
「訪問営業が来て、見積もりだけ取ってみた」
「ハウスメーカーから定期メンテナンスで見積もりが来た」
「隣の家が塗装していたので見積もりをついでにもらってみた」
など、とりあえず見積もりを取ってみたものの、妥当な金額なのかどうか分からず相場を知りたいという方が多いのではないでしょうか。
相場が分かっていれば、実際に業者に見積もりを取った際に、本当に契約を結んでも大丈夫かどうかの判断基準になります。
この記事では、外壁と屋根を同時に塗装した場合の費用相場について、見積もり例を載せてご紹介いたします。ご自身ですでにお見積もりを取っている場合は、見積もりの見方も分かり、信頼できる見積もりかどうかが分かります。これから見積もりを取ろうと思っている方も、本記事を通して、安心して外壁や屋根の塗装を進められるはずです。
費用相場を把握し、納得いく金額で優良塗装業者に依頼しましょう。


目次
1.外壁と屋根を同時に塗装する費用相場
外壁と屋根を同時に塗装する場合の費用相場です。坪数によって塗装面積が変わります。
坪数 | 費用相場 |
---|---|
20 | 60~90万円 |
30 | 80~140万円 |
40 | 100~160万円 |
50 | 120~180万円 |
60 | 140~200万円 |
外壁と屋根は、同時に塗装工事をすることで、足場設置の費用が1回で済むため、別々に工事を行うよりも費用を抑えることができます。メンテナンスのタイミングも、外壁と屋根で数年ずらすことによるメリットも無いため、同時に行うことがおすすめです。
※坪数は、「延べ床面積」のことを指します。延べ床面積とは、1F,2Fの総床面積のことです。「建坪」は、住宅を上から見たときの建築面積のことを指し、延べ床面積とは異なります。
2.外壁・屋根塗装の工事内容ごとの相場
外壁・屋根の塗装工事の詳細と、それぞれの工事における単価の相場を解説します。
見積もり書がお手元にある場合、工事ごとの相場の参考にしてください。
(ただし、会社によって見積もり書の書き方は異なります。見積もりの内容で疑問に思うことは会社に直接確認されることをおすすめします。)
以下は30坪の場合を想定しています。
【外壁・屋根塗装の工事内容ごとの相場】
【用語説明】
*1 コーキング打ち替え、増し打ち
コーキングは、サイディング壁に使われている防水材で、パネル間の隙間を埋める防水および緩衝材の役割を果たしています。
「打ち替え」は、カッターで既存コーキングを撤去・新設する作業です。「増し打ち」は、サッシ周りなどのカッターを入れると中の防水紙を切ってしまう構造部において、既存コーキングの上にそのまま新しいコーキングを打つ作業です。
サイディング壁のみに行う工事で、モルタル壁の場合には必要のない工事です。
※コーキングの施工面積は住宅の形状等により変わります。
*2 破風、鼻隠し
破風、鼻隠しは、屋根の端にある面になった部分です。鼻隠しは、横どいの裏にある板がこの部分です。
*3 水切り
水切りは、土台と外壁の間にある鉄などでできた部材です。雨によって外壁が汚れないなどの役割を果たしています。
出典:https://home-life.co/2023/02/13/i%e6%a7%98%e5%a4%96%e8%a3%85%e6%96%bd%e5%b7%a5%e4%ba%8b%e4%be%8b/
*4 下塗り
屋根・外壁塗装は、一般的な塗料で3回塗りとなります。1回目は下塗りと言って、外壁材や屋根材と塗料を接着する役割があります。ウレタン、シリコン、フッ素などの塗料の種類が異なっていても、下塗り材は共通であることがほとんどです。そのため、下塗り工程の単価は変わらず、中塗りと上塗りの単価だけが塗料のグレードによって変わります。
*5 タスペーサー工法
スレート屋根の塗装工事で採用される工法で、タスペーサーという専用部材をスレートに差し込んだのちに塗装作業を行います。このようにすることによって、塗料がスレートの隙間に埋まってしまう不具合が解消され、雨漏りを防ぐことができます。このタスペーサーという部材を差し込まずに、安易に塗装工事を行ってしまうと、屋根に塗料が詰まり、雨漏りを引き起こす原因となってしまいます。
出典:https://saitama-paint.com/case/20748/
見積もりの塗装面積は業者によって異なります!
