
外壁塗装にどれくらい費用がかかるのか知るために見積もりを取ろうと考えているものの、「どうやって見積もりを取るのか」「何に気をつければいいのか」分からない方は多いのではないでしょうか。
本記事では、外壁塗装の見積もりを取る方法やポイントを解説します。
また「高額な費用を請求されないだろうか」と不安に感じる方に向けて、外壁塗装の費用相場、取得した見積もりが信頼できるかどうか判断するコツについても紹介します。
見積もりに対して不安を抱いている方や押さえるべきポイントを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.外壁塗装の費用相場
見積もりを取る前に、外壁塗装にかかる費用の相場を知っておきましょう。
外壁塗装の費用相場は、一般的に60万~150万円です。塗装面積や使用する塗料の種類によって費用は大きく異なります。
坪数と塗料の種類ごとの費用相場は、下表のとおりです。
外壁塗装の費用が高くなる要素として、外壁塗装に含まれる工程の多さが挙げられます。
外壁塗装にはメインとなる塗装作業の他に、足場の設置や高圧洗浄、下地調整(下地処理)など、さまざまな工程が含まれます。
外壁に塗布する塗料代だけでなく、各工程に付随するコストも必要になるため、それ相応の費用がかかることを理解しておきましょう。
外壁塗装の費用を詳しく知りたい場合はこちらをご覧ください。


2.外壁塗装の見積もりを取る方法
見積もりを取得するには、大きく分けて2つの方法があります。
- 業者に自分で依頼して見積もりを取る方法
- 一括見積もりサイトを利用する方法
ここでは、それぞれの流れや特徴について解説します。
2-1.自分で見積もりを取る方法
自分で見積もりを取る場合、自分のペースで納得のいくまで探すことができるのがメリットです。
基本的な流れは、次のとおりです。
自分で見積もりを取る方法
- 外壁塗装業者を探す
- 外壁塗装業者に問い合わせて見積もりを依頼する
- 日程を調整し、現地調査を実施してもらう
- 見積書を出してもらう
業者を探す方法には、インターネットを活用する以外にも、新聞の折込チラシや、近隣で塗装工事をした方の業者情報(口コミ)を参考にする方法などもあります。
業者を探す時間や手間などはかかりますが、ご自身でホームページや口コミを調べ、納得がいくまで業者選びをしたい方に向いています。
2-2.一括見積もりサイトを利用する方法
一括見積もりサイトを利用する場合、複数の業者からまとめて見積もりを取得できることがメリットです。
基本的な流れは、次のとおりです。
一括見積もりサイトを利用する方法
- 一括見積もりサイトへ問い合わせる
- サービススタッフからの質問に答える(外壁の状況や希望条件など)
- 業者またはサービスサイトからの連絡を待つ
- 現地調査の日程を調整し、実施してもらう
- 見積書を出してもらう
サービスによって流れは若干異なります。3.の「業者またはサービスサイトからの連絡を待つ」は下記3パターンがあります
- パターン1. サービススタッフが複数の業者を手配したうえで再度ご連絡
- パターン2. サービススタッフが手配した業者から、直接連絡が来る
- パターン3. オンライン上のマイページで業者から直接連絡が来る
一括見積もりサイトの利用は、業者選びにかかる時間・手間を省きたい方や、相見積もりを手軽に取りたい方に向いています。
3.外壁塗装の見積もりを取るときのポイント
外壁塗装の見積もりは、ただ単に業者へ依頼すればよいというわけではありません。適切な見積もりを手に入れるためには、「相見積もり」「図面の準備」「見積もり条件の統一」がポイントです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
3-1. 2~3社から見積もりをとる
見積もりを取る際は、複数の業者に相見積もりを取ることが大切です。
外壁塗装の費用には、塗料代以外にもさまざまな費用が含まれており、外壁の劣化状態や塗装面積によっても金額は異なります。1社だけの見積もりでは本当にその金額が適切かどうか判断することは難しいため、2、3社から見積もりを取得しましょう。
金額の妥当性を見極めることはもちろん、業者を選ぶ際の判断材料にもなります。
3-2.現地調査のための図面を準備しておく
現地調査の際には、あらかじめ自宅の図面を準備しておきましょう。
複数社に見積もりを依頼する場合、図面がないと業者によって見積もりを取った面積が異なる場合があります。塗装面積を正しく把握し、適切な見積もりを取得するためにも、可能であれば「平面図」と「立面図」を用意しておくのがおすすめです。
また、外壁材に施されている塗装の種類は、現場で見ても判断が難しいケースもあるので、「仕上表」がある場合は併せて準備しておくとなおよいでしょう。
