【マンションの床リフォーム】張り替え前の注意事項|工法・種類・費用を確認

マンションの床をリフォームすることで、部屋の雰囲気を大きく変えられるだけでなく、安全面や衛生面の向上につながります。

しかし、床を含めたマンションリフォームでは、管理規約や建物の仕様などルールをよく確認した上で判断する必要があります

本記事では、マンションの床をリフォームする前に確認すべき注意事項や費用、床材や施工方法の種類などについて解説します。満足のいく床リフォームを行うために、ぜひご覧ください。


1.マンションの床リフォーム:はじめに確認したい注意点

マンションで床の張り替えなどのリフォームを行う前には、あらかじめ確認すべき事項があります。

近隣住人とのトラブルを避けるためにも、ここで注意点を把握しておきましょう。

①管理規約を確認する

マンションによっては、管理規約内に独自のルールが設けられている場合があります。また、遮音等級の指定などにより床材を変更できないケースもあるため、リフォーム前に必ず確認が必要です。

(1)遮音等級を確認する

多くのマンションでは、使用できる床材の遮音等級が決められています。遮音等級とは、下の階にどの程度音が響くかを示す数値です。

一般的には、L-40(物音がかすかに聞こえる程度)、またはL-45(人の歩く音がほとんど気にならない、軽いものを落とす音がかすかに聞こえる程度)が採用されています。

リフォームでは規定の要件を満たした床材を使う必要があるため、管理規約を確認しましょう。

(2)マンション独自のルールを確認する

遮音等級以外にも、マンション独自のルールが定められていないか確認する必要があります。

マンションによっては、リフォーム工事のやり方や使用できる素材などが細かく指定されている場合があります。

また、指定業者以外の出入りや設備・配管の移動などに関して禁止事項を設けているケースもあるため、管理規約に目を通しておきましょう。

②近隣の方へ挨拶する

マンションでのリフォーム工事では、同じ建物内に騒音が伝わりやすいため、事前に近隣住人へあいさつをしておきましょう。

床リフォームは比較的大掛かりな工事になり、騒音や振動などの迷惑をかけてしまう可能性があります。

トラブルを避け、近隣住人との良好な関係を保つためにも、上階・下階・左右隣、さらに向かい側の部屋へ工事の旨を伝えておくと無難です。

③マンションの床の構造をチェックする

マンションの床の構造は、直床工法と二重床工法の2タイプがあります。構造によっては選択できない施工方法もあるため、リフォーム依頼前にチェックしておくと、リフォーム会社とのやり取りがスムーズになります。

(1)直床(じかゆか)工法

直床(じかゆか)工法とは、床スラブ(コンクリートの構造床)にフローリングなどの床材を直接張る方法です。使用する建材が少なく、施工費用を抑えられます。

ただし直床工法の場合、水回りの配管を設置するために、あらかじめ配管部分の床スラブを低くして作られているケースが多いため、リフォームの時に水回りの場所を変更しにくい点はデメリットといえます。

また、この工法は音が下の階に伝わりやすいため、遮音効果のあるクッションフロアや緩衝材を使うことも検討する必要があるでしょう。

(2)二重床工法

二重床工法とは、床下に12~15cm程度の空間を設ける施工方法です。

一般的には、床スラブの上に材木などを設置し、その上から床下地とフローリング材を仕上げます。直床工法とは違って設備配管のメンテナンスがしやすく、リフォームの時に水廻りの場所を柔軟に移動できます。

また、遮音性能を備えているため床材に遮音性がないものも選べますが、直床工法と比べて作業工程が増えるなどの理由で施工費用は比較的高額になります。


2.マンションの床リフォーム:2つの方法と特徴

マンションの床をリフォームする方法は、主に「上張り(重ね張り)」と「張り替え」の2種類に分けられます。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

①上張り(重ね張り)

上張り(重ね張り)とは、既存の床材の上から上張り用の新しい床を重ねて張る工法です。既存の床をはがす必要がない分、施工費用を安く抑えられます。また、短い工期で完了でき、施工時の騒音が出にくい点もメリットです。

ただし、フローリングの場合は施工後に床鳴りを起こす可能性があります。さらに、重ねて張っていることで、施工後の床の高さが6〜15mm前後上がり、段差ができるので高齢者や小さな子どもがいる家庭には不向きでしょう。

