
二世帯住宅への移行などライフスタイルの変化により、キッチンを2階に増設したいと考えている人もいるでしょう。
また、間取り変更を考えていてキッチンを2階に移設しようか迷っている方もいるのではないでしょうか。
日常生活に欠かせないキッチンは、使い勝手の良い場所へ動かすことが大切です。リフォームで場所を動かす場合、設備だけでなく配管も関係するため、費用も大きく変わる可能性があります。
本記事では、キッチンを2階に設置するメリット・デメリットや費用相場、増設時のポイントなどについて解説します。コストを抑えて希望する場所にキッチンを設置し、理想の間取りを実現しましょう。
目次
1. 2階にキッチンを作るメリット
キッチンを2階に作ることで得られる主なメリットを7つ紹介します。
①日当たりが良い
2階は1階に比べ日当たりが良い点が特徴です。
隣接する建物が2階建てや3階建ての場合、1階だと建物の影になって採光が悪くなる傾向がありますが、2階にキッチンを設ければ、同じくらいの高さの住宅が隣接していても日光が遮られにくいため、室内の明るさを確保することが可能です。
②眺望が良い
2階のキッチンは、窓からの眺望が良くなる点もメリットです。1階のキッチンは、塀や植栽により眺めが遮られるケースが多いですが、2階の場合は窓の外の景色を満喫できます。
③建物の強度・耐震性が上がる
2階にキッチンを作ることで、建物の強度や耐震性が向上する点もメリットです。
一般的に、キッチンやリビングを広く取るために柱や壁を少なくするケースが多く見られます。2階にキッチンを設けて、1階に洋室や納戸などの小部屋を作れば、1階の柱や壁の数が増えて構造的な強度が高まります。
ただし、二世帯同居でのキッチン増設など1階と2階両方にLDKを作るケースもあるため、リフォームの際には改めて耐震性能を見直しておくと安心です。
④天井高のあるLDKで開放的
キッチンを含むLDKを2階に設置することで、天井高を上げることが可能です。
1階は2階の床下が天井となりますが、2階にLDKを作れば吹き抜けにして屋根裏まで天井を伸ばせます。そのため、開放感のある広いスペースを確保できるでしょう。
⑤プライバシーが確保できる
2階は1階よりも外から見えにくく、キッチンやリビングを2階に設けることでプライバシーの確保につながります。
道路に面している住宅でもLDKを2階にすることで通行人や車から覗かれにくくなり、プライバシー性が高まります。
⑥コミュニケーションが取りやすい間取りにできる
キッチンを2階に作ることで、家族とコミュニケーションを取りやすい間取りが実現します。
一般的な2階建てのように1階にLDK、2階に子ども部屋を設けるケースでは、物理的な距離が遠くなってしまいます。その点、2階にキッチンを含むLDKを配置し、子ども部屋と同フロアにすることで交流しやすくなるでしょう。
また、二世帯同居での増設の場合、1フロアで生活が完結するため、家族と過ごす距離が近くなりコミュニケーションが取りやすくなります。
⑦騒音が気になりにくい
2階のキッチンは、周囲の音が気になりにくい点メリットです。
家が道路に面している場合、1階は、車が通る音や通行人の話し声などの雑音が気になりやすい環境です。一方、2階にキッチンがあると、近隣からの生活音も入りにくくなります。
2. 2階にキッチンを作るデメリット
2階のキッチンにはメリットが多い反面、デメリットもあるため理解した上で検討しましょう。
①工事費用が高くなりやすい
キッチンを2階に設置する場合、工事費用が高くなる可能性があります。
1階のキッチンは給排水管が短くて済みますが、2階のキッチンに給排水管を敷く工事は比較的大掛かりになり、工事費用がかさむ場合があります。
②上り下り、荷物の運搬が大変
2階にキッチンを作った場合、階段の上り下りや荷物の運搬が負担となる可能性があります。
年齢とともに体力や筋力は衰えるため、将来を見越して検討する必要があるでしょう。特に、ペットボトルやお米など重たい荷物を2階に運ぶとなると、1階のキッチンよりも大変です。
③外気の影響を受けやすい
2階のキッチンは屋根裏しか空気層がないため、外気の影響を受けやすい点に注意が必要です。
1階よりも日当たりが良い反面、紫外線が降り注ぐ夏場は室温が上がりやすく、冬場は冷え込みやすい傾向があります。また、エアコンの効きが悪くなり、光熱費にも影響することも理解しておきましょう。
④防犯対策が必要になることも
2階にキッチンを含むLDKを設けた場合、1階が無人の時間が増えるため防犯面も考慮しましょう。
2階にいる間に1階で何かあってもすぐ気づけるように、モニター付きインターホンや防犯カメラなどの対策が有用です。
⑤寝室や個室に騒音が届きやすい
キッチンやリビングを2階に作ると、必然的に寝室や個室は1階に配置することになります。
隣家や道路と各個室が近くなるため、生活音や雑音が気になる可能性があります。就寝時間やライフスタイルによっては防音対策が必要でしょう。
また、二世帯住宅にする場合、ワンフロアに寝室、個室などがまとまるため同様のデメリットが考えられます。
3.2階にキッチンを増設する費用
2階にキッチンを増設する際には、キッチン本体の設備費用と工事費用がかかります。ここでは、システムキッチンとミニキッチンそれぞれの増設費用の目安を紹介します。
システムキッチンの場合
システムキッチンを増設する費用目安は、約65~190万円程度です。
システムキッチンの本体価格は約60~150万円ですが、増設するキッチンのグレードや既存の配管から設置場所までの距離、配管移設の有無などによって費用が変わります。
費用に一番大きく影響を与える要素は「配管の移設有無」ですので、どのくらい費用が変わるか以下の表で確認してみましょう。
配管の移設 |
費用 |
---|---|
あり |
70万円~190万円 |
なし |
65万円~180万円 |
1階の既存キッチンと近い場所に移動するケースや、外壁に面しているスペースにキッチンを増設する場合、既存配管との接続に必要な配管が短く、比較的安く抑えられる場合があります。
親世帯と暮らす二世帯住宅やキッチンの使用頻度が高いライフスタイルの家庭では、多機能なシステムキッチンがおすすめです。
ミニキッチンの場合
ミニキッチンの増設費用は、約15~70万円程度が目安です。
ミニキッチンの本体価格は約10~30万円ですが、システムキッチンと同様増設するキッチンのグレードや既存の配管から設置場所までの距離、配管移設の有無などによって費用が変わります。
「配管の移設有無」でどのくらい費用が変わるか、以下の表で確認してみましょう。
配管の移設 |
費用 |
---|---|
あり |
20万円~70万円 |
なし |
15万円~60万円 |
湯沸かしや簡単な調理など、簡易的な用途であればミニキッチンの増設が向いています。
ミニキッチンとシステムキッチンでは、トータルで50万円ほどの差額が出るため、よく検討しましょう。
4. 2階にキッチンを増設するポイント|リフォーム費用を抑えるには?
2階にキッチンを作る場合、設置場所や条件によって費用が変わります。ここでは、リフォーム費用を抑えて2階のキッチンを増設するためのポイントを3つ紹介します。
①1階のキッチンの上に設置する
キッチンの位置を1階キッチンの真上にすることで、工事費用を抑えられる可能性があります。既存キッチンの真上であれば最短距離で給排水管をつなげられ、工事が比較的簡単になるからです。
反対に、現在のキッチンと離れた場所を選ぶと、配管を伸ばすために工事が複雑になり、コストが高くつきやすいため注意しましょう。
②ミニキッチンの増設を検討する
2階に十分なスペースが取れない場合は、ミニキッチンを検討すると良いでしょう。
システムキッチンの設置には、キッチン本体に加えて冷蔵庫や食器棚のスペースも必要です。2階スペースを拡張するとなると追加で工事費用がかかりますが、ミニキッチンにすれば費用を抑えて必要な機能を導入できます。
③補助金制度や減税制度を利用する
キッチンのリフォーム工事に使える国や地方自治体の補助金制度を活用することで、費用負担を軽減することができる場合があります。
また、同居対応の住宅改修であれば、所得税の減税対象になる場合もあります。各制度で申請期限や必要書類などが細かく決められているため、事前に確認しておきましょう。
キッチンの増設については、以下の記事でも詳しく解説しています。


