家の塀の修繕からリフォーム、注意点まで完全解説【当て逃げ対応も】

家の塀

塀の劣化や崩れが気になったとき、修繕や交換、庭を広くするために撤去するのかで、悩む方も多いでしょう。しかし塀を自己判断でリフォームすると、隣人トラブルに発展することも。リフォーム方法は慎重に検討しなくてはなりません。

そこで本記事では、塀の修繕やリフォームの選択肢や注意点、費用相場を解説します。
リフォーム事例や当て逃げされたときの対処法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


1.家の塀をなくすとトラブルのもとにも。家の塀の必要性

そもそも塀をなぜ設置するのか、必要性を改めて確認してみましょう。

塀の必要性

  • プライバシーを確保するため
  • 隣家との敷地の境界を明確にするため
  • 防犯対策のため
  • 外観デザインのため

このように、塀にはさまざまな役割があります。
とくに隣家との距離が近かったり前面道路が大通りに面していたりするのなら、プライバシーの確保や境界を明確化させるためにも塀は必要です。

また冒頭でもお伝えしたように、自己判断で塀を撤去すると近隣トラブルの原因になるリスクがあります。たとえば「所有物が相手、または自分の敷地に置いてある」「植栽が相手、または自分の敷地まで侵入していた」などのトラブルは、塀がない家で起こりがちです。

最近では塀やフェンスを設けない『オープン外構』にする方が増えていますが、上記の観点からも、敷地面積に余裕があるのなら塀はあったほうがよいでしょう。

オープン外構の家とは


2.【目的別】おすすめの塀の種類と特徴

塀には主に次のような種類があります。

  • コンクリートブロック塀
  • 化粧ブロック塀
  • コンクリート塀
  • 石積み塀
  • レンガ塀
  • タイル貼り塀
  • 塗り壁

それぞれ見た目や耐久性、費用などが異なるので、塀を設置する目的に合わせて種類を選ぶのがポイントです。以下に具体例を見ていきましょう。

2-1.プライバシーを確保したいなら|コンクリートブロック塀・化粧ブロック塀

コンクリート塀イメージ

隣家や通行人からの視線を遮りたいのなら、コンクリートブロック塀または化粧ブロック塀が適しています。どちらも耐久性と防火性に優れており、耐用年数は30年ほど。シンプルなつくりのコンクリートブロック塀ならば、比較的安価に設置できます。
デザイン性を求める方には、表面が凸凹になっている化粧ブロック塀がおすすめです。

2-2.セキュリティ重視なら|コンクリート塀・石積み塀

石積塀イメージ

防犯面を考慮するのなら、強度が高いコンクリート塀や石積み塀が適しています。
コンクリート塀は現場で型枠にコンクリートを流し込んでつくるので、基礎部分と塀を一体化できるのがポイント。土留めも兼ねて、地盤を強化することができます

また和風や和モダン、ログハウス風の住宅には、耐久性と耐火性が高い石積み塀がおすすめ。セキュリティ面はもちろん、外構の一部として重厚感も演出できます。

2-3.防風対策なら|ブロック塀

ブロック塀イメージ

沿岸部や山間部などの風が強い地域の防風対策なら、基本的にどの塀でも対応できます。どれも一定の重量があるため、塀の高ささえ気を付ければしっかり風を防いでくれるでしょう。

ただし住宅を完全に塀で囲ってしまうと風通しが悪くなってしまう心配があるので、あえて風通しのよいフェンスに置き換えるのもひとつの方法です。隙間の多いフェンスはほどよく風を通すので、通風も確保しつつ強風の影響を和らげられるでしょう。

2-4 .デザイン性重視なら|タイル貼り塀・レンガ塀・塗り壁

タイル塀イメージ

塀としての役割だけではなくデザイン性も重視したいのなら、タイル貼り塀、レンガ塀、塗り壁のいずれかがおすすめです。
タイルやレンガは庭との調和が取りやすいので、塀を設置しても違和感や圧迫感が出る心配がありません。

