
「雪止め」とは、屋根からの雪の落下を防ぐための金具などです。聞き慣れないかもしれませんが、雪が降る地域では非常に重要な役割を備えています。
この記事では、屋根の雪止めに関する以下の内容を紹介します。
- 雪止めとはなにか?
- 屋根における雪止めの役割と必要性
- 雪止めの種類
- 雪止めを設置する費用の相場
- 屋根に雪止めを設置する際の注意点
読むことで屋根に設置する雪止めの知識を得られ、雪による無駄な費用やトラブルを抑えられるでしょう。
1.屋根の「雪止め」とは一体なにか?
雪止めは屋根に積もった雪の落下を防ぐ金具などを指します。豪雪地帯では屋根の除雪を行うことが前提で、雪止めは邪魔になるため取り付けません。
しかし、除雪しない程度の雪が積もる関東などの地域では、雪止めが役立つケースが多いです。
雪止めは屋根の張替え時のみならず、後付けでも設置が可能です。では、雪止めで雪の落下を防ぐことにはどのような意味があるのでしょうか?
2.雪止めの役割
屋根に設置する雪止めで落雪を防ぐ目的は3つあります。
- 雪の落下によって人に当たる危険を避けるため
- 隣家に雪が落下しないようにするため
- 雪で雨樋を破損させないため
このため、
- 屋根の下を人が通る場合
- 隣家との距離が近い場合
- 除雪するほどではないが雪が積もりやすい地域にある家
は、屋根に雪止めを設置するとよいでしょう。以下では雪止めは具体的にどのように役立つか解説していきます。
2-1.雪の落下によって人に当たる危険を避けるため
雪が落下した際に人が真下を歩いていた場合、頭に当たりやすいでしょう。「雪は固くないから人に当たっても大丈夫では?」と考えるかもしれません。
しかし、屋根に積もった雪は、昼夜の気温差によって溶けたり凍ったりを繰り返します。このため雪は氷のように変化して屋根から滑り落ちる場合が多いです。
数メートルの高さから巨大な氷の塊が頭部に落下すれば、無傷とはいかないでしょう。人に当たるリスクを抑えるために雪止めは必要なのです。
2-2.雪で雨樋を破損させないため
雨樋(あまとい)とは、屋根の雨水を地面に流すための排水路です。屋根の雨樋は耐久性が低いため、雪が落ちる際に巻き込まれて破損するケースが多いです。
雨樋が破損すると、屋根のあちこちから雨が落ちてきて外壁が汚れたり、地面がえぐれたりして転びやすくなります。
壊れた雨樋の破片が外壁や屋根を傷つけ、雨漏りの原因になることもあるでしょう。雪が降る地域では、雨樋を破損させないために雪止めを設置する必要があるでしょう。
2-3.隣家に雪が落下しないようにするため
隣家に雪が落下しないようにするうえで雪止めは役立ちます。雪が隣家に落下して物や人に当たると近隣住民とのトラブルに発展します。器物損壊や怪我などを負わせてしまうと賠償金や治療費を請求されることでしょう。
賠償金などに比べると雪止めを設置する料金のほうが遥かに安いです。近隣住民とのトラブルを避けたい場合は雪止めを設置しましょう。
3.屋根に設置する雪止めの種類
屋根に取り付ける雪止めは3種類あります。
雪止めは、どのタイプであっても大量の雪には対応できません。豪雪地帯では雪止めは除雪の邪魔となるため設置しないようにしましょう。
一方で、まれにしか雪が降らない地域であれば、タイプ別に特徴をチェックして自宅に適した雪止めを設置するとよいでしょう。
3-1.瓦タイプ
瓦タイプは、瓦屋根にのみ使える雪止めです。雪止めが組み込まれている瓦を屋根に設置することで、雪止めと瓦の両方の機能を備えています。
瓦の交換をするだけで雪止めがつけられるため設置に手間がかからず、後付けでも問題がありません。
瓦タイプは、瓦屋根に雪止めを設置する場合に最適です。
3-2.金具タイプ
金具タイプは、主にスレート屋根で使う雪止めです。屋根材の隙間に金具を取り付けて雪の落下を防止します。
形状によってはビスや釘を使わずに設置が可能で、スレート屋根の隙間に引っ掛けて取り付けられます。金具タイプも他の雪止めと同様に後付けが可能です。
金具タイプは瓦タイプやネットタイプの雪止めに比べると小さいため「雪を止められるのか?」と疑問に思うことが多いでしょう。
しかし、雪が落下する原因は摩擦が少なくなって雪の重みで滑ることですから、屋根に引っ掛かりがあればほとんど心配はありません。
金具タイプは、スレート屋根に雪止めを設置したい人に最適です。
3-3.ネットタイプ
どのような屋根にも対応している雪止めがネットタイプです。屋根にネットを張って摩擦力を高めることで雪の落下を防止します。
ネットタイプは色を選べるため、瓦タイプや金具タイプのように外観を損ねる心配がありません。屋根の美しさを重視する人に向いている雪止めといえるでしょう。
4.雪止めの設置費用
屋根の雪止めに必要な費用は、30坪程度の住宅では10〜30万円が相場です。屋根の勾配によっては足場が必要です。足場を使う場合は20〜40万円程度必要になるので、合計30〜70万円となります。
