
建物の外壁に使われる塗料の一種に、光触媒塗料というものがあります。汚れがつきにくく、外壁のメンテナンスが簡単になることから人気の塗料です。
「そもそも光触媒塗料とは何?どんな効果があるの?」
「外壁に使うメリット・デメリットとは?」
「光触媒塗料を使った外壁塗装の費用はどのくらい?」
上のような、光触媒塗料に関する疑問を持つ方もいるでしょう。そこで今回は、光触媒塗料の基本知識や外壁塗装で使うメリット・デメリット、費用相場、注意点などについて詳しく解説します。我が家に合った外壁塗装の塗料選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.外壁に使用される光触媒塗料とは?
光触媒塗料とは、酸化チタンを主成分とするセルフクリーニング機能を有する塗料です。太陽光に含まれる紫外線と酸化チタンが化学反応を起こすことで、外壁に付着する塵や排気ガスなどの汚れを分解します。
また、親水性を高められるのも光触媒塗料の特徴です。外壁の親水性が高まると、雨水がかかった際に水の膜が形成され、付着した汚れが浮いて洗い流されるため、汚れがつきにくい外壁になります。
主成分の酸化チタンは、化粧品や食品などの着色料としてもよく使われる成分です。人体に対して特に悪影響を与える心配はないので、安心して光触媒塗料を使用できます。
光触媒の種類
光触媒塗料は、紫外線型と可視光型の2種類に分けられます。光触媒の効果に少し違いがあるので、特徴を知った上で塗料を選択するとよいでしょう。紫外線型と可視光型のそれぞれの特徴は以下のとおりです。
紫外線型
紫外線型は、塗料に太陽光の紫外線が当たることで化学反応が起き、光触媒の効果が発揮されます。セルフクリーニング機能を発揮させるためには紫外線が必須となるため、外壁など屋外での使用が前提です。
太陽光が当たりにくい場所では光触媒の効果が発揮されず、汚れを分解しきれない点に注意しましょう。
可視光型
可視光型は、太陽光以外の光にも反応して光触媒効果を発揮するのが特徴です。紫外線型では反応しない蛍光灯やLED照明といった照明の光でもセルフクリーニング機能が発動するので、内装塗装にも適している塗料です。
光触媒の効果で塗料を選ぶとすれば、幅広い光に反応する可視光型が優れていると言えるでしょう。紫外線が当たりにくい部分も屋外に設置する照明などが当たる位置であれば、セルフクリーニング機能によって長期にわたって外壁の美観を保つことが可能です。
2.光触媒を外壁で使うメリットとデメリット
光触媒を外壁で使う場合、多くのメリットとデメリットがあります。メリットがわからなければ、自宅に適した塗料かどうかが判断できません。デメリットを知らずに使うと、工事後にトラブルを招くでしょう。
光触媒のメリット・デメリットをまとめると、以下の表のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
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2-1.メリット
光触媒塗料のメリット3つを解説します。
汚れにくい
外壁で使う光触媒塗料のメリットは汚れにくいことです。セルフクリーニング機能によって汚れが分解して浮いてくるため、軽い洗浄をするだけで落としやすくなります。
汚れが勝手に落ちる
光触媒塗料の「セルフクリーニング機能」には、汚れを自動で落とす効果があります。紫外線で分解した汚れは接着性が弱いため、雨が降った際に勝手に流れ落ちるのです。
ただし、雨が当たらない場所に光触媒を塗装してしまうと汚れは落ちにくいため注意が必要です。
空気の清浄機能がある
光触媒塗料には空気を清浄して臭いを分解する機能もあります。
外壁に塗装するだけで住宅の周囲の空気を清浄してくれるため、悪臭が減るだけではなく環境にも優しいです。
2-2.デメリット
光触媒塗料のデメリットを解説します。
価格が高い
光触媒塗料は、通常の塗料と比べて1.5~2倍ほど価格が高くなります。これは材料自体が高コストなことと、工期が長くなることが主な理由です。
光触媒塗料は乾燥に時間がかかり、気候条件に左右されやすいため、工期が長くなる傾向があります。これにより人件費が増加し工事費用が高くなるのです。また塗料の性質として、粘り気が少なく扱いが難しいため、慣れていない職人が施工すると時間がかかることもあります。
依頼する業者に、光触媒塗料を使った塗装実績があるかどうかを確認すると良いでしょう。
施工できる業者が少ない
光触媒の塗料は施工できる業者が少ないのもデメリットです。理由は、工事の難易度が高いため熟練の職人でなければ施工できないためです。
業者選びに失敗すると、汚れを落とすセルフクリーニング効果が十分に発揮されない可能性があります。
すべての汚れを落とせるわけではない
光触媒はすべての汚れを落とせるわけではありません。セルフクリーニング機能で落とせる汚れは、手垢や植物の種子のような有機質の汚れです。
サビや砂といった無機質な汚れは落ちにくいです。このため、サビができやすく砂の影響を受けやすい海浜地区に使っても効果は薄いと考えられます。
3.光触媒が向いている人とは?
