
シロアリは、多くの住宅を悩ます問題の1つであり、被害に遭わないためにも必要な対策を講じることが重要です。シロアリ対策として自分でできることもありますが、何から手を付けていいのか悩んでしまう人もいるでしょう。
また、専門業者に依頼する場合「費用はどのくらいか」「どのような基準で業者を選んだらいいか」など疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
本記事では、シロアリ予防の必要性や対策すべき住宅の特徴、自分できる予防方法、業者にシロアリ対策を依頼する際の費用などを詳しく解説します。大切な住宅をシロアリの被害から守るために、ぜひお役立てください。
目次
1.シロアリ予防の対策はなぜ必要か?
日本の家屋の多くは木造であり、シロアリは木材を主食としているため、シロアリが発生しやすい傾向にあります。また、すでに住宅の土台がシロアリに食い荒らされ、土台がもろくなっている場合、住宅の耐震性が低下し、大地震などで倒壊する危険性が高まります。
実際に阪神・淡路大震災では、シロアリ被害のあった木造家屋の約8〜9割が倒壊したというデータも出ています(※1)。
また、2016年4月の熊本地震では、新耐震基準で建てられた建築物が倒壊した原因の一つに「蟻害(シロアリ被害)」が挙げられています(※2)。
シロアリの被害のある家は価値が落ちてしまい、売却できる可能性が低くなるでしょう。加えて、シロアリの駆除や建物の修繕にかかる費用は高額になり、一般的には火災保険や家財保険の適用外であるため負担が増えます。
大切な資産である自宅と自分や家族の命を守るためにも、シロアリの予防対策は重要です。
<参考>
※1:『阪神・淡路大震災調査報告 総集編』(阪神・淡路大震災調査報告編集委員会2000年)
※2:国土交通省 住宅局「「熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会」報告書のポイント」
2.シロアリ予防が必要な家
木造住宅は、シロアリの被害に遭いやすいと言われますが、木造だけでなくコンクリート造を含めすべての住宅で対策が必要です。シロアリ予防対策を行うべき主な目安を3つ紹介します。
2-1.新築から5年経った家
建築基準法において、新築時にシロアリ対策として防蟻・防腐処理が義務付けられています。具体的には、木造建築の地面から1メートル以内の土台や柱、筋交いなどに、必要に応じて防蟻処理を行うよう記載されており、この基準を満たす必要があります。
ただし、防腐処理で使う薬剤の持続期間は多くの場合約5年であるため、5年を経過した時点で改めて予防対策が求められます。
2-2.前回防蟻処理から5年経った家
新築時と同様に、前回の防蟻・防腐処理から5年を過ぎている住宅はシロアリ予防対策が必要です。使用される薬剤の有効期限は5年とされており、経年とともに効果は徐々に減少します。
5年をすぎると突然作用しなくなるわけではありませんが、予防対策を考える重要なタイミングと言えます。
2-3.木造だけでなく、RC造・鉄筋コンクリート造の家
木造住宅だけでなく、マンションやアパートなどのコンクリート造や軽量鉄骨造やの住宅でもシロアリが発生する可能性はあります。
コンクリートの隙間やひび割れがあれば、そこからシロアリが侵入し、内部の木材や断熱材を食べてしまうことも考えられます。
また、床下の気密性や保温性が高いコンクリート造では、わずかな隙間からシロアリが侵入し、被害を拡大させることもあるでしょう。
3.自分でシロアリを予防する方法
シロアリを予防するために、自分でできる対策を紹介します。
- エサになる段ボール・木材を置かない
- 庭にある土に触れる物に気を付ける
- 水漏れや雨漏りがないかチェック
- 換気口を塞がない
- シロアリの防除剤や木材防腐剤を散布する
3-1.エサになる段ボール・木材を置かない
