
近年、日本ではゲリラ豪雨が増えており、雨漏りの被害も多く報告されています。ゲリラ豪雨時に雨漏りが発生して、屋根や外壁、窓などの修理が必要になった場合、火災保険でカバーできるのかどうか気になる人も多いでしょう。
本記事では、ゲリラ豪雨による雨漏りで火災保険が適用される要件や、ゲリラ豪雨時に雨漏りが発生した際に確認すべきこと、火災保険の申請の流れなどについて解説します。火災保険を利用する際の注意点も説明しますので、雨漏りに備えて確認しておきましょう。
目次
1. ゲリラ豪雨による雨漏りは火災保険で補償される?
ゲリラ豪雨が原因で発生した雨漏りが、火災保険で補償される可能性は一般的には低いと言われます。ただし、条件によっては雨漏りの修理に火災保険が適用されます。
ここでは、ゲリラ豪雨による雨漏りに火災保険が適用される要件と、適用されないケースを解説します。
1-1.火災保険が適用される要件
ゲリラ豪雨による雨漏りの修理に、火災保険が適用される要件を見ていきましょう。
■火災保険の補償内容に、自然災害に対する特約が含まれる
火災保険の契約が、風災や雪災など自然災害に対応していることを確認しましょう。ゲリラ豪雨よって雨漏りした場合、火災保険の内容に風災・雹災・雪災など自然災害に対する特約が含まれていれば、補償を受けられる可能性があります。
例えば、風災特約は強風や豪雨による被害、水災特約は洪水や浸水などによる雨漏りに対して保険が適用されます。ただし、保険会社や契約内容によって異なるため、すべての損害が補償されるとは限らないため注意が必要です。
■自然災害による破損で雨漏が発生したと認められる
ゲリラ豪雨による雨漏りで火災保険を申請する際には、原因が自然災害であることが原則です。屋根に外傷がなく、単に雨漏りしただけでは自然災害によるものであると証明できず、火災保険は適用されない可能性が高いでしょう。
しかし、ゲリラ豪雨によって屋根に損害が起き、風災に該当するとみなされる場合などでは、火災保険が適用される可能性があります。保険会社が現場調査などを行い、状況を確認した上で判断します。
■被害を受けてから3年以内に申請している
保険の適用を受けるには、被害を受けてから3年以内に火災保険を申請する旨が、保険法にて定められています。雨漏り発生から時間が経つと現地調査によって被害の原因を特定することが困難になるため、3年という期限が設けられているのです。
ただし、東日本大震災のような大規模な災害や、修理が終わった後に自然災害による損害だと立証できる場合には、3年を超えて申請した場合に火災保険が適用されるケースもあります。
1-2.火災保険が適用されないケース
ゲリラ豪雨による雨漏りでは、火災保険が適用されない場合もあります。代表的な理由や条件を紹介します。
■経年劣化と判定された場合
雨漏りが建物の経年劣化によるものだと判断された場合、火災保険は適用されません。住宅が老朽化すると、壁や屋根などにひび割れや亀裂が生じやすくなり、隙間から雨水が侵入して雨漏りが発生することがあります。
経年劣化が原因で起きた雨漏りは、火災保険の対象外です。
■損害額が免責設定金額よりも低い場合
雨漏りの修理費用が免責設定金額よりも低い場合、火災保険の対象外となります。契約によっては「10万円以下の損害については、保険金の支払い対象外」といった記載があり、雨漏りの損害額が規定金額以下である場合は火災保険は下りません。
ただ、免責金額によって保険料を安く抑えられるというメリットもあります。保険会社と相談して、バランスの良い金額に設定することが大切です。
■故意または重大な過失があった場合
雨漏りが、故意に付けられた損傷だと判断された場合、「故意または重大な過失」に該当するため、火災保険は適用されません。「重大な過失」とは、ほぼ故意に近い著しい注意欠如のことです。
不正に火災保険を請求すると、保険会社から賠償請求される可能性もあります。ゲリラ豪雨による影響だと見せかけて、建物に損傷を作るようなことは避けましょう。


2.ゲリラ豪雨で雨漏りが発生したら屋根と外壁をチェック
ゲリラ豪雨後に雨漏りが発生した場合、どこから雨漏りしたのか確認する必要があります。必ずチェックすべき場所は、屋根と外壁です。
屋根を確認する際は、瓦のズレや劣化、防水シートや棟板金の破損などがないかを見ます。ただ、屋根に上がるのは危険なので、自分では登らずに見える範囲でチェックしておいて、細かな確認は専門業者に依頼すると良いでしょう。
また、外壁にひび割れや損傷がないかを確認します。ゲリラ豪雨による土砂崩れなどで外壁にひびが入って雨漏りした場合には、補償を受けられる可能性があります。
3.ゲリラ豪雨後に火災保険で雨漏りを修理する流れ
ここからは、ゲリラ豪雨後の雨漏りを、火災保険を利用して修理する手順を解説します。
実際の保険金請求の流れや対応は、保険会社によって変わる場合もあるため、申請前に問い合わせておきましょう。
3-1.保険適用に詳しい修理会社に見積もりを依頼する
ゲリラ豪雨後に雨漏りが発生したら、修理業者を探して雨漏りの原因の特定と修理費用の見積もりを取りましょう。
このとき、保険申請の経験豊富な会社に依頼すれば、保険の請求に必要な情報をまとめてくれるため、申請が通りやすくなります。ただし、虚偽の報告をして保険金をだまし取ろうとするような業者も存在しますので、信頼できる業者を探しましょう。
時間に余裕があるようなら、複数の会社に見積もり依頼をしたうえで、依頼する会社を選ぶと良いでしょう。
