放置している空き家はどうするべき?リフォームのメリットデメリットや費用

近年、社会問題となるほど空き家が増加しています。平成30年住宅・土地統計調査によると、空き家の数は全国で848万9千戸。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%にも及びます。所有している空き家をこのまま放置していていいのか、リフォームしてどうにか活用できないか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

空き家をリフォームしたほうがいいのかどうかは、立地・予算などで変わってきます。

この記事では、所有している空き家をリフォームするメリット・デメリットや、リフォームにかかる費用などを解説します。リフォーム以外で空き家を活用する方法も紹介します。

▼住むための空き家リフォームであれば、こちらの記事をご覧ください。

空き家をリフォームして住みたい!費用や注意点、補助金を解説【事例付き】
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1.放置している空き家をリフォームするメリット・デメリット

空き家をリフォームすることには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

1-1.空き家をリフォームするメリット

まずは、メリットから確認しましょう。

賃貸物件として活用しやすくなる

リフォームにより空き家の住宅性能が向上すると、賃貸物件としての活用を考えられるようになります。

「築古なら家賃を下げればいい」と考えてしまいがちですが、どれだけ家賃が安くても、寒くてボロボロの家を借りたいと思う人は多くはありません。リフォームしたうえで貸し出せば、借り主を見つけやすくなるのはもちろん、家賃を下げなくてよくなる可能性も高まります。

買い手が見つかりやすくなる

空き家を売って手放したい場合も、リフォームすることで買い手を見つけやすくなる可能性があります。あまりに状態が悪く、購入後リフォームが必要になるような物件は、市場で敬遠されがちであるためです。

すぐに住める状態にリフォームされていれば、買主は購入後に費用をかけてリフォームしなくてよくなります。そのため前向きに購入を検討してもらえる可能性が高まります。

近隣住民とのトラブルが回避できる

空き家をきちんとリフォームすると、近隣住民とのトラブルも防げるようになります。

たとえば空き家の外観の劣化が進むと景観が悪くなり、近隣エリアの地価に影響する可能性があります。また台風や地震などで外壁材や屋根材が飛散したり、家屋自体が倒壊したりすれば、近隣に被害が及び損害賠償を請求されるかもしれません。

また手入れが行き届かない空き家は、害虫や害獣の住処になることもあるでしょう。空き家リフォームは、そういった問題が原因となり引き起こる、近隣住民とのトラブル防止につながります。

「管理不全空き家」の認定による税負担増を免れる

空き家を放置していると、「管理不全空き家」に指定されて罰金や罰則を受ける可能性があります。「管理不全空き家」とは、建物の外観が劣化し、大幅な修繕や建て替え、解体除去などが必要になったり、敷地の周りに庭木や雑草が生い茂り周辺環境に影響を及ぼしたりする可能性があると自治体が判断した空き家のことです。

管理不全空き家に指定されてしまうと、適切に対処するよう助言や指導がおこなわれます。従わないでいると、建物が建つ土地に対する固定資産税の特例が解除され、税額が約6倍に跳ね上がる可能性もあります。空き家を適切にリフォームして管理していれば、その心配は不要です。

国土交通省|管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)

1-2.空き家をリフォームするデメリット

空き家をリフォームすることには、デメリットもあります。

コストがかかる

空き家をリフォームするもっとも大きなデメリットは、コストがかかることです。空き家のリフォームには、クロスの張り替えなどの軽微な内容であっても8畳で8万〜11万円程度かかります。水回りの設備の入れ替えや外装リフォーム、耐震改修などだと、100万円以上かかるケースもあり、大きな出費になることもあるでしょう。

リフォームをする場合、かけた費用を改修できるのかをよく考えることが大切です。

土地によっては買い手や借り手が見つからない場合も

空き家のリフォームの目的が賃貸や売却であるなら、よく検討する必要があります。費用をかけたからといって、借り手や買い手が必ず見つかるとは限らず、また見つかったとしても相場よりも高く貸したり売れたりする保証もないためです。

かけた費用を回収できない可能性があるので、空き家のリフォームをする前に、市場ニーズがあるかどうかを不動産会社に相談することをおすすめします。


2.空き家リフォームの種類と費用相場

賃貸や売却に備えてのリフォームにかかる費用の目安は以下のとおりです。

2-1.内装リフォーム

空き家の築年数が浅かったり、よくメンテナンスされていたりする場合は、クロスやフローリングを張り替えるだけでも好印象を与えやすくなります。

リフォームの内容 費用の目安 補足
クロスの張り替え 6万~11万円(8畳) クロスのグレードや状態による
フローリングの張り替え 14万〜20万円(8畳) フローリングのグレードによる
畳をフローリングに張り替え 22万〜30万円(8畳) フローリングのグレードによる
内装の全面リフォーム 140万~195万円 壁・天井のクロス貼り換え、床材の張り替えの場合 ※3LDK(約100㎡)

2-2.水回りリフォーム

水回りが古く使いにくいと、借り主に敬遠されてしまいがちです。グレードが低いものであっても入れ替えることを検討してみるとよいでしょう。

リフォームの内容 費用の目安 補足
キッチンの入れ替え 77〜138万円 グレードによる
ユニットバスの入れ替え 90〜138万円 グレードや大きさによる
トイレの入れ替え 27〜48万円 グレードによる