見積もりの塗装面積(上の表では30坪で140㎡と想定)は業者によって異なる場合があります。その理由は以下の3つです。
●数量の計算方法が違う
塗装面積の算出方法は、統一された方法はなく、施工業者によって異なっています。そのため、各業者の計算方法によって数量が異なってしまうのです。
図面から正確に出す場合や、坪数から簡単に近似値を出す方法(30坪×3.3×1.2のような計算)などがあり、そもそもの計算方法が異なるため10~15㎡の違いがあることもあります。
●図面からの拾い出しの誤差
図面から正確に拾い出した場合、どこの業者も同じ計算になりそうですが、実際には多少の誤差があります。2~3㎡程度は、業者間で異なった値になることがあります。ただし、これ以上の差がある業者は正しく計算できていない場合があるため、間違っている旨を指摘して修正してもらいましょう。
●実測での誤差
図面がなく、実測で測った場合には、業者によって誤差が大きくなります。2Fの窓面積などを正確に測れないため、図面からの拾い出しよりも正確性に欠けます。また、実測ですと、前述した簡易的な数量出しをする業者も多いためです。
3.【坪数別】外壁・屋根の塗装工事の見積もり例
実際の外壁・屋根の塗装工事で使われている見積もり例をご紹介いたします。ここでは、30坪と40坪での費用の違いがわかるようにご紹介いたします。
2-1.30坪の外壁・屋根塗装の見積もり例
一般的な30坪の戸建ての外壁・屋根塗装の見積もり例です。外壁はサイディング、屋根はスレート屋根を想定しています。
2-2.40坪の外壁・屋根塗装の見積もり例
一般的な40坪の戸建ての外壁・屋根塗装の見積もり例です。外壁はサイディング、屋根はスレート屋根を想定しています。
【こんな見積もりには注意!】悪い見積もり例
見積もりの書式は業者によって異なっており、少し見にくいところがあるかも知れませんが、基本的な項目は一緒になります。
悪い見積もりはいくつか特徴がありますのでご紹介していきます。
●項目が少ない
明らかに工事項目が少なく、「塗装工事一式 100万円」など、どのような工事が行われるのかわからない見積もりです。このような見積もりでは、細かい工事内容を全く行わない可能性もありますので注意が必要です。
●塗料名が書いていない
正式な見積書では、塗料メーカーと商品名が記載されたものを依頼しましょう。「シリコン塗料」といっても、商品によって価格差があるため、正確にどの程度のグレードの塗料かを把握しましょう。
●タスペーサーを設置しない
スレート屋根の場合には、タスペーサーの設置は必須工事です。せっかく塗装をしたのに雨漏りしてしまう危険性があるため、必ずタスペーサー設置工事があるか確認しましょう。
●数量が他社と大きく違う
相見積もりを取った際に、塗装面積などが他社と大きく異なっている場合、その業者に依頼するのは控えた方が良いです。塗装面積が大きい分にはまだ良いですが、小さい場合には塗料が足りないということになります。適切な塗布量が守られないため、耐久性も落ちてしまいます。
4.こんな場合は相場より高くなりがち
実際に見積もりを取ってみたら、相場より高い金額が出てきてしまった場合、以下の理由が考えられます。
4-1.高級塗料を使う場合
フッ素塗料、無機塗料などの高耐久性の塗料や、断熱・遮熱塗料といった高機能性の塗料を使う場合には、材料費が高くなりますので、塗装費用も相場よりも高くなる傾向にあります。
塗料の種類について詳しく知りたい場合はこちらの記事を参考にしてください。


4-2.屋根の形や家の形が複雑で塗装面積が大きい場合
同じ30坪の住宅でも、形によって屋根、外壁の面積が異なります。形が複雑になる程、塗装面積が大きくなります。総2階の1Fと2Fがほぼ同じ作りをしたものが1番単純で、ベランダが大きく出ている、下屋根が大きい場合などは塗装面積が大きくなります。