光触媒塗料が向いている人の特徴を知ることで、外壁塗装で採用するべきか検討しやすくなるでしょう。
光触媒がおすすめの人の特徴は以下のとおりです。
3-1.白系の外壁を希望する人
白系の外壁は汚れが目立ちやすく、きれいな美観を維持するためには、定期的に掃除などの手入れが必要です。メンテナンスを業者に頼むとコストがかかりますし、高い位置の外壁を自分で掃除するのは危険がともないおすすめできません。
そこで光触媒塗料を採用すると、外壁全体の防汚性を高めて美しい美観を保つことが可能です。
白系の外壁で塗装を考えている人は、光触媒塗料を視野に入れていいでしょう。
3-2.長期的にメンテナンス費用を抑えたい人
外壁のメンテナンス費用を抑えたい人にも光触媒はおすすめです。
外壁に塗った塗料は経年劣化によって機能がおとろえ、外壁を保護する力が失われます。外壁の保護機能を取り戻すためには、塗料の耐用年数に合わせて再度塗装メンテナンスや、場合によっては張替え工事が必要になります。
一般的な塗料の耐用年数は、アクリル塗料で6~8年、ウレタン塗料で8~10年、シリコン塗料で10~15年、フッ素塗料で15~20年です。これに対して、周辺の環境にもよりますが、光触媒塗料の耐用年数も15~20年と長めです。
1回の外壁塗装の価格は高くなりますが、全体的な塗装回数が減れば、総合的に見ると耐用年数が短い安価の塗料よりもコストを抑えられる可能性があります。


4.光触媒を外壁に使う場合にかかる費用
光触媒を使って外壁塗装をする場合、総工事費は30坪程度の住宅で80〜110万円です。金額は業者や塗料によって変わるため、目安程度に考えましょう。
光触媒塗料の材料単価は1平方メートルあたり3,500〜5,000円程度です。一般的な30坪の住宅の場合、100〜140平方メートル程度の外壁面積になることが多いです。
商品によって価格に差があるため一概にいくらとは断言できませんが、予算を考える際は上記を目安にするとよいでしょう。
少しでも安い価格で工事をしたい場合は、「自社施工」をしている業者に依頼することがおすすめです。ハウスメーカーやホームセンターなどは下請け業者を使うため仲介料がかかり、費用が高くなるでしょう。
5.光触媒を外壁に使った場合の耐用年数
光触媒塗料を外壁に使った場合の耐用年数は15〜20年です。外壁塗装でも長寿命と言われるフッ素塗料と同程度かやや長い耐用年数があります。
ただし、光触媒塗料の耐用年数はメーカー公表のものです。塗料自体が新しく、20年を超えた実例がないため、実際の耐用年数はさらに長い可能性があります。
ただし、メンテナンス頻度は少ないものの、完全にメンテナンスが不要というわけではないため、定期的な点検や手入れは必要です。


6.光触媒を外壁に使う場合の注意点
外壁塗装で光触媒を使う場合には5つの注意点があります。
- 光触媒の塗り替えは特殊塗料が必要
- 詐欺業者が多い
- 信頼性が高い塗料がほとんどない
- 雨が当たらない場所だと効果が薄い
- 一部の外壁には利用できない
工事後に後悔しないためにも、しっかり確認しておきましょう。
6-1.光触媒の塗り替えは特殊塗料が必要
光触媒を塗って外壁を塗り替える場合、特殊な下塗り材が必要です。一般的な下塗り材では施工できないため費用が高額になることがあります。
また、知識がない業者に依頼すると下塗り材を間違えて塗り替え後の塗料が剥がれるリスクもあるでしょう。
汚れがつきにくい性質がある光触媒は塗料も密着しにくく、専用の下塗り材がなければすぐに剥がれてしまいます。
