
空き家リフォームで補助金を活用したいと考えているものの、どのような制度があるのかわからない方も多いのではないでしょうか。空き家リフォームに対する補助金制度は、多くの自治体から提供されています。また、通常のリフォームに使える補助金制度を、空き家リフォームに活用できる場合もあります。
本記事では、空き家リフォームで活用できる補助金制度を詳しく解説します。空き家をリフォームする際の注意点や活用できる減税制度も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.空き家リフォームで活用できる補助金制度
空き家リフォームを行う際は、さまざまな補助金制度を活用できる可能性があります。補助金制度を活用できればお得にリフォームできるので、他の部分にお金をかけられるかもしれません。空き家リフォームにはどのような補助金制度が使えるのかを解説します。
1-1.空き家リフォームに対する補助金制度
多くの自治体では、空き家の活用促進を目的とした独自の補助金制度が設けられています。
自治体の補助金制度を探す際は、こちらのページで検索できます。もしくは「空き家 リフォーム 補助金 自治体名」などで検索すると、見つけやすくなります。
今回は、例として以下3つの自治体の空き家リフォームに対する補助金制度を表にまとめたので、参考にしてください。
自治体 | 制度名 | 補助金額 | 概要 |
---|---|---|---|
兵庫県の 該当区域 |
空き家 活用支援事業 |
※世帯などのタイプにより最大補助額が変動 |
一戸建てや共同住宅の空き家を 住宅、事業所、地域交流拠点として 活用するための改修に対する 補助金制度 |
熊本県熊本市 | 空き家の リフォーム補助 |
※区域により最大補助額が変動 |
空き家取得後のリフォーム工事や リフォーム済空き家の購入に対しての 補助金制度 |
福井県福井市 | 空き家リフォーム 支援事業 |
|
福井市の空き家情報バンクに 登録された空き家をリフォームする 場合の補助金制度 |
空き家リフォームに対する補助金制度は、自治体によって補助金額や条件が異なります。予算や戸数が決められている補助金制度も多いので、空き家リフォームが決まれば早めに申請するのがおすすめです。
1-2.空き家リフォームで活用できる可能性のある補助金制度
空き家リフォームに対する補助金制度でなくても、国が用意している以下のような補助金制度を活用できるケースもあります。
他にもさまざまな補助金制度があり、なかには空き家リフォームに利用できるものもあるかもしれません。以下の記事でリフォームに活用できる補助金制度を詳しく紹介しているので、チェックしてみてください。
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1-2-1.先進的窓リノベ事業
「先進的窓リノベ事業」は、断熱性能の高い窓や玄関ドアに交換するリフォームに対して受けられる補助金制度です。対象工事や補助金額などは以下のとおりです。
対象リフォーム |
|
---|---|
補助金額 | 200万円/戸(上限) ※補助額が5万円未満の場合は申請不可 |
申請受付期間 | 2025年3月31日~2025年12月31日 ※予算に達した時点で受付終了 |
申請条件 | 以下3つの条件に当てはまる人が申請対象
|
空き家リフォームで窓を中心に断熱性を高めようと考えている方は「先進的窓リノベ事業」を活用しましょう。


1-2-2.既存住宅における断熱リフォーム支援事業
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、既存住宅で高性能建材を使って断熱リフォームを行った場合に受けられる補助金制度です。戸建て住宅で断熱改修と同時に以下の設備などを導入した場合も、補助を受けられます。
- 家庭用蓄電システム
- 家庭用蓄熱設備
- 熱交換型換気設備
なおマンションなどの集合住宅でも、断熱改修と同時に熱交換型換気設備を導入すれば、その分も支援されます。その他「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」の概要は、以下のとおりです。
対象リフォーム |
または
|
---|---|
補助率 | 補助対象経費の3分の1以内 |
補助金額上限 | 【戸建て住宅】 1戸あたり120万円(玄関ドア5万円を含む)
【集合住宅】 1戸あたり15万円(玄関ドアも改修する場合は1戸あたり20万円)
|
公募期間 | 2025年3月24日~2025年6月13日 |
申請条件 | 以下3つの条件に当てはまる人が申請対象
|
出典:公益財団法人北海道環境財団「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」
断熱材や高性能な家庭用設備を導入して建物全体の断熱性を高めたい場合「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、とくに活用したい補助金制度の1つです。


1-2-3.長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、既存住宅の長寿命化・省エネ化などの性能向上や、子育て世帯向けのリフォームに対して補助金を受けられる制度です。
対象リフォーム | 【性能向上リフォーム工事】
【三世代同居対応改修工事】 【子育て世帯向け改修工事】 【防災性・レジリエンス性向上改修工事】 |
---|---|
補助金額 | 上限80~160万円/戸(対象費用の3分の1) ※以下の改修を行う場合は最大50万円の加算
|
申請受付期間 | 2025年3月31日~2025年12月31日 ※予算に達した時点で受付終了 |
申請条件 |
|
出典:国土交通省「令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業」
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、空き家の耐震改修や省エネ化などの大規模リフォームを行う場合におすすめできる補助金制度です。