4-3.屋根の勾配が大きい場合
屋根勾配が大きいと、屋根足場という特殊な足場が必要になります。屋根足場は、勾配の大きい屋根でも安全に作業できるものです。5寸(約26.5度)以上の勾配がある場合には、一般的に屋根足場が必要となります。
4-4.屋根、外壁が著しく傷んでしまっている
損傷が激しい場合、塗装作業だけでなく、一部補修作業などが必要な場合には、工事費用がその分高くなります。
例えば、以下の外壁はヒビ割れが見られます。このようなヒビ割れは雨漏りの原因となりますので補修が必要です。
出典:https://www.manaka-reform-chiba.com/category/works
5.屋根・外壁塗装の費用を抑える方法
屋根・外壁塗装は、お家のメンテナンスのために行う工事ですが、金額が大きいためなかなか実施に踏み切れないといった方も多いです。同じ品質の工事なら、できるだけ工事費用を抑えたいですよね。
そこで、屋根・外壁塗装の費用負担を少しでも減らす方法についていくつかご紹介いたします。
5-1.補助金を活用する
自治体の補助金制度が活用できる場合があります。工事費用の一部を補助してくれることがあるため、ご自身の住む自治体に条件等を問い合わせてみましょう。省エネ対策の一環として、遮熱塗装などで適用となる制度を設けている自治体もあります。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。


5-2.相見積もりをする
相見積もりとは、2,3社などの複数の業者から見積もりを出してもらうことです。相場感がわかり、値引き交渉などができる材料となります。業者も相見積もりがあるとわかっていると、少し金額を下げた見積もりで持ってくることもあります。
5-3.社内に職人がいる屋根・外壁塗装専門業者に依頼する
工事を下請けに任せている会社の場合、中間マージンを取っているため工事費用が高くなります。自社で職人を抱えている施工業者に依頼することで、リーズナブルに工事を行うことができます。
信頼できる外壁・屋根の塗装業者を見つける方法
優良業者を見つけるためには、いくつかのチェックポイントがあります。パンフレットや説明がよくても、実際に工事に入るとトラブルが多いという業者も稀にいますので注意が必要です。
- 建築業許可、塗装技能士の資格有無
- 自社施工が可能な業者か
- 地域での施工事例はあるか
などを確認して、会社として問題なく施工してくれるのかを見極めましょう。
こちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。


6.まとめ
屋根・外壁塗装工事の相場について、坪数ごと、単価を含めた実際の見積もり例を参考にご紹介いたしました。
坪数 | 費用相場 |
---|---|
20 | 60~90万円 |
30 | 80~140万円 |
40 | 100~160万円 |
50 | 120~180万円 |
60 | 140~200万円 |
相場が分かっていれば、実際に業者に見積もりを取った際に、本当に契約を結んでも大丈夫かどうかの判断基準になります。
ご自身ですでにお見積もりを取っている場合も、これから見積もりを取ろうと思っている方も、本記事で解説した相場を参考にしていただければ安心して外壁や屋根の塗装を進められるはずです。
すでに各社に見積もりを取った後は、見積もり書の中身をきちんと確認しましょう。
見積書の書式は、各業者で異なりますが、工事項目についてはほとんど同じになります。これらの項目の単価と、使用する塗料の違いを比較することで、見積もり内容について業者の特徴がわかるようになります。
見積書の作り方で、丁寧な会社かわかることもありますので、金額、内容に納得した優良業者に依頼し、満足いく塗装工事にしましょう。