②張り替え

張り替えは、既存の床材をはがしてから新しい床材を設置する工法のことです。床をはがした際に下地の腐食状態を点検できるので、想像以上に痛んでいる場合は下地も一緒にリフォームすることができます。また、フローリングの場合でも施工後に床鳴りするリスクがありません。

ただし、既存の床をはがす工程があるため、上張りに比べて工期が約1〜2日長くなります。また、施工費もその分高くなります。

このように床のリフォームには2つの方法がありますが、直床工法の場合は上張りによるリフォームは選べません

二重床工法の場合はどちらの方法でもリフォームできますので、ご自宅の床の構造をしっかり確認したうえでどんなリフォームがいいのか決めていきましょう。


3.マンションの床リフォーム:床材の種類と特徴

床材には、フローリングやカーペット以外にも多くの種類があります。

床は面積が広く、内装のイメージを大きく左右するため、好みに合わせて色や材質を選ぶと良いでしょう。ここでは、代表的な床材の特徴について解説します。

床リフォームの費用相場や事例が知りたい方は4章へ

①無垢フローリング

フローリングには大きく分けて「無垢フローリング」と「複合フローリング」の2種類があります。

無垢フローリングは、天然木の丸太から切り出して作ったフローリング材です。本物の木ならではの模様や質感が特徴で、使い込んでいくと独特の風合いが楽しめます。

湿度を一定に保つ効果も期待できますが、柔らかいため傷がつきやすい傾向があります。また、遮音性能が備わっていない製品は、マンションの管理規約で制限されていることがあり、下地に防音材を貼るなどの対策が必要になります。

②複合(合板)フローリング

複合(合板)フローリングは、合板の表面に化粧材を張り合わせたフローリング材です。

一般的なマンションの床に使用される床材の1つで、無垢フローリングに比べて耐久性や衝撃性といった機能性に優れています。商品のグレードにもよりますが費用が安価で、水分や傷にも比較的強いため、場所を選ばずに取り入れやすいでしょう

ただし、無垢フローリングにあった天然木の風合いや特有の温かみは欠けてしまいます。

また、同じ複合フローリングでも、天然木を表面の化粧材に使用した挽き板タイプと、樹脂や紙に木目調をプリントしたシートタイプとでは仕上がりが大きく異なりますので、サンプルを取り寄せて確認しておくと安心です。

③クッションフロア

クッションフロアとは、緩衝材を内部に挟んだ塩化ビニル製の床材です。名前の通りクッション性があり、比較的衝撃に強いため、小さな子どもやペットのいる家庭にも向いています

また、水や汚れに強く、掃除が簡単なためキッチンなどの水回りに適した床材の1つです。床材の中でも特に安価で、コストパフォーマンスが高いですが、安っぽく見える可能性があります。

④カーペット

カーペットは、繊維を使った床材です。主に天然繊維と人工繊維の2タイプがあり、いずれも遮音性が高く、肌触りが良い点が特徴です。

ウールなど天然繊維は調湿性があり、室内の湿度を一定に保つ効果が期待できます。また、ポリエステルやアクリルなどの人工繊維は弾力性や耐摩耗性が高く、リーズナブルなものが多く揃っています。

一般的にカーペットと言うと、ダニやほこりが発生しやすい、シミになりやすいといったイメージもありますが、そうしたデメリットは汚れに強い素材やお手入れしやすい素材を選ぶことで解消することができます。

⑤コルク

コルクは、コルクガシという樹木の樹皮で作られた床材です。

同じ木材のフローリングと違って柔らかさと弾力性があり、足腰に優しい点が特徴です。また、防水性や防音性にも優れている点もメリットです。

タイル状のコルクタイルなら、部分的に取り替えることができて便利でしょう。

⑥畳

畳は、日本に昔からある伝統的な床材です。フローリングに比べて断熱性やクッション性があり、踏み心地が優しく、長時間座っても疲れにくいでしょう。

また、保温効果や遮音効果も期待できます。ただ、畳は汚れや痛みが目立ちやすいため、こまめなお手入れが必要です。また、カビやダニの発生を防ぐために、天気の良い日には換気を行うと良いでしょう。