2.空き家リフォームを行う際の注意点
空き家リフォームを行う際は、以下の点に注意しなければなりません。
2-1.大規模リフォームをするなら再建築不可物件は避ける
再建築不可物件は、建築確認申請が必要な増改築などの大規模リフォームができません。そのため、大規模リフォームをする場合は、再建築不可物件を購入するのは避けたほうがよいでしょう。土地の調整をすれば大規模リフォームができるかもしれませんが、多大な手間と費用が発生します。
- 「再建築不可物件」とは
- 現行の建築基準法に適合していないことによって、建て替えや増改築ができない物件のことです。幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければならない「接道義務」を満たしていないケースがとくに多く見られます。
- 「建築確認申請」とは
- 建築予定の建物が建築基準法に合致していることを証明してもらうための審査を依頼する手続きのことです。建て替えや増改築などを行う際は、建築確認申請をして自治体から許可を得なければなりません。
空き家リフォームに限らず物件を購入する際は、不動産業者や建築士に確認して法的な制限がないか、建築確認に必要な書類が揃っているかなどを調べておきましょう。
建築確認が必要ない、水回りや内装のみの改装のような部分的なリフォームなら再建築不可物件でも可能ですが、再建築不可の状態のままにしていると、建物の資産価値が低くなる点には注意してください。


2-2.見えない部分が劣化している可能性がある
空き家は築年数が経過していることが多く、内部構造の劣化が進行していた場合は、見た目だけでは判断できません。とくに注意すべき箇所は、以下のとおりです。
- 構造材(木材)の腐食や白蟻被害
- 水回りの配管の劣化
- 電気配線の老朽化
プロによるホームインスペクション(住宅診断)を実施すれば、内部の劣化を発見できます。すでに実施されているケースもあるので、物件を探す際に不動産業者へ確認しておきましょう。
空き家をリフォームする際は、見えない部分の劣化の修繕など、想定外の費用が発生することを見込んで予算を見積もっておくことをおすすめします。


2-3.補助金制度を利用時は期限や条件を確認する
空き家リフォームで補助金制度を利用する際は、申請期限や条件を確認しておきましょう。ほとんどの補助金制度には申請期限が決められていて、過ぎてしまうと申請できなくなってしまいます。期限が設定されていても、予算に達した段階で受付が終了になる補助金制度も多いため、注意してください。
補助金制度には申請期限以外にもさまざまな条件が設けられており、条件を満たさなければ補助を受けられません。例えば、空き家リフォームで自治体の補助金制度を利用する際は、対象地域や築年数などの条件が設けられているケースがあります。リフォーム前に条件などの詳細を確認しておき、スムーズに申請できるようにしておきましょう。
3.空き家リフォームで利用できる減税制度
空き家リフォームでは、補助金制度だけでなく以下のような減税制度も利用できる可能性があります。
- 所得税の控除
- 固定資産税の減額
3-1.所得税の控除
リフォーム工事の際に受けられる所得税控除の対象工事や控除額は、以下のとおりです。
対象工事(いずれか必須) | 対象工事限度額 | 控除率 | 最大控除額 | |
---|---|---|---|---|
耐震 | 250万円 | 10% | 62.5万円 | |
バリアフリー | 200万円 | 60万円 | ||
省エネ | 250万円(350万円 ※) | 62.5万円 | ||
三世代同居 | 250万円 | 62.5万円 | ||
長期優良化住宅 | 耐震+省エネ+耐久性向上 | 500万円(600万円 ※) | 75万円(80万円 ※) | |
耐震or省エネ+耐久性向上 | 250万円(350万円 ※) | 62.5万円(67.5万円 ※) | ||
子育て | 250万円 | 62.5万円 |
※カッコ内の金額は太陽光発電設備を設置する場合
出典:国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」
これらの工事を行った場合、対象工事限度額を超えた分やその他のリフォームも、5%の所得税控除が適用されます。ただし、最大控除額は変わりません。
3-2.固定資産税の減額
対象のリフォーム工事を行った場合、固定資産税の減額を受けられるケースもあります。
対象工事 | 減額割合 | 減額期間 |
---|---|---|
耐震 | 1/2 | 1年 ※ |
バリアフリー | 1/3 | 1年 |
省エネ | 1/3 | 1年 |
長期優良住宅化リフォーム (耐震・省エネのいずれかを行うことが必須) |
2/3 | 1年 ※ |
※特に重要な避難路として自治体が指定する道路の沿道にある住宅の耐震改修は2年間1/2減額
(長期優良住宅化リフォームの場合は1年目2/3減額、2年目1/2減額)
補助金制度だけでなく、これらの減税制度も活用することでリフォーム費用を抑えられます。


4.空き家リフォームを行う際の業者選びは慎重に!
空き家リフォームは築年数が経過している建物が多く、内部構造に手を加えなければならないこともあります。複雑なリフォーム工事になりやすいため、慎重に業者を選びましょう。
最初から1社に絞るのではなく複数のリフォーム業者に見積もりを取れば、適正価格を把握しやすくなります。また、業者によって得意なリフォームが異なります。相性のよいリフォーム業者を選ぶためにも、複数の業者への相見積もりは効果的です。
空き家をリフォームする場合は、ホームインスペクション(住宅診断)の実績がある業者だと安心して工事を任せられます。リフォーム業者を選ぶ際はコストを優先にしてしまいがちですが、他の部分も総合的に考えて決めるようにしましょう。
5.まとめ
今回は、空き家リフォームで活用できる補助金制度や注意点を解説しました。空き家リフォームで活用できる補助金制度は多くの自治体が提供しているので、ネット検索などを活用して探してみましょう。なお、空き家に特化したものではなく、リフォーム全般に対する補助金制度を利用できる可能性もあります。
空き家は築年数が経過している場合が多いので、リフォームの際は見えない部分の劣化に注意してください。また、再建築不可物件は大規模なリフォームができず資産価値も低くなるので、購入の際は慎重に検討したほうがよいかもしれません。本記事を参考にして補助金制度を活用し、空き家をお得にリフォームできるようにしましょう。