光触媒を塗装した外壁を塗り替える際は、専用の下塗り材を使うかどうかを業者に確認してください。
6-2.詐欺業者が多い
光触媒はマイナーな塗料のため費用相場がわかりにくいです。このため、高額な工事費を請求したり実績がない光触媒の塗料を使ったりする業者が存在します。
まずは複数の業者に見積もりを依頼する「相見積もり」を行って業者の選定をしましょう。
価格や工事内容が他社とあまりにも違う場合は、業者に具体的な理由を尋ねるようにしましょう。価格が安すぎる場合も慎重になり、追加工事の可能性がないかどうか確認してください。
契約書を交わすときも、契約内容や見積もりを熟読しながらすすめましょう。


6-3.信頼性が高い塗料が少ない
ほかの塗料と比べて光触媒塗料を選ぶ人は少なく、現在、市場に出回っている光触媒塗料は、実績が十分に蓄積されている商品が少ないのが状況です。かつて光触媒塗料の代表的な存在であったTOTOの「ハイドロテクトコート」は、高い知名度と信頼性を誇っていましたが、2017年に販売が終了しました。
そのため、現在の光触媒塗料は豊富な実績を持つ商品が限られているのが現状です。ただし、新しい光触媒塗料が次々に登場しているため、将来的には信頼性の高い商品が増えてくる可能性があります。
光触媒塗料を選ぶ際には、施工後の家がどのような状態になっているかを確認することが重要です。実績がある塗料を使用したい方は、無理に光触媒塗料にこだわらず、実績のあるシリコンやフッ素塗料を選択するのも一つの選択です。
6-4.雨が当たらない場所だと効果が薄い
光触媒には太陽光で汚れを浮かせて雨で洗い流す機能があります。しかし、いくら汚れを浮かせても雨が降らなければ洗い流されることはありません。また、日が当たらない場所も、汚れを浮かせることができず効果が発揮できません。
庇などによって外壁の一部に雨や日が当たらない家だと効果は薄くなるため、ご自宅の外壁は均一に雨や日が当たるかどうかを確認してください。
6-5.一部の外壁には利用できない
現状出回っている光触媒塗料は、一部の外壁には利用できません。ご自宅の外壁に光触媒塗料が使えるかどうかは、外壁塗装を行う業者にしっかり確認してもらうことが大切です。
一部のみ使える場合、他の塗料と組み合わせて外壁塗装を行うことになります。その場合、塗料の種類によって機能面や費用、耐用年数などに違いが生じるので、その点に注意して組み合わせる塗料を選んでください。
また、外壁塗装では同時に屋根塗装を行うケースもあります。屋根は紫外線や雨が当たりやすいので光触媒効果の恩恵を受けやすい部分ですが、2024年10月時点で屋根に使える光触媒塗料はありません。
外壁と屋根を同時に塗装する際は、今後のメンテナンス周期や耐久性に考慮して屋根に使用する塗料を選びましょう。耐久力の高い塗料には、フッ素系塗料や無機塗料などが挙げられます。


7.まとめ
光触媒は外壁のメンテナンスの手間を減らせます。一方で、価格が高く、信頼できる塗料が少ないという問題点があります。
光触媒塗料を採用すれば、外壁の汚れを防ぎ、メンテナンスの手間を軽減できる可能性があります。ただし、費用が高い点や、すべての汚れを落とせるわけではないという注意点もあります。
外壁塗装の塗料選びでは、光触媒塗料の特徴やメリット・デメリットをしっかり理解し、自宅に適した塗料を選ぶことが大切です。長期的な視点でメンテナンスやコストを考慮しながら、信頼できる業者に相談して、ご自身に合った選択をしてください。
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