ラジカル塗料とは?特徴・費用相場・メリットとデメリットを徹底解説!

外壁塗装は頻繁に行う工事ではないため、塗装選びで失敗したくないと思う人は多いでしょう。塗料を調べる中で、高性能な塗料には「ラジカル塗料」があると知り、興味を持っていませんか。

しかし、具体的にどのような塗料なのかを知らないと「本当にラジカル塗料は維持費が抑えられるのか?」「他の塗料と比べてどうなの?」などの疑問が出てくるものです。

そこで今回は、ラジカル塗料に関して以下の項目を解説します。

ラジカル塗料が自宅の塗り替えに適しているか判断したい方は、ぜひご一読ください。

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1.ラジカル塗料とは?

ラジカル塗料は、2012年に日本ペイント社が開発した比較的新しい塗料です。一般的な塗料とは異なり、劣化を引き起こす物質「ラジカル」を制御することに着目した塗料です。高い耐候性と長寿命が特徴で、現在最も人気の高い「シリコン塗装」と並ぶ注目を集めています。

ここでは、ラジカル塗料について、以下の2点を解説します。

  • ラジカルとは
  • 主な成分

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

1-1.ラジカルとは

「ラジカル」とは、外壁や屋根の塗料に含まれる顔料が、酸素・水・紫外線などと接触することで発生する劣化因子です。ラジカルは塗膜の退化を引き起こし、特に「チョーキング」と呼ばれる、塗膜表面が粉状になる劣化現象の原因となります。

ラジカル塗料は、このラジカルの発生を効果的に制御することで、塗膜の劣化を防ぐ新しいタイプの塗料です。シリコン塗料やアクリル塗料のように樹脂の種類で分類されるものではなく、特殊な制御機能に着目して名付けられています。

1-2.主な成分

ラジカル塗料の主要な成分は「高耐候酸化チタン」と「光安定剤」の2つです。
高耐候酸化チタンには「ラジカルバリア」と呼ばれる特殊な機能があり、ラジカルが外に放出されるのを防ぎます。

光安定剤は、既に発生したラジカルを捕捉し、活動を抑制します。

この2つの成分が相互に作用することで、高い耐久性を持つ塗膜を形成します。


2.ラジカル塗料を使うメリットとデメリット

ラジカル塗料には他の塗料よりも優れた点があると同時に、知っておくべきデメリットもあります。

以下ではメリットとデメリットを詳しく解説していきます。

2-1.メリット

ラジカル塗料のメリットは以下の3つです。

  1. 耐候性が高い
  2. さまざまな外壁に塗装できる
  3. 汚れにくい

詳しく確認していきましょう。

耐候性が高い

ラジカル塗料の最大の特徴は、紫外線に対する優れた耐候性です。通常、外壁塗装面は紫外線により劣化し、チョーキング現象(触ると白い粉が付く状態)が発生します。これにより塗膜の撥水(はっすい)性が低下し、雨水の浸透と乾燥の繰り返しでひび割れが起きやすくなります。

ラジカル塗料のメリットは、このような劣化を防げることです。また、既存の塗料にラジカル制御機能を追加したオプションとして考えることができ、比較的手頃な価格で高い耐候性を得られる点もメリットといえるでしょう。

さまざまな外壁に塗装できる

ラジカル塗料は、多様な外壁材との相性の良さが特徴です。

  • 窯業系・金属系サイディング
  • モルタル
  • コンクリート
  • ALCパネル
  • 鋼板
  • 木部 など

上記のように、ほぼ全ての一般的な外壁材に適用できます。

また、塗料の伸びがよく、素材への密着性も優れているため、複雑な形状の外壁でもムラなく塗装できます。これにより、均一で美しい仕上がりが期待できます。

汚れにくい

ラジカル塗料は光沢(つや)が長期間持続し、ほこりやカビ、汚れが付きにくいというメリットもあります。雨水が汚れを洗い流すセルフクリーニング効果もあり、付着した汚れも落としやすいという特徴もあります。