3-3.見積もりの条件を合わせる
複数の業者から見積もりを取る際は、希望する塗料の種類や施工期間、予算などの「条件」を全ての業者に統一して伝えることをおすすめします。
例えば、A社には希望する塗料の種類を伝えたものの、B社には何も伝えなかった場合、B社は希望とは異なる塗料で見積もりを作成する可能性があります。塗料が異なると見積金額にも差が生じ、正確な比較が難しくなってしまいます。
金額や施工内容を公平に比較検討するには、全ての業者に同じ条件を伝えて見積もりを依頼することが大切です。


4.良い見積もり・悪い見積もりを判断する方法
ここでは、見積書から優良業者かどうか判断する方法を紹介していきます。見積書は決まった形がない分、施工業者の専門性や誠実性が分かる重要なアイテムです。
同じ内容で見積もりを依頼すると何を比較すればよいか迷ってしまいがちですが、押さえておくべきポイントを4つまとめたので、見積書を取ったら照らし合わせてみてください。
4-1.具体的な項目が書かれているか確認する
1つ目のポイントは、見積書の内容が具体的かどうかです。
先述したとおり、外壁塗装には足場の設置や高圧洗浄などさまざまな工程が含まれており、見積書にはこれらの詳細が明記されていることが一般的です。
しかし、業者の中には工程を細かく記載せず、「塗装作業一式」などのように漠然とした表記を用いるところもあります。これでは見積もりに含まれる内容が分からず、後々追加請求をされたとき適正な請求なのか判断ができません。
不透明な請求やトラブルを防ぐためにも、具体的な項目が記載されているかどうかが重要となります。例えば、信頼できる業者であれば、以下のような工程が記載されています。
見積書に記載されているべき工程
- 足場の設置
- 高圧洗浄
- 下地調整(下地処理)
- 養生
- 外壁塗装下塗り
- 外壁塗装中塗り・上塗り
- 破風や軒天などの細部
- 諸経費(廃棄費用など)
特に太字の「足場の設置」「下地調整」「下塗り」「中塗り・上塗り」が明記されているかどうか確認しましょう。
このとき、項目ごとの費用も相場と大きく外れていないかを確認しておくことをおすすめします。作業項目別の費用相場は、下表をご覧ください。
項目 | 内容 | 費用相場 |
---|---|---|
足場 | 足場を設置する | 600~800円/㎡ |
養生 | 塗装箇所以外を保護する | 300~400円/㎡ |
下地調整 | 劣化部分の補修や、塗料が密着しやすいよう下地を整える | 200~1,000円/㎡ |
高圧洗浄 | 高圧洗浄を用いて外壁をきれいにする | 150~250円/㎡ |
付帯部 | 外壁の主要面以外を塗装する (破風、軒天、雨樋など) |
800~1,500/㎡ |
諸経費 | 廃棄物やごみの処分費、業者の交通費など | 工事総額の3~15% |
外壁塗装に関連する専門用語解説
見積書に使われている専門用語が何を意味するのか分からないこともあるでしょう。
外壁塗装によく使われる専門用語の意味を、下表にまとめました。
用語 | 意味 |
---|---|
下塗り・中塗り・上塗り | 外壁塗装は三回塗りが一般的。 一回目を下塗り、二回目を中塗り、三回目を上塗りという |
プライマー・シーラー | 塗装工事の下塗り剤 |
フィラー | クラック割れが起きている場合など平滑な塗膜を作るために用いる下塗り剤 |
希釈剤 | 塗料と混ぜ、塗りやすくするためのもの |
縁切り | スレート瓦の屋根の塗装で、塗料乾燥後に塞がった隙間の塗膜を切って、 水の通り道を確保する工程のこと |
4-2.工事箇所の面積が数字で書かれているか確認する
2つ目のポイントは、工事個所の面積が具体的に数値化されているかどうかです。作業面積は見積金額に直結する重要な要素のため、「一式」などとあいまいな表記になっている場合は、注意が必要です。
特に、足場の設置や塗装(下塗り・中塗り・上塗り)の項目は作業面積が広く、見積金額への影響が大きいので、面積(数量)と単価がきちんと数字で明記されているか確認してください。さらに、見落としがちな「付帯部(破風や軒天など)」や「高圧洗浄」についても確認することが望ましいです。
なお、見積もりに記載される面積の単位には「坪」「㎡」があるため、どちらが使用されているかも併せてチェックしておきましょう。
4-3.塗料名と塗料の価格を確認する
3つ目のポイントは、使用する塗料名と価格を確認することです。
例えば「アクリル塗料」を使用する場合、単にアクリル塗料と記載されているだけでは情報が不足しています。一口にアクリル塗料といっても、メーカーやグレードによって性能や価格は大きく異なるためです。塗料名に加えてメーカー名も明記されているかチェックしてください。