費用が変わるポイントは、どの雪止めを選ぶかによります。種類ごとにかかる費用は以下が目安となります。
- 瓦タイプ 15〜30万円
- 金具タイプ 10〜15万円
- ネットタイプ 10〜20万円
また、勾配がきつい屋根だと雪が滑りやすいため雪止めの設置個数が増えます。設置個数が増えると費用が高額になるかもしれません。
なお、雪止め金具を取り付けるだけの工事は請け負ってくれない業者もいます。そういった場合は屋根修理やメンテナンスと一緒に依頼しましょう。
5.屋根に雪止めを設置する際の注意点
雪止めを屋根に設置する際は以下のデメリットや注意点があります。
- 屋根が重くなるため耐震性が低下する
- 雪止めが原因で雨漏りする危険性がある
- 屋根の雪止め工事だけだと請け負ってくれない業者がある
- 雪止めを設置できない屋根がある
- 雪の落下を完全に防げるわけではない
デメリットを把握しなければ改修が必要となったり、費用を無駄に使ったりしてしまいます。事前にデメリットを知っておき、自宅の屋根に適した雪止めを設置しましょう。
5-1.屋根が重くなるため耐震性が低下する
屋根は軽いほど地震に強くなります。雪止めの設置個数が多くなるほど屋根は重くなり、耐震性が低下するでしょう。
地震の際に屋根が崩れるのを恐れる場合は、重量による耐震性の低下について工事前に業者と相談してください。特に、古い木造住宅などは耐震性で問題がある危険性があります。
5-2.雪止めが原因で雨漏りする危険性がある
屋根に雪止めを設置すると雨漏りする危険性があります 。屋根が老朽化していたり、金具の設置工事の際に業者が誤って屋根を破損する可能性があるからです。ただし、適切な工事を行えば雨漏りの心配はありません。
雪止めが原因で雨漏りする場合は業者の技術力に問題があります。適切な工事業者を選べば雨漏りするリスクを最小限に抑えられるでしょう。
5-3.雪止め単体の設置工事は請け負ってくれない業者がある
屋根工事業者のほとんどが、雪止めだけを設置する工事は請け負うことはありません。なので業者が見つからないこともあるでしょう。
そういったケースでは、屋根の修理やメンテナンスを一緒に依頼しましょう。費用が高くなりますが、落雪による災害を考慮して雪止めが必要だと考えるのなら迷わず依頼してください。
5-4.雪止めを設置できない屋根がある
瓦タイプや金具タイプの雪止めは設置できる屋根が限られます。特にアスファルトシングルで作っている屋根は、瓦タイプや金具タイプの設置ができません。
ネットタイプなら設置できる可能性はありますが、基本的にアスファルトシングルの屋根は雪止めがつけられないと考えておきましょう。
また、陸屋根のように平たい屋根は雪止めを設置しても効果がありません。雪止めを陸屋根は傾斜がほとんどないため、雪止めを設置しなくても落雪の危険性は少ないでしょう。
5-5.雪の落下を完全に防げるわけではない
雪止めをつけても落雪を完全に防げるわけではありません。屋根に積もった雪は塊になるため、細かく落下することは稀です。
それでも雪止めの隙間から落下する危険性はあります。また、雪止め金具などの大きさ以上に雪が積もれば落下の危険はあります。その点だけは事前に注意しましょう。
上記のうち、雨漏りの問題は適切な工事業者に依頼することで解決するでしょう。雪止めはどのような形状を取り付けるかなど業者との相談が重要です。
設置の際に、要望などを具体的に聞いてくれる業者かどうかを見積もりの相談時に確認しましょう。
優良業者を選ぶためには、インターネットや電話帳で複数の業者に見積もり依頼をする必要があります。
しかし、1社1社をチェックする手間と時間が惜しい人は多いでしょう。手間と時間を省くにはリフォームガイドの利用が適しています。
リフォームガイドでは工事に適した業者を選んでくれるため、自分で1から依頼先を探す手間が省けます。リフォームガイドは審査を通過した優良な業者のみが登録されています。その中からお客様のお住まいや要望に合った業者をピックアップし、同時に複数社から見積もりを取ることができますので、ぜひ活用してみましょう。
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6.まとめ
屋根の雪止めには、隣家や人に雪が落下する危険性を抑える役割があります。雪止めを設置するには10〜30万円程度の費用が必要です。
雪止めの設置方法は住宅ごとに変わるため、業者と相談して自宅に適した素材を取り付けてください。
なお、雪によって屋根が破損した場合は火災保険が適用できるケースがあります。詳しくは、「屋根の葺き替えや部分修理にかかる費用や火災保険の適用方法」をご覧ください。
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