5. 2階にキッチンを設置した事例
ここからは、2階にキッチンを設置、増設したリフォーム事例を紹介します。使い勝手が良く、快適なキッチンを実現するためにお役立て下さい。
①二世帯住宅へのリフォームで2階にキッチンを
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出典:https://www.8044.co.jp/gallery/252
完全分離型の二世帯住宅へのリフォーム時に、2階にミニキッチンを増設しました。リフォームの際に念のため構造面の診断を行い、部分的に補強することでより安心感のある住宅に仕上がっています。
②LDKを1階から2階へ移動

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/426
老朽化リフォームの際に、LDKを2階に移動した住宅の事例です。
「子世帯とくつろげる空間にしたい」という要望に添って、全体的に暖かい空間になるよう設計。システムキッチンにも温もりが感じられるような色みを取り入れています。窓からの採光も相まって、明るい雰囲気が感じられる空間になりました。
③2階の洋室に新たにカウンターキッチンを設置
※横にスクロールできます


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/221
2階の洋室にキッチンを新設した事例です。部屋の床と壁を一部解体し、排気管と給排水管を設置しました。
壁の一部を解体してカウンターを取り付けることで、リビング側とつながりが感じられる空間ができ上がっています。
6.まとめ
2階にキッチンを設置することで、日差しの入る明るい生活スペースができあがり、周囲の騒音も気になりにくくなります。ただし、メリットがある反面デメリットもあるので設置するかどうかはよく検討しましょう。
また、移動する場所や配管の状況などによっては工事費用も高くなるため、設置箇所も合わせて検討することが大切です。
費用を抑えるポイントとして本記事では3つの方法をご紹介しましたが、実際に実現できるかどうかは現地調査で自宅を見てからの判断になります。希望の予算でリフォームができるかどうかはリフォーム会社にしっかり確認しましょう。
どんな会社にお願いしたらいいかわからないという方はリフォームガイドにご相談ください。
リフォームガイドでは、専任のコンシェルジュがご要望をヒアリングし、最適なリフォーム会社を選定しています。厳しい審査を通過した優良業者のみと提携しており、キッチンのリフォームが得意な会社を紹介することもできますのでお気軽にお問い合わせください。