塗り壁は住宅に合わせた色に塗装でき、左官仕上げにすれば意匠性を持たせられます。
「外観デザインが崩れそう」「圧迫感が出そう」などの心配がある方は、デザイン性も考慮しながら塀の種類を選ぶとよいでしょう。

2-5.コストパフォーマンス重視なら|コンクリートブロック塀

コンクリートブロック塀イメージ

できるだけ塀の交換費用を抑えたいのなら、コンクリートブロック塀がおすすめです。
シンプルな見た目ではあるものの、耐久性と耐火性が高く、コストパフォーマンスにも優れています。
塀の設置に具体的にどのくらいの費用がかかるのかは、次章で見ていきましょう。


3.家の塀のリフォームの方法と費用相場

修繕や交換を考えたとき、一番気になるのが費用面だと思います。
ここでは修繕、塗装、交換、フェンスへの交換、撤去の5種類の費用相場を確認しておきましょう。

3-1.家の塀の修繕費用

塀のひび割れや欠け、崩れなら、全体を交換せずとも部分的な修繕で対応できる可能性があります。費用相場は以下のとおりです。

補修内容 費用相場
ひび割れ補修(1か所あたり) 5,000円~10,000円
ブロック塀の一部交換(1㎡あたり) 10,000円~20,000円

ブロックのひび割れならば補修材を充填し、欠けや崩れはブロックの部分的な交換で対応できます。しかし施工範囲が広い場合や、全体的に劣化が目立つようであれば、全体を交換したほうが結果的に費用を抑えられることも。
塀の状態や設置年数なども加味して、修繕と交換のどちらが適しているのかを考えてみてください。

3-2.家の塀の塗装費用

塀を再塗装するときには、高圧洗浄、下地処理、塗装の3つの工程を行います。
それぞれの費用相場を見てみましょう。

作業工程 費用相場(1㎡あたり)
高圧洗浄 200~300円
下地処理 1,000円~
塗装 塗装:1,500円~
左官仕上げ:4,000円~

塀の洗浄後にひび割れや欠け、崩れなどが出てきた場合は、モルタルで補修をしてからの作業となります。状態によって下地処理の費用は変わってきますが、1,000円/㎡〜が相場です。
塗装費用は塗料の価格によって大きく変わりますが、費用を抑えたい方には硬化剤が不要な『1液型水性塗料』がおすすめ。ブロック塀との相性がよく、きれいに仕上がります。

また、塀に意匠性を持たせたい方は左官仕上げにする選択肢もありますが、職人が手作業で仕上げるため、施工費用が高くなります。
一般的な塀の塗り替え目安は5年間隔なので、その点も踏まえて塗料を選びましょう。

3-3.家の塀の交換費用

塀を交換するときには、既存塀の解体、廃材処分、基礎工事、塀の設置費用がかかります。
それぞれの費用相場は以下のとおりです。

作業工程 費用相場(1㎡あたり)
既存塀の解体 5,000円~10,000円
廃材処分費
(2tトラック1台あたり)
30,000~50,000円
基礎工事 15,000~20,000円
塀の設置 コンクリートブロック塀:14,000〜25,000円
化粧ブロック塀:15,000円~60,000円
コンクリート塀:15,000~20,000円
石積み塀:30,000~50,000円
レンガ塀:8,000~15,000円
タイル貼り塀:25,000円~
塗り壁(塀の塗装):3,000~7,000円

既存塀の解体と基礎工事の費用相場は共通ですが、塀の設置費用は種類によって大きく異なります。コンクリートブロック塀や化粧ブロック塀、コンクリート塀、レンガ塀ならば比較的費用を抑えられますが、石積み塀やタイル貼り塀は高額です。

なお、塗り壁については、塀の設置費用に追加で塀の塗装費用がかかります。
施工範囲が広くなればその分費用も高くなるので、数種類分で見積もりをもらい、比較検討したほうがよいでしょう。