3-2.保険会社に連絡する
次に、加入している保険会社に連絡し、被害について報告します。雨漏りが発生した日時や被害の状況などを正確に伝えます。このとき、保険証券や雨漏りの原因を説明できる報告書などが手元にあれば、手続きがスムーズに進むでしょう。
保険会社より、契約内容の確認や手続きについての説明があり、申請に必要な資料が送られてきます。
3-3.保険会社に書類を提出する
保険会社から送られてきた書類に記入し、追加で必要な書類とあわせて提出します。
保険会社によって異なる場合もありますが、主な書類は以下の通りです。
- 保険金請求書
- 修理業者の見積書
- 被害状況の写真
- 被害状況報告書
3-4.現場調査結果の確定後、保険金が支給される
一般的には、保険会社から損害保険鑑定人が派遣され、現場調査が行われます。その後、送付した書類や写真と、現地の調査内容を保険会社が総合的に審査し、保険金請求の可否を決定します。
保険金の支払い条件を満たしていると判断された場合には、保険金が支給されます。
3-5.雨漏り修理業者へ依頼する
保険金が支払われたら、修理業者へ正式に修理を依頼します。
後で修理代金が足りないといった事態を避けるためにも、先に保険金額を確定させましょう。
また、必ずしも保険会社が業者を紹介してくれる訳ではないため、修理依頼は自分で行う必要があります。
4.ゲリラ豪雨の雨漏りで火災保険を使う注意点
ゲリラ豪雨による雨漏りで火災保険を申請する際の注意点を2つ紹介します。
4-1.火災保険の対応経験がある事業者を選ぶ
火災保険の申請経験が豊富な業者に依頼しましょう。
前述の通り、雨漏りの修理に火災保険が適用されるためには、自然災害による損傷であることを証明する必要があります。火災保険に詳しく、火災保険を使った修理の実績が多い業者なら、見積もり作成から修理工事までスムーズなやり取りが期待できます。
4-2.「火災保険で修理ができる」と契約を迫る業者とは契約しない
雨漏りの被害は火災保険で補償されないケースがあるにも関わらず、最初から「火災保険で修理ができる」と言って契約を迫る業者には注意が必要です。悪質な業者に依頼した場合、後で解約したいと言うと高額な手数料を請求されるケースや、修理前より状況が悪化してしまう可能性もあります。
雨漏りが起きると、一刻も早く直したいと焦ってしまうかもしれませんが、まずは冷静になって、保険会社からのアドバイスも貰いながら手続きを進めましょう。


5.ゲリラ豪雨での被害で受けられる可能性がある支援
ゲリラ豪雨による住宅の被害は、雨漏りだけではありません。
豪雨による洪水や土砂崩れで床上浸水やひび割れなどの被害が出た場合は、水災として火災保険が適用されます。
また、建物に大きな被害が出て、住み続けるのが困難と認められたときは「被災者生活再建支援法」により、生活を再建するための資金が支給されます。
基礎支援金 (住宅の被害程度) |
加算支援金 (住宅の再建方法) |
合計 | ||
---|---|---|---|---|
①全壊 (損害割合50%以上) ②解体 ③長期避難 |
100万円 | 建設・購入 | 200万円 | 300万円 |
補修 | 100万円 | 200万円 | ||
賃借(公営住宅を除く) | 50万円 | 150万円 | ||
④大規模半壊 (損害割合40%台) |
50万円 | 建設・購入 | 200万円 | 250万円 |
補修 | 100万円 | 150万円 | ||
賃借(公営住宅を除く) | 50万円 | 100万円 | ||
⑤中規模半壊 (損害割合30%台) |
ー | 建設・購入 | 100万円 | 100万円 |
補修 | 50万円 | 50万円 | ||
賃借(公営住宅を除く) | 25万円 | 25万円 |
※世帯人数が1人の場合は、各該当欄の金額の3/4の額
その他にも、「災害救助法」に基づく住宅の応急修理費用が支給される場合や、金融機関の金利優遇や公共料金の減免を受けられる場合もあります。
ゲリラ豪雨により住宅に大きな被害が出たときは、保険会社だけでなく、自治体にも相談してみましょう。
ゲリラ豪雨で住宅が被害を受けた場合は「罹災証明書」を取得しておこう
ゲリラ豪雨により雨漏りなどの被害を受けた場合には、「罹災(りさい)証明書」を取得しておくと良いでしょう。罹災証明書とは、災害によって自宅が被害を受けた際に、自治体が発行する書類です。発行の依頼を受けると、自治体は自宅を調査し、被害レベルを判定して罹災証明書に記載します。
火災保険など保険金の請求には罹災証明書は原則不要ですが、罹災証明書がある場合、金融機関や自治体の支援制度を利用できる可能性があります。
しかし、2019年の台風15号で大きな被害を受けた地域では、「一部損壊」でも支援を受けられる特例が出ています。そのため、今後は雨漏り被害でも支援制度が適用される可能性があるでしょう。
6.まとめ
ゲリラ豪雨による雨漏りに火災保険が適用されるためには、自然災害であると認められることや被害発生から3年以内などの条件を満たす必要があります。雨漏りが発生したら、まずは屋根や外壁の損傷をチェックしましょう。また、火災保険を申請する際には、保険金の支払いが確定してから修理業者へ正式に依頼することが重要です。
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