⑦大理石

大理石は、高級住宅の玄関などに使われる床材です。ほこりが目立ちにくく、耐震性にも優れていますが、硬い材質のため、子どもや高齢者の転倒した際にけがをしやすいなどのデメリットもあります。

また、吸水性があり、水分を放置していると染みになりやすいため注意が必要です。天然の大理石は高額ですが、人工大理石を取り入れることで費用を抑えられます。


4.マンションの床リフォームの費用相場

マンションの床リフォームでは床材の種類によって工事の手間が変わるため、費用も変動します。床材ごとのおおまかな施工費用の相場は、以下の通りです。

カーペット/クッションフロア→フローリング 12~15万円
畳→フローリング 20~23万円
フローリング→フローリング 11~20万円
フローリング→クッションフロア 6~10万円

※いずれも6畳間の床リフォーム

床リフォームの費用相場について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

床の張替え費用はいくら?フローリング・クッションフロア等床材別にくわしく解説!
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また、フローリングから新しいフローリングに張り替える場合、既存の床をはがすかどうかで費用は大きく変わります。

マンションのフローリング張り替えについては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【プロが教える】マンションのフローリング張り替えの費用・注意点
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床暖房にリフォームする場合の費用相場

マンションの洋室やリビングなどに床暖房を導入する場合、施工方法や設備の種類によって費用が変わります。

床暖房の施工方法には、

  • 床材をはがして配管を設置し、新しい床材を張る方法
  • 既存の床の上に床暖房設備を設置する方法

の2つがあります。
前者の方が費用は高いですが、床暖房設備の設置にはある程度のスペースが必要なため、天井高を確保するためにも床材の下に設置することをおすすめします。

また、床暖房設備の種類には配管に温水を通して温める「温水式」と電気の力で温める「電気式」の2種類があります。それぞれのメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
温水式

ランニングコストが安い

初期費用が高い
給湯器の交換が必要なケースも

電気式

初期費用を抑えて導入できる

ランニングコストが比較的高い

メリットやデメリットを踏まえて管理規約も確認した上で、最適な床暖房を取り入れることが大切です。

マンションの床暖房リフォームについては、下記記事もあわせてご参照ください。

マンションの床暖房リフォームを完全解説!費用・工期・注意点など
マンションの床暖房リフォームを完全解説!費用・工期・注意点など
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5.マンションの床リフォーム事例

ここからは、実際にマンションの床をリフォームした事例を紹介します。自宅の床リフォームを検討する上で、ぜひ参考にしてください。

①温かみのあるフローリングへのリフォーム

※横にスクロールできます

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=2707

工期 2日
施工面積 25㎡
費用 38万円

カーペットからフローリングへのリフォーム事例です。

水漏れによって傷んでしまったカーペットを張り替える際にフローリングへと変更し、部屋全体が温かみのある空間に生まれ変わりました。

お手入れが簡単で、抗菌性能のあるフローリング材を採用し、長く使えるよう配慮しています。

②小さな子どものためにフローリングからカーペットへ張り替え

※横にスクロールできます

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/316

工期 10日
※すべての内装リフォームにかかった総工期
費用 約15万円
※約14畳のLD内装工事にかかった費用

中古マンションの内装全体のリフォームをされた事例です。リフォーム時に室内全体の床を張り替えました。

小さな子どもが自由に動き回れるよう、安全面を考慮してリビングにはタイルカーペットを設置しています。

③床暖房を設置

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/305

工期 2週間
施工面積 42.9㎡
費用 床暖房工事費:約45万円
総工事費:150万円

床暖房の設置に合わせてトイレ、洗面室の内装工事をされた事例です。床暖房を設置したのはリビングの床。

床暖房の上に落ち着いた色合いのフローリングを施工し、重厚感のある空間を演出しています。


6.まとめ

この記事では、マンションの床をリフォームするときに事前に確認すべき注意事項や費用、床材や施工方法の種類などについて紹介しました。

マンションのリフォームでは、各マンションごとに管理規約にリフォームのルールが定められています。そのため、マンションの床をリフォームする際は、まず管理規約や遮音性能などのルールを事前に確認しましょう。

また、床の構造や施工方法には種類があり、選択肢によって費用や期間が変わります。特に床暖房を設置する場合には天井高や設置方法などの注意点もあるため、リフォームに慣れていない方は実績が豊富なリフォーム業者に相談してみましょう。

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