
外壁塗装をするなら、メンテナンス性を考えて、できるだけ長持ちする塗料を選びたいですよね。
外壁塗装で使われるフッ素塗料は、メンテナンス頻度を抑えたい方に人気の塗料です。
しかし、施工する前にフッ素塗料のデメリットについても理解しておきたいものです。
そこで、今回の記事では、フッ素塗料のメリット・デメリットから具体的な費用相場、工事期間まで詳しく解説します。
外壁塗装にかかる費用を抑えるポイントも紹介しますので、長期的な視点で住宅のメンテナンスを考えている方は、ぜひご一読ください。


目次
1.フッ素塗料とは?
フッ素塗料は、主成分である合成樹脂に、蛍石(ほたるいし)を原料としたフッ素を配合した塗料です。外壁塗料の中でも耐久性が高くメンテナンスの手間がかからないため、高層ビルや公共施設などにも使用されています。
他の塗料と比べると価格は高めですが、汚れが付きにくく、塗り直しの頻度を減らせる点で、トータルコストを抑えられるというメリットがあります。
製品によって多少違いがありますが、耐用年数は一般的に15~20年とされており、寿命が長いことも魅力です。
2.フッ素塗料を使うメリットとデメリット
外壁塗装にフッ素塗料を選ぶには、塗料の性質やメリット・デメリットをよく理解しておく必要があります。
ここではフッ素塗料のメリットとデメリットを紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
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2-1.メリット
フッ素塗料のメリットは以下の3つです。
- 耐用年数が非常に長い
- 防カビ性・防藻性がある
- 雨水で汚れを落とせる
詳しくみていきましょう。
耐用年数が非常に長い
フッ素塗料の一番の特徴は、優れた耐久性と耐候性です。外壁塗装で広く使われているシリコン塗料(10~15年)の約1.5倍に相当する、15~20年という長い耐用年数を誇ります。
フッ素樹脂の強力な密着性により、紫外線や風雨に長期間さらされても塗膜の劣化が少なく、建物を保護します。
また、極端な温度変化にも強いため、寒暖差が激しい地域でも安定性が高いのも特長です。ウレタンやシリコンよりも、外壁のメンテナンス頻度を大幅に減らすことができるでしょう。
防カビ性・防藻性がある
フッ素塗料は優れた防カビ性・防藻性も備えています。特に日当たりの悪い北面の壁や、湿気の多い環境でも、カビや藻の発生が防げます。
例えば、幹線道路沿いにあり自動車の排気ガスで汚れやすい環境や、樹木に囲まれていてコケが発生しやすい場所などでは、特に威力を発揮するでしょう。
塗膜自体に防カビ・防藻機能が組み込まれているため、家の美観を長持ちさせられるうえに、定期的な清掃の手間も減らせます。日当たりが悪い環境や、湿気の多い地域、メンテナンスの手間を減らしたい方におすすめです。
雨水で汚れを落とせる
フッ素塗料の特徴の1つが、雨水で汚れを落とせることです。
フッ素塗料には、水になじむ親水性という性質があります。汚れと塗膜の間に水が入り込み、ちりやほこりなど、さまざまな種類の汚れが、自然と雨で流されます。
2-2.デメリット
フッ素塗料のデメリットは以下の2つです。
- 工事価格が高い
- ツヤの選択肢が少ない
- 再塗装時も費用が高くなる可能性がある
詳しく解説していきます。
工事価格が高い
フッ素塗料で外壁塗装をすると、一般的なシリコン塗料と比べて約1.2倍の費用がかかります。特に、坪数がある住宅の塗装では、総額が大きく膨らむ可能性があります。
しかし、耐用年数が15~20年と長いため、塗り替え回数を減らせることを考慮すると、長期的なコストパフォーマンスは決して悪くありません。将来的に長く住み続ける住宅であれば、メンテナンス頻度を減らすという点で、十分に検討する価値があるでしょう。
ツヤの選択肢が少ない
フッ素塗料は基本的にツヤのある仕上がりとなり、ツヤ消しを選ぶことができません。
一般的な塗料は、ツヤ消しから3分艶、5分艶、7分艶、艶ありの5段階で選択でき、好みの光沢に仕上げられます。しかし、フッ素塗料の場合は3分艶以下にツヤを抑えられないため、反射や光沢のないマットな仕上がりにはできません。
ツヤありの塗料は光を反射するため新築のような印象を与えますが、年月とともにツヤの劣化が目立ってくる傾向があります。
また、木造住宅など落ち着いた雰囲気を求める場合には、ツヤの強さが気になることもあるでしょう。
再塗装時も費用が高くなる可能性がある
フッ素塗料は親水性が高いため、再塗装する際には特殊な下塗り材が必要となり、工事費用が通常よりも高くなることがあります。