これにより定期的な清掃や塗り替えの頻度を減らすことができます。

2-2.デメリット

ラジカル塗料には2つのデメリットがあります。

  1. 実績が少ない
  2. 色の選択肢が少ない

それぞれ詳しく説明していきます。

2-2-1.実績が少ない

ラジカル塗料は2012年に市場導入された比較的新しい製品です。そのため、長期的な使用実績やデータが蓄積されておらず、耐久性などに関する情報が「予測によるもの」である点は不安材料になるかもしれません。

また、取扱業者も限られており、施工実績も従来の塗料に比べて少ないのが現状です。

2-2-2.色の選択肢が少ない

ラジカル塗料は、その主原料が白色の高耐候酸化チタンです。濃い色の製造が技術的に難しいという特徴があるため、色の選択肢が比較的限られています。

濃い色を希望する場合は、他の種類の塗料を検討した方がいいかもしれません。

希望の色と耐久性のバランスを考慮して、ハウスメーカーの担当者に相談しながら決めるとよいでしょう。


3.ラジカル塗料の費用相場と耐用年数

以下では、ラジカル塗料の費用相場と耐用年数を紹介します。
両方を知っておけば自宅にラジカル塗料が適しているかの判断をしやすくなるでしょう。

3-1.ラジカル塗料の費用相場

ラジカル塗料の材料費は、1平方メートル当たり3,000〜4,500円程度です。
30坪の住宅だと外壁のみで110万円程度となるでしょう。屋根と外壁を一緒に塗装するのなら100〜140万円程度の予算を見積もっておいてください。

3-2.ラジカル塗料の耐用年数

ラジカル塗料の耐用年数は、塗料の種類にもよりますがメーカー発表によると外壁で12〜16年程度です。一般的なシリコン塗料の耐用年数10〜15年と比べると、耐用年数が長いことが分かります。

ただし、ラジカル塗料は新しい塗料のため、耐用年数はメーカーの試験による数値であることは理解しておきましょう。


4.ラジカル塗料とシリコン塗料の違い

耐用年数が長く人気の高い「シリコン塗料」と、どちらを使うか迷う場合も多いようです。
ラジカル塗料とシリコン塗料のどちらを選ぶかを迷ったときには、価格や耐用年数、特徴を比較してみましょう。

塗料の種類 耐用年数 価格(㎡) 特徴
シリコン 10~15年 2,500~3,000円 耐用年数が比較的長く、塗料の選択肢が多い。
価格に幅があり、耐久性に比例する
ラジカル 12~16年 3,000~4,500円 シリコン塗料よりも耐久性がある
ラジカル系の塗料が数多くあり、
メーカーごとの違いを判断しにくい

シリコン塗料の耐用年数は10~15年程度で、価格帯に応じて耐久性が変わります。一方、ラジカル塗料は12~16年と耐用年数はやや長めです。

ラジカル塗料には劣化を抑える効果があるため、より長く外壁の美観を保ちたい場合や、塗装のメンテナンスの頻度を減らしたい場合におすすめします。

価格は、シリコン塗料が1㎡あたり2,500~3,000円、ラジカル塗料が1㎡あたり3,000~4,500円と、ラジカル塗料のほうが高めです。40坪の住宅であれば、シリコン塗料は100万円程度、ラジカル塗料は120万円程度と、20万円の差があります。

ただし、ラジカル塗料は耐用年数が長いため、トータルコストで見るとコストパフォーマンスが高いといえます。一方、塗装にかかる費用を抑えたい場合や10年程度で塗替えを予定している場合には、シリコン塗料を選ぶのも方法の1つです。


5.ラジカル塗料の施工事例

ここからは、ラジカル塗料の実際の施工事例を紹介します。伝統的な和風住宅の美観を守るケースから、黒ずんだ外壁を白く一新するケースまで、さまざまな施工実績があります。それぞれの事例から、ラジカル塗料の特徴と効果を具体的に見ていきましょう。