2-3.外装リフォーム

外壁や屋根は、素材によりますが、基本的には10年ごとの塗り替えが必要とされています。素材が劣化し雨漏りが始まってしまうと賃借人とトラブルになる可能性があるので、気になる場合は塗装、必要があれば張替えなどのリフォームを検討しましょう。

リフォームの内容 費用の目安 補足
外壁リフォーム 93万~241万円 塗料の種類やリフォーム内容による
屋根リフォーム 88~252万円 塗料の種類やリフォーム内容による

2-4.耐震リフォーム

耐震性が低い家を賃貸すると、万一の際賃借人に危険が及びます。賃借前に耐震診断を受け耐震補強しておくと安心です。ただし耐震リフォームは費用が高額になる場合があります。次章で紹介する補助金を活用できるか確認し、さらにかけた費用に見合うだけの賃料や売却代金を得られるかよく検討が必要です。

リフォームの内容 費用の目安 補足
耐震診断 10〜40万円 依頼する会社による
耐震補強工事 90〜190万円 床面積や築年数による
耐震補強(耐震リフォーム)にかかる費用はいくら?【床面積&築年数別】に完全解説
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3.空き家リフォームで使える補助金

空き家に対しては、自治体が補助金を用意している場合があるので確認してみるとよいでしょう。

3-1.耐震工事

多くの自治体では、1981年5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準で建てられた家について、耐震診断や耐震補強工事に対する補助金制度を用意しています。

たとえば東京都荒川区では以下のような補助をおこなっています。(2024年1月時点)

対象工事 補助率 上限額
耐震診断 10/10 30万円
耐震設計 2/3 15万円(高齢者世帯だと30万円)
耐震改修 4/5 180万円(高齢者世帯だと360万円)

東京都荒川区|木造・非木造建物耐震化推進事業について

補助内容は自治体によって異なるので、確認するとよいでしょう。

3-2.ブロック塀のリフォーム

空き家の周りをブロック塀で囲っている場合、撤去や新設工事に対しても補助金を交付している自治体が多くあります。

たとえば東京都大田区では、一定の条件を満たすことで、以下の助成を受けられます。(2024年1月時点)

対象工事 補助率 上限額
撤去 撤去費用の2/3または1.6万円×塀の長さ 16万円
新設 新設費用の2/3または1.6万円×塀の長さ 16万円

東京都大田区|ブロック塀等を改修し、フェンス等にしたい方

なおブロック塀に対する助成は、通学路に面しているなど危険性が高いと判断された場合に限るなど条件があるケースが多いようです。空き家がある自治体に確認しましょう。

3-3.塗装リフォーム

自治体によっては、省エネにつながるのであれば屋根や外壁の塗装リフォームに対して助成しているところもあります。たとえば東京都葛飾区では、以下のような制度を設けています。(2024年1月時点)

対象工事 上限額
高反射率塗装 20万円

東京都葛飾区|令和5年度《個人住宅用》かつしかエコ助成金のご案内

住宅リフォームに対する補助金・助成金制度は自治体によってさまざまです。空き家がある自治体でどのような制度があるか、確認するようにしてください。

国の補助金制度も確認!

なお、国主体のリフォームに関する補助金もあります。住みよくするための断熱性能や耐久性を上げるリフォームに対する補助金が多いですので、目的に合うものであれば確認してみると良いでしょう。詳しくは下記のページにまとめています。

【2024年度】リフォームで使える補助金8種類!申請方法も解説
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4.リフォーム以外の空き家活用方法も

リフォーム以外で空き家を活用したい場合、どのような方法があるのでしょうか?

4-1.リフォームせずに売却する

もっとも現実的なのは、リフォームせずに空き家を売却することです。空き家が古く劣化していると「こんな状態だと売れないのでは」と思ってしまいがちです。しかしそのようなケースでも、「空き家」ではなく「古家付き土地」として売る方法もあります。

また人によっては古い空き家を安価で購入し、自分たち好みにリフォームしたい人も多くいます。そういった人たちにとっては、リフォームされた家はむしろ魅力がありません。

処分に困っている空き家があるなら、まずは手を入れずにそのままの状態での売却を検討するとよいでしょう。

4-2.駐車場やレンタルスペースなどにして土地を活用する

空き家がある場所の立地によっては、空き家を解体・撤去して、駐車場や資材置き場などのレンタルスペースとして活用する方法もあります。そうすれば、空き家の維持管理に頭を悩ませる必要がなくなり、さらに不労所得も得られるようになって一石二鳥です。

ただしその場合、更地にするための費用がかかります。解体費の目安は、建物の構造や大きさにもよりますが1坪あたり約6万円。平均的な30坪の住宅だと約180万円かかる計算です。

また空き家があるエリアで、駐車場などの需要があるかの見極めも重要になります。まずは物件があるエリアに強い不動産会社に相談することが大切です。


5.まとめ

空き家をリフォームすれば、賃貸や売却しやすくなる可能性があります。空き家を手放すことができれば、空き家があることによるトラブルを心配する必要もなくなることがメリットです。ただしリフォームしたからといって、必ずしも借り手や買い手が見つかるとは限らない点は理解しておく必要があるでしょう。

空き家リフォームにいくらかかるのかを知りたいときには、リフォームガイドにご相談ください。リフォームガイドでは、ご希望のリフォーム内容をお知らせいただければ、物件があるエリアで対応可能な優良リフォーム会社をご紹介いたします。ご利用は無料ですので、まずは気軽にお問い合わせくださいね。

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