また、フッ素塗料の施工に慣れている業者を見つけなくてはならず、対応できる業者が限られることも少なくありません。
2-3.フッ素塗料がおすすめな人
このようなフッ素塗料の特徴から、フッ素塗料がおすすめなのは以下のような人です。
- 耐用年数が長い塗料を探している人
- メンテナンスの手間を省きたい人
- ツヤのある外壁の仕上がりで問題ない人
3.フッ素塗料の費用相場と耐用年数
フッ素塗料の費用相場と耐用年数を紹介します。
費用相場と耐用年数を知っておけば予算やメンテナンス計画を立てやすくなるでしょう。
3-1.フッ素塗料の費用相場
フッ素塗料の材料費は、1平方メートル当たり3,000〜3,500円程度です。
30坪の住宅で100万円、40坪では110万円程度かかるでしょう。
3-2.フッ素塗料の耐用年数
外壁にフッ素塗料を用いる場合の耐用年数は15〜20年程度です。
耐用年数が非常に長いため、将来的にメンテナンス頻度を抑えたい方におすすめします。反対に、数年でリフォームする場合や住み替えを予定している方は、他の塗料を比較検討するのも1つの方法です。
4.フッ素塗料と他の塗料を比較
住宅の外壁塗装には、フッ素塗料の他にも、アクリル塗料やウレタン塗料、シリコン塗料など、さまざまな種類があり、費用対効果や耐用年数、性能面で特徴が異なります。
仮に30年間の維持費を比較すると、塗り替え回数の違いから、フッ素塗料が必ずしも高額であるとは限りません。
長期的な住宅の維持管理を考える際は、初期費用だけではなく、塗り替え頻度やメンテナンスコストも含めて総合的に判断してください。
外壁塗装でよく使われる代表的な塗装の種類ごとの耐用年数・費用・特徴は、下表の通りです。
塗装の種類 | 耐用年数 | 費用(/㎡) |
---|---|---|
ウレタン | 8~10年 | 2,000〜2,500円 |
シリコン | 10~15年 | 2,500~3,000円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,000〜3,500円 |
無機 | 20~25年 | 4,000~5,500円 |
5.フッ素塗料の外壁塗装費用を抑える方法
フッ素塗料は高級グレードの塗料であり、他の塗料と比べて価格が高めです。
しかし、対策を知っておくことで、工事費用を適切に抑えることができます。ここでは、費用を抑える具体的な対策を見ていきましょう。
5-1.外壁と屋根を一緒に塗装する
外壁と屋根を同時に塗装することで、大幅なコスト削減が可能です。特に足場設置費用は30坪の住宅で10~15万円程度かかり、別々に工事を行うと、この足場代が2回分(20~30万円)必要となります。
また、同時に施工することによって作業効率が上がり、工期を短縮できるのもメリットの1つです。将来的なメンテナンスサイクルを考えると、10年ごとの塗り替えが必要な場合でも、同時施工することで大幅なコスト削減が期待できるでしょう。
5-2.繁忙期を避ける
外壁塗装は気温5度以上、湿度85%以下という施工条件があるため、春・秋が繁忙期です。一方で、気温や湿度が不安定な夏(特に梅雨時)や冬は閑散期であるため、業者が値引きを提案してくれることもあります。
ただし、天候が安定しないと、工期が延びるリスクもあることを考慮しておきましょう。
業者の空き状況と気候を考慮し、適切な時期を選択すれば、コストを抑えられる可能性があります。
5-3.複数社から見積もりを取る
相見積もりは、適正価格で質の高い施工を依頼するためには重要なステップです。2〜3社かに見積もりを依頼し、使用する塗料のグレードや施工方法、工期などの条件をそろえて比較しましょう。
各社の見積もり内訳を比較することで、相場感が掴め、不要なコストはないかが分かります。特に、相場よりも極端に値段が安いときには注意が必要です。必要な工程を省いていたり、グレードの低い塗料が使われる可能性があるためです。
費用と品質のバランスを見極め、納得のいく値段で工事を依頼しましょう。


6.まとめ
フッ素塗料は、15~20年という長い耐用年数と優れた耐候性を持つ塗料です。防カビ性や防藻性に優れ、親水性が高いため雨水で汚れを落とす効果も期待できます。
費用は一般的なシリコン塗料と比べて約1.2倍と高めですが、塗り替え頻度を少なくできるため、長い目で見ればコストパフォーマンスのよい塗料ともいえます。
ただし、再塗装時には費用が高くなることやツヤの選択肢が限られるといったデメリットもあります。費用を抑えるためにも、複数社から相見積もりを取り、比較検討しましょう。