5-1.​​和の美観を守る外壁塗装

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=1092

築25年の純和風木造住宅で、伝統的な「和」の美観を損なわずに外壁を塗り替えるという難しい要望に応えています。工期12日、費用120万円で施工されました。

使用された塗料は、ラジカル制御機能を持つ「水性無機UVプロテクションコート」です。

施工前は経年劣化による外壁の傷みが目立っていましたが、塗装後は和風な外観を損なうことなく、新築時のような美しさを取り戻せました。さらに、ラジカル塗料の特性により、この美しい状態を長期間維持できることが期待されています。

5-2.黒ずみを落として白の外壁に一新

出典:https://www.manaka-reform-chiba.com/works/paint/works-2/

外壁の黒ずみと棟瓦のゆがみが主な課題でしたが、「スーパーラジカルシリコンGH」を使用した全面的な塗り替えにより、見違えるような仕上がりを実現しました。工事期間は約2.5カ月、費用は170〜200万円(税込み)でした。

施工は下塗り、中塗り、上塗りの3段階で丁寧に行われ、同時に棟瓦の交換も実施しています。白・ベージュ系のカラーを採用することで、明るく清潔感のある外観に生まれ変わりました。

特筆すべきは、ラジカル塗料の特性を生かした黒ずみ防止効果です。従来の塗料では、時間の経過とともに再び黒ずみが発生する可能性がありましたが、ラジカル制御機能により、長期間にわたって美しい白壁を維持できることが期待されています。


6.ラジカル塗料を使う際の注意点と業者の選び方

ラジカル塗料を使う際の注意点と、業者の選びかたとして以下を紹介します。

  1. ラジカル塗料の施工実績がある業者に依頼する
  2. 相見積もりをして工事内容や費用を比較する

2つのポイントを把握して、工事で失敗しないようにしましょう。

6-1.ラジカル塗料の施工実績がある業者に依頼する

ラジカル塗料は新しい塗料のため、施工実績が少ない業者がほとんどです。ラジカル塗料で実際に施工した実績があるか、直接業者に聞いてみることをおすすめします。または、業者の塗装工事のWebサイトをチェックしてみましょう。

6-2.相見積もりをして工事内容や費用を比較する

外壁や屋根を塗装する場合、相見積もりで工事業者を選ぶことをおすすめします。相見積もりとは、複数の業者に同じ工事条件で見積もりを出してもらう方法です。適切な費用で工事しているか判断するために役立ちます。

相見積もりでは以下の3つのポイントをチェックしてください。

  1. 塗料の商品名が記載されているか
  2. 自社施工をしているか
  3. 下塗りや中塗りもしているか

具体的に解説していきます。

6-2-1. 塗料の商品名が記載されているか

業者からの見積書に塗料名が記載されているか確認し、記載があれば本当にラジカル塗料(ラジカル制御形塗料)であるかを塗料メーカーの公式サイトでチェックしましょう。

書かれていない場合や質問に返答がない場合は、違う塗料が使われていたなどのトラブルに発展する恐れがあります。信頼できる回答が得られない場合は、契約を避けた方が無難です。

6-2-2. 自社施工をしているか

見積時に、自社で工事しているか尋ねましょう。自社施工であれば中間マージンをとっていないため、費用が安くなります。また、作業をする職人の技術や知識がしっかりしていることも期待できます。

ただし、自社施工を行っている業者は職人の数に限りがあることも多く、工期が長引く可能性があることは理解しておきましょう。

6-2-3.下塗りや中塗りもしているか

塗料は下塗りと中塗り、上塗りの3回塗りが基本です。
下塗りや中塗りをしないで利益を上げようとする悪徳業者もいるため、注意が必要です。

見積書では、下塗りと、仕上げ塗り2回が記載されているか確認してください。
1つでも工程が抜けていたら依頼するのはおすすめしません。

また、工事後も下塗りや中塗りといった工程ごとに写真を撮ってもらい、全ての工程が適切に行われているかチェックしておきましょう。

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7.まとめ

ラジカル塗料は、外壁塗装で注目されている比較的新しい塗料で、耐久性が高いという特徴があります。比較的手ごろな価格で高いコストパフォーマンスが得られるのも魅力です。

一方で、実績の少なさや色の選択肢が限られる点がデメリットといえます。費用や耐用年数を把握し、信頼できる業者に依頼して後悔のない塗装工事を目指しましょう。

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