3-4.塀をフェンスに置き換える費用

既存の塀を撤去してフェンスへと交換する場合も、塀の交換と同様に既存塀の解体、廃材処分、基礎工事、塀の設置費用がかかります。それぞれの費用相場を見てみましょう。

作業工程 費用相場
既存塀の解体(1㎡あたり) 5,000円~10,000円
廃材処分費
(2tトラック1台あたり)
30,000~50,000円
基礎工事(1mあたり) 10,000円~
フェンスの新設(1mあたり) アルミ製:10,000~20,000円
樹脂製:20,000~30,000円

フェンスを新設する際には、基礎部分に固定用のブロックを積むのが一般的です。費用は10,000円/㎡〜が相場。ブロック塀への交換よりも、費用をやや抑えられます。

また、フェンスの設置費用は素材によって異なり、アルミ製で10,000〜20,000円/㎡、樹脂製で20,000〜30,000円/㎡が相場です。
フェンスはデザインラインナップがとても豊富で、シンプルなものや木目調などさまざまなデザインがあります。

3-5.家の塀の撤去費用

既存塀を撤去するときには、解体、廃材処分、補修工事費用がかかります。
費用相場は以下のとおりです。

補修内容 費用相場
既存塀の解体(1㎡あたり) 5,000円~10,000円
廃材処分費
(2tトラック1台あたり)
30,000~50,000円
補修工事(1㎡あたり) 3,000~8,000円

塀を撤去するときには既存塀の解体・処分費用だけではなく、補修工事の費用も必要です。補修工事では塀撤去後の地面を整えたり、モルタルなどで補修したりします。
「地面はそのままでいい」「自分で整えよう」と思うかもしれませんが、近隣トラブルを避けるためにも、塀の撤去後の仕上げまで専門家に任せることをおすすめします


4.家の塀をリフォームするときの注意点

塀のリフォームを行うときには、いくつか知っておきたい注意点があります。

  • 建築基準法により高さや構造に制限がある
  • 近隣トラブルにならないリフォーム計画を
  • 倒壊の恐れがある塀は補修に補助金が出る可能性が

知らずにリフォームするとトラブルになる恐れがありますので、しっかりと目を通してください。

4-1.建築基準法により高さや構造に制限がある

ブロック塀を設置するときには、建築基準法によっていくつか制限があります。
主な内容は以下のとおりです。

建築基準法による塀の制限の例

  • 高さ2.2m以下にする
  • 塀の厚さは10cm以上にする(塀の高さが2m超2.2m以下の場合は15cm以上)
  • 基礎を設置する
  • 塀の中に9mm以上の鉄筋を縦横80cm間隔で配筋する

これらの制限は、地震や強風の影響による倒壊の危険性を低減するために設けられています。リフォーム会社に依頼する場合は建築基準法に適合するように設置してもらえますが、上記のような制限があることは、覚えておきましょう。

4-2.近隣トラブルにならないリフォーム計画を

ブロック塀が敷地内にある場合は自分の所有物になりますが、境界線上にあるのなら隣人との共同財産になっている可能性があります。とくに中古住宅や土地を購入したときから塀があった土地などは、ブロック塀の所有者が曖昧になっていることも珍しくありません。
共有財産を勝手に撤去すると近隣トラブルになりかねないため、まずはブロック塀の所有者を確認しておきましょう。

所有者が自分であれば隣家の許可なく撤去やリフォームできますが、境界線付近での作業になるため声かけや粗品の用意など、近隣住民への配慮を忘れずに。

4-3.倒壊の恐れがある塀は補修に補助金が出る可能性が

ブロック塀に倒壊の恐れがある場合や通学路に面している場合などは、解体費の一部が補助されることも。対象条件や補助額などは自治体ごとに異なるため、窓口やホームページなどで確認してみるとよいでしょう。
補助金の支給例を紹介した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。

【外構工事・エクステリアリフォーム】費用・補助金・事例16選
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5.家の塀はDIYでリフォームできる?