なお、塗料名・メーカー名が分かれば、性能や耐用年数、費用相場などを調べられるため、見積もりに記載されている価格の妥当性についても確認しておきましょう。塗料名・価格の記載がない場合や価格に妥当性を見いだせない場合は、業者へ確認しましょう。
主な塗料の価格相場
外壁塗装に使われる主な塗料の価格相場は、下表をご覧ください。
塗料 | 価格相場(1㎡あたり) |
---|---|
アクリル | 1,500~2,000円 |
ウレタン | 2,000~3,000円 |
シリコン | 2,500~3,000円 |
フッ素 | 3,000~3,500円 |
遮・断熱 | 4,000~4,500円 |
光触媒 | 3,500~5,000円 |
4-4.塗り工程が3回あるか確認する
4つ目のポイントは、塗り工程が3回あるかどうかです。
外壁塗装は通常、下塗り・中塗り・上塗りの計3回の塗装を施します。塗料の種類によっては2回または4回塗装の例外もありますが、多くの場合塗り工程は3回のため、見積もりにもその旨が記載されているか確認してください。
表記は業者によって異なりますが、以下のいずれかであるケースがほとんどです。
- 「下塗り」「中塗り」「上塗り」をそれぞれ分けて記載
- 「下塗り」と「仕上げ塗り2回」に分けて記載
「仕上げ塗り2回」は中塗りと上塗りのことを指しており、「○○塗料(2回)」と表記されることもあります。
見積もりを見ても塗装回数の判断がつかない場合は、業者に確認しましょう。
外壁塗装工事の流れ
外壁塗装のリフォームには約1週間〜2週間、屋根塗装も含めるとあと3日ほどかかります。実際の日程を知りたいときには、業者に工程表をもらっておくのもおすすめです。
工程表とは、工事の具体的な工程が書かれたスケジュール表のことです。どの作業をいつするのかが、具体的に書かれているため工事計画の把握に役立ちます。一般的な外壁塗装のリフォームの流れは、以下のとおりです。
外壁塗装リフォームの流れ
1日目 | 足場組み立て、ネット養生、ひび割れ補修、下地調整 |
---|---|
2日目 | 高圧洗浄 |
3日目 | 細部養生、下地処理 |
4日目 | 下塗り |
5日目 | 中塗り |
6日目 | 上塗り |
7日目 | 足場解体 |
詳細はこちら:基礎からわかる!サイディング塗装
5.外壁塗装見積もりでよくあるQ&A
ここでは、外壁塗装リフォームの見積もりに関連した疑問に回答していきます。
5-1.見積もりにない追加工事は発生するのか?
見積書を作成する前に業者が施工物件に足を運び、建物の状態を確認する「現地調査」が行われますが、以下のような理由で見積書にない追加工事が発生することがあります。
- 雨漏り、漏水の発生
- シロアリ被害による構造の腐食
- 水回りの下地の腐食
- リフォーム会社の説明不足
追加工事が発生すると、工事費の他にも工期に影響があります。見積もりをもらう時点で、事前に追加工事が発生する可能性はあるのかを確認しておきましょう。
5-2.見積書受け取り後に工事費は全額前払いといわれたが?
工事費を全額前払いで請求している業者には注意が必要です。外壁塗装工事の支払いのタイミングは、主に以下の3つです。
- 工事完了後に一括支払い
- 工事前・工事後の2回払い
- 工事前・工事中・工事後の3回払い
工事前に工事費を全額前払いは、後々トラブルになる可能性もあるため、避けた方が無難です。先に支払いが終わっていると、工事中に手抜き工事がありクレームを入れても、対応してもらえないリスクもあります。悪徳業者や詐欺業者に騙されないためにも、全額前払いの業者とは契約しないようにしましょう。
5-3.見積書の提出日に契約を求められたら?
現地調査や見積の提出日に契約を迫られたとしても、応じないようにしましょう。「本日中に契約すれば値引きします」といった甘い言葉に誘われる場合もありますが、当日の契約は危険です。
外壁塗装は、100万円以上する高い買い物であるため、業者のペースに流されてしまうと、冷静な判断ができません。急いで契約した結果、値引きされた金額が実は相場より高かったり、コストを抑えるために塗料が薄められ、すぐに劣化してしまうといったリスクもあります。
十分に比較検討し、納得した上で契約を進めることが重要です。
6.まとめ
外壁塗装の費用相場は、60万~150万円です。見積もりの取り方には、自分で業者を探して依頼する方法と一括見積もりサイトを活用する方法があります。どちらを利用する場合でも、相見積もりを取ることをおすすめします。
また、取得した見積もりは、作業工程や数量、単価など、詳細が明記されているか確認することも大切です。「塗料名が記載されていない」「塗装工程が分からない」など、不明な点がある場合は、必ず業者に問い合わせましょう。