シロアリのエサとなる木材や段ボールを放置せず、すぐに処分するか片付けることを徹底しましょう。水を含んだ廃材や畳、伐採した枝などを置いたままにしていると、シロアリが住み着いてしまう可能性があります。
また、日が当たりにくく湿気の多い場所はシロアリが好むため、北側の壁沿いなどでは風通りを確保することも大切です。
3-2.庭にある土に触れる物に気を付ける
植木鉢や雑草など、土に触れるものにも注意が必要です。建物の基礎が覆われていると湿気がこもり、シロアリが住み着きやすい環境を作り出してしまいます。また、基礎部分が確認しにくく、状況判断が遅れる可能性もあります。
鉢植えは移動し、地植えの場合は剪定や間引きなどで採光と風通しを確保しましょう。
3-3.水漏れや雨漏りがないかチェック
水漏れや雨漏りによって湿度の高い状態が続けば、シロアリが繁殖しやすくなります。お風呂や洗面所、トイレ、キッチンなど水まわりで水漏れのリスクがないか確認が必要です。特に、浴室が在来工法の場合は、ユニットバスに比べて水漏れが起きる可能性が高いため、入念にチェックしましょう。
3-4.換気口を塞がない
シロアリは日当たりが悪く湿気の多い場所を好むため、しっかりと換気を確保することが大切です。住宅のコンクリート基礎には換気口(通気孔)が設置されており、荷物などで塞いでしまうと床下の通気が悪くなります。荷物や植木鉢などは、換気口の前に置かないようにしましょう。
3-5.シロアリの防除剤や木材防腐剤を散布する
シロアリ防除剤や木材防腐剤を散布する方法もあります。ただし、市販品は効果の持続性が約3ヶ月〜6ヶ月と短いものが多く、こまめに散布する必要があります。また、作業中に埃や床下のカビを吸い込んで体調不良を招く恐れもあるため、不安な場合は業者に相談してみましょう。
4.長期的なシロアリ予防は専門業者に依頼
自分でできる対策を行っていても不安な場合や、床下に潜ることが難しい場合などは、シロアリ対策の専門業者に依頼することを推奨します。
専門業者に依頼することで、家の状態に合わせた適切な防蟻処理を行うことができます。

4-1.シロアリ予防にかかる費用相場
シロアリ予防を業者に依頼する場合の費用相場は、1坪あたり約4,000円〜10,000円(1㎡あたり約1,300円〜3,000円)が目安です。30坪の住宅であれば約12万円〜30万円ほど見ておく必要があります。
ただし、業者ごとにサービスや料金体系が異なる上、シロアリの被害の範囲や程度、基礎の種類、駆除工法などによっても変わります。実際の金額は見積もりを取って確認しましょう。


4-2.シロアリ予防業者の選び方
シロアリ専門業者の選び方のポイントとして、以下の項目が挙げられます。
- 実績が豊富である
- 利用者の評判が良い
- 見積もりの内訳が明瞭である
- 費用相場と比べて安すぎず、高すぎない
- アフターサービスが手厚い
見積もり提示価格が相場と比べて適正かどうかを判断するために、1社だけで判断せず、相見積もりを依頼して比較検討しましょう。また、見積もりの内訳もよく確認することが大切です。
5. まとめ
シロアリの予防は、自分の資産でもある住宅や家族を守るために重要です。新築時の予防処置は約5年間効果が持続すると言われ、5年ごとに対策を講じることが推奨されます。また、廃材や段ボールなどを片付け、水漏れや雨漏りを修理しておくなど、自分でできる対策を日頃から行っておきましょう。
市販のシロアリ防除剤なども有効ですが、自分で床下に潜ることが難しい場合もあるため、無理せず専門業者に依頼することをおすすめします。
業者を選ぶ際には複数の会社から相見積もりを取り、内訳や金額を比較検討することが重要です。リフォームガイドでは、専任のコンシェルジュが希望するリフォームについてお聞きし、ぴったりの優良業者を厳選してご紹介します。納得できるシロアリ予防を行うために、ぜひご相談ください。