3章『家の塀のリフォームの方法と費用相場』内で説明したように、塀のリフォームにはさまざまな費用がかかります。少しでも安く済ませるために「DIYをしてみよう」と考えるかもしれません。しかし、塀の交換や解体などを自分で作業するのはおすすめしません。

ブロック塀の交換には解体や基礎工事などの専門知識が求められる作業が多く、隣地との境界線の確認や建築基準法を守りながらの作業となります。安易に自分で行うと失敗のリスクだけではなく、隣人に迷惑をかけてしまう心配があるからです。

ひび割れの補修のような簡単な作業であれば自分で行えるかもしれませんが、交換や撤去などの大がかりな作業はリフォーム会社へ依頼しましょう


6.家の塀のリフォーム事例

ここまで塀の種類や費用、注意点などをお伝えしてきましたが、実際に自宅の塀をリフォームした方が、どのような工事をしたのかも気になるところです。
ここでは、塀のリフォーム事例を3つ紹介します。

6-1.老朽化したブロック塀をフェンスに一新

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事例1-1
事例1-2

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事例1-3
事例1-4
築年数 35年
費用 138万円
工期 1ヶ月

新築から35年経ち、変色や劣化が目立っていた塀をフェンスへと一新した事例です。
人通りが多くプライバシーを確保したい玄関前には目隠しフェンスを設置し、敷地と道路を区切りつつも広く見せたい庭部分にはメッシュフェンスを採用。
通学路に面した自宅だったので、子どもたちの安全面も確保できるリフォームとなりました。

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=2080

6-2.駐輪・駐車スペースを確保して明るいイメージの外構に

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事例2-1
事例2-2
築年数 35年
費用 70万円
工期 8日

玄関前の塀を撤去して、化粧ブロック塀へと交換した事例です。
劣化が目立っていた塀はすべて撤去し、雨水が溜まりやすく滑りやすかった階段もコンクリート舗装を行い安全性を確保。
塀と一体型の門柱も設置して、明るいイメージの外観へと生まれ変わりました。

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=424

6-3.既存の塀にタイルを貼り付けてデザイン一新

※横にスクロールできます

事例3-1
事例3-2

既存の塀に、タイルを貼り付けてリフォームした事例です。
もともとあった塀がまだ活用できそうだったので、高圧洗浄と下地処理を行ってからレンガ調のタイルを貼り付けています。
交換よりも費用を抑えつつ、住宅のイメージにぴったりの外構デザインへとリフォームすることができました。

出典:https://www.artreform.com/example/665/


7.家の塀に当て逃げ!初動の対処法を解説

敷地が車通りの多い道路に面していたり、狭い道路に面してたりすると、塀に車がぶつかってしまうことも。その場で申し出があればいいのですが、当て逃げされたときにはどう対処すべきか悩んでしまうと思います。

万が一当て逃げされたときには、次の流れで対処しましょう。

  1. 現場状況がわかるよう写真に残しておく
  2. 防犯カメラやドライブレコーダーを確認してみる
  3. 保険会社に連絡する
  4. 警察に被害届を提出する

当て逃げされた形跡を見つけたときには、まずは現場の状況を説明できるようにできるだけ多く写真を残しておきます。同時に防犯カメラやドライブレコーダーを確認して、犯人が映っていないかも確認してみてください。

その流れで警察に被害届を提出し、状況を説明します。犯人が見つかれば相手が壊れた塀を弁償することになりますが、見つからなければひとまず自分で修理しなくてはなりません。

当て逃げによる損害は火災保険が適用される可能性があるので、まずは保険会社に連絡して状況を説明し、保険適用有無を確認してみるとよいでしょう。火災保険が適用されれば、犯人が見つからずとも保険を使って塀を修理または交換することができます。

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8.まとめ

自宅の塀の劣化が気になるときには、修理、交換、撤去などの選択肢があります。
費用を抑えるために「撤去してしまおう」と考えるかもしれませんが、隣家との関係性を考えると、安易に撤去してしまうのはおすすめできません。
リフォーム会社と相談のうえ、既存塀の状況や現在の悩み事などから、どの方法が最適なのかを提案してもらいましょう。

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