のある補助金

■国の補助金制度

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」という国の補助金制度があります。この制度の補助対象工事として、キッチンの増設も含まれる「三世代同居対応改修工事」があります。

本制度で補助金を受け取るためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。例えば

  • リフォーム工事前にインスペクションを実施する
  • リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たす必要がある
  • キッチンのほか、浴室・トイレ・玄関のうち1つ以上を増設する必要がある

等です。家全体の耐久性や断熱性など性能が基準を満たしていなければ、その基準を満たすリフォームが必要になることにも注意しましょう。

詳しくは以下の記事で解説しています。

2024年最新版|長期優良住宅化リフォームを分かりやすく解説【最大210万円で長く住める家に】
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■地方自治体の補助金制度

地方自治体独自の補助金制度も確認しましょう。お住まいの自治体では「同居対応リフォームへの補助制度」や「既存住宅のリフォームへの補助制度」などがないかどうか、市区町村のホームページや窓口で調べてみてください。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」では各自治体の住宅リフォームにおける優遇制度が調べられますのでおすすめです。

<同居対応リフォーム補助金の例>

●海老名市三世代同居支援リフォーム助成事業

海老名市内で三世代同居している、又は新たに三世代同居しようとする方が対象の助成制度です。助成額は上限30万円で、10万円以上の工事に対し1/5の金額が助成されます。

●刈谷市三世代同居等住宅取得等支援補助金事業

新たに同居するために、「調理室、浴室、便所及び玄関のうち1種類以上の増設又は改修」や「間仕切壁(建具を含む)の設置又は撤去」の工事で、定額30万円が支給されます。

※ただし、補助対象経費の額が100万円に満たない場合は対象外。

キッチンの増設で使える可能性のある減税制度

同居対応の住宅改修をすると、所得税の減税が適用されます。こちらはご自身で申告をする必要があるため、忘れずに行うようにしましょう。

対象工事の限度額は250万円、控除率が10%、その他工事も併せ最大62.5万円が所得税から控除されます。

キッチンの増設は、同居対応リフォームに含まれ、以下のような工事が対象です。

  • キッチンの増設
  • 浴室の増設
  • トイレの増設
  • 玄関の増設

以下の記事でリフォームの減税についてまとめていますので、参考にしてください。

【2024年度版】リフォームの減税(控除)制度を分かりやすく解説!
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6.まとめ

ライフスタイルの変化をきっかけに考え始める方が多いキッチンの増設。

この記事では、「キッチンの増設費用はどのくらいかかるのか」「どこに増設できるのか」などキッチンの増設に関してお悩みの方に向けて費用やおすすめの設置場所をご紹介しました。

費用は増設するキッチンの種類、配管工事のしやすさ、配管移設の有無で変わります。本記事を参考に、増設する際の注意点なども踏まえて、ご自身のリフォームプランを検討してみると良いでしょう。

実際に見積もりを取って費用を比較したいという方は、リフォームガイドにご相談ください。
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キッチンのリフォームが得意な会社を紹介することもできますので、お気軽にご